風に身をまかせ…幸い、風で飛ばされる経験は今のところ無い。竜巻に出くわしたことも無いし。
風まかせなら植物の綿毛とかかな。
子どもが小さかった頃、「それゆけ!アンパンマン」をテレビで見ていたのだが、ある回で“タンポポちゃんとロールパンナ”というお話があった。
風に身をまかせて旅するタンポポちゃんに出会ったロールパンナは、タンポポちゃんが育ちよい着地点に落ち着けるように旅について行く。小川の水流に巻き込まれないようにしたり、湖に落ちないようにしたり、「その状況は先が見えている(芽吹くことなくタンポポちゃんは生涯を終えてしまう)」事態が発生するたびに、風を起こし(ロールパンナのわざ)、旅を続けさせる。
タンポポちゃんは不思議がる。「タンポポは風さんまかせ、どんな場所であろうと風さん次第。なのに、どうして助けてくれるのですか」と。ロールパンナは答えない。タンポポちゃんに問われた後も、やっぱり助ける。
この回は印象強くて、たまに思い出す。大人的には、あれこれと私見があるのだが、ここに書くのも無粋に過ぎる気がするのだ。ロールパンナは首尾一貫して助け続け、タンポポちゃんはそれを止めない。この回のセリフはものすごく少ない。ただ、ロールパンナというキャラクターは、葛藤を持っている。「何が善で、何が悪なのか。自分の中には両方の心がある」と。
今も、この回のおはなしには言葉に表しにくい何かを感じる。ロールパンナ自身も風の中に居る。
5/15/2024, 6:40:47 AM