『風に乗って』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【風に乗って】
春爛漫。
暖かな風が頬を撫でる。
空を押し上げるほどの強い風が吹く。
綿毛たちがその風に乗ってふわふわ飛んでゆく。
私も風に身を任せ、どこか自由に飛んで行きたい。
なんて、ムリなことなんで私は、
春の暖かな日差しを感じながら地面を歩くのだ。
お題「風に乗って」
さらり
ふわり
ゆらり
はらり
シャツの裾で遊んで
駆ける
匂いを連れて
熱を持って
いつか空にまぎれる
日付が変わる前のニュースで
今日の答え合わせをしよう
窓を開けて
今日の残り香を迎えよう
パジャマを着たら
今日の名残は洗濯かごに
絡まった想いは夢の中に
僕のうたも
連れていって
この庭で 咲いてほしいの エゴイズム
吐息の風で またねタンポポ
風に乗って
今日乗った風は馬の形してた
途中でたい焼きになったけど、結局馬に戻った
音もなく
ふわりふわりと
風にのって..
君が来るとね
わかるんだ
今日しか逢えない
今日だから逢える
一年に一度しか
咲かない君の
優しい香りが
風と共に..
毎年この時を
待ちわびる
忘れられない
大切な想いで
#風に乗って
この季節の私たちの通勤方法はたんぽぽの綿毛だ。
風向きを読み間違えて新人は良く遅刻している。
毎年の風物詩だ。そして、雨の日は休み。
梅雨時期なんか長期休暇に入るので、
みんな自分の担当新人に風読みを真剣に教えている。
残業はなるだけしたくない···
上司なんかはツバメに乗ってやって来るので羨ましい
ただ、時折ネコに挑まれていたりすると傑作だ!!
今年の私の担当新人はのんびり屋さんだ。
風読みは“ピカイチ”なのだが、
手を離すタイミングが悪くどこまでも行ってしまう。
まさに自由気ままに風に乗ってどこまでも····
早く休みよこい!!
『風に乗って』
昔、『ニルスのふしぎな旅』っていうアニメがあったの。
確かNHKでやってたと思う。
イタズラばっかりしてるニルスが、こらしめに小さくされて、白い鳥の背中に乗って色んな街を巡るうちに、経験積んで成長していくお話。
その白い鳥、私は勝手にアヒルだと思っていたんだけど、でも、飛んでるってことは白鳥だったのかなぁ?
遥か昔のアニメだから、記憶もあやふや。
今日のお題の『風に乗って』で何となく思い出しちゃった。
主題歌が可愛くてね、「ニルス、ヘイ、ニルス」って台詞で始まるんだけど、何とも言えないのどかな感じ。
ちなみにこの台詞言ってたのは、ザ・タイガースって沢田研二さんとか、岸部一徳さんとかがやっていたグループに居た人なんだって。
仲悪くて、タイガースが復活しても参加してないらしいけど。
どうしても譲れないものって、何十年経ってもやっぱり有るのかなぁ?
私も、心の中にドロドロした思いがあったり、ぶっ飛ばしてやろうかって思うぐらいのムカつく相手が居たりするんだけど、でもずっと持ち続けるのはしんどいなぁ。
なんて言いながら、思い出し笑いならぬ、思い出しムカつきもたまにあるんだけど、そんな思いこそ、風に乗せて飛ばせたら良いね。
うん。
やっぱり、生きていくのは、楽しい方が良いなぁ。
なんてね。
風に乗って
「あったー!」
そんな大きな声とブチ、と何かがちぎれる音がして思わずそちらに目を向けた。
そこには屈託なく笑う少女が、たんぽぽの綿毛を持って立っていた。その小さな口でふぅー、と綿毛に向かって息を吹く。
綿毛は風に乗って、遠くへと飛ばされていった。少女はそれらを追いかけるように走り出し、公園の入口あたりで手を振って見送る。
「またあえるかな?」
「そうねぇ、また来年ね」
母親の元に戻ってきた少女がそう問いかけると、母親は少女と目線を合わせるように膝を折り、そう答えた。
風に乗って
風に乗って運ばれてくるあなたの言葉
受け止めてみせる
風に乗って、私の想いよ、貴方へ届け!いつも臆病な私は、こんなにも溢れる想いさえ、貴方に伝えられないでいる…そんな情けない自分が嫌いだ…今日もあと一歩で話せそうなのに、またチャンスを逃してしまった…あーぁ。いつになったら、この溢れる貴方への想いを貴方に告げられるのだろう…?
