風に乗って
「あったー!」
そんな大きな声とブチ、と何かがちぎれる音がして思わずそちらに目を向けた。
そこには屈託なく笑う少女が、たんぽぽの綿毛を持って立っていた。その小さな口でふぅー、と綿毛に向かって息を吹く。
綿毛は風に乗って、遠くへと飛ばされていった。少女はそれらを追いかけるように走り出し、公園の入口あたりで手を振って見送る。
「またあえるかな?」
「そうねぇ、また来年ね」
母親の元に戻ってきた少女がそう問いかけると、母親は少女と目線を合わせるように膝を折り、そう答えた。
4/29/2023, 2:06:58 PM