『香水』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夜のヒノキの 匂いきえない
て は 橋
へ 台
分 へ
野 ら 柵
わ
た
の
忘れないものよ
ただ思い出せなかったの
あの香りが
ふとしたときにやってくる
あの音楽、あの場所、
見えない残り香
#香水
「香水」
香水はつけない
あなたの胸に顔をうずめたとき
あなたの香りだけをかんじて
覚えていたいから。
あなたには
私のほんとうのかおりだけを
覚えていてほしいから。
「香水」
香水
「ラベンダーの香りだよ」
「気に入ってるんだよね」
ある日、彼は香水を使い始めた。
今までそんなお洒落なものはそんなに手を出さなかったのに。
使い始めた香水は、こっそり調べてみたらいわゆる
“モテ系”なタイプのものらしかった。
かくいう自分も、こそこそ調べるなんてらしくないことに
今までは手を出さなかったのだけれど。
でも、彼は決して“異性にモテたい”とあからさまに発信する
タイプではないことはよく知っている。
ならば、誰かに好意を寄せていて
そのアピールとして使い始めたのだろうか。
その相手は誰かなんて、分かるはずはない。
その相手はいつか、ラベンダーの香りに引き寄せられて
彼の好意にいつか気づくのだろうか。
好意に気づいて
いつか彼と同じ香りを漂わせて
自分の前に現れたりするのだろうか。
自分も同じ香水を付けて
彼の前に現れてやろうか。
それともあえて彼の前には現れずに、
彼の周辺の友人の前にでも現れて
「え、相手はお前だったの?」とでも言われてやろうか。
柄にもない姑息な手口を頭の中で浮かべ続けていたある日
彼は言った。
「ラベンダーの色はあなたの誕生色、ラベンデュラ。
花言葉は「あなたを待っています」「期待」「幸せが来る」だよ」
その香水が柄でもない自分の一部となったのは
それから間もないことだった。
Fin.
香水
人が行き交う街中で、思わず振り返ってしまったんだ。
ふわり、と香ったそれは、君のはずがないのに、懐かしさで涙が出そうになって。
まだ忘れられなくて、君の笑顔も、君との約束も、頭の隅にずっと居座っているんだ。
「君の、笑顔が好きだよ」
そう言ってくれた君が心配しないように、ぐっとこらえて笑みを浮かべる。
まだそちらへ行くことはできないから、だから待っていて。
いつか、必ず君の元へと帰るから。
だって、死はすべての人に平等に与えられているのだから。
君の香りがした。
あったかくて、心地いい。
君がいるのに、きみの香りがしない。
君は、白い服を来ていた。
相変わらず君は甘ったるい香りをさせているね。男を誘うように媚びてるみたいな香り。そのためにつけてるわけじゃないって言うけどそうにしか思えないくらいなんだよね。
量をつけすぎてるとかそんな感じ。もう少し薄くてもいいと思う。
そう言うと君はそうかなぁ…と悩みだす。別につけすぎてるとかそんなわけじゃなくて、私がただ君が変わっていくのが許せないだけだった。
甘ったるいのは私の方だ。君を取られたくなくてこんなことして。私に押し倒されてまんざらでもない顔をしてる君を見て調子に乗ったりなんかしてる私は、本当に醜い。
香水の代わりに私の匂いをつけておけばいいんだ。
そうして私は君の首筋に噛み付く。上ずった声を上げる君を好き勝手するために。
44.『香水』
【香水】
「何か香水付けてる?」
「あ?んなもんつけてねぇ」
彼に抱きつきながら聞く、彼に抱きついた時に香る匂いが好きだ、凄く落ち着くから
そういえば相性がいい相手の体臭はいい匂いに感じるとか、そんな事を思い出しちょっとにやける
「何マヌケ図してんだ」
「んーん、何にも」
そう返すと彼が不意に首筋に顔を近づけてくる
「な、なに?」
「そういや、お前もいい匂いすんな」
君は僕が目覚めるよりも先に布団から抜け出ている 。
まだ布団には彼女の型がついていて、
今も布団の中にいるんじゃないかと錯覚する 。
横目で彼女を見ると、
手馴れた動きでつけまつげを付けている。
それからリップもしっかり。
最後に僕の前では決して付けてこなかったあの『香水』を
