『高く高く』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
071【高く高く】2022.10.15
いまでも運動会の競技としてあるのかな?、マスト登り。私は運動神経ゼロなので、全然登れなくて、おかあちゃんに「私は子どものころこんなのふつうに登れたし」と、下校時刻後の運動場でバリくそ特訓された。
そもそも高いところだって苦手だっつーのに絶対ムリじゃんよー、と半泣きで特訓されてたけど、やればできるもんで、最終的にはサル並みに登れるようになっていた。
本番? 当然、よゆーのよっちゃんよ!
あの天までとどくかという孟宗竹を高く高く登って、誰より早く滑り降りて(自分ではそのつもり)、猛ダッシュで駆け帰って(いうまでもなく足も遅い)、次の人にタッチする。勝負の決め所が足の速さだけではない、ってところが、鈍足の私にとってはサイッコーに爽快な瞬間だった。
いや、ところでさ。運動会の時期になると、全小学校の運動場にマスト登り用の孟宗竹が4本くらい、バンバンバンバンとおっ立つのって、もしかして、うちの県だけの風物詩なんですかね???
高く高く
半透明な思いを
型紙に写して
青い空の彼方へ
高く高く
優しさと
愛おしさを
伝えられる
最後の手段
いつか空を
見上げた時に
思い出して
くれるかな
君が誘ってくれたから一緒にブランコに乗ったのに、
いつしか君より高く漕ぐ事に夢中になっていた。
青空に白い雲が映えて、飛ぶ飛行機に手が届きそう。
楽しくて夢中で地面を赤いスニーカーで蹴り飛ばし、
君の声が聞こえなくなった事にも気付かなかった。
足が疲れたら、
飛行機は遠ざかって、
隣りにいた君のブランコには、
知らない誰かが座っていた。
高く高く目指したから、周りが見えなくなるほど夢中でいた。
君より素晴らしい景色が見えたはずだよ。
隣の知らない誰かの楽しそうな声が、
私より高い位置で上がっていた。
ブランコから降りて立ち上がると少し景色がふらついて、
私は乱暴に投げていた赤いランドセルを背負う。
「嗚呼、その子。高い高いが好きなの。」
「高い高い…?」
親戚の間に生まれた子が二回目の誕生日を迎えると聞いて、前々から準備していた贈り物を抱え、訪れた。その時、中々会えないからと小さくて柔らかい命を抱かせてもらうことにした時。突如そう言われた。
「もう首が座ってから大分経つし。落とさなければ大丈夫よ。」
「はぁ…。」
少し不安だが、どうも断れない空気だ。しょうがないので、赤ん坊の脇に手を通し、空へふわりと投げ出す。
そうして瞬く間にまた手の中に戻ってきた。それはからからと笑っているが、こっちは気が気でなくて思わず存在を確かめるように抱きしめる。
我が子ではないが。からからと笑う君が天の使いのように見えて。空高く放り投げたらそのまま高く高く昇っていってしまいそうで怖かった。
あまりに高いところまで揚がってしまったから、糸巻きを掴んだ手には凧を攫っていく風の感触すらもう伝わってこない。途中、糸を一度結び足したから高度は大体200メートル位だと思う。最初は青空にきっかりと映えるオレンジ色がきれいだったのに、もう目を凝らしてみても胡麻ほどの小さな点にしか見えない。
空を悠々と泳いでいるいくつもの凧が、不意に水族館の大水槽の景色と重なった。透明な檻の中で行き場のない自由と、無限へ続く空の下で頸木をひかれる不自由。
あの凧は地上へ戻りたいだろうか。
「力を抜いちゃいけない、風に持っていかれるよ」
ぼんやりしていた私の手を、包むようにあなたが強く握った。からになった糸巻きには噛み付くように固く糸の端が結ばれている。空に吸い込まれそうだった私の心を、この温かな手が繋ぎとめてくれた。
************
「高く高く」
晴れ渡る空を仰いで
心が透きとおっていくままに
美しさに手を伸ばし
どこまでも高く
高く天へとかかげたい
願い 祈り
まだ見ぬ希望の先へ
#高く高く
小さい頃、家族でテーマパークに出かけると、毎回必ず風船を買ってもらっていた。
赤、黄色、青、ピンク、さまざまな色の風船があって、毎度悩みながら父にこの色の風船がいいとねだっていた。
いつもは大切に家まで持ち帰り、萎んでしまうまで部屋に飾っていたのだが、ある日ふと、この風船から手を離したらどこまで飛んでいってしまうのだろうと気になった。
大切な風船が飛ばないようにしっかり握りしめた拳を、小指からゆっくり緩めていく。
最後に人差し指を緩めると、風船は留まってくれることなく私の手を離れていった。
黄色の風船が、青い空に向かって旅立っていく。
いつ止まるかなとずっと見ていたが、風船はどんどん空へ昇っていき、黄色い点となり、やがて見えなくなっていってしまった。
「僕」をわかっていないのに目標を高く高くしてい く僕はなんだろう?
