目が覚めたから、縁側に腰掛けていた。
雨上がりの空は、まだ暗い雲に覆われている。
朝日は見られるだろうか。
静寂の中、息をつく。
もくもくと膨らんだ灰色の気分を持て余していた。
柄にもなく緊張しているというのか。
軒先から雫が垂れた。
なんとなく目で追うと、それは地面に染みて見えなくなった。
しずくなら大丈夫だよ。
親友の声が蘇る。
どんなとこでも、すぐに馴染んでやっていけるって。
「だからお互い頑張ろ、か」
呟く。拳を上げて伸びをする。ついでに欠伸も。
大丈夫だ。きっと。上手くやれる。あの子も。私も。
庭先に、桜の木が春を告げようとしている。
今日この里を出る私を、そっと見送るように。
4/21/2023, 3:31:31 PM