『雪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
掌に舞い落ちた雪が体温で溶けてく…
手首に巻いた時計もドアミラーにも舞い降りた
あなたの街に厳冬の知らせは来ましたか?
ここにあなた街みたいな降雪あったら日常が回らず
普段インフラに持たれて切り生活していて
普段の心構えの軽薄な自身を思い知ります
そろそろ起きて除雪のボランティアですか?
体はどうですか?大丈夫?
無理をしないでと言っても
無理をするあなただから…
頑張り過ぎなあなたの今日を推せる言葉が
何にも見つからなくて…
そんな貧者な私が恥ずかしくて恥ずかしくて…
私の街では子どもが玉投げ1つするのに
行政からの大げさに思うルールができました
きっとあなたが眉間にシワを寄せる様なルールです
子どもがうるさいと言う大人の意見が優先されて…
あなたは口うるさい大人から…
子どもの頃の私達を遠退けさせましたね
私も大人になって…あなたの様に…
どんな事も別け隔て無く地域に向き合いながら
沢山の笑顔も色んな悲しみも…
子どもさん達と分け合って微笑んでますよ
あなたのように🍀
毎年毎年…
雪が降ると真っ先にあなたを思う
父でもなくて兄や親友でもなくて…
最初にあなたを最初に胸の奥に感じる…
人がしない事をやりたがらない事を
進んでするあなたはヒーローで誇りなのです
子どもの頃から変わらずカッコいいです!!
痛みに痛々しくも…
声上げず生きるあなたは誇りです
お祖母ちゃんみたいな強さも…
伯父さんみたいな伯も…
父の様な深い大らかさも…
あなたには見え隠れしてて…
そして…
毎年雪にあなたを思う時季に心安らぐ
都会の片隅で日々ストレスの置き場に迷い
そんな暮らしの中でも雪にあなたを思うと…
失くしかけた思いや失くした日々が…
あなたの町みたいに色深く多彩になってくのです…
今日もあなたのように大らかに微笑みながら🍀
……
あなたのように前を向いて強い人でありたい
心細さを灯台の様に闇を照らしてくれる人
いつかあなたの様に
いつかあなたのように 吉田美和
雪が降っているらしい。布団の中で、かじかむ指先をそっと息で温める。こんなに冷える朝は久しぶりで、胸までひんやりする。
部屋の中はまだ暗く、外の世界から切り離されたような静けさに包まれている。だけど、時計の針はもう七時を指していた。起きなきゃ、そう思うのに、まだ温かい布団から離れたくない。
布団をぎゅっと抱きしめながら、のそのそと起き上がる。カーテンを開けると、外は銀世界。降り積もった雪が光をやさしく吸い込み、すべてを柔らかく包んでいる。まるで時間まで止まってしまったかのようだ。窓に映る自分の鼻が、寒さでほんのり赤く染まっている。
子どものころは、雪が降るたびにはしゃいで、冷たい空気の中を息を白くして駆け回った。でも今の私は、大人になってあの感覚をどこか忘れてしまったと思っていた。
それでも今日は、少しだけ、雪で遊んでみるのも悪くない気分だ。心のどこかで、あの頃の自分に会えるかもしれないと思ったのだ。雪の上で手を広げ、冷たい世界の中で笑う少女に。
そうと決まれば、まずはお湯を沸かして、甘いホットココアを淹れよう。ゆらめく湯気を眺めながら、今日の小さな冒険に出かける準備をしよう。
【雪】
きれいだと思えなくなったのは
僕の方が少し汚れてしまったから
むかしはたいそう特別なイベントだったのに
いまは日常の障害として捉えている
いつも明日のことばかり気を取られて
いまここにはいない
体と頭が幾分か大きくなっただけで
心は空っぽだ
社会が豊かになればなるほど
人間として脆くなっている気がする
交差点をペンギン歩きする僕を
星の王子さまはどんな顔して見ているのだろう
「雪」
