H₂O

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10/13/2023, 1:29:21 PM

子供のように


無垢で、無知で、無邪気で。でも決して、愚かではない。
素直で、何にでも染まる君は、子どものように笑った。
でも、きっと君はわかっているんだ。
大人なんかにはわからない色で、大人では気づかないようなもので、世界を見ているんだ。
その澄んだ瞳に映る世界は、決して美しいだけではない。
きっと君は誰よりも、この世界のことをよく知っている。
だから、今日も君は知らない振りをするんだね。知らない振りをして、一緒に笑ってくれるんだね。






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はじめまして、H₂Oです。
こうして中の人として書くのは初めてですが、どうしても感謝が伝えたくて、書いています。
私の作品を読んでくださった皆様へ、本当にありがとうございます。


私事ですが、本日でこの『書く習慣』で書き続けて一年になります。今思えば、この一年はあっという間でした。でも、書き始めた日は一年後がとても遠いものだと思っていました。

元々は文章を書くリハビリとして書き始めました。毎日少しでもいいから書き続けると決めて、今日まで続けてきました。
どれだけ忙しくても、どれだけ辛くても、どれだけ思い浮かばなくても、書き続けました。一年間書き続けると決めた過去の自分のことを裏切りたくはなかったのです。

それに、書くことは自分をすくうと知っていたから。運がいいと他の誰かをすくうこともあります。
だから、書き続けたかったのです。いつかの自分をすくうため。どこかの誰かに届けるため。作品を生み出し続けたかったのです。
こうして出来上がったたくさんの作品たちは私の宝物です。


きっともうこの『書く習慣』で書くことはないと思います。今は自分が書きたい物語を書きたい。
書くことが大好きでよかった。大好きなままでいられて、本当によかった。

ただまっさらな気持ちで書きたくて、生まれ変わる意味も込めて、H₂Oという名前にしましたが、ただの水だったH₂Oは、やっと海月に戻ることができます。

一年間、皆様のおかげで頑張り続けることができました。本当に、本当にありがとうございます!
とても素敵な一年間になりました。


長々となりましたが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
これからはH₂Oではなく、ななり海月としてまた活動していきます。
本当にありがとうございました。
それではさようなら、H₂Oでした。


10/12/2023, 1:55:32 PM

放課後


放課後、それは君と過ごす特別な時間。
だからバイバイは、もう少し後にして。
あとちょっとだけ、この時間を過ごさせてよ。

10/11/2023, 2:11:37 PM

カーテン


「もーういいかーい?」
そう問いかければ、元気な声が遠くから聞こえてくる。
「もーいいよー!!」
閉じていた目を開けて、声の主を探しに行く。どこかなー、と言いながら、寝室やキッチンを軽く見つつ、本命のリビングへ。
「どこかなー? 机の下かなー?」
もちろん、机の下には誰もいない。というより、リビングに入ってきてすぐわかってしまったのだ。
カーテンがぐるぐる巻きになって、中に人がいることが。可愛らしいな、なんて思いながら、イスの下かなー、とまだ探している振りを続ける。
カーテンの中からはくすくすとした笑い声が聞こえてきた。
「んー? なんか笑い声が聞こえたぞ。ここかな?」
カーテンごと抱きしめるように覆い被されば、あはははは、と楽しそうな声が上がる。
「みーつけた」
その言葉が、かくれんぼの終わりの合図。ぐるぐるのカーテンから救いだし、ふぅ、と一息つけば、キラキラとした瞳でこっちを見つめてきた。
「もういっかい! つぎは、わたしがさがす!」

10/10/2023, 2:21:37 PM

涙の理由


決して悲しいだけじゃない。
寂しいだけでも、辛いだけでもない。
もっと、もっと複雑で、渦巻くようなそんなもの。
でも、それはひどく優しいときもある。ただただ、あたたかくて、胸がいっぱいになるようなそんなときもあるんだ。
だからね、泣かないで、なんて言わないよ。溢れ出たそれを止めたりはしないで。
ただ、君の涙の理由を聞かせてよ。

10/9/2023, 1:52:03 PM

ココロオドル


見た目は人間と何一つ変わらないアンドロイドだった。スムーズな動き、文脈をとられた正しい受け答え、すべてが完璧だった。
ただ一つ、感情というものを除いて。
嬉しい、楽しい、悲しい、さびしい、怒り、など言葉にするのは簡単でも、それに伴った表情が出来ていても、心というものがないから。本当の意味で感情を出すことは出来ず、膨大なデータから導き出された共感の言葉も、本当は理解できてはいなかった。
だから、博士は研究に研究を重ねた。寝る間も惜しんで開発をし続け、作り続けた。博士の助手をするその女性もアンドロイドだった。アンドロイドは疲れることなく、淡々と作業をしていたが、博士はどんどんと疲労がたまっていた。
「休まれては、どうですか」
何度かアンドロイドから声を掛けられるが、博士は気にせず続けた。
そんなある日、博士は倒れた。疲労によるものだとわかっていた。それでも作り上げなくては、と使命感にかられていた。
博士を運び終えたアンドロイドは、博士が目を覚ますまでそばにいた。博士が目を覚ますと、女性の瞳から涙がこぼれる。
それを見た博士は少し驚いた後に嬉しそうに微笑んだ。不思議そうにする女性は博士は優しくこう言った。
「ああ、ようやく君にも心が芽生えたか」

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