『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
そろそろね。
旨味も出てくる頃なのよ。
私の人生、ダッチ式。
#24「雫」
「どうした二宮」
俺が部長との話を終えて、自分の席に戻ろうとした時、異変を感じた。
グスン
というオフィスではあまり聞かない音を聞いたせいだ。不意に向かいの席の二宮を見ると、顔は無表情だが、液体が顔から溢れていた。
「うん? どうした」
もう一度聞く。二宮のパソコンには
「しずく」という文字が溢れていた。
「先輩、しずくってこんな綺麗な漢字なんですね」
その文字の羅列の最後には
「雫」
と、書かれていた。
こいつは結婚して3年。子供が生まれてもうすぐ一年だ。
「何かあったか?」
「僕、食器拭き担当なんです・・・」
聞けば、育児ノイローゼ気味の奥さんに、食器の拭き残しのしずくの事で、毎晩怒られているらしい。
「頑張ってるんだな」
「しずくって、こんなに綺麗な漢字なんだ」
今の俺には何も出来ない。肩を叩き、自分の席に帰ろうとした。
そこで、ふと二宮のパソコンにしずくが落ちている事に気づき、ティッシュで拭こうとした。
「やめください!! こいつだって、こいつだって、僕の目から溢れた雫なんです! 大事な大事な雫なんです!」
二宮はすごい剣幕だ。
「わかった、わかった」
俺は慌てて、自分の席に戻った。
あいつはやっぱり疲れてる。
だって、あのしずくは目からじゃなく、鼻からたれたものなのだから・・・
はらはらり。
「泣いているの?」
「どうだろうね? きいてごらん」
幼い私の問いに、母は微笑み答えた。
公園で見かけて、止めどなく流れている姿を見過ごせなかった。
母と繋いでいた手をほどいて、公園の一番奥に佇む姿に駆け寄って尋ねた。
「ねぇ、桜の木さん。どうしてそんなに泣いているの?」
純粋だった私は、散る花びらが泣いているように見えたのだ。
もちろん桜は何も答えなかった。代わりにひらりと花びらが一枚、私の鼻先に落ちてきた。
あの頃よりずいぶん小さくなった遊具に囲まれて、〈あなた〉はまだ公園の奥にいる。
今年もまた泣き出す頃だと、公園の入口のベンチに腰かけてその姿を見に来た。
今日は寒の戻りか風も冷たい。ストールを取り出したところで、強い風が肌を撫でた。
煽られた髪を整えている指先に、〈あなた〉の涙がひとつ、ふたつ。
また風に煽られて、〈あなた〉は涙がこぼれ続ける。
(桜の木さん、どうしてそんなに泣いているの?)
声に出さぬまま問う。大人になった私は、それを悲しいとも寂しいとも、嬉しいとも訳すことが出来るようになった。
桜の木はもちろん何も答えない。
/『雫』
ボクの目から落ちる雫は真珠になって下に落ちる。カツンと乾いた音を立ててどこかへ行った。
「あくびの涙も真珠になるんだね」
足元に転がった真珠を拾い上げた信乃が言った。
「うん、そうみたい。それを見るたびボクは人じゃないことを痛感するよ」
「仕方ないよ、体質なんだから」
真珠をいじりながら笑った。長袖の隙間から包帯が見える。また……。とボクは思った。
「また機嫌が悪いんだね。お父さん」
「うん。少し手首を痛めただけ」
「どこかに相談しないの? ボクも……」
信乃は手に持っていた真珠を握ってボクの顔を見つめた。
──余計なことはするな。とでも言いたげな瞳で。
ボクがこの学校に転入してきたのは3ヶ月前のこと。海からやってきたボクは足を手に入れ、肺で呼吸をすることを学んだ。
ここは特別で海から来た者を受け入れてくれる変わった学校だった。
転入して早々ボクは保健室の住人になってしまった。クラスで挨拶を済ませたあと、学校集会のため体育館に向かっているとき、予期せぬ方向からボールが飛んできたため顔面でキャッチしてしまった。仲良くなった友人擬きは半笑いし、ボールを飛ばした本人は簡易な謝罪で元の場所へと戻って行った。
当の本人(ボク)はと言うと、初めて“鼻血”を経験したことによって途方にくれていた。
その時助けてくれたのが信乃だった。
ティッシュを渡してきたと思ったら、手を引いて保健室へ連れてきてくれた。テキパキと戸棚からワタを取り出し「鼻に詰めて」と言い、冷凍庫から氷を取り出し氷のうへ詰めていく。
「慣れて、いるんだね」
「わたし、いつもここにいるから」
信乃は小さな声で言った。振り返った彼女は先程作っていた氷のうを差し出した。
「冷やして、それで止まらないなら先生呼んでくるから」
「うん、ありがとう……」