ひんやりと湿った風だった。
水の匂いのする曇天に、遠雷が聞こえる。
飛び立つなら、こんな日がいい。
翼も箒もない。それでも飛べると信じるには、逆巻くような嵐の予感が要る。
雨粒を蹴り、稲妻を足がかりに、逆風に乗る。
だから、今日。
わたしは空をぐっと睨みながら、待っている。
わたしの乗るべき風を。嵐を。その訪れを。
#風に乗って
『風に乗って』
坂道を駆け下りる。両手に握ったバーに上への力を感じ、大地を蹴った。足元から地面が消え、空へと飛び上がる。
眼下に広がるのは陽光に輝く新緑と、咲き誇る野の花々。
耳元で風が唸る。大気が圧となって体を撫でる。
頭上のグライダーが風を受け、力強く体を支える。
ほんの束の間、風に乗り重力の軛から逃れ、自由を謳歌する。最高の瞬間だった。
ハング・グライダーは飛翔ではなく滑空である。自由はつかの間で、着地用のベースに降り立つことになる。
それを残念に思うと同時に、幾ばくかの安堵も感じる。やはり、翼持たぬ身では空にあることは爽快感と同時に緊張をもたらすのか。
だが、降り立った後はいつも、すぐに次のテイクオフに心が浮き立つのだ。
「ね、だから一緒にやってみようよ。二人で飛ぶこともできるからさぁ」
「高所恐怖症が今の話で『わぁ素敵!』ってなるはずねぇだろ一人でいけ。俺は地面から足を離さない」
2023.04.29
風に乗って飛んでいきたい
どこまでもどこまでもどこまでも
私の知らない美しい世界をいっぱい見せて
風に乗って
貴方のところへ飛んで行けたら
そんな現実離れした願いを
どうか笑ってくれ
僕の朝は、扉の前に置かれた千円札から始まる。
朝食が千円札へと変貌したのが何時からかなんてもう覚えていないけど、少なくとも弟が産まれるまではちゃんと食べ物だったはずだ。
千円札を拾えば、僕はもうこの家に用はない。
制服を着て、顔を洗って、歯を磨いて、髪を整えて鞄を持てばすぐに家を出る。それが日常だ。
コンビニエンスストアでサンドイッチと珈琲を購入してから、僕はいつもの場所へと移動する。
春の肌寒い空気を肺の中に吸い込みながら歩くのはかなり好きだ。少し歩けば海風が僕の髪を撫でていく。そこまで行けば、もう目的地は目の前だ。
朝日が照らす海は輝いて、鳥たちは喜ぶかのように鳴いている。堤防近くまで歩き、柵に身体を預けると向こうから誰かの走る音が聞こえてきた。
「今日もここで朝食か。」
「毎日ランニングしてるなんて、相変わらずストイックだな。」
走る足を止めて、嫌そうな顔で僕を見る友人に自然と口角が上がる。嫌なら気にせず走りさればいいのに。ちゃっかり耳に入っていたイヤホンを抜いて話しかけてくるあたり、君僕のこと大好きだな。
「今日の朝食はサンドイッチと珈琲。」
「聞いてねぇよ。」
「まぁまぁ、ちょっと付き合えよ。」
「……はぁ。仕方ねぇな。」
本当は付き合えよと言わなくたってここにいるくせに。こういうとこは面倒くさい。ため息をつきながらも僕の隣に腰を下ろした友人は、嫌そうな顔をしていなかった。
「そういえば、僕の小さい頃の夢は鳥になりたいだったな。」
「鳥??」
牛乳の他に買ってきたスポーツドリンクを友人に渡しながら、変わり続ける話題の一つに僕は昔を思い出した。
「そう、鳥。あの大きな翼を持っていれば、どこまでも飛んで行けると思ってた。」
「現実主義のお前にそんな夢が……。」
「昔の僕は純粋だったんだぞ。」
視線は海に注いだまま、小学校の思い出を語り始める。友人はじっと僕の方を見たまま大人しく聞いていた。ただの子供の戯言に、そこまで興味があったのだろうか?