なんのために
好きって、何だっけ。
ある日、自分の中の好きがいくつか迷子になった。
チョコレートにコーヒー、それから猫。かわいい。紅茶を飲むならスコーンとクロテッドクリームにジャム。あとは……。
昼下がり、きらめく景色の中で心は迷子だった。日差しは鮮やかに世界を縁取る。色を薄めてしまうくらいの光を降らせた。あぁ、きっと今は心の中が真っ白なんだ。だってそこに確かにあったはずのものが全然見えない。
どこからか頼りなげなしゃぼん玉が飛んできた。ふわりと風に流されて、ゆらりと揺れるひかりを包んで。間もなく弾けて、最初からそこには何もなかったかのようで。
チョコレートにコーヒー。ふわふわの猫。クリームティーはコーンウォール式がいい。思い浮かべる好きなもの。思考の片隅に浮かぶ存在を、同じように並べたくない。並べられない。
しゃぼん玉よりずっと遠く、はるかに高く。どこまでも飛んで、誰の目にも映らない果てまで逃げて。でも消えないで。とても大切なんだ。だからこそ高く高く、どこまでも飛んでいけ。二度と思い出せないくらい。
〉高く高く
高く高く
空高く飛び立つ
空高く羽ばたく
誇り高くありたい
そうやって生きていくことが、私の理想
空を飛べる友人がいる。
好物はたまごの入ったサンドイッチ。
なぜ飛べるのか、と昼食を食べている時に聞いた。(言うまでもないけど、友人はたまごの入ったサンドイッチを食べていた。いつもそれだ。)
「私が天使だから」
「ふうん…」
なんとなく辟易した。こともなげに言うもんだから。
「飛んでみる?」
「…ええ?」
下校しようと昇降口に来た時に誘われた
「ほら、空中散歩だよ」
「ものはいいようだね」
「口達者ってよく言われる」
友人と私はハグをするような体制で空へ上がっていった。ハグというか、必死に掴まっている風だけど。
「怖い!怖い!!」
「怖くない怖くない」
いやこわいって…
なれたら悪くなかったけどさ
二言目には「暑い」と言いたくなるような朝、換気のために職場の窓を開けて回っていたらスズメが入ってしまったと同僚が慌てていた。3人で外へ誘導しようとしたものの、スズメはこちらの意図とは真逆に飛び回る。
ふと見ると、スズメが空いた窓の際に留まった。そのまま外に飛んで行け、とわざと音を立てながら近寄っていくが、どうしたことか今度はちっとも動かない。
カーテンでそっと押してみる。動かない。
「どーしたー?」と至近距離で声をかけてみる。やっぱり動かない。
ならば、と思いきってスズメの胴体を包み込むように手で掬い上げた。
スズメに触ってしまったという感動の混じった驚きと共に(私は鳥が好きな方だ)、思いがけず温かいことに二度びっくりする。後から知ったが、スズメは体温が42度くらいあるそうだ。そして窓の外へ向けて、飛んでくれよと思いながら、そっと放る。
果たして、夏の湿気で重たい空気のなか、スズメは飛んでいった。
重さを感じさせない羽ばたきで飛ぶ鳥は、しかし色々なものを犠牲にしているらしい。軽量化のために骨は細く中は空洞になり、飛ぶために必要な筋肉以外は極力省く。足などはほとんど骨と皮と腱だけだ。文字通り骨身を削って飛んでいる。(ただしニワトリは色々と例外。)
飛べたらどんな気分だろうと時折思ってみたりはするが、飛ぶのも楽ではないようだ。それでも、高く高く飛んでいったスズメを見送った時の羨望とも憧れともつかない思いは消えるわけではない。
お題:高く高く
僕のお兄ちゃんは
僕の知らないところまで飛んで行ける
そして色んな話をしてくれるんだ
僕もお兄ちゃんみたいに
空を自由に飛びまわりたい
でも僕の翼はまだ小さい
まだ自分の体を支えれない
お兄ちゃんみたいな大きな翼がほしい
僕が大きくなったら