ボクが頷いたときカツンと乾いた音がした。
手についていた血が床に落ちたからだ。目の先には血のような赤いルビーが落ちていた。
これがボクの体質。海の者によって個体差は出てくるが、体液が毒の性質の者、血肉が不老不死の性質を持つ者、歌声が命を奪う性質を持つ者など様々。ボクの性質は涙と血が宝石になること。人ではない部分。
「──綺麗」
信乃は笑って言った。
その言葉でボクは自分の性質がこれでよかったと思った。
「そう、かな?」
「うん、とても」
「じゃあ、あげるよ。キミが嫌じゃなければ……」
信乃はルビーを拾い少し悩んだあと、微笑しルビーを自分のポケットへしまった。
「ありがとう、大事にするね」
彼女はそう言い保険室から出ていった。
それからすぐ彼女が何故保健室にずっといるのか知ることになった。
下校時、裏路地に面した場所で、中年男性と言い争う信乃を見かけた。
──お父さん、待ってよ、待って! それは大切なものなの! 返して、返してよ!
保健室で聞いた声よりも大きく切羽詰まった声だった。
──うるさい! と中年男が怒鳴り信乃を突き飛ばした。その手には保健室で彼女にあげたルビーが握られていた。
しがみついてくる信乃を振り払いながら男は足取り確かにどこかへ向かって行った。
「信乃」
ボクが声をかけると信乃は戸惑ったような顔をした。
「……風海(かざみ)くん、ご、ごめんなさい」
信乃は顔伏せ震えていた。自分の拳に力がこもる。
「…ボクが取り返すよ」
「だめ!」
信乃は叫んだ。ボクの腕を掴み、ボクの目を強く睨んだ。
「…絶対にだめ」
ぼやくようにもう一度言った。震える手は彼女の可弱さを物語らせた。
その後からボクたちは保健室仲間として仲良くなった。保健室で彼女は本を読んでいた。日本文学から海外の作品まで沢山読んでいた。
「桜の木の下には死体が埋まっている」
信乃が呟いた。
「え? どういうこと」
「有名な文豪の一文なの。桜の花があまりにも美しいから何か理由があると不安に思った主人公が想像したのがこの一文なんだって」
「へー、変なことを言う人もいたんだね」
「そうだね。でもわたしこの言葉好きだな……」
信乃は呟き、視線を本に戻した。
彼女は言った。辛い、苦しい、死んでしまいたいと思ったとき本の世界に行くと現実世界の嫌な部分を忘れることができると。
1頁、1頁、わたしではない誰かになれる──と信乃はアザのついた腕をさすった。
──ボクがどうにかするよ
──ボクが君を守るから、どこかに逃げよう
──キミのためならなんだってするから
だから、信乃(キミ)に生きていてほしい。幸せになってほしかった。
彼女は絶対に首を縦に振らなかった。
例えどんなに傷つけられても、虐げられても、それでも家族だからと、見捨てられないと彼女は涙を流した。
ボクの涙は真珠になるのにキミの雫(なみだ)は水滴のまま下に落ちる。
人は無力だ。人と魚の半分ずつのボクも。
信乃の抱えた苦しみも痛みも悩みも救えない。
それでもボクの歌を聴いて涙を流し笑った顔、ボクの体質を綺麗だと言ってくれた声、小さな震えた手、ふわふわとなびく顎元で切りそろえられた髪、ボクは彼女の全てが愛おしく思っていた。
苦しいのならボクの息をわけてあげたい。
痛いなら痛みをわけてほしい。
寂しいのならキミのそばで歌うから。
どうか、どうか、一人で泣かないで。
キミの「助けて…」にボクは全てをキミに捧(あ)げたいと思った。
【ロスト】
雨上がりの花の
雫💧美しいですね
雫が キラキラしている
キラキラ光る ダイヤモンド
美しい
誰の心の中にも、その雫は零れ落ちる。
毎日、無理矢理笑顔を作っていてもその先には泣いている自分がこちらを見てる。
ずっと、笑顔で居られたら周りに嫌われる事も無かっただろう。
もっと早くから自分自身の心に耳を傾けて居れば、君の事を傷付ける事も無かっただろう。
心臓は破れ喉が引き裂ける程、叫んで泣き続けた。
嗄れて掠れた声で、ただ君の名前を叫んだ。
君に届く事は無いと解っていても、その時はただ叫び泣き続ける事しか出来なかった。
君に
「好き」
だと、伝える事が出来なかった。
一晩中独りで泣き続けて、気が付けば朝が来た。
「朝か、、」
体が重い。
ニュースを見ながらバターを塗りトーストを齧る。
「行ってくるよ。」
そう言って、家を出る。
ある日、僕は悪夢を見た。
それは、僕が君の名前を叫びながら一晩中泣き続けているというものだった。
あなたは自身の心の叫びに気が付いていますか?