「風に乗って行ったら、きっと気持ちいいんだって信じてたんだよな。」
青い空に手のひらをかざして、僕はいつかこの広い空を飛べるようになりたいとよく言っていた。そんな僕に、当時きっとなれるよと言ってきた周りの人達は、僕を哀れんでいたのだろう。
「鳥になんて、なれるわけねぇだろ。」
そんな僕の思考を踏みにじるように、友人は真顔で幼い夢を否定した。子供の頃の夢なのに、そこまで真剣に返さなくてもいいじゃないか。
「お前に鳥みたいな大きな翼は無い。羽毛はない。お前は空を飛べない。」
僕の目をしっかり見て否定してくる友人に、流石に引いた。だって子供の夢だよ?なんでそこまで真剣に取り合うんだよ。おかしいだろ。
「だから、お前はここにいろ。」
声のトーンが一段下がり、友人の瞳に海の反射した光が入り込む。彼の綺麗な翠の瞳に、少しの怯えが含まれていることにその瞬間やっと気づいた。
なるほど。何故そこまで僕の考えを否定しまくるのかと思えば、そういう事か。
「馬鹿だな君。僕が風に乗れるわけないだろ。」
君の夢を見届けるまでは、そんなことにはならないよ。
[風に乗って]
噂が風に乗ってきた。
ひらりと飛んできたそれを捕まえて、読む。
「ふむふむ。井戸を覗くと影がこっちを見上げてる……なるほどなるほど。これはよくある怪談だねえ」
読み終えたそれを台帳に書き留めて。小さく小さく折りたたむ。
そして、ぱくり、と口に放り込んだ。
べっこう飴に似た重たい甘さが、とろりと溶けて舌に絡む。
美味しいと思ったのは最初だけで、飲み込んで残ったのは、薄くてスカスカとした、軽くて物足りない味。
「うーん。これは……100日くらい経ってるのかもなあ」
次はもっと新鮮な噂を食べたいなあと思いながら、台帳を棚に戻した。
急な強い風が吹いた。
持っていた書類の束がバサバサと揺れた拍子に、端にくっ付いていた小さな付箋紙が一枚、さらわれてしまった。
「あ……」
「っ、強い風だったね、身体ごと飛んでいっちゃいそう」
あまりの勢いに息を詰めてから、おどけたように言った彼をそっちのけで、付箋が飛んでいった方向を見やる。
「ん? 何か飛ばされちゃった?」
こちらを覗き込んでくる彼をよそに、ぼんやりと思考を巡らせる。
風に乗ってどこかへと行ってしまった紙切れには、何と書いてあっただろう。小難しい単語の読み仮名か、重要な部分が記載されているページか、会議で誰かが発した取り留めのないことか、それとも、隣の彼への浅ましい感情だったか。
「……いいえ、大丈夫です。何も飛ばされてませんよ」
思い出せもしないものを考えても仕方がない。振り返り彼に向けた笑顔は、きちんといつも通りであるか自信がない。
「ならよかった! 早く戻ろう」
「はい。そうですね」
屈託なく笑う顔を惜しげも無く晒してから、彼は歩き出す。
見たくもないのに、左手の薬指にチラと光る銀色に胸が痛んだ。
もう一度強い風が吹いてくれないだろうか。彼のその銀色を、容赦なく奪って消し去ってくれないだろうか。
ありもしない妄想を吹き飛ばしたくて、やはりもう一度、と風が吹くのを願ってしまう。
【風に乗って】
日々の不安も
将来の恐怖も
絡み付くしがらみも
押し付けるような重圧も
全て捨て去り
風に乗って飛んでいけるくらい
軽くなりたい
【風に乗って】
風に乗ってどこかに行っちゃいたい、と今日の風を浴びて思う。まぶたの裏に見たことのない草原が映るように、そういう景色に惹かれる。隣の男がそれを許してくれるわけもないのだけど、どこかに行っちゃいたい。まぶたの裏の草原を見に行きたい。
「ん、いいぜ。連れてってやるよ」
「ええっ」
「なぁ?」
きゅう、と空から良いお返事が。なるほど、お目付け役は一人に留まらないらしい。
「オレの目の届く範囲なら、どこにでも行ってくれていいからさ」
そう言われると、「一人でどこかに行っちゃいたい」は薄れ「あなたとどこかに行きたい」に変わってくる。今日はもしかしたら寂しかっただけなのかもと整理をつけて、差し出された手を取ったのだった。
「くそっここまでか…」
舌打ちしながら呟くのは、手垢の付いたような言葉。
俺は犯人に追い詰められ、家の奥まで引き返してしまった。
背中には家内。犯人に見つかって気絶させられてしまったが、まだ息があるので大丈夫だろう。
申し訳ないと思いながらも、家内を机の下に隠し、部屋のドアを閉める。
暫くし、様子を伺おうとそっとドアノブをひねり、ドアを開けようとするが、
「開かない…」
なにか嫌な予感がする。冷や汗が止まらない。
いや、これは冷や汗ではなく、暑いんだ。
火事だ。
ドアの隙間から熱い風と、人間が焼けるような嫌な臭いが流れてくる。何度嗅いでもこれは慣れない。
あれ?何度嗅いでも?
何度も嗅ぐものではないのでは?
そして、部屋の外から「きゃあ!」という声。
その声に驚き、目がさめた。
どうやら、研究室で溜まった書類に目を通しているうちに寝てしまったらしい。
隣の部屋から「またはんだごてで触覚焦がしたー!」という悲痛な叫び。
どうやら、髪の毛が焦げる香りを嗅いで、火事の夢を見てしまったようだ。
「髪の毛は縛れってこの前も言っただろう」
小さな声で「少し直したかっただけだったのに…」と聞こえるが、無視。今日は家に早く帰って寝よう。
平和な我が家で平和な睡眠を。
#風に乗って