「可愛らしい女の子たちですよ。よく頑張りましたね」
真っ白な肌、大きな目、綺麗な鼻筋。この世とアンバランスな美貌を持ち合わせた女の子の双子であった。
この子達の父親はわからない。あの不細工なおっさんだと可哀想だな、とどこか他人事のように思っていたが、ここまでの美しさならあのモデルの方かもしれない。
19で夜逃げの如く上京し、色んな男の家を巡り巡ってヒモとして生きてきたが、まさか自分が子供を産むとは夢にも思っていなかった。妊娠が発覚したのは6ヶ月。中絶しようにもできず、やむを得ず出産の決意を固められた。
産まれたての人間は愛おしさ故に可愛らしく見えるが、実際にフィルターを介さずに見ると全くである、と聞いていたが、案外綺麗な顔をしていた。これが母性本能というやつなのか。
「かなり上手に産みましたね。3日後には退院できると思いますよ」
明日にでも退院させて欲しいと言ったら怒られるだろうか。とにかくここの空間から逃げ出したい、その一心であった。
退院後、赤ん坊と共にアクセサリー店へ行った。
「お前ガキ産んだのか? しかも双子じゃねぇか。どれ、面見してみろ。」
入店するや否やトウマが無駄にデカイ声で話しかけてきた。
「デケぇ声出すんじゃねぇ馬鹿が。産後の女を労ることはできないわけ?」
「わりぃわりぃ、ホントにお前が産んだんだな。にしてはキレイな顔してんじゃねぇか。誰の子?」
「多分ちょうど1年前ナンパされたあのモデル、わかんないけど」
「あーあのクソガキかよ。確かに顔だけは良かったな、顔だけは。で、産後早々何の用だよ?」
「ああ、このガキ達のためにネックレス作ってくれない?」
「ん、いいぜ。どんなデザイン?」
「『冬愛』と『冬羽』って掘って。あとは任せる」
「お、名前か? 良い名前つけて貰ってんなおめぇら! ちょっと待ってろすぐ作る」
そう言って、奥の部屋へと行った。
冬に産まれた双子だからという理由で名付けた。安直すぎたかもしれないが、個人的にはかなり良い名前だと思う。
しばらくするとトウマが戻ってきて、両手に小さいネックレスを持っていた。
「ん、できたぞ。ガキ用に小さめで、タグにそれぞれ名前彫ってある」
本当にトウマが彫ったのか疑うほど上出来であった。
「ありがと、サイズもピッタリ」
「あたりめぇだろ俺が作ってんだから。出産祝いってことでお代はいらねぇよ。じゃあ俺ちょっと急ぎの用事あるからじゃあな」
一方的に会話を終わらし嵐のように去っていった。私も行かなければならないところがあるため、足早に店を出た。
15分ほど歩くと目的地が見えてきた。赤ん坊達は何も知らず呑気に可愛らしい顔で寝ている。
ある建物の前で立ち止まった。1度赤ん坊たちを地面に置き、ダンボールを用意した。その中にそっと赤ん坊達と毛布をいれ、一歩後退した。日が落ちてくるにつれ、気温が低くなっているのが分かる。早く暖まりたかったため、赤ん坊を置いたまま足早にその場を離れた。あそこならきっと保護してくれるはず。そう思い顔をあげると、雪が降り始めていた。あの双子の肌のように真っ白で美しい雪だった。
この間、雪が降った。
私の住む場所は普段そんなに雪は積もらない。
仕事が終わって帰る頃、日向の部分は溶けてしまって日陰の部分しか残ってなかったけど、真っ白い雪の上を後輩の女の子が走って行って足跡を付けてた。
「やりたくなるよねぇ」なんて言いながらその日は帰った。
翌日、その雪の上に足跡がめちゃくちゃ増えていたので、やりたくなる人は思ってたよりいっぱいいるのだなぁと思った。
雪(以前投稿した、カラフル、またいつか、の続きです。偶然雪で覆われた地が舞台だったので……いずれ過去のも再編して個人サイトにまとめたさある)
延々続く銀世界とて必ず果てはある。
旅路に終着点があるように、何事にも必ず。
