『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雫
「背中にあった翼は
君と共に亡くした。
飛べた頃の記憶は
擦り傷のようには消えてくれない」
と言う歌を思い出す。
疵のように痛みを抱えて生きる
そんな女の子のお話で使われている曲で
優しい人たちと
何者にも変え難い相棒との出会いで
少しずつ前へ進んでいく
そんなお話。
天の雫のように
優しく包み込んで、
そして恵みを与えるそんなものだと私は思う
なんだか上手くいかなくて
ふと外を見てみると
窓についた雫が
太陽の光を反射していた
きっと私もいつか光るようになると
そう思えた
雫
雨の日
ひとは雨粒を毛嫌いする
でも
ふと辺りを見ると
雫は、
美しい花を
さらに美しくしていた
雫
ぽつり
ぽつり
雫が落ちる。
気が付くと、お前は俺の側に居た。
俺と目が合うと、
ぽつりと、一言呟いて、姿を消す。
馴れ馴れしく近付いては来ない。
それでも、
何となく居場所の無い俺を、
さり気なくフォローする。
そして、
俺が礼を言う隙さえ与えず、
お前は、俺の元を離れていく。
そんな些細な事を、
お前は、毎日のように続けた。
ぽつり、ぽつりと、
雫が落ちる様に。
気が付けば、
俺はお前を受け入れていた。
俺の心の壁を打ち破った奴は、
お前が、初めてだ。
雨粒が岩を穿つが如く。
お前の小さな気遣いが、
俺の心の壁に穴を開けたのだろう。
そして、今日も。
俺は、素知らぬ顔をして、
お前が落としてくれる、
雨粒程の優しさを享受する。
ぽつり
ぽつり
雫が落ちる。
昨晩の嵐でしめった階段を上るさなかではじまるゲーム チ・ヨ・コ・レ・イ・トできみにキスした
「…どうしたの。なんか言ってよ」
片眉を下げて苦笑する。
もうきっと分かっている。気付きたくないだけで。二人は限界なのだと。
『…………私と、別れて。』
「…理由は…聞いてもいい?」
『……分かった。
………私ね。…あなたに腹が立ってたの。」
「どうして?」
『あなたがすごい人だから。』
彼女から落ちる雫が、綺麗に頬を伝って。何百回も見た君の顔を、改めて綺麗だと思った。
いつも彼女にしていたように、僕は彼女の涙を拭った。
『さわらないで。』
反射的に拭った涙のついた指を引っ込める。
「…うん。ごめん。
そうだね。別れよっか。」
そう言って、困ったように笑いながら、踵を返して歩き出す。
彼女の涙を拭った指を見つめる。
もう彼女は行ってしまったかなと振り返る。
もう、何処にいるのかも分からなくなってしまった。
たしか、腹が立ってる時の涙、その味はしょっぱいんだったかな。
変態だと思われるだろうが、涙の味が気になって、口につけた。
「…しょっぱくない…?」
彼女がいるはずの、歩いていた道と反対の道を走った。
#2024.4.21.「雫」
腹が立ってる時って塩辛いらしいっすけど、反対に悲しい時とか嬉しい時はそんなに塩辛くないそうです。
主人公を推しに置き換えて読んでもいいな。
雫。私は顔から流す雫が多い。
結構泣き虫だし、口論弱い。
泣きたくないって思ってるのに涙が出てくる、こんな自分が嫌だ。
どうにかならないかなぁ
ドッペルゲンガー
他人の目のないところでは、いやあってもこっそりと、彼女がやたらと身体に触ってくるので困っている。しかもセクハラ親父かよと思うようないやらしい触り方で、尻とか胸とか脚とか腹とか触ってくる。
付き合う前はむしろ冷淡に見えていたのでこういう人だったのかと驚いた。
誘っているのかと思ってこっちからも触り返すとちょっとびっくりしたような反応をされたりする。
ただ純粋に一方的に触りたい欲求があるようなのだ。
「黙って急に触ってくるのびっくりするんだけど、あれはどういう気持ちなの」
「付き合ってるんだしいいじゃん。触りたくなっちゃうんだよ。理由なんかないよ」
性欲なのか?
しかし観察していると彼女は常に周囲の何かしらに触っている。階段の手すりとか壁とか家具とかそういうものにだ。
周囲のものに触っていたい欲求が彼女には元々あって、セクハラじみた接触はその強化版なのかもしれない。
スキンシップによって心の欠落を埋めているようにも思えて、ちょっと不快なときも我慢して触られていた。
その対応がまずかったのかもしれない。
彼女の欲求はだんだんエスカレートして、触るだけでは済まず噛んでくるようになった。
例えば通りを歩いているとき、ちょっときて、と腕を掴まれ暗い路地に連れ込まれる。
しゃがんで。キスするようだがそうではない。彼女は俺を抱きすくめて肩に顔を埋めた。少しずつ力を込めて、血が出る寸前くらいまで噛んでくる。痛い。かなり痛い。
「なんで触るのって前聞かれたでしょ。あれから考えてみたんだけど」
噛み跡にキスして首元で幸せそうに息を吐く。
「触らないとあなたも私も本当にここにいるのかわからないから。こうすることであなたと私の存在がはっきりして安心する」
彼女の肩越しに、さっきまでいた明るい表通りからこっちを見ている女性が見えた。
顔も髪型も背格好も服装も、どう見ても彼女だ。
「あれ、双子のお姉さんか妹さんっていた?」
彼女はそっちを見ない。
「兄弟なんていないよ。もしかして私とそっくりな人が見えているなら、それはドッペルゲンガー。子供の頃から時々出現するんだ。でも私以外の人にも見えるとは思わなかったな。」
目が合っているのにまるで知らない人を見るような表情をした表通りの彼女は視線をそらして歩き去った。
俺は抱きついている彼女を振りほどいて大通りの彼女を追いたいと一瞬思った。あっちが本当の彼女でこっちがドッペルゲンガーのような気がしたから。
しかし俺を知っている彼女がドッペルゲンガーで、本体は俺のことを知らないとしたら。本体と話して戻ってきたとき、ドッペルゲンガーの彼女はまだここにいるのだろうか?
