『風に身をまかせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
退勤後の地下鉄
地深くを通る暗がりと
蛍光灯のクリーム色の光の中で
空調の風に誘われて
頭を垂れる人の波
仕事して帰って
帰って仕事して
気づけばまた地下鉄の中
毎日毎日が息をするので精一杯
そういえば気づいた、
食べるものが無い
こんな時間だけどスーパー行かなきゃ
重い身体で動かす自転車
夕日が照らす煌々とした光の中を
湿気と生暖かさを含んだ風に乗って
アスファルトの路をずんずんと
みだれ髪 手櫛でなおす 君の目に 浮かぶ涙と 花粉への憎悪
お題「風に身を任せ」
獣たちは風を読み
鳥たちは風に乗る
人間はどうだろう
私はそんなに風と親しくないけれど
時には自由を知る人の魂にしたがって
風の赴くまま身を任せ
あてのない旅に出てみたい
『風に身をまかせ』
自分の気持ちを言葉にするって、すごく勇気がいる。
自分の心を言葉という形にするとき、
その形を作るまでに、昇華するまでに、苦しんで苦しんでやっとの思いで紡いだ言葉たちなんだ。
違う形で受け取られるかもしれないし
無下に扱われて受け取ってすらもらえないかもしれない。
そんな怖さと戦いながら、私が壊れないように、心を見て書いて、毎日を繋いでいる。
周りから無責任に投げつけられた言葉に苦しんでる。
言葉が自身の心を形にしているのなら、あの人たちの心は相当汚く下品で無価値のように思うよ。
早く手放したい。もう解放してくれ。
私がこんなに悩むほど、あの言葉たちに意味なんてない。
ただ、そこに私がいたから。
投げつけるものが言葉なら、目に見える傷がつかないから。
私ね、昔はお姫さまだったんだよ。
信じてもらえないと思うけど、綺麗なお姫さまだったの。
姿を変えられてしまって、もう二度と戻れないけど。
何度も戻ろうとしたけど駄目だった。
この姿で生きていくしかないって、受け入れたのに、受け入れたはずなのに
どうしても、昔を思い出しては、溢れてしまうんだ。
風に身をまかせてみたら、
色々な気持ちが流れていいのかもしれない。
うちのベランダのローズマリーに
タンポポの綿毛が不時着していた。
不時着だよな。ここが目的地だったら驚くが。
まあ、綿毛氏も風に身をまかせるしかないから
仕方ないけど。
綿毛を軽く摘まんで外へ放った。
すぐ下の芝生に着地してくれたら、またお目にかかれるけど
どうだろね。
なんか不意に昔のバラエティー番組を思い出した。
風まかせ 風まかせぇ~♪
(風に身をまかせ)
「風に身をまかせる人生も良いかな」
と、思って生きていると
無人島に到着した。
帰りたい…
【五月病】
「昨日に引き続き今朝も気持ちの良い天気です
今日も一日晴れるでしょう〜」
朝の天気予報がにこやかに伝えている
爽快な青空にふわふわっと浮き足立ちそうな気持ちを鎮めて、ただ、ただ、今日も「使命」に邁進する
でも、この頃、
何もかも放り出して、この風にふわっと身をまかせてみてはどうだろう?
