NoName

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君が誘ってくれたから一緒にブランコに乗ったのに、
いつしか君より高く漕ぐ事に夢中になっていた。
青空に白い雲が映えて、飛ぶ飛行機に手が届きそう。
楽しくて夢中で地面を赤いスニーカーで蹴り飛ばし、
君の声が聞こえなくなった事にも気付かなかった。

足が疲れたら、
飛行機は遠ざかって、
隣りにいた君のブランコには、
知らない誰かが座っていた。

高く高く目指したから、周りが見えなくなるほど夢中でいた。
君より素晴らしい景色が見えたはずだよ。

隣の知らない誰かの楽しそうな声が、
私より高い位置で上がっていた。

ブランコから降りて立ち上がると少し景色がふらついて、
私は乱暴に投げていた赤いランドセルを背負う。

10/15/2022, 6:26:55 AM