雪の降る帰り道、
『生きているの』
彼はそう言って走り去った。
夕暮れ時の狭間で、
選択を間違えた気がした。
彼が夢を語った辺りから、
私は話半分で聞いていた。
夢はどこまで行っても夢であって、
今を生きている自分は、
今を生きる力しかないから。
夢を考えるのは見当違いだと、
そう思ったからだ。
彼の夢は、
物語じみた物を感じた。
彼の原動力はそこなのだと
そう感じるとても幻想的な夢だった。
今の私には眩しくて、
少し気が散ってしまったようだった。
今を生きる時間と、
夢を考え語る今、
重さはどちらも同じであった。
私の心には、
彼には酷く現実に見える考えがあった。
「未来を夢見る今より、
先を考え備える今を大切にしたい。」
私はそう答えた。
彼は目を丸くし、
少し俯いた。
そうして彼は言った。
「夢も私も、
生きているの。
生きていたら、
どう生きたいか、どう死にたいか
考えるものでしょう?
私は今、どう死にたいか喋っているの。」
彼はそう答えて走り去った。
驚きはなかった。
ただ静かに、
彼の走り進む音が聞こえた。
1/7/2026, 4:29:25 PM