カーテン
「もーういいかーい?」
そう問いかければ、元気な声が遠くから聞こえてくる。
「もーいいよー!!」
閉じていた目を開けて、声の主を探しに行く。どこかなー、と言いながら、寝室やキッチンを軽く見つつ、本命のリビングへ。
「どこかなー? 机の下かなー?」
もちろん、机の下には誰もいない。というより、リビングに入ってきてすぐわかってしまったのだ。
カーテンがぐるぐる巻きになって、中に人がいることが。可愛らしいな、なんて思いながら、イスの下かなー、とまだ探している振りを続ける。
カーテンの中からはくすくすとした笑い声が聞こえてきた。
「んー? なんか笑い声が聞こえたぞ。ここかな?」
カーテンごと抱きしめるように覆い被されば、あはははは、と楽しそうな声が上がる。
「みーつけた」
その言葉が、かくれんぼの終わりの合図。ぐるぐるのカーテンから救いだし、ふぅ、と一息つけば、キラキラとした瞳でこっちを見つめてきた。
「もういっかい! つぎは、わたしがさがす!」
10/11/2023, 2:11:37 PM