『麦わら帽子』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
麦わら帽子
麦わら帽子と聞くと思い出されるのは、幼い頃、夏休みに行った家族旅行。
夏の家族旅行といえば、毎年伊豆だった。
海風に飛ばされてなくす度に新しい麦わら帽子を買い与えてくれた。正直、ゴッツくて、チクチクしてあまり好きではなかったな。
【麦わら帽子】
夏の日差しには慣れているはずだった。
しかし体はすっかり忘れてしまったらしい。また、あの頃よりも年々増している猛暑がどんどん体力を奪っていく。
「藤真先生ー!暑いんだけど!」
「俺だって暑い。いいから手を動かせ。あと5分したら休憩入れるから」
そう言うと生徒たちは渋々といった様子で草むしりを再開した。
高校教師になってもうすぐ10年になろうとしていた。
膝を壊してしまったことによってバスケット人生を諦めた俺は、教師になることを選んだ。初めは体育教師になって今度こそ正真正銘の「監督」になることを望んでいた。しかし現実はそう上手くいくはずもなく、国語を担当している。
麦わら帽子のつばを上げ、空を見上げる。
そこにはあの頃と変わらない夏の空が広がっていた。
でも変わっていないのは空だけだ。
俺もずいぶんと変わった。
そりゃ10年も経てば人は変わる。取り巻く環境も、流れる時間のスピードも変わっていく。
いつまでもあの夏を懐かしむのはやめようと決めたはずなのに、この時期になるとどうしても思い出しては心の隅がじくじくとする時がある。
こめかみから流れる汗を手の甲で拭って立ち上がり、少しぐんと背を伸ばす。
現実を生きろ。
何度も言い聞かせてきた言葉を胸の中で呟いて、各々草むしりをしている生徒たちに声をかける。
「さあ、休憩しよう」
もう少しで
心からふれあえたはずの
二人の距離
届かないまま
Uターン
旅も終盤
そろそろ
終着駅
二人の終点は
ずっと
忘れられぬよう
あの日に
と
そう決めた
沢山の
ありがとう
と共に
何もかも消して
二人の全てに
終止符を打つ
「終点」
麦わら帽子を君は被っていた
いつも夏の日は必ず麦わら帽子
そしていつものお散歩をする所
向日葵畑の道を通る
でも、君との夏はあの日に壊れてしまった
でも、君を思う気持ちは壊れなかった
ずっと心の中で思ってようとおもった
麦わら帽子
立ち竦む自分の周りにあるのは、呆れるほどに青い空と、蠢く白い雲。笑う草木。
夏なんて嫌いだ。
暑いだけで、何も良いことなんかないじゃないか。
「どうしたの?」
そう言って覗き込んでくる君の麦わら帽子が日影をつくる。
「夏は嫌いだ…」
顔を歪めてそう呟けば、君はくすくすと笑う。
なにがおかしい?
更に不機嫌に歪んだ私の眉間を君はこづくんだ。いつも。
「でも私は君と会える夏が好きだよ?」
太陽を背にしているから、君の表情はわからない。
けれど、その麦わら帽子は毎年変わらずに、そう言っていたね。
僕達は今、海の見える堤防の上にいる
青いリボンの麦わら帽子を身につけたあの子が笑っている
2人でのんびりとラムネを飲み干した
あの子が立って、堤防を歩き出した
僕はワンピースの裾を直し、あの子に駆け寄った
僕は追いつき手を繋いだ
あの子は少し笑ったあとに手を繋ぎ返してくれた
麦わら帽子
麦わら帽子を被ることはまったくないな。
今は麦わら帽子すら言わないよね。
カンカン帽子っていうらしい。麦わらで作られてるけどもさ。
僕は麦わら帽子よりも野球選手が被るようなキャップ帽子を被ることがやや多い。
服装もボーイッシュだからね。
男女問わず麦わら帽子は被れるけども今の人はあまり麦わら帽子被らないね。
帽子すら被る人いない。
こんな毎日暑くて日射しが強いのに関わらず帽子すら被らないで日傘やタオルを使うなら帽子を使えばいいのにって思ってしまう。
忙しくて被るのを忘れてしまったり、なくしてしまうこともある帽子だけどね。