…なんて、
時々、魔がさすのだけど
きっとそれは、
ほのかに夏が薫るこの風のせい__
#風に身をまかせ
風に身をまかせ
風に身をまかせ、生きてゆく。
ただ、ゆらゆらと。
ふわふわと。
風に身をまかせ…幸い、風で飛ばされる経験は今のところ無い。竜巻に出くわしたことも無いし。
風まかせなら植物の綿毛とかかな。
子どもが小さかった頃、「それゆけ!アンパンマン」をテレビで見ていたのだが、ある回で“タンポポちゃんとロールパンナ”というお話があった。
風に身をまかせて旅するタンポポちゃんに出会ったロールパンナは、タンポポちゃんが育ちよい着地点に落ち着けるように旅について行く。小川の水流に巻き込まれないようにしたり、湖に落ちないようにしたり、「その状況は先が見えている(芽吹くことなくタンポポちゃんは生涯を終えてしまう)」事態が発生するたびに、風を起こし(ロールパンナのわざ)、旅を続けさせる。
タンポポちゃんは不思議がる。「タンポポは風さんまかせ、どんな場所であろうと風さん次第。なのに、どうして助けてくれるのですか」と。ロールパンナは答えない。タンポポちゃんに問われた後も、やっぱり助ける。
この回は印象強くて、たまに思い出す。大人的には、あれこれと私見があるのだが、ここに書くのも無粋に過ぎる気がするのだ。ロールパンナは首尾一貫して助け続け、タンポポちゃんはそれを止めない。この回のセリフはものすごく少ない。ただ、ロールパンナというキャラクターは、葛藤を持っている。「何が善で、何が悪なのか。自分の中には両方の心がある」と。
今も、この回のおはなしには言葉に表しにくい何かを感じる。ロールパンナ自身も風の中に居る。
どうやら私は死んでしまったらしい。そして、元は人間であったことしか今はもう覚えていない。
魂だけの状態でふよふよと浮かんでいる。この姿では簡単に風に流されてしまう。
そうだ、風に乗ってどこまでも飛んでいこう。色々なところを見たらきっと、自分が何者だったのかを思い出せるに違いない。
「風に身をまかせ」
春風や
私をどこに
綿毛のごと
流されること
悪じゃないはず
「風に身をまかせ」
風に身をまかせ
私もたんぽぽの種の様に風にまかせてどこかにいけたらいいのに。休日は家で1日を過ごすことが多い。どこにも行きたくないし、人にも会いたくないし。だから直接日光を浴びることもなければ風に当たることもない日は結構ある。
2階のベランダに身を乗り出して、強い風が吹いたなら、私をどこかへ連れて行って。
『風に身をまかせ』
風に身をまかせてみる。
なんて、言い訳。
「……っ」
風に煽られて、貴方の肩へぶつかる。
指先がからまった。
貴方は私の方を見ずに顔を赤くしている。
そっと顔をのぞき込もうとしたら、そらされてしまった。
「風が強くて、ごめんね」
「……あぁ」
そっと離そうとしたら、思ったよりも強い力で手を握られた。
見ても顔はそらされたまま、耳まで赤いのが見えた。
きっと私の顔も貴方と同じくらい、赤くなっているかもしれない。
「なんだか今日は暑いね」
「そうだな」
いつもは他愛ない会話がぽんぽん弾むのに、今日はなんだか沈黙が多い。
きっと酸素が薄いんだ、ドキドキ心臓がうるさい。
「少し涼しくするために水のでも呼ぶ?」
私は貴方の返事も待たずに水精霊を呼び出して、涼しくするようお願いする。
それなのに水精霊に、涼しくするのは無理だと断られる。
「だって風のも火のもいるから暑いのはしょうがないのよ」
「え、あ、ちょっ」
慌てて口を塞ごうとしたけれど、遅かった。
全て水精霊にバラされてしまった。
「道理で暑い訳だ」
貴方も赤い顔で汗をかきつつ水精霊と話しだす。
「あ、その……えと」
風も暑さも全部私の仕組んだことだと貴方にバレてしまった。
私は言い訳も出来ずにうつむく。
それでも繋がれたままの手が、いっそう強く握られた。
「……っ!」
この熱はきっと火精霊のせいじゃないよね?
