『飛べない翼』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『おかえり』
─もし、自由に飛べる翼があったとしたらどこに行く?
かつて君が投げかけてきた問いだ。僕は沖縄か、あるいは北海道なんて良いかもね、とありきたりな答えを返した。君はそんな僕の返答を聴いて、旅行が好きな君らしい答えだねとふわりと微笑んだ。
じゃあ君はどこに?と訊けば、私は君のそばに行くよ、と返された。あまりにもまっすぐな答えに、言われたこちらが顔を赤くする羽目になった。
それから数ヶ月、君は僕より先に旅立ってしまった。旅行が好きな僕でも決して追いかけられないところに、たった一人で。
旅立つ前に君は言った。先に一人で行ってくるね、と。そんな君に、僕は笑って行ってらっしゃいが言えただろうか。きっと涙でくしゃくしゃの顔だっただろう。
君が居なくなってから、僕は君の写真を持って北海道に行った。沖縄に行った。でも、どこに行くにも飛行機だった。僕には翼が無い。だから行く先は限られている。
でも、君はきっと綺麗な翼をもった天使になっているだろう。その翼を羽ばたかせれば僕が飛行機に長い時間揺られて向かった北海道だって、沖縄だってひとっ飛びだろう。だから、その翼で、僕のそばに飛んできてくれないか。
いつか、あの時に言った行ってらっしゃいに返す、おかえりを言える日が来ますように。
──お題:飛べない翼──
飛べない翼
作り物だからさ…飛べるわけない。
だけど、虹色に輝いて美しい。
くすんだガラスケースの中でも僅かな光をかき集めて翼は、どんなに遠くまで飛べる翼よりもぼくの心を彼方へ連れ去ってくれる。
秘密の飛べない翼が、どこまでも飛べる翼。
矛盾、上等。欠けた月のような君を、
ぼくはぼくの心の真ん中に置く。
【飛べない翼】
手は、ものを掴むために必要だろう。
足は、地を蹴るために必要だろう。
翼は、飛ぶために必要だろう。
では、飛べない翼は?
必要がない、と言ってしまえばそれまでで。
使えない、と言われてしまえばそれだけだ。
ただ、きれいだ、と。美しい、と。
そう言って笑ってくれるひとが、一人でも居てくれたなら。
どこへだって飛んで行けてしまうのだ。
作品1 飛べない翼
彼女は空を飛べなかった。ただ一人、翼を持っていないからだ。いつも一人、海辺で歌を歌っていた。その歌声はハッとするほど奇麗だった。
頭のいい人達は彼女に近づくな、その声を聞くなと、僕らにいつも言っていたが、僕は彼女のそばにいて、歌を聴いていたかった。
その思いは日に日に膨れ上がった。
そしてナイフを手に取り……
この日、僕は、永遠に彼女の隣にいるために、飛べない翼を持ったただの人となった。
彼女の隣に行くと、彼女は少し驚いたあと僕に笑いかけ、あの声で歌を歌ってくれた。
しばらくすると立ち上がり、海の方へ歩いていった。少し変な歩き方だ。僕もついていった。
彼女は海に潜った。僕も潜った。気づくと彼女の足がなくなっていて、そのかわり魚の尾がついていた。なぜか僕は酔っ払ったみたいに、何も考えられなくなっていた。彼女が口を開けた。意識が崩れた。
最期に思い出したことは、あの歌は人魚だけが歌うらしいということだ。
飛べない翼
そらをあいしている、わたしには飛べない翼がついている。いつでも、どこでも、飛べない翼でそらを飛ぶ。教室のなか、ぎゅうぎゅう詰めの電車、えらい人に怒られているとき、そんなときにそらを飛ぶ。飛べない翼で、空想という名のそらを飛ぶ。
うんと昔に、怪我をした小鳥を拾って世話をしたことがある
羽の付け根が切れていて飛ぶことが出来ない鳥だった
俺と同じだと思った
その小鳥が死んでしまった時は俺もいつか自由を知ることなく消えるのだと、そう思った
それから100年ほど経った時、ようやく自分が異常な存在であると実感した
兄王が義姉上と共に事故で亡くなり、王太子がまだ幼かったため成人するまでの代替品として即位した
およそ7年の治世ののち、王太子に王位を継がせた
それから隠居生活をして10年、現王は「叔父上は老けませんね。本当に歳をとっているか不思議なぐらいだ…」と首を傾げて言った
童顔なだけだろう、と軽く笑い済ませていた
我が国の民は寿命がそれなりに長いからだ
龍神と精霊の間に生まれた龍人族の末裔と呼ばれるだけあって、皆何事もなければ300年ほどは生きる
それでも、100年も経てば見た目は青年から少し老けていく
120歳の誕生日が近いとき、パーティーの招待状を渡しに来た甥は「叔父上は老けなさすぎです、絶対何か特殊なことがあるに違いません!!」とズイズイ迫ってくる
“まぁまぁ、病気でないのならそれでいいじゃないか。
お邪魔します、良い場所だね。空気が綺麗だ。”
さく、さく…
甥の後ろに珍しく人が立っていた
柔らかな朝焼けを纏ったような髪と目
子守唄のように響く中性的な声
初対面なのに、ほっとしてしまうような存在
不思議な人だな…
「あ、叔父上。こちらグランローヴァ様です!