吹雪に身を凍てつかされそうになっても、決して挫けること無く進み続ける。地平線の果て、荘厳なる黄金の城を目指して。どんなに冷たい世界でも、どんなに苦しい時でも、雪を踏みしめ続けるのは変わらない。
帰りたいとか、寂しいとか、そう思った事がある。
でも、帰らない。目標を達するまでは。
「……はあ」
吐く息は白い。
紛れることのない孤独感に苛まれつつも、狩った獣の肉を噛み千切る。かなり大型の鹿で、一度でもモロに突撃されてしまえば容易に父の後を追える。
こうも寒いと資源が限られるから小型の動物がいそうだが、ベルクマンの法則からそんなことはない。リー・エンフィールドの弾薬も決して多くはないから、ある程度近接戦をしているし、二人で狩りを出来ていた時が一番楽だった。
二人で……
「ラーノチカ、今何してるのかな」
「大事な物を持っていき忘れたおバカちゃんを追って、三千里辿ってきたところよ」
「……ラーノ……チカ?」
とうとう幻覚が見え始めたかと思った。
普段よりも遥かに重装備な彼女が、ウィンチェスターM1887を背負ってそこに立っていたのだ。
確か休憩のために辺りに罠を巡らせていたはずだが……全部躱されたのは私のだから、なのかな。
慌てふためく私の横へ、ほんのり疲れを滲ませた様子で座り込む。
「……あんなにちゃんといってらっしゃいの挨拶をしたのに、家でお迎え出来なくてごめんなさいね」
「幻覚、かな」
「こうやってほっぺを摘まんだら、そうじゃないって分かるかしら」
むにっ
「いたぃ」
「ふふ、これで分かったかしら」
幻覚じゃなくて、現実。
なんだか実感が沸かない。新雪よりもふわふわしてるような、そんな非現実的な感覚が胸中を占める。彼女は虚弱でもなければ頑強でもない。たまたま出会った時はかなり弱っていて、指先なんかは氷みたいで。体温と焚き火で精一杯温めて、その後名前を知った。
――スヴェトラーナ
住んでたところよりも、もう少し寒い辺りの言葉で『光』を指す言葉。
それで、愛称が……
「ラーノチカ」
「なーに?」
愛称で呼ぶ度に、ふわりとはにかむ。
栄華の痕跡も、繁栄の軌跡も、栄辱の全ても雪で覆い隠されたこの地において、唯一心を許せる存在。私の金髪とは対照的な銀髪のロングヘアには、時折目も奪われる。
「大事な物持っていき忘れたって言ってたけど、あの……その……スノーモービル、とか?」
「ええ、もちろん」
「ラーノチカ、それラーノチカが交易に行く時の為に置いていったの、だから、別に忘れたわけじゃ」
「ええ、優しい貴方なら気遣ってそうしたのは分かってるわよ」
ならどうして、と問おうとした。
けれどその瞳に私は勝てなかった。
「その……早く、帰ってきてほしかった、会いたかった……なんて、言ってもいい?」
自信なさげに問うラーノチカの口角は上がっていたけれど、その眉は下がっていた。
……私には、やらなくてはいけないことがある。父の死について知ることだ。けれども、私はそれの為に……今やただ一人の、"家族"みたいな、そんな人を……置いて、行ってしまった。
父が死んだ時、狩りを教わって1年かそれぐらいか。今よりもまだ背が低くて、父と毎日を過ごすのは当たり前だと思っていた。突然終わりを告げて、一人で生きなくてはならなくなって……雪空は孤独の象徴となった。
「……うん。行こ。二人で早く行って、知って、それで早く帰る……そのために、久々に二人乗りだね」
久方ぶりの一人ぼっちな雪空は、もうおしまいだ。
雪片を手袋をした手の上で、マジマジ、シゲシゲ観察することも久しくしてないけれど、雪の結晶って確か一つとして同じ形は無いんだったよね?
雪…降らないかな。久し振りにじっくり観察したくなった。
#雪
am02:30
トントン…
肩を叩かれた
目を開けると
そこにはお化け…
ではなく
娘が立っていた
「ママお腹空いた」
え?