「風に身を任せて」
疲れていたと思う。
気がついた時には会社へ行く電車を見送り、適当な電車へと飛び乗っていた。
「……チャージしといてよかった」
的外れな言葉が口から漏れる。電車賃など気にしている場合ではない。今もスマホから上司からの電話がひっきりなしに来ている。煩わしくなってスマホの電源を落とした。とたん、ふっと肩の力が抜け、電車の背もたれに深く座り込んだ。
「なんかもう、どうでもいいや」
少し、疲れていたのだと思う。慣れない仕事や、苦手な人間関係。毎日毎日何かに追われている感覚。それから逃げたかった。寝ているのに寝ていない感覚はずっと続いている。食事もまともなものを食べていない。そう思うと、久しぶりに胃の辺りがくう、と動いた。
どこかで降りて、何か美味しいものでも食べよう。
そう考えていると、ふと、斜め前の人と目が合った。
寝癖がついたままのサラリーマンは、私と目があうとすぐ視線を逸らしたが、この人もきっと同じなのかもしれないと思った。
見渡すと電車には数人、同じようにスーツ姿の人がちらほらと見える。そして、皆同じようにくたびれた顔で、外を見ていた。
皆どこかへ逃げたいのだろうか。
電車は動く。次の駅名を告げるが知らない名前だった。
電車の窓の外は、流れるように景色が流れていく。
このまま、行けるところまで行こう。終点まで行くのもいい。どこに行くかなんて知らない方がいい。そっちの方が、楽しそう。
幼い頃見た、風に流される雲を思い出す。あの頃は風に乗れると信じていた。
電車に身を任せて私はどこへ行くのだろう。
きっと外を流れる風だけが知っている。
風と聞くと学生の頃を思い出す。
海に近い学校だったので、行きも帰りも強風の向かい風と戦いながら自転車で登校していた。
あの頃は海風が煩わしくて苦手だったが、
いまとなってはいい思い出。
いまは車で毎日出勤して、体力も減ったなぁ。
あの頃みたいに自転車で汗だくになりながら風をうけて走ることはないだろう。
たまに運が良ければ追い風にふかれながら鼻歌交じりで駆け抜けてた頃が懐かしく、少し切ない気持ちになった。
風に身をまかせて
…られるかよ!
風の赴くままに、自由に、とかいうなよ!
ふわふわと宙に漂ってるだけだろ!
自由ってぇのはな!
無茶苦茶することじゃなくて!
譲れないことをガチでやれってことなんだよ!
「風に身を、『任せる』なら多分人間、『蒔かせる』なら植物の種子、『巻かせる』なら葉っぱか紙切れ、『撒かせる』なら水か……尾行を撒くとか?」
まぁ、漢字の変換先によっちゃ、色々書けそうではあるわな。某所在住物書きは外を見ながら呟く。
相変わらず書きやすいネタが思い浮かばないのだ。そろそろネタの新規開拓を兼ねて、何かどこか、フラリ外出も良いかもしれない――たとえば居酒屋とか。
「お題の前に名詞つけて、『イタリア風に身をまかせ』とか、『チョコ風に身をまかせ』とか、
……いや、書けねぇ。なんだチョコ風って」
駄目だ。本当に最近、加齢で頭が働かなくなった。
物書きはガリガリ頭をかく。
「無難に『任せる』で書くのがイチバンかなぁ」
――――――
昔々のおはなしです。まだ年号が平成だった頃、だいたい2010年頃のおはなしです。
真面目で優しい田舎者が、雪降る静かな故郷から、春風に身をまかせるような清純さで、ふわり、ふらり、東京にやって来ました。
今は諸事情あって、名前を藤森といいますが、当時は附子山といいました。
人間嫌いか厭世家の捻くれ者になりそうな名字ですが、気にしません、気にしません。
「すいません。ご丁寧に、道案内までして頂いて」
これからの住まいとなるアパートへの、行き方がサッパリ分からぬ附子山。
たまたま近くに居た都民に助けを求めたところ、「なんなら一緒に行ってやる」との返答。
後に、附子山の親友となるこの都民、宇曽野は、ウソつきそうな名字ですが、とても良心的な男でした。