もちろんご存知ですよね?僕たちにとってかなり伝説の
存在ですよ!!今回叔父上のことを調べて頂こうとお連
れしました。」
なるほど、甥のテンションが高いのはそういうことか
は?
ちょっと、おい、甥、まて
「は??」
ん?え??なんて?えーとああと、、?グランローヴァさま
グランローヴァ、グランローヴァ………
…なぜ!?
建国記に記された時から6000年は現れた痕跡がなかった、
まろぼし、じゃない幻の存在と言われていた??
甥がテンション上がるだけで済んでることに驚くよ
器がしっかりしてる、良い王だな……
「ん゛ん、げほっ……
初めまして、グランローヴァ様にお会いできたこと
誠に光栄でございます。
前王のファイリアと申します。」
“うんうん、よろしくね〜。君のことはこの子からしっかり
と聞いたよ。結論から言うと君は不老不死だね。
先祖返りとでも言うのかな?龍神の加護が強かったんだろ
うねぇ。”
「「不老不死」」
「「龍神の加護」」
「叔父上が?」「俺が?」
“わ〜お、息がぴったりだね♪”
甥と目を合わせ、ただ呆然とする
不老不死ってことは死なないし、もう老けないのか
龍神の加護……そんなのが俺にあると周囲にバレたら、また王にと担がれてしまう
「 、俺はもう王としての責務を全うする気はないしこん
なことがバレれば一生玉座に縛り付けられてしまう。
分かるな?俺は旅に出る。今聞いたことは絶対に口外す
るな。たまにお前や姉たちに会いに来るよ。」
決断したならさっさと行こう!甥も理解してるだろうからとりあえずさっさと行こう
取り返しのつかないことになる前に
こほん!
小さく咳払いをしたのはグランローヴァ様
“丁度良いところに同じく不老不死の者が旅をしてるんだけ
どな〜。一緒に旅をしてくれる仲間が増えたら嬉しい
な〜!”
こちらを見ながらわざとらしく話される姿におもわず笑ってしまう
「グランローヴァ様、もしよろしければ貴方様の旅に同行
する許可をいただきたいです。料理や洗濯、何でもやりま
す。」
“えっ”
ん?
“料理や洗濯……!?最高じゃあん!是非頼むよ!!”
すごい嬉しそう、良かった
握手をして旅の仲間となった俺たちに甥が近づいた
「叔父上、父上の亡き後我が国を治めてくださったこと…
一生忘れません。姉上や弟の風除けをしてくださったの
も、叔父上ですよね?ありがとうございました。
叔父上とグランローヴァ様の旅路が平穏であることを
遠くから祈っております。お元気で…」
「ありがとう、行ってきまーす!」
はっちゃけすぎたかな、と思いながらもさっと荷造りをしてさっさとグランローヴァ様と旅立った
元々こんな性格なのだ、しょうがない
“そうだ、これからはアーレントと呼んでよ。
僕の名は蒼月 アーレント ロールズセン。
よろしくね!気軽に話そう、ファイリア♪”
「よろしくお願いします、アーレント様。」
ふわりと軽い足取りで行くアーレント様はまるで自由な鳥のようで、ふと昔に世話した鳥を思い出した
自由だ
今の俺は自由になった
自由になることなく消えると思っていたら俺の命の炎は消えることなく燃え続けると知った
この方とこれからどこへでも行けるのだと気がついた
じわ、と目頭が熱くなる
上を向いて空を見た時、広い穏やかな空が近く感じた
俺は飛べない鳥を連れて飛べる存在になろう
少しでも見たい景色が見られるように
ファイリア ロールズセンの記憶
題 飛べない翼
飛べない翼なんてあったって仕方ない。
僕はそう思う。
全然空を飛べない僕は
草の上をトボトボと歩きながら、優雅に上空を飛ぶ鳥たちを見る。
スイスイとあっという間に遠くまで行けてしまう鳥たちは、みんな気持ちよさそうな声で鳴いてる。
僕は、ここからどこへもいけない。仲間もそうだ。
ずっとそうだ。ここ以外へ行かせてもらえない。
自由なんてない。
どこへも行けないままここで生を終わることなんて誰が見ても明白だ。
もし羽があったら・・・遠くの町まで行ってみたい。どこまでもどこまでも行ける所まで行きたい。