帽子も日射しから守ってくれるし、髪の毛が日焼けしなくてすむってわからないんだろうね。
みんな麦わら帽子とかした方がいいよ。
終わり
夏のひまわりに映える帽子
暑い日差しを受け止めてくれる
「麦わら帽子」
少しほつれた麦わら帽子。
それは、昔と今を繋ぐ、思い出の帽子。
きっと、数十年後には今と未来を繋ぐ帽子になっている。
*麦わら帽子*
なんですかこれは?なんか家宝並に大切にされてる麦わら帽子になっちゃいましたwちなみに、麦わら帽子なんて数年間被ってない__。
麦わら帽子
美しいものは世の中にいくらでも溢れていて、
どれもこれも手にとってみたい
手に入れたい
身につけて、ひけらかしたい
平らなサンダルに麦わら帽子をひっかけて、
真っ黒になるまで太陽の下で戯れたあの頃には
到底想像もつかないこと
食べかけのスイカとおはぎを放って
クーラーに当たって
液晶画面を睨んでいる
白いワンピースを着て向日葵畑に向かう子は
泥濘に足を取られ白を土色に染める
父さんはそれを見て笑う
きっとこれは思い出に変わる
速すぎず遅すぎず過ぎ去る日々は
白いワンピースが掛けるよう
ずっと変わらない日はない
微かに残る匂いはあの麦わら帽子の匂い
段々意識が浮上する
嗚呼、これ狐に摘ままれただけの夢なんだ
空は黄昏
夏空がよく似合う。
この季節には似つかわしくないような白い肌も、ふわふわと広がる波打った細い髪も、あの不気味なほどに無機質で平坦に伸びる青色の中では一際浮かんで見えた。
今日は快晴だ。
少女が駆け回るにはいささか強すぎる日差しが地面を焦がしている。庭の向こう側で向日葵が揺れた。
気遣いで差し出した日傘は、不自由になるからと断られたのだったか。代わりに送ったつばの広い麦わら帽子は随分と気に入ってくれたようだ。
淡い花柄のサマードレス、ほんの少し大人ぶるローヒールサンダル。花壇を手入れする最中に摘んだ、いくつかの花をその帽子に差してやれば、少女はこちらを見上げてはにかんだ。
細かな網目状の影が落ちる柔らかな頬。控えめなそばかすと、ひんやりと透き通った瞳がずっと私の頭に棲みついている。楽しそうに口角の上がった唇から紡がれる音階の名前が思い出せない。けれどずっと懐かしさが記憶を叩いている。
青々と茂る植物たち。芝生を踏む音。じりじりと景色を揺らす陽炎。手に持ったホースから弧を描いて流れゆく水がそれら全てを濡らす。
暑い、日だった。
手が滑る。盛大に足にかかった冷たさに気が付いた時、直射日光が見せたいつかの情景は消え去っていた。
足元に落ちた花を拾う。眩しくひらめくスカートの裾が、くらくらとする視界の端に映った気がした。
ああ、せめて帽子くらいは被っておくんだった。
【麦わら帽子】
麦わら帽子
夏の水難事故が後を経たない。
幼い子供が川に流されたとニュースで流れる度に、恐怖が蘇る。
僕が小学3年生の時、家族4人で夏、キャンプに出掛けた。妹は小学1年生で初めてのキャンプに朝から大騒ぎだった。
キャンプ場の目の前は川で、川幅はやや広いものの浅く流れも穏やかだった。
僕と麦わら帽子を被った妹は、両親が車から荷物を下ろすのも手伝わず、直ぐに川に向かった。
父は
「川にはまだ入るなよ!子供だけで入ると河童に攫われるぞ!お兄ちゃん、ユキをちゃんと見てろよ!」
と言われ、妹のユキの手を握っていた。すると石と石の間にサワガニが動いた。思わず、ユキの手を離しサワガニを探す。ほんの一瞬のつもりだった。気がつくとユキがいない。麦わら帽子が流れていく。
「お父さん!ユキが〜!」
それからの事は覚えていない。父親がユキに人工呼吸をしている。救急車のサイレン。
ユキは一命を取り留めた。
あれから10年、僕は今でも夏が嫌いで水が怖い。麦わら帽子がゆっくりと流れていく光景を忘れる事ができない。
でも、ユキは水泳部に入りオリンピックを目指している。
ユキ!頑張れ!本当に生きていてくれてありがとう!