「眠れない」
そっか…
いそいそとリビングへ
昨夜のシチューを
温める
食べている間に
ベランダへ
外には雪が…
ありませんでした
戻ると
もう食べ終えていた
…早っ…(笑)
早く二度寝しよう
まだ眠れないと
お絵描きをしだした…
私は眠いです🥱
✴️628✴️雪
『寂しいメール』
視界の端にチラリと白いものが映る。なんだと思う間にそれは幾つもひらひらと舞い落ちてきて、地面に降り立つ。
「わぁ…!雪だ…!」
雪を見るのは何年ぶりだろうか。久しぶりに見る雪にテンションが上がる。開いた手のひらに雪が乗り、冷たさが伝わった。
「あ…!そうだ…!」
彼に知らせようとスマホを取り出すが、メールアプリを開いたところでピタリと動きを止める。
こんなことで連絡していいのか…?そんな不安が頭をよぎった。付き合っているのだから良いのだとも思うが、どうしても躊躇してしまう。彼は忙しい人だ。仲間からの大切な連絡がたくさん来る。その中でこんなくだらないことを送るのは迷惑ではないか?……もしこれが原因で嫌われたら?そう思うと、余計にメールしようとする手が下がってしまう。
彼とのトーク画面を開くと、それは1ヶ月前で止まっていた。
私はスマホを鞄に仕舞い、寂しい道を1人歩き始めた。
【雪】
#11 雪
(#10のあいつ視点)
クリスマスもバイトなんて、ほんとにツイてない。
いつもだったら、湊と一緒にいるのに。
シフトの提出忘れて、勝手に入れられてた。
ぼんやりと仕事をこなす。
いつのまにか、時計は二十一時を指していた。
箒で床を掃きながら、
クリスマスなのに、全然暇だったな。
なんて考える。
ふと、窓の外に目をやると、雪がちらついていた。
「あ、雪。」
だから、みんな家から出ないのか。
部屋が暖かいから気づかなかった。
と一人で納得する。
「今日暇だし、先に上がっていいよ」
事務所で仕事をしていた店長が声をかけてきた。
ラッキー。早く帰れる。湊に連絡しちゃおっかな?
ゴミをまとめながら、ふとそう思う。
縛って捨てて、事務所へ入った。
打刻をして私服に着替える。
やっとバイトが終わった感じがして、ふぅ、と息をついた。
上着に袖を通して、スマホを片手に靴を履き替える。
「お疲れ様でしたー」
なんて間の抜けた声で挨拶をして、LINEを開いた。
湊のアイコンを指先で触る。
雪、降ってるよ_
フリックしながら店のドアを開いた。
ドン
鈍い音が響く。
「痛ってぇ」
低い声、聞き覚えがある気がする。
「あ、ごめんなさい」
咄嗟に謝って、顔を上げた。
「え、」
言葉が出なかった。
「お前がちゃんと見てねぇからだろ」
湊だった。
ぶつけて赤くなったおでこを手で隠しながら、当たり前みたいに立ってる。
その様子が異様すぎて、笑ってしまう。
「なんでここまでくるのよ、ほんと湊って変だよね」
そう言いながら肩をつつく。
たぶん、変ってなんだよ、ってムスっと言われるんだろうな。
そう思って、湊の様子を伺う。
湊は少し俯いていて、表情が読めない。
なんか、変だな。
どうしたの?
そう聞こうとした瞬間、湊が私の目を見つめてきた。
あまりにまっすぐな目をするもんだから、気恥ずかしくて思わず目を逸らす。
湊が、小さく息を吸った。
「あのさ、俺、」
何故、雪が降ったら喜ぶのだろう。珍しいから?楽しいから?雪が降ることによる被害はとても多いのに、何故か雪が降って欲しいと願う人が多い。僕は分からない。なぜ、害あるものなのに…。そんな屁理屈ばっかり考えながら育ってきたんだ。当然友達なんていなくて、いつも1人ぼっち。僕だって、みんなと同じ感性で生まれたかった。無邪気に雪を嬉しいと感じたかった。周りと少し違うだけで何故輪の中に入れてもらえない?皆同じ考えだったら世界は発展していない。だから、新しい考えを持つ者は貴重なはずなのに。何故?僕は君達より優れているはずなのに、なぜ?
イライラして、皮膚を掻きむしる。この爛れは必ず冬になったらできてしまうんだ。
ねぇ!雪ってなんでおそらからふってくるの?
それはね、神様が皆笑顔になりますようにって私たちに幸せを届けてくれてるのよ。
へー!じゃあ、神様はおともだちたくさんなの?
うん!神様もお友達沢山いると思うよ。
ますます出かけたくなくなるから降らなくていいよ
【雪】
近づきすぎると、嫌なところも見えるね。
遠くで、そこはかとなく存在に触れ、特別感を味わっていたほうがよかった?