そして、僕にとっての楽園を見つけたい。
探し続けたい。
そこに降りて、だけど、たまに飛び立つんだ。
自由が欲しくなったら、行きたい場所が出来たら気ままに飛び立つんだ。
誰かの制限を受けずに飛んでいけたらどんなにいいだろう。
何かをうらやましがらずに、自分の人生を謳歌できたらどんなに幸せだろう。
そう思いながら、目の前の草をつまむ。
ニワトリは飛ぶことも出来ないから、そんな想像をするしかない。
でも僕は・・・どうしてだろう。そんな想像をやめることが出来ないんだ。
いつかって・・・いつかはって希望があるからなのかな。
どうか僕に飛べる翼をください。
どこかへ行ける翼を。
どこまでも行ける翼を。
「質問です」
「はい、何でしょう」
「日本の歌にはときおり〝翼広げて〟とか〝手に入れた翼〟とか、そういった歌詞が出てきますよね」
「はい」
「この歌詞が指す〝翼〟とは、具体的に何ですか」
「そうですね。鳥も翼を二つもっていますし、飛行機の翼だって二つありますから。そうなると、腕や脚も含まれるのでは」
「じゃあ杖をつきながら歩いている僕は、ただの飛べない鳥?」
「杖をつきながらでも歩けている時点で飛んでいますね」
「先生の歩きが翼を広げた鳥なら、僕の歩きは翼の折れた鳥」
「だから折れてませんって。今もそうだ。先に進んでいる。ということは、翼があるということです」
「でも、僕に歩みを合わせてもらって申し訳ない……」
「いいんです。普段はせかせか歩いています。君と歩くときくらいは、ゆっくりと歩くぐらいでちょうどいいんです」
「飛べない翼」と嘆く君に
バランス取ったり泳いだり
そんな鳥達のように
飛べなくったって大切だよ
と伝えたい 【飛べない翼】
飛べない翼 11.12
人には誰しも輝ける才能がある
これはただの綺麗事に過ぎないと思う。
たとえ常人よりも上でも、上には上がいる。
才能という翼をもって、誰もが羨むように飛ぶ奴と、翼を持ちながらも飛ぶことのできない人。
まあ、それが殆どだと思うけど。
大きさも色も関係ない
どんなに望んでも、だめな奴は駄目なんだよ
上にかないっこない
結局生まれつきのモノさ。
あなたを守れたなら
翼などくれてやる
あなたと共に
地に足をつけて
生きていくのも
幸せだと思うんだ
ねぇ、おきて、
_飛べない翼
重くて飛べない翼。
それは私の心の重みでもあって
そもそもの翼の重みでもある。
飛べたとしても、
きっと怖くてすぐ落ちていく。
飛べなくても
それはそれで構わないと思う。
私は翼と共に生きてきたから。
もう私は私を愛せないことなんてないんだから。
私はなにか1つでもなくなったら私じゃない。
それは私だけど。私ではない何か。
パズルのピースのような私。
いつも私は他人で、
いつも私は私。
変わっていくとこも愛おしい。
翼が折れても私は離せない。
それは私だったから。
いつまでも大好きだよ。
私が1番の宝物。どんな宝石でも叶わない夢を叶えれる。
そんな私を大事に生きる。私がもう私を押さえつけて居なくならないようにしたいから。
お題 飛べない翼 (*´-`)
飛べない翼と言われると
飛べない鳥が連想されて、
ペンギンや鶏が思い浮うかんだなぁ
飛ぶためだけじゃないからこそ今の形が残ってるんだと思うと不思議な気持ちになる。
ペンギンってかわいいよね~
孤独なペンギンは、空を飛ぶことに憧れを抱いていた。
ペンギンプールの隅に隠れ、空をぼんやりと眺めながら空を飛べたらどんなに楽しいだろう。そんなことを考えていると遠くから何かが飛んできた。ハクトウワシだ。
ハクトウワシはペンギンの隣に身を潜めた。
なんて鋭い瞳、美しい羽。
ペンギンはハクトウワシに一目惚れした。
「ねぇ、理想の姿ってある?」
突然ハクトウワシは聞いた。
「君みたいに鋭い顔でかっこよく空を飛び回ってみたいな」
「本当?私は貴方のように丸い目を持ってのんびりと過ごしたいけど。」
「なんだか対照的だね」
声が揃うと二匹は顔を見合わせ、笑い合った。