麦わら帽子が風に吹かれて飛んでいく。
草原の向こうへと飛ばされて、巻きついていたリボンの端が揺れる。
慌てて追いかける君の、白いスカートがひらりと羽ばたく。
まるで鳥のような、幸せを運ぶ君。
8/11 お題「麦わら帽子」
お気に入りの麦わら帽子をかぶって、強い日差しの下で太陽のように笑う君を見ていられたのは、ほんの30分ほど。
天気の心変わりにも程がある、すさまじい雨だった。海の家の軒下は人で埋まり、車に避難する人もいる。
だが君は笑っていた。
痛いほど叩きつける雨で歪まぬように麦わら帽子を抱え込み、全身ずぶ濡れになりながら、空を仰いで笑う。
「楽しいー!」
君の笑みはやはり、太陽だ。麦わら帽子では隠しきれないことを、天気もわかっているのかも知れない。
(所要時間:7分)
日焼けた笑顔はチャームポイント
黄色いドレスをはためかせ
今日もあなたは背を伸ばす
蜂たちはあなたからの祝福に羽をたれ
眩しすぎる笑顔に僕は目を細める
麦わら帽子に隠れた瞳よ
どうか僕だけに
#麦わら帽子
どこからか飛ばされてきた赤いリボンの麦わら帽子が、穏やかな海に浮いている。
持ち主は、今頃悲しんでいるだろうか。
それとも、気がついていないだろうか。
誰かの夏の思い出が詰まったそれは、浅瀬に辿り着いた。すっかり緩んでしまった赤いリボンをカモメがつかみ、夏の青空をより鮮やかにして遠くへ消えた。
やがて浅瀬を赤いワンピースの少女が訪れた。彼女の泣き声が、波の音にのまれて消えていった。
今年の夏は暑いから、
新しく帽子を新調した。
つばが広くて顎で結べるタイプの
麦わら帽子だ。
ショートカットにしたおかげで、
首の後ろの日焼けが
気になるようになったから
新しい帽子は
なかなか活躍してくれている。
思えば麦わら帽子を被ろう、と
思ったのは幼稚園以来かもしれない。
今までは夏でも涼しい室内で過ごし、
日焼けは御免だ、と鷹をくくっていたから。
息子が生まれ、成長し
夏も再び外で遊び回るようになって
改めてこの帽子の良さに気付かされたのだ。
________麦わら帽子
季節は初夏。それは機能するモノとしてのモノを終わろうとしている。
ああ、これ麦わら帽子ですね――作業員はそれを手にして呟いた。へぇ、まあそれっぽい形してるもんな。一緒に登っていたもうひとりが応える。
大きさから量るに、子供のものだったのだろうか。つばはほつれ、半円形の部分にはつばだったわらや、どこかからもってきた雑多なもので埋め尽くされていた。そして大量の羽毛。
この帽子をなくした子供は、泣きながら家に帰ったのだろうか。家族にも叱られ、さらに泣いたのだろうか。そしてこの帽子は人知れず冬を越し、カラカラに乾いていたから、次の役割を果たすことになったのだろうか――作業員は休憩時間に考える。そうすると、あの帽子は多くの子供たちを見守っていたのだろうか。作業員は独身だし、子供も幼いきょうだいもいなかったからそのへんの感覚は分からなかったのだが、そうなのだろうと彼は思った。
だから作業員は棚から袋を取ってくると、帽子をそっとそこに入れて元の場所に戻した。廃棄されるのは変えられないし、さすがに作業員も欲しくはなかったから。
安田、行くぞ。
外から彼を呼ぶ声がしたので、作業員は部屋を出た。
じゃあ。たくさんの子供を見守ったどこかの帽子。たぶんお前はそんなに酷い扱いじゃなかったのかもな。
麦わら帽子か。夏の日差しがきついから欲しかったんだよな。でも近場で買えるのが普通の帽子しかなかったから普通の帽子を買った。
通販で買おうと思えば買えたけどそこまでして普通の帽子じゃなくて麦わら帽子が欲しいってわけでもなかったし早く帽子が欲しかったから通販では買わなかった。
通販だとサイズとか試せないからな。買ってサイズが合わなかったら返品ってのが今の主流っぽいけど個人的にしたくない。めんどうだしね。
性能や見た目は麦わら帽子が一番だと思うけど普通の帽子も捨てたものじゃない。俺が買ったのはつばがある緑の帽子で中々かっこいいから気に入っている。
帽子ってかぶってる人があまりいないから自分だけかぶるのはなんだか恥ずかしいって気持ちがあったけどかぶってみると全然人目とか気にならないものだな。
それに思った以上に涼しくてよかった。帽子でこれだから日傘はもっとすずしいんだろうな。でも帽子を持っているのに日傘まで買うのは出費がかさむからなしだな。
日傘もね。欲しいんだけどこれはそこそこ高いしいい感じのやつがないしで買う気が起こらないな。外出は自転車がメインだからあまり使う機会がないってのもある。
男で日傘を買う人が少ないから種類が少なくて種類が少ないから買う人が少ないという悪循環なのかな。そもそも男女問わず日傘を買う人って少なそうだよな。
でも最近の夏はやばいから来年以降は日傘必須になりそう。そうなると種類も増えてメンズ用も需要があるんじゃないかな。俺は帽子を買っちゃったから日傘は買わないけど。