ぽたり ぽたりと私の頬を濡らす。
ずっと一緒だって誓ったあの日から、私の心はずっとあなただけのもの。
「大好きだよ」「愛してるよ」
あなたの口から紡がれるその言葉に、どれほど私は虜にされたことだろう。
毎日が輝かしくて、一緒に居る時間は幸福そのものだった。
そう…" だった "
あんなに一緒だって言ったのに、、、
私にたくさんの愛をくれたその口から溢れる鮮血
私の頬を濡らす赤い雫
真っ赤に染まったあなたの心臓
真っ赤に染まった私の手のひら
この赤は愛の証
猫が窓の結露をなめる。
新鮮なお水を器に用意していても、
そっちのけで窓をぺろぺろする。
それはそれは、とてもおいしそうに。
何度もやめさせようとしたけれど、もう諦めた。
何か特別な味がするのだろうか。
「雫」
ピチョン。ピチョン。「あぁ、雨樋が歪んでるなぁ」この長雨が上がったら直そうかと昨年の梅雨も思ったか?これはデジャブか?今年こそは覚えておかないと。でもさらさらと降る雨の中にピチョンという音は可愛いな。うんうんやっぱりこのままでいいということにしようかな。
2023/04/22
ひとりでしゃかしゃか手足を動かして
あばばば
突然ピタリと動きを止めて
そして真っ直ぐにこちらを見て
うぶぶぶ
にへらっ と無垢な笑顔
ただそれだけで口周りの大惨事も許せてしまう
このよだれ星人め!
『雫』
【雫】
無機質な雫を垂れ流す。舐めたらなんかしょっぱくて、心が少しだけ痛くなった。これは汗だからなんて言い訳。負けたんだ、賭けに。試合に負けた。
「負けたらご褒美、約束でしょ?」
癪に障る。声をかける時を選べよと言った顔で見つめてみると少し笑われた。
「泣いてんの?」
お前に負けたから。あと一点とかじゃない。ぼろ負けだった。こいつだけには負けちゃダメなのに。約束したから。
「分かった、付き合うだけね。」
罰ゲームでしょ。好きな人となはずなのに。ちゃんと告白したかった。
手の甲に、ぱたり。
大きく雫が落ち跳ねる。
雨かと思った。
だが振り仰いだ空には嘲笑う太陽。
その光がクリスタルのように細かく砕かれていることを認識して──
初めて自分が涙を流していると自覚した。
雫
※ポケモン剣盾二次創作・マクワとセキタンザン
渇いている。乾燥した口の中はまだるっこく重たいが、指示を出すことに何ら支障はなかった。
だが口を開けているとざらざらした砂が入り込んでしまう。
青く怜悧なサングラスはこういう時でも、常に視界を守ってくれるので有利だった。
多くの砂を含んだ風が舞い上がり、煙に包まれていたスタジアムの視界が晴れる。湿気を含んだ土埃の香りでいっぱいだった。割り拓くように大きな黒い脚の影が見えた。ごうごうと煌めいているのは高く燃え上がるセキタンザンの背中の炎。まだ立っている。炎も弱まってはいない。
彼自身警戒を解いていないのだということも、その背がはっきりと物語っていた。
お互いキョダイマックスの時間はおわったが、そうだろう、これだけで倒れるはずがない。ならば先手を打つべきだった。奥歯からじゃり、と砂を噛みしめる音が聞こえた。
「ストーンエッジ!」
セキタンザンがその場で高らかに吼えると、鋭い石の槍が伸びていく。同じように複数の岩石がばらばらと降って来る。岩と岩のぶつかり合い。巨石もなんのその、バディが放った岩鑓は容易く砕いていく。
大きな影は自ら真っ直ぐに石の中へと突っ込んできた。一気に片を付ける気だ。
「セキタンザン、フレアドライブ!」
石炭の炎の温度が一気に上がった。焦げ付くような香りが増していく。
