雪が降っているらしい。布団の中で、かじかむ指先をそっと息で温める。こんなに冷える朝は久しぶりで、胸までひんやりする。
部屋の中はまだ暗く、外の世界から切り離されたような静けさに包まれている。だけど、時計の針はもう七時を指していた。起きなきゃ、そう思うのに、まだ温かい布団から離れたくない。
布団をぎゅっと抱きしめながら、のそのそと起き上がる。カーテンを開けると、外は銀世界。降り積もった雪が光をやさしく吸い込み、すべてを柔らかく包んでいる。まるで時間まで止まってしまったかのようだ。窓に映る自分の鼻が、寒さでほんのり赤く染まっている。
子どものころは、雪が降るたびにはしゃいで、冷たい空気の中を息を白くして駆け回った。でも今の私は、大人になってあの感覚をどこか忘れてしまったと思っていた。
それでも今日は、少しだけ、雪で遊んでみるのも悪くない気分だ。心のどこかで、あの頃の自分に会えるかもしれないと思ったのだ。雪の上で手を広げ、冷たい世界の中で笑う少女に。
そうと決まれば、まずはお湯を沸かして、甘いホットココアを淹れよう。ゆらめく湯気を眺めながら、今日の小さな冒険に出かける準備をしよう。
【雪】
1/7/2026, 6:39:12 PM