身にまとって。
そして彼女は僕が起きたことに気づき一言。
「また泊まらせてね〜」
そう言って彼女は部屋を出ていった。
彼女は水商売をしている。
「こうすい欲しいー!」
私は小さい頃から可愛い物やおしゃれをする事が大好きで、あれが欲しいこれが欲しいあの人になりたい!などと突拍子もなく言って両親を困らせたり、母の化粧道具を漁ってはよく怒られていたりした。
香水が欲しいというのも単なる憧れで、それをつけたら大人の女性になれると思っていたからである。
この手の話になると私は自分が納得するまでずっとわがままを言い続けるため、母には半分愛想を尽かされていたような気もする。
ある日、仕事から帰ってくるなりにやにやしながら私のところにやってきた父が
「今日は ちゃんに良い物がありま〜す!」
なんて言い出すのでその時点で私は高揚感に包まれ、目を輝かせながら父に注目した。
何か何かとワクワクしている内に頭に何かをつけられた感覚が、完全に私の頭の中はクエスチョンマークだらけ。
かと思えば、次の瞬間柔らかくて甘い香りが私の小さな体を包み込む。
「…!こうすい!」
父が差し出してくれた鏡を手に取りそこに映った自分を見てみると、金木犀の花がリボンと一緒にとめられていた。幼い私にとってはそれがすごく嬉しくて、「またひとつお姉さんになったな」と微笑む父の胸に勢いよく飛び込んだ。
かすかに母の匂いがした。
『過去』
ふわりと香る、その匂い。
一瞬で全てがフラッシュバックした。
脳裏に焼き付いた過去。
これは、彼がつけていた香水だ。
幸せだった日々、幸せだった過去。
苦しくて辛かった過去。
全てが昨日のことのように思い出せてしまう。
本当は別れたくなかった。
本当は、ずっと隣に居たかった。
だけど彼は私ではなかった。
この香りをどこかで見つけるたび、私は
泣きながら歩くのだろう。
お題:《香水》
私は君の香りが好きだよ
香水なんか付けなくても
君の香りは私の心を安心させてくれる
魔法の香水
『香り』
眠りに誘われる香り 夢の入り口で足元を確認する
白いシューズにチューイングガム 厭な気分を引きずり歩く 不快不快不快 仄かに香るシトラスが不快を更に煽るんだ 夢の出口でカレーの香り 空腹空腹空腹 人参はひとくち大 理想は香りに表れる
1番人の印象として心に残るのは香水の匂いだと思う。街中であの人の匂い、って思い出すこともあってその度にいろんな感情が湧き出てきてまた会いたいな、連絡したいなって思うけど連絡手段もなくて記憶のまま綺麗なまま。
だから私も誰かの心に残りたくて今日も同じ香水をつけるの。
母がつけていた香水が、
私は一番好きだった
なぜなら、母の匂いだから
慣れ親しんだこの匂い
今でも鮮明に母を思い出せる
香水、その中で私は薔薇の香りが
苦手です
なぜかって、、
『母が死んだのは薔薇の香りのせいだから』
私には、父がいませんでした
私が生まれる前に離婚したそうです
遊び人な父を母は、よく嫌いだっていってたんです
その父は、よく帰って来たときに『薔薇の香水』のかおりがしたんだって、母はいってました。
泣きながら、。
結局、母は死んじゃったんですけど、
私的には、薔薇のせいで母が死んでしまったと思うんですけどね、一体、なぜ母は死んでしまったのでしょうか、。
ー薔薇の香水
香水
いい匂いだねと言われて、嬉しかった。
自分の使っている香水を見せると俺より年上のくせに、子供のように目を輝かせて、カッコいいねと言う。さらさらの短い黒髪を揺らしながら。
その姿が愛おしくてたまらない。付けてみたいと言うので、耳の後ろに軽くふってあげた。
すると、ふふっと笑って、まるで俺に包まれているみたいと言う。
胸がぎゅっと締め付けられた。今すぐにでも、抱きしめたいと思ったが、不快に思われても嫌なのでやめた。
ふと自分の部屋に置いてあった卓上カレンダーに目が行く。そう言えば、もうすぐ誕生日だから、お祝いして欲しいと言われていたような気がする。
何が欲しいか一応聞くが、特にないと言われる。物欲があまりないのかと思ってしまった。