でもね、
近づいたからこそ、向き合う強さを持てたんだよ。
人生に一度は
豪雪地帯に住んでみるのもいいかもね!
暖かい地域に住んでいるときは、雪がちらちらと降って、世界が少しずつ白く染まっていく姿がとても好きだった。そんな時期に生まれてきたことも誇らしかった。
今は今で、雪による大変さを味わっているけど、
それのおかげで、人に支えてもらうことも増えた。
助けてもらう余地が生まれたのかな。
そしてね
大変なことがあってもね
雪は綺麗。真っ白。
大好き。
こんな時期に生まれてこれた自分も大好き。
大変な生活も愛おしくなるかもね
雪
私は、海辺で育った。
雪が少ない町だった。
うっすら積もっても雪だるまは作れるほどの
雪量がなかった。
中学2年の時、雪の多い町に引っ越した。
雪だるまを作って見たかったけど
庭が狭く雪だるまはスペースがなく置けない。
なのであっさりあきらめた。
それから大人になり、結婚して住んだ場所は
庭が広かった。
町もなかなかの雪の量が降る。
子供が生まれ、一緒に雪だるまを作った。
雪だるまは、子供を喜ばせたくて毎年作って
子供より自分が楽しんでいたように思う。
子供時代の夢が叶えたかったのだろう。
私は雪だるましか浮かばなかったけど
息子はカマクラを作って遊び出した。
ソリも出して来て雪のスロープを作って滑る。
子供の心には雪は色々なイメージが湧くのかもしれない。
大人になると忘れてしまうけれど、雪の中
何時間も寒さを忘れて遊べる子供。
雪には、子供にしか見えない魅力があるのかな。
雪の降る帰り道、
『生きているの』
彼はそう言って走り去った。
夕暮れ時の狭間で、
選択を間違えた気がした。
彼が夢を語った辺りから、
私は話半分で聞いていた。
夢はどこまで行っても夢であって、
今を生きている自分は、
今を生きる力しかないから。
夢を考えるのは見当違いだと、
そう思ったからだ。
彼の夢は、
物語じみた物を感じた。
彼の原動力はそこなのだと
そう感じるとても幻想的な夢だった。
今の私には眩しくて、
少し気が散ってしまったようだった。
今を生きる時間と、
夢を考え語る今、
重さはどちらも同じであった。
私の心には、
彼には酷く現実に見える考えがあった。
「未来を夢見る今より、
先を考え備える今を大切にしたい。」
私はそう答えた。
彼は目を丸くし、
少し俯いた。
そうして彼は言った。
「夢も私も、
生きているの。
生きていたら、
どう生きたいか、どう死にたいか
考えるものでしょう?
私は今、どう死にたいか喋っているの。」
彼はそう答えて走り去った。
驚きはなかった。
ただ静かに、
彼の走り進む音が聞こえた。
僕と君は雪を一緒に見たことは無い
いつか君と見たいねと約束したのに
今では地面に吸い込まれる雪よりも儚く散った
君は言った
不満があるのなら私に教えてと
僕は言った
不満などないと
僕は君に負担をかけたくないと思い
不満を言えぬまま
時は流れ
やがてお互い不満を言わなくなった
それは不満が無くなったんじゃない
言えなくなっただけなんだって
今更気付かされた
そしてやがて僕たちは
静かに距離ができ
いつの間にか
消えてなくなった
やがて僕は1人になった
君と一緒に出た都会
今は一人で帰るかつて捨てた故郷
故郷では今日もしんしんと雪が降っています
君といつかみたいねと約束した
雪が降っています 音もなく
唯一遊べる天気だから、待ち遠しいとさえ思う。
お題:雪
「雪」
雪の降る夜。郊外のアパートの一室。四人用のテーブルに向かい合って座る二人の男がいた。
「兄さん、オレ、進学はせずに就職する」
高校三年の弟が言った。向かいに座る八つ年上の兄は、ちょうど今の弟と同じ歳の頃に両親を失い、大学進学を諦めた。その頃まだ十歳だった弟は、頭の良かった兄が進学を辞めることを決めた時の顔をよく覚えている。大切な何かを諦めた顔を。