たくさんの命を守る事の出来る炎が燃える。燃え盛る。それはつまり、自分も相手も命を奪えるほどの強力な武器になり得るのだ。
水を纏って弾丸のように飛んでくる相手に向かって、セキタンザンは自らを燃やして飛び上がった。
いわを包み込んだ水と火が相対する。スタジアムの中が白い蒸気に包まれる。力と力がぶつかり合い、激しい風が巻き起こり、再び視界を阻んでいく。セキタンザンの方を見つめたまま、サングラスの表面に付いた水滴を払う。
白い視界の中、最後の切り札たるバディが苦しそうに膝を付いていた。
「セキタンザン!」
「ゴオッ」
セキタンザンは吐き捨てるように吼えると、再び体制を整えた。彼の身体から、特性が発動している証拠の白い煙が上がり続けていた。フレアドライブは反動が来る技ではあるが、まだ相手が動いた様子が見えないとなると、おそらく向こうも同じような状況だろう。
もはや許された体力は残り少ない。ゲージなるものがあれば、きっとちかちかと赤い信号を出しているに違いない。
辛そうに息を整えるセキタンザンを視界の端にいれ、ぎゅっと目を瞑り、再び目を開く。
今ここで自分も弱さを見せれば、彼が必死に耐えているものが全て水の泡となって消えてしまう。トレーナーの心得だ。
ぼくたちがここまで積み上げてきたものが軟じゃない事は誰よりもこのぼくが知っていた。
ここまで来たのだ、必ず勝利をもぎ取る。ぼくたちにとって今何より必要なのは勝ちの白星だ。
母の夢を蹴って独立した身、負けてマイナーリーグに降格するわけにはいかない。
スタジアムの上では先輩も後輩も何もない。勝つか負けるか、それだけだ。
観客の前で十分に彼の新しい魅力は見せられたはずだ。今もたくさんの人の歓声がぼくたちを呼んでいる。ならばあとは結果を手に入れるだけだ。
「……セキタンザン、いけますね!」
彼の紅い眼が振り向き、頷いた。視線が合うだけで、彼の中で燃えるものが同じように自分の中でも燃え滾る。硬い意志と高い温度がぼくの指先から指先全てに力を与えている。
力強く走り抜ける蒸気機関の進路をとるのはこのぼくだ。絶対に止めさせやしない。
ここですべてが決まる。決めてみせる。
蒸気の緞帳が割け、黒い影がゆらりと大きくなって近づいてきた。頭上からひやりとした冷たさが流れる。迸る水がここまで届いていた。来る。
「ストーンエッジ!!」
腕を振れば、水を割る怜悧な石の剣が昏い影を貫く。激しい爆発音が耳を劈く。煙が巻き起こり、再び強い風がスタジアムを吹き抜ける。ぐっと噛み締めたままだった息を吐く。
強い渇きはまだこの胸に蔓延っている。つばを飲み込む音が大きく聞こえる。じゃり、と砂粒を噛むと割れて小さくなった。
砕けた大岩が膝をつく音が聞こえる。きらりと燃える灯りが輝き、スタジアムのターフが見える。
わあと大きな歓声が地面を揺らす。
一筋の雫が顔を伝った。
最近私が流した雫は、
とある推しの訃報を聞いてだった
未だに気持ちの整理がつかないし
数日経っても心に大きな穴が空いたまま
涙が溢れ出るのを堪えるのに必死で
日常生活をこなしながらもずっと上の空だった
SNSだってこのまま続けていいものかも分からなくなってしまった
推しといっても1人の同じ人間であって
常になにかを思い悩んでいたのかもしれない
でも彼がこの選択によって少しでも解放されたなら
それは責めることなく受け入れるしかない
出来るのであれば気付いてあげたかった
もっと守ってやりたかった
常にファンの前でキラキラした姿を見せてきた彼だからこそ
心にどんな気持ちを抱えていたのか
ファンという立場では正直何もできないし分からない
彼から毎日たくさんのパワーをもらっていたのに