そうして、その日から毎晩ハクトウワシはペンギンプールに来て談笑するようになった。
ある日突然、ハクトウワシは姿を表さなくなった。
その日、ペンギンはいつも通りハクトウワシを待っていた。けれど、彼女は現れなかった。数日間、空を見上げても、どこにも彼女の姿は見当たらない。ペンギンは不安を抱えながら過ごしていた。
ある晩、ついにハクトウワシが姿を現した。しかし、その姿は以前と少し違っていた。羽ばたく力が弱く、顔色も優れなかった。
「どうしたの?」ペンギンは心配そうに尋ねた。
ハクトウワシは静かに目を閉じ、「実は…」とゆっくり言った。「病気で、飛ぶことができなくなってしまったの。飼育員の人も頑張ってくれたけど、もう、空を自由に飛ぶことはできない。」
ペンギンはショックを受けて、何も言えなかった。ハクトウワシの瞳には痛みが浮かんでいたが、それでも彼女は穏やかに微笑んだ。「でも、女と過ごす時間が、飛ぶこと以上に大切だったんだ。」
その展開、非常に深くて感動的な方向になりますね。悲しみと成長をテーマにした物語にすると、ペンギンの心の変化や絆がより強く感じられます。続きのアイディアとしてはこんな感じになるかもしれません:
その日、ペンギンはいつも通りハクトウワシを待っていた。けれど、彼は現れなかった。数日間、空を見上げても、どこにも彼の姿は見当たらない。ペンギンは不安を抱えながら過ごしていた。
ある晩、ついにハクトウワシが姿を現した。しかし、その姿は以前と少し違っていた。羽ばたく力が弱く、顔色も優れなかった。
「どうしたの?」ペンギンは心配そうに尋ねた。
ハクトウワシは静かに目を閉じ、「実は…」とゆっくり言った。「病気で、飛ぶことができなくなってしまったんだ。もう、空を自由に飛ぶことはできない。」
ペンギンはショックを受けて、何も言えなかった。ハクトウワシの瞳には痛みが浮かんでいたが、それでも彼は穏やかに微笑んだ。「でも、君と過ごす時間が、飛ぶこと以上に大切だったの」
その後、数日後にハクトウワシは姿を消した。ペンギンはその日、どこか遠くに行ってしまったのだろうと思い、空を見上げながらひとりぼっちで過ごした。
時間が経ち、ペンギンは次第にハクトウワシのことを思い出すたびに涙がこぼれるようになった。しかし、その涙とともに、彼女が教えてくれた「空を飛ぶことよりも大切なものがある」という気持ちが心の中に深く根を下ろしていった。
そしてペンギンは、今度は自分の足で、周りの仲間たちと楽しく過ごすことができるようになった。ハクトウワシの姿がもう見えないことを理解し、彼を心の中でいつまでも大切にしていくことを決めた。
その後、数日後にハクトウワシは姿を消した。ペンギンはその日、どこか遠くに行ってしまったのだろうと思い、空を見上げながらひとりぼっちで過ごした。
時間が経ち、ペンギンは次第にハクトウワシのことを思い出すたびに涙がこぼれるようになった。しかし、その涙とともに、彼が教えてくれた「空を飛ぶことよりも大切なものがある」という気持ちが心の中に深く根を下ろしていった。
そしてペンギンは、今度は自分の足で、周りの仲間たちと楽しく過ごすことができるようになった。ハクトウワシの姿がもう見えないことを理解し、彼女を心の中でいつまでも大切にしていくことを決めた。
す
【飛べない翼】(創作物語)
天界には美しい羽を持つ天使たちが居た。
天使たちはその美しい羽で空を美しく飛び回り幸せそうにしていた。天使たちの役目は人間界の人々の死に様を見届けること。人間界で、もう死ぬ人を天国に導く事だった。
天使たちは皆、人間を導く事を「神様の裁き」と言った。
神様の裁きを頑張る天使たちの中で、たった1人の天使、ハールがその光景を羨ましそうに見ていた。
ある天使は言う 「何をしているの?」
もう1人の天使が言う 「シー…! この子の羽は悪魔の羽なんだよ、可哀想な子…」
ハール「…」(その場から離れる)
「僕の羽はどうしてこうなんだろう…僕は…悪魔の羽じゃない…可哀想なんかじゃない…僕は…」