うまく飛べるようになったら
僕を連れてってね
高く高く飛ぶからね
高く高く収入を望む僕
そんな僕はいつも本を見てる
そんな僕はいつも夢を見てる
高く高く
いつしか意識だけが昇っていってしまった
いつしか僕は意識におきざりにされてしまった
仲良くしたいのに、一緒に居たいのに、繋がっていたいのに
高くてもいい、低くてもいい
今を生きることがココロを満たす
今を生きることが幸福感を高くしてくれる
だからそのままの、ありのままでいい
たかくたかく飛んでみた。
飛んでみたら案外何も無くて
下を見たら落ちた。
下は心地よくて
ずっとここに居たい。
また飛んでみようと思ったけど
飛べなかった。
住んだ空気が恋しい。
「高く高く」
いつも君には届かなかった。
だから日々努力した。
もっと見てもらいたくて、そばにいたくて。
でも君との関係が崩れた時、努力が足りなかったんだ。
頑張れなかった。と深く後悔した。
君の人生に僕が必要ではなくなって空っぽになった。
もっと僕が頑張って、君に届いても更に高く高く上を目指して
君の横に立てたら良かったのだろうか。
✍
初投稿です。
拙い文章ですが、誰かの心に響き、気に入られたらいいなと思っています。
「高く高く」
女王はひとりきりになった。
王位をつぐ新しい女王も臣下たちも、みな無事に逃げのびた。女王は満足していた。
からっぽになった地下の宮殿を出て、女王は久しぶりに地上へと登っていった。
宮殿の上にそびえたつ木は、気が遠くなるような高さだ。ごつごつした樹皮は岩盤のように硬く分厚い。はりだした枝は世界中を覆いつくすようだ。幾千という葉はすっかり黄色にかわり、そのすきまから光が降り注いでくる。
何度みてもこの巨大な木には圧倒される。どれだけの生き物がここで暮らしてきただろうか。この木はまるでひとつの宇宙のようだ。
だが、永久にそびえているように思えたこの木にも、やはり寿命があった。
木の命がつきるのを、女王が予期したのは、夏のおわりだった。次の春が来てもこの木は芽を出さず、そのまま枯れてしまう。
その前に「彼ら」がやってきて、木を根本から切り倒してしまうだろう。自然にまかせて木が朽ちて倒れてしまうのは、彼らにとっては都合が悪いようだ。木を切った後、彼らはどうするか。
たぶん今、この木のまわりを囲んでいるのと同じ、灰色の硬く冷たい岩で、ここを覆ってしまうだろう。その後には何の生命も残らない。
脱出作戦はすぐに始まった。
女王はこの木に住むものは一人残らず落ち延びさせよ、と命じた。ツバサビトたちはもちろん飛んで逃げる。地下にいるものは安全な場所までトンネルを掘る。地上を歩くしかないものは一番大変だったが、危険をおかして、灰色の荒野を渡っていった。
女王はゆっくり歩いた。最後に木の根元を一周しようと思った。が、しばらく行くと、ふと足を止めた。
木の根の陰の、湿ったこけの中に真珠色に光る丸いものがあった。ツバサビトかウタイビトの卵のようだ。
女王はため息をついた。卵もひとつ残らず運ぶようにと命じてあったのに、見落とされてしまったらしい。
今さらこの卵のためにできることはなかった。もうノロノロとしか歩けない女王がこの卵を抱いて、どこか安全な場所まで運ぼうとしても、とても行きつけそうにない。
まあ、これも運命というものだろう、と女王は思った。うまれることができなかった卵は、星の数ほどもある。
あきらめて、行き過ぎようとしたそのとき、女王はかすかな空気の震えを感じた。
「もしかしたら?」
女王は木を見上げた。気は進まなかったけれど、上の枝にいる宿敵に会いに行ってみようと思った。
木の枝に住む魔物のイトクリは、自分の身内以外は誰でもからめとって喰ってしまう。女王は何度もこの魔物を追い払おうとしたが、一度も成功しなかった。