「地下鉄の乗り方は」
興味半分、退屈しのぎ四半分に、親切残り四半分で、ナビを引き受けた宇曽野。
ふわり、ふらり、春風に身をまかれる花のようにアッチコッチ視線を向ける附子山に尋ねます。
「大丈夫か、それとも、説明した方が?」
宇曽野は婿入りの新婚さん。この日も愛する嫁のため、外回りの用事やら手続きやら、なんなら重い物の買い出しなど、しに行く最中でありました。
「ちかてつ……」
途端、附子山の表情が、不安なバンビに曇ります。
「地下鉄は、迷路だの、迷宮だのと聞きました。私でも、乗れるものでしょうか」
ぷるぷる。あわあわ。バンビな附子山がはぐれて、迷わぬよう、宇曽野が手を引き、地下鉄の駅へ。
初めて無記名電子マネーカードを購入し、初めてカードにチャージして、初めてキャッシュレスで改札を通る附子山は、宇曽野には完全に興味の対象で、なにより嫁への土産話のネタでした。
「これが、都会の改札か……!」
購入したばかりの無記名カードを掲げ、キラリ好奇の瞳で、それを見上げ眺める附子山。
「便利だなぁ。私の故郷の鉄道に導入されるのは、何年後だろう」
このまま放っておいては、附子山、フワフワ好奇の風にのって迷子になりかねませんので、
飛んでってしまわないように……もとい、正しい道を辿れるように、宇曽野はしっかり、目を離さず、時折声をかけてやったりしていたのですが、
「あの、あれは、何ですか?」
「ただの商業ビルだ」
「あれは?あれは、何をしているのですか?」
「慈善活動。炊き出しと募金だ」
「あのたくさんの露店は?」
「別に祭りでも何でもない」
「あのにぎわいで、まつりじゃない……?」
「おい。行くな。多分お前は迷子になる」
ふわり、ふらり。ふわり、ふらり。
地下鉄から地上に出た途端、やっぱり春風に身をまかせる花か若葉のように、キラリ澄んだ瞳の附子山、あれそれ、コレドレなのでした。
「茶香炉の良い香りがします。あそこの店だ」
「『チャコーロ』?」
「お茶の露店なんて、私の故郷では見たことがない。本店はどこだろう?どの産地と品種かな」
「こら待て。待……ステイ!」
ふわりふらりな附子山を、なんとか目的地まで連れていった宇曽野。
礼儀正しく深々と、丁寧にお礼のお辞儀をする附子山は、至極幸福そう。
宇曽野はほんの少し疲れ気味ながら、愛する嫁への土産話ができたので、悪い気はしてない様子。
今から約10年前の当時、附子山も宇曽野も双方、互いが互いに別の場所で再度巡り合い、親友の絆を結ぶことなど、知るよしも、なかったのでした。
春風に身をまかせる花の人と、花を導く保護者のおはなしでした。 おしまい、おしまい。
風に身をまかせ
子どもの頃、風に背を押されながら、力いっぱい走っていたことを思い出す。風に味方されると、いつもより早く走れたから、ワクワクした。
習い事の帰り道、暗い道を一人で駆け抜けることもあった。思いっきり走ると、風を切る感覚が楽しかった。
真夜中にこっそり、家を抜け出して。
自転車に乗って、市街地を駆け抜けるのが好きだった。
ひっそりと静まった家、2階だけ明かりがついた家、光が絶えることのないマンション群。
国道に出れば、テールランプの帯は切れることなく。
信号機で止まる車を横目に、ひとけのない歩道を突っ走った。
息が上がって、汗が吹き出す。
夜だから、そんな風体も気にする必要はなく。
この状況がたまらなく楽しく感じて、笑い出したい気持ちでペダルをこぎ、もっとスピードを上げる。
風と、同化できるような。
そんな気すら、した。
誰もいない陸橋で、ひとやすみ。
風に吹かれながら、自販機で買った缶ジュースを喉に流す。
さあ、次はどこへ行こう。
……といっても、明るくなる前に帰らなければならないから、選択肢はないようなものだけれど。
でも、もう少しだけ。
ふわりと吹いた、風に従って。
あと少しだけ、この夜を走ろうか。