Fountain

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8/26/2024, 10:22:12 AM

いつも書いている日記に

赤ペンで印がつけたあった

それは、昨日のバーベキューのことだった

母さんがつけたのかなって

ほっといたけど

友達の家に泊まったときも

昨日の日記に印がつけてあった

幼い頃のわたしは

大して気にしていなかった

大きくなって

結婚して

子供もできた頃

ふとその日記のことを

思い出した

子にそのことを話すと

「それ、僕の日記と同じじゃん」

と言って、日記を見せてきた

すると同じく印がつけてあった

こんなことをする妖はいただろうか

座敷わらしだといいなと

子供心を呼び起こしながら

そんなことを

思ったのだった。

8/26/2024, 10:04:36 AM

いつも通りの朝がきた

8時過ぎの電車に早足で乗った
車内はいつもより空いていたと思う

駅をふたつほど過ぎたころ
いつもの子が私と同じく
早足で乗ってきた

偶然かもしれないけど
いつも向かい合わせの席に乗って
いつもと同じ朝の時間を過ごす

片耳につけたイヤホンの音に
耳を傾けながら
ちらりと前を向くと

あの子と目が合ってしまった

いつもは逸らすのに
今日はなぜか逸らせなかった

線路の繋ぎ目をいくつか通ったあと

なにか話そうとしたが

あの子も話そうとしたのか
口籠もってしまった

すると

「......いつも一緒なのに笑っちゃいますね」

夏風にゆれる風鈴のような声だった。

そのままお互いに何を話したのか

霞む記憶を掘り起こそうとしても

早朝の朝日が彩った
あの子の眩しい笑顔しか
思い出せなかった

向かい合い続けたあの時に
わたしは今も
夏の幻想を抱いている。

8/12/2024, 8:00:59 PM

言葉にしたいことの為に
音楽を奏でたい。けど、
感じることに対しても
奏でたい。

6/12/2024, 5:36:58 PM

世界は好きさ
周りが嫌いなだけ

世界が変わると面白いことが起きる!
周りが変わると気を使わないといけなくなる

好きさ
嫌いだね

「ねぇねぇあのVTuberコラボするんだって!」
「仕様書また変わんのかよ、クソダリィな」

見えてるものなんてこんなもの
嫌い嫌い、だけど、

このクソッタレな世界が好きさ。

5/1/2024, 7:26:01 AM

2000年、あの時代は私たち若者が、
影しか追うことができなかった時代である。

1995年、2002年。この世には稀に
空白の時代が現れる。
その空白は若者には刺激が強すぎる。

私は知らない。その時いなかったから。
私はわからない。
影しか追うことができないから。



≪音を追うもの≫

「かっけぇな」

「だろ? これが2000年代の光だよ」

高校性が二人、
夏休みが始まったばかりというのに

変わらず校舎の一角にたむろするのは
習慣なのだろうか。

「なんてバンドだっけ?」

「それがわかんねぇのよ。レコードは発表するけど、いつもバンド名が書いてないのよ。
だから【影】って呼ばれてる」

「影って...結構ハードなロックだったが、暗いイメージなんてどこにも感じなかったぞ」

「まぁ影ってのはそのバンドの影しか追えないからだろうよ、とっくの昔に解散しちまってるし」

その日は警報が出るくらい暑い日だった。二人は駄菓子屋で買ったラムネを飲んでいた。

空には立派な入道雲、道路にはびこる陽炎たち。野球部の掛け声だけが清々しく耳を通り抜ける。

「こんなアッツイ日でも野球部は通常運転なんだな」

「そりゃ当たり前だろうよ、去年甲子園一歩手前まで行ったんだからな」

「それもそうか、熱血人間たちに敬礼!」

『敬礼!』

二人はそう言って、三階の音楽室へと向かった。

そしてしばらくして鉄線を掻き鳴らす音が
聞こえてきた。
しかし、この青い音も長くは続かない。

校舎に響くのは蝉の音と、
ラムネのビー玉が転がる音だけだった。

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