イトクリはひどく機嫌が悪かった。女王が現れたとき、ちょうど、捕らえてぐるぐる巻きにした茶色いツバサビトの頭をかみ砕こうとしているところだったのだ。
「まだ邪魔をするのか。最後の食事くらい、ゆっくり楽しみたいものだ」
これまでに食べたツバサビトの羽根のかけらが無数にはりついた巣が風にさびしくゆれている。イトクリの子どもたちは、もう全部逃げ延びたらしい。年老いたイトクリはこの木と運命をともにするようだ。
そこのツバサビトにお願いがあって来たのだ、と女王は言った。
「ひと働きしてもらいたいのです。」
イトクリは女王の顔を見返した。
「何をしようというんだね。話によっては食べないでやってもいい。たいしてうまそうでもないし」
女王はこけの上で見つけた卵のことを話した。このツバサビトなら、卵を運んでくれるのではないか。
イトクリはため息をついて、ツバサビトを放し、糸を解きはじめた。
「あのう、」
口がきけるようになったツバサビトは言った。
「私の意見も聞いていただきたいですね」
命びろいしたというのに、ツバサビトは不服そうだ。
「私はこのまま食べられたほうがいいんです。どうせもう長く生きませんし。泥の中で冷たい雨に打たれて弱って死んでいくなんてまっぴらです。ここでばりばり食べられたほうが、なんだか華々しい最期のような気がします」
いまさら働きたくない、とぶつぶついうツバサビトを間にはさんで女王とイトクリは顔を見合わせた。
「第一、こんな羽根ではもう飛べません」
糸をはずされたツバサビトの茶色い地味な羽根はぼろぼろにやぶれて、もうほとんど残っていなかった。
「まあ、そういうことだ」
イトクリは大きな口を開いた。
どうぞよろしく、とツバサビトは頭を差し出した。
「ちょっと待って」
女王の頭の中に考えがひとつ、ひらめいた。大急ぎでふたりにそれを話すと、イトクリはけらけら笑い出した。
「最期に今までやってきたことの逆をやらせようっていうんだな。おもしろい」
ツバサビトも、少し考えてから答えた。
「まあ、いいでしょう。やれる限りのことはしましょう」
***
駅前の大きなイチョウの木。
幹の中が腐敗してもろくなっているので、年末には伐採される予定だ。
黄色く色づいた葉がつぎつぎと散って、風に舞い上げられる。その葉に混じって黄色い蝶が飛びたった。
イチョウの葉や、巣に残っていた色とりどりのかけらを縫い合わせて作った新しい羽根をつけ、ツバサビトは誰も見たことがない美しい蝶になって空に舞い上がった。
真珠色の卵を抱いた蝶は、近くの公園を目指すのか、遠くに見える山まで行くつもりなのか。こがね色に輝きながら高く高く昇って、やがて見えなくなった。
高く高く?
目標は高い方がいいとか、上をめざせっていうけど、上ばかり見て歩いてごらん。躓くよ。
大切なのはたまに空を見上げて、目線は真っ直ぐ歩くこと。まっ直ぐって何?って思うと結局は今から目を逸らさないってことなんだと思う。
下を向いてばかりだと気分が落ち込むことだけじゃなくて本当の今を見えてない。見れてない。結果今から逃げてる。
じゃあ上を向くことは?それも同じ、高揚感や昂りは感じられても、それって今の身の丈にあってる?
だから、空を見上げるのはふとした時ぐらいがちょうどいい。
そしていつか高く高く飛べる日が来ると夢見て前を見てその日に向かって歩き続ける。
高く高く
遥か彼方に
色んなロマンがある
そう信じたい
そうであって欲しい
少しずつ
高く昇って行きたい
#高く高く
ここよりも遠くに行くと旅がしたい
体は地にあり心だけ飛ぶ
浮き上がり高く高くと宇宙からの
景色楽しみ身は地に縛る
何処ならば夢かなうのか彷徨って
心だけまた高く飛行く