そう思うと暗い路地で彼女に抱かれたまま動けない。
小さい頃、
紅茶にミルクを
一滴一滴落とすたびに
ぶわっと広がるミルクを見ては
幻想的になる表現が好きで
楽しかった記憶がある。
今はもう
そんな表現を楽しまず
普通にミルクを注ぐけど
またあの時のように
幼心にかえって
一滴、一滴と
あの落とす瞬間、
時間を、楽しんでみようか。
きっと忙しない状況から
落ち着くものを感じると思う。
落とす間は
時間がゆっくり流れ
静かになる感覚を覚える。
今、ここにいるのを感じる。
ミルクが広がる幻想的な表現に
心が癒やされるかもしれない。
ミルクを落とすだけのことだが、
何気ない日常の一コマは
今を豊かにすることがある。
今度紅茶を淹れるときは
ミルクを一滴ずつ
落として見ようと思う。
そしてその時間も楽しんでみようと思う。
なんだか格別に美味しくなりそう。
遥か遠く
天から降り落ちる
一雫の雨
この緑の大地に
辿り着くまでに
どんな景色を
映してきたのだろう
人々の
心の美しさを映し出し
大地に光を
浸透させているのか
「雫」
雫のお題で思い付かなかったので、なんとなく雫と検索をかけたら、スキマスイッチの雫がでてきました。
懐かしい曲です。
10年以上前にやっていたアニメ、「獣の奏者エリン」の主題歌でした。
「獣の奏者エリン」は、大まかに言うと、主人公の女の子エリンが、人に馴れない獣「王獣」と絆を深め、手懐けていく話です。
名作なので、オススメです。
私の目から雫が落ちる。
ある雨の日の事だった。
私は恋人の浮気している現場を目撃してしまったのだ。
その事を記憶から消そうとしても無理だった。
今日も、私の目から雫が落ちる。
心を奪われたのはほんの一瞬だった
静かに流れている涙はキラキラしていて綺麗だと思った
彼女はスクリーンという大きいようで小さい世界で涙を流していた
物語はすれ違う恋人の話
どうしようもないもどかしさと分かり合えない悲しさで自分の涙腺は壊れかけていた
恋人に別れを告げる彼女は微笑み、振り返ると同時に泣いていた
"別れなきゃ守れないものもある"
二人の苦渋の決断と彼女の涙に心を奪われて、一つ、また一つと自分の頬を雫がこぼれ落ちた
雫____
2024.04.21
雫
(本稿を下書きとして保管)
2024.4.21 藍
雫といえば、毎朝飲むレギュラーコーヒーを淹れるときの雫かな
お湯の温度がどうとか注ぎ方がどうとか、いろいろ作法があるみたいだけど、正直、それでそんなに味が変わるかなあ、と言うのが実感
個人的には、ミルクと砂糖のバランスが重要だったりする
雫
軒下から伸びている氷柱が、
陽の光を浴びて輝く。
私は何故かそれに見入ってしまった。
もうすぐ春が来ると思いつつも、
まだまだ寒暖差が激しい。
氷柱の先からぽたぽたと雫が垂れている。
子気味いいリズムで、私はそれをじっと見つめる。
雫の音をいつまでも聞いていたいと思った。
私の雫はどこにありますか?
君の雫もどこにありますか?
推しの雫はどこにありますか?
#雫
雫
雨は相変わらず降り続き屋根伝いに水滴がポタポタと落ちてくる
地面には小さな水溜まりが出来ており落ちてきた水滴が雫となって跳ね上がる
店だったと思われる古びたシャッターの軒先で雨雲が過ぎるのを待っている
もうじき止むと言うお天気アプリを信じてからプレイリストの曲は5曲ほど進んだ
濡れるの覚悟で出ていくかここまで来たら止むまで待つか逡巡する
とりあえずしゃがんだ 空が大きく見える
まだ雨は続きそうだ
一滴の雫のような言葉を集めて
いつか世界を創りたい
水滴があつまっていつしか海原が広がるように
慎重に大切にコトバを拾って重ねていく
Drip drip …
【雫】
水溜まりに雫が落ちて波紋が広がっていくように
優しい言葉が伝播していく
雨のように言葉が降り注ぐ電脳世界で
私が落とした一滴はどのように広がるのだろう
雫って「美しい」と思うときもあれば、
「ウザい」と思ってしまうこともある。
「美しい」ときは前日の夜は雨で次の日が快晴。
太陽に当たりながら、葉っぱから落ちそうになる雫は
「美しい」と思ってしまう。
「ウザい」ときは雨が上がって、
電線から雫が落ちて顔や体に当たる。
自分に害があるかないかでこんなにも扱いが変わるのは
、つくづく人間のエゴだなと思う。
雫に当たっても、「ウザい」と思わないで、
「あら、こんなところに雫がいたのね」
と思えるくらい心に余裕があれば
いろいろ見える世界も違うのだろうな。
ふと思った。