突然に両親を失った兄弟はあまりに無力だった。親戚に二人を引き取って育てる余裕のある家庭はなく、兄は施設に入れる年齢ではなかった。二人が引き離されずに済む方法は、兄が弟を養うことだけだったのだ。両親の残した遺産は多少あれど、二人分の学費と生活費を考えると、到底充分とは言えなかった。
やりたかったことを諦めて、がむしゃらに働き自分を養ってくれる兄を一番近くで見てきた弟としては、少しでも早く就職することで、兄に自由を与えたかった。兄は事ある毎に大学には行け、勉強しろ、と言ってきていたが、弟としてはこれ以上兄へ負担をかけるのは嫌だったのだ。
「……は?」
兄は低く唸るように一言だけ声に出した。
「俺はずっと大学に進めって言ってたよな。お前もこれまでは進学するって言ってたじゃないか。」
「……ごめん。でもやっぱりこれ以上兄さんに負担をかけたくない。」
「なんで!!お前の学費は父さんたちの残してくれたお金を貯めてあるから、心配要らないって!」
「近くの大学はオレにはレベルが高すぎるし、地方で一人暮らしするとなると家賃もかかるだろ。そんなに勉強したいこともないしさ。」
弟の言葉を聞いた兄は声を荒げた。弟は一つ深呼吸をしてから、なるべく落ち着いた声で説明をする。
「オレに金が掛からなくなったら、兄さんも好きな事できるだろ。ほら、仕事辞めて大学入るとか。」
「はぁ!?なんで、今更!!俺はお前の将来を思って……!!」
「そもそもオレ、そんなに勉強好きじゃないし。兄さんが行った方が世の中のためになると思う。」
弟はずっと、兄が自分を殺して、弟のためだけに生きてきたことを憂いていた。少しでも早く自立して、兄にも自分を大切にして欲しいと思っていたのだ。それに、兄は昔から勉強が好きだったけど弟はそれほどでもない。兄に心配をかけない程度にはやってきたつもりだが、大学に入ってまで勉強したいと思えるようなことはなかった。弟が進学するよりも、頭の良い兄がした方がよっぽど世の為になるだろうとも思っていた。
「今はお前のことを話してるんだ。俺のことはいい。」
はぁっと深いため息をついた兄が、頭を冷やしてくると言ってベランダに出た。窓の向こうでタバコを吸う兄を見つめる。兄の横顔とタバコの煙の向こうに、チラチラと雪が舞っているのが見えた。
「……どうして分かってくれないんだろうな。」
「雪だ」
先輩が呟いた。その時点で、今日の僕達の活動は決まったも同然だった。
「雪だるまつくろう」
「その映画もう10年以上前のやつですよ」
「私は昨日初めて見たよ」
先輩はいい加減だから、本当に昨日初めて見たのか、10年前のことを昨日と呼んでいるのか、僕にはわからない。わからないけど、もし本当なら一番楽しい時期だろうなと思った。
ほんの少ししか積もっていない雪で、苦心しながら先輩は雪だるまを作る。正しく雪だるまと呼べるのかもわからないちっぽけで歪なそいつは、贅沢にも「カローレ2世」という名前を先輩から賜った。「イタリア語で熱という意味なんだ。情熱的な男になるよ」なんて先輩は言う。僕は無茶苦茶な期待を背負わされたカローレ2世に同情する。そもそもなんで2世なんだ、1世はどうした。
「私と一緒に、どこまでも生きようね」
手のひらに載せたカローレ2世に向かって、まるで神様のように無垢に先輩は微笑んだ。残酷な慈悲深さ。先輩のこういうところが僕は好きで、いつだって同じくらい憎らしい。
今日ははらはらと雪が降るくらいには寒い。でも、明日はそうでもないことを僕は知っている。たった一晩でさえ彼が乗り越えられるかはわからない。先輩はそれを知らないし、きっと興味もないだろう。
だから僕は何も言わずに、ただ彼がその身に宿した名前に押しつぶされず、できるだけ長くここに在れることを祈る。
雪
手のひらにふわりと落ちて、音もなく消えていく。
君はそれを幻想的だと笑ったね。君の笑顔につられて私も笑っていた。消えてしまう様が寂しいとは言えなかったんだ。なんとなく。