そして、バイトの時間が近づいてきたからもう帰ると言ったので、玄関まで見送る。
扉を開けて出て行く姿を見つめた。一人、玄関の前でしばらく立ち尽くす。
「俺の香水、あげるか」
ぽつりと呟いて、部屋に戻り、財布を手に取ると香水を買いに出た。
――――
誕生日当日、俺の部屋で会う約束をしている。
あの人の好きないちごたっぷりのケーキと酎ハイを用意しておいた。
扉をノックする音が部屋に響く。そして、あーけーてーという声が。
普通にインターホンを押せばいいのにと思うが、あの人らしいなと。
玄関の扉を開けると猫のようにするりと入ってきて、お邪魔しまーすと言い、家に上がる。
部屋に用意してあったいちごのケーキを見ると、飛びつきそうになったので、阻止した。
「先に手洗いとうがいっすよ」
「はいはーい、わかってますよー」
鈴の音を転がすように笑う。洗面所に足早に行き、手洗いとうがいを済ませると戻ってきた。
俺は自分のベッドの脇に置いていたプレゼントを手に取るとあの人に渡す。
きょとんとした表情をして、首を傾げる。
「プレゼントっすよ、おめでとーごさいます」
「わぁー、ありがとう」
むふふと笑い、プレゼントを開ける。俺は少し緊張した。
いらないと言われたらどうしようと不安だった。
心臓がバクバクとうるさい。額から冷や汗が出る。
すると、プレゼントした香水と俺の顔を交互にじーっと見つめてきた。
「あぁー……気に入らなかったっすか?」
口から心臓が出そうになる。あの人の反応がなく、沈黙が続く。
「香水をプレゼントする意味している?」
「えっ?」
俺はポケットに入れていたスマホを慌てて取り出し、検索をかけた。――独占欲。
画面から顔を離すと目の前にはあの人がいた。俺は驚いて、後ろのベッドに倒れる。
ボフンと音を立つと、第二の音が聞こえた。また目の前にあの人が、そして俺に覆い被さる。
「独占欲ねぇー、ふーん」
あの人の瞳が俺の心を射る。
舌なめずりをする表情は、雄の顔。自分の方が体格がいいから、負けるはずないと思っていた。
しかし、細身のくせに力が強い。押し返してもびくともしない。
「あっ、えっと、い、意味も知らずにプレゼントをしたの、ごめんなさいっ」
「うん、知っている。そういう事は、知らないだろうなと思っていたから、気にしてない」
クスクス笑うと俺の頭を優しく撫でた。そして、ゆっくり離れるとケーキがある方へ。
机に用意していたフォークを手に持つと、ケーキを切るように掬う。
「でも、嬉しかったよ、ありがとう」
パクッとケーキを食べると幸せそうな表情をしている。
俺は心臓をバクバクとさせながら、本当にこの人には敵わないと思った。
年上のくせに子供っぽいし、天然で鈍臭いところもある。なのに、時に見せる雄の顔は、カッコいい。
今度からプレゼントを送る時は、意味などを調べてから送る事にしようと心に誓った。
香水
首筋に、シュッと香水を一吹き。
ふわりと優しい桜の香りが広がる。
先輩にもらったこの香水、私に似合うかな?
先輩みたいな、優しい人になれるかな?
部屋の扉を開けると
いつもの匂い。
香水と、タバコの煙の混ざったそれを
あなたは好きだと笑った。
私も、あの頃はそれが好きだった。
〉香水
麻薬犬になれるかもしれないくらい鼻が効く。
得したことはない。
イヤな匂いに敏感に反応してしまうので、不愉快しかない。
他人の体臭…最もイヤなものだ。
指摘出来ないので。
そんな私は自分の臭いにも敏感。
加齢臭が本当に気になり、肉断ちをしている。
首裏の体臭はやはり取れないが、
頭からの匂いは改善された。
においはじぶんのなかからつくられている。
「試してみますか?」
(この匂い……)
夜になってもまだ、手首に残る香水の匂いに思わず
顔を近づけ息を吸う
『香水』
ただの香りのはずなのに
身につける人が違うだけでこうも変わるのか
忘れたくても頭から消せない
匂いだけであの人を思い出してしまう
あの日が蘇ってくる
哀しいくらい覚えている
忘れることなんて出来なかった
声、素肌、伝う汗、体温
香水と混じった君の匂いを
もう戻ることない関係に思いを馳せる
『香水』2023,08,30