無理しないでとか今になって出てくるたくさんの言葉にならない言葉
それすらももう届かないことがとても辛い
彼はきっとファンが想いを引きずって気に病み続けることを望んではいないのに
でも思い悩むことから離れるのも悲しくて
またあの笑顔が見れることを信じてしまう
もうこの世にいない人だとは思いたくない
直接会ったことはなくても
私や他のたくさんのファンの方々のなかで
必ず彼はずっと生き続ける
忘れるなんてあり得ない
私たちが空を振り仰ぐ度に彼が
私たちを笑顔で見守ってくれていると信じて
私も少しずつ前を向いていけるように頑張ろう
出会えて良かった、本当にたくさんありがとう。
題.雫
君の睫毛はきれいだった
雨が降りてきた
知らないことも多かった
繰り返し 曖昧な輪郭をなぞって
振り返った先の影法師
泣いているのか 笑っているのか
怒っているのか 悲しんでいるのか
朧げな薄氷にそっと触れるように
埋まらないパズルの欠片を探すように
巡って辿って躓いて 見えないふりをする
脈打つ心臓を描くように
雨音叩く窓の向こうに目を伏せて
水煙にほどけた夢を見る
雫 Una Gota
我等人類の体は、約60兆個の細胞からできている
多細胞生物も単細胞生物から進化した
最初に現れた生物は、たった一個の細胞から初まった
その最初の細胞は、水面に浮かぶ油の一滴、まさに油性の雫が起源だと言われている
油揚げの味噌汁に浮かんでいるあの油だ
一滴の油が様々な化学物質を取り込んで、やがて栄養分を代謝し、細胞分裂の際には遺伝情報を分配し、さらにその子孫は長い年月とともに多様に進化し、今までに多くの種類の生命を絶滅を伴いながらも生み出してきた
広大な宇宙といえども、我らが現時点知る限り生命体が存在する惑星は地球しかない
物理現象に逆らいつつも、巧みにそれを利用して生命は逞しく生きている
なんと不思議で、魅力的な地球上の生き物なのであろうか
我々地球の生命を、お互いに敬い、畏敬の念を持って共存し続けなればならない
あぁ人類よ、この美しくも気高い地球を、これ以上愚かな行為で汚さないないで欲しい
たった一滴の雫がもたらした壮大な物語りを我々の過ちで終わらせてはならない
その綺麗な雫を涙じゃないよと言い張る君。
ずっとむかしのオルゴール、
直せば笑ってくれるかな?
雫
朝露の一滴で命が救われたという話を聞いたことがある。極限状態ではこういうことが起きるんだと感心したものだった。極限状態とはまったく関係のないわたしの生活からは知ることのできないことだ。“知る”と“汁”とは関係ないが、味わってみないと分からないのが味噌汁の味だ。味噌汁の味といえばおふくろの味。死んだおふくろが助けてくれたのかな?と思うこともある。水蒸気は目には見えないが確かにそこにあるものだ。花には精霊が宿るという。すべてに霊が宿ると考えるのは日本人だけなのか?
目が覚めたから、縁側に腰掛けていた。
雨上がりの空は、まだ暗い雲に覆われている。
朝日は見られるだろうか。
静寂の中、息をつく。
もくもくと膨らんだ灰色の気分を持て余していた。
柄にもなく緊張しているというのか。
軒先から雫が垂れた。
なんとなく目で追うと、それは地面に染みて見えなくなった。
しずくなら大丈夫だよ。
親友の声が蘇る。
どんなとこでも、すぐに馴染んでやっていけるって。
「だからお互い頑張ろ、か」
呟く。拳を上げて伸びをする。ついでに欠伸も。
大丈夫だ。きっと。上手くやれる。あの子も。私も。
庭先に、桜の木が春を告げようとしている。
今日この里を出る私を、そっと見送るように。