天使 「今日はたくさん神様の裁きをできたよ!」
天使 「すごいね!僕達の行いが神様に届いてる、神様を少しでも楽にしてあげるためにこれからも頑張ろう!」
天使 「神様は一体どんな方なのかな…きっと…美しい光を放った美しい方なんだろうなぁ…!」
天使 「僕も大神官様から聞いた事があるよ、正義を愛し、いつでも清く正しく、神々しく美しい方って」
天使 「僕達も早く立派な神官になって神様の近くで貢献できるように頑張ろう!」
ハール「神官…神官になれば皆も僕の事を認めてくれる、神様が僕の事を認めて、天使になれる…」
「僕も、神様の裁きをするんだ、飛べる、僕だって…」
(ハールは人間界を見つめ)
ハール 「飛べる…僕は天使だ!!!」(他の天使のよう羽を広げて人間界との境界へ行く)
(しかし、ハールの羽は上手く動かずただの飾りのようにハールと共に落ちていく)
ハール「うわぁぁぁ!!」(境界に居る神官が助ける)
神官 「全く…何をしているのかな?」
ハール 「…もう1度やればできる…」
神官 「はぁ、やめておきなさい。君の羽では飛べないよ」
ハール 「どうしてですか!? どうして…」
神官 「君の羽は悪魔の羽。君の羽が皆と同じならね。」
ハール 「どうしたらいいんですか…」
神官 「神様に、祈りを捧げるんだよ。」
ハール 「祈り…そうしたら僕もいつか飛べるんですか?」
神官 「…あぁ。神様は慈悲深い方だからね。」
ハール 「ありがとうございます、神様に祈りを捧げて天使になってまた、ここへ来ますね!」
神官 「君1人では帰れないだろう。私が送り届けよう。」
(ハールは神官に天界まで送り届けられる)
神官 「もう無茶な事はしてはいけないよ」
ハール 「はい!ありがとうございます!」
神官 「…神様なんて居ないのに、可哀想な天使…」
ハール 「神様…僕に天使の羽をください」
(それからハールはずっと神様に願い続けたが叶う事は無かった)
天使 「可哀想な子…また願っているわ…」
天使 「可哀想な子ね、神様は忙しいから悪魔の羽の天使の願いを聞いてあげる暇なんてないのに…」
ハール 「神様…お願いします…神様…」(ハールの羽はずっと飛べないままだった。)
ハール 「神官様にどうしたらいいのか聞かないと…もしかしたらやり方が間違っていたのかも…」(人間界を見つめる)
ハール 「それに、もしかしたら飛べるようになってるかな…神様…僕に天使の羽をください!僕を飛ばせてください!」(ハールは羽を広げて境界へと落ちていく)
神官 「また君か…全く…無茶な事はしてはいけないと言ったはずだ」
ハール 「神官様!僕のやり方が悪かったみたいで飛べなくて…どうしたらいいんですか?」
神官 「過去に…君のように飛べない天使、悪魔の羽の天使がいて神様に祈りを捧げてた。遥か昔だ。」
ハール 「その天使はどうしたんですか!?飛べるようになったんですか!?」
神官 「…死んだよ、飛べないままね」
ハール 「え…?どういうこと…」
神官 「可哀想な人だった…ずっと祈り続けていた、信じ続けていた、いつか…自分に天使の羽が授かると信じて」
ハール 「嘘だ…神様は僕に天使の翼をくれるよ!だって神様は慈悲深くて正義を愛していて清く正しい方だって…」
神官 「…君には彼女のようにはなってほしくない、どうか羽の事はもう諦めて天界で過ごしてくれ」
ハール 「…そんなの…嫌だよ!嫌だ…また明日からずっと影で笑われ続けるなんて、可哀想な子じゃないのに、証明したいのに、神官になるには神様の裁きをたくさんしないといけないのに…」(ハールは何かを決めたように境界の扉へ行く)
ハール 「開けて、神様に会わせて!!」
神官 「やめるんだ、神様は……、」
ハール 「邪魔しないで!!」(神官を振りほどく)
他の神官 (扉を開けて)「なんの騒ぎ?うわぁ!?」
ハール 「どいて、神様はどこにいるの?神様!」
神官 「あっ! ちょっと君!…」
ハール 「神様!!僕に翼をください!貴方の役に立つ…」
大神官 「神様…その言葉を聞いたのは久しぶりだなぁ、少し、面白くなりそうだね、天使くんこっちだよ」
ハール 「大神官様…どうして…?」
大神官 「え?うーん、もうあんな悪魔に遣えるのは飽きたんだ…少し刺激が欲しくてね」
ハール 「大神官様が遣えているのは神様では?」
大神官 「僕も昔は神様のためにと思って大神官になったよ、でもあれは神様なんかじゃない、悪魔だ」
(扉を開けて)
ハール 「神様!!!」(神様がいるはずのところに居たのはどす黒く大きくこちらを淀んだ目で睨みつけた悪魔だった)
ハール 「え…?僕は神様に会いたくて…悪魔じゃ」
大神官 「神様だよ、皆が、清く正しく美しく正義を愛すと信じていた神様。神様のために頑張って神様の裁きをしたよね、導かれた人間はこの神様に食べられてる、神様の食事の提供をしてくれた天使たちには感謝しないと、こんな悪魔を神様だと信じて働いてくれてありがとうとね」
大神官 「昔の記憶が蘇るよ、悪魔の羽を持つ天使は君と同じ事をして、ここで食べられた」
ハール 「僕は飛べない天使のまま…なんだ」
大神官 「君は特別、人間よりも美味しい…さぁ、神様のために、私たちが食べられないために、食べられてくれ」
つらいつらい翼はいつも僕の中にある。
いつ青空に迎えるだろうか。いつ太陽に声を荒らげることが出来るのだろうか。
僕はいつの日かと、常に心躍らせている。
小さな遊具と遊んだ時、少しキーンと冷えたジュースを目一杯飲んだ時、先生の怒られた時、いつだって僕らは待ち続けている。
僕はいつしか私になった。
青空はいつしか天気になった。ジュースは酒に、先生はいなくなった。
私は変わらない。いつだってあの憧憬に興奮していたから。澄んだ空気に日焼けなんか知るかと大空に言ってやるのだ。
私は変わらない。きっといつまでも。
(つば九郎の手羽は、飛べない翼...?)
__________________________________________
秋季キャンプが楽しすぎる。
当分は、その思い出を食べて生きていける。
すらりとした背中。
左右に大きく見える肩胛骨。
盛り上がり、向かい合ったなめらかな曲線を見ていると、「昔はみんな、背中に翼があったんだよ」というおとぎ話も信じてみたくなってしまう。
「·····くすぐったいよ」
無意識に伸ばしていた指でそっと撫ぜると、相手は小さく笑って身をよじった。
「すいません」
引っ込めた手を見つめる。彼の少し低い体温に触れた感触がまだ指先に残っている気がした。
私達が昔持っていたという翼は、どうして無くしてしまったのだろう。
飛ぶ必要が無くなったのか、飛ぶ事を忘れてしまったからか。
飛べなくなった私達は、地上で手を取り合いながら、どうにかこうにか生きている。
「前から思っていたけれど」
「なんです?」
「君の髪·····絵画の天使みたいだ」
彼の長い指が私の前髪に触れる。
「ならば私達は二人共、元は天使だったのかもしれませんね」
「·····なんだいそれ」
困ったように眉を寄せながら笑う彼に、私は何故だか胸が苦しくなるのを感じた。
END
「飛べない翼」
見上げた所は
ただ広く どこまでも続いていて
求めた
しがらみのない
私を縛るもののない
ただ どこまでも続く
行きたいところまで
ねえ、そこから見える風景は
きれいですか?
ねぇ、そこから見える風景は
輝いてますか?
ねぇ、、私もそれが見てみたい。
まだ柔らかな
動かし方も、広げ方もわからない
“私も見てみたい”
“それを見てみたい”
その思いを胸に
見様見真似の羽ばたきを
いつか 自由に飛ぶことを心に
─飛べない翼
『飛べない翼』
ちょっと待ってくれ
一体いつから翼があるものは飛べて当然って話になってるんだ
我々飛べない鳥類同盟は翼イコール飛べるというステレオタイプな概念に意義を唱える!
飛べない鳥も立派な進化だ!
飛べない翼連合
ダチョウ・エミュー・ヤンバルクイナ
※ちなみにペンギンは海の中飛んでるみたいでなんかズルいから連合には入れません