『雪を待つ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
もう北海道とか、東北とか、関東でも雪が降っているらしい。雪とは無縁の生活を送る僕からすれば、雪ダルマを作って、雪合戦して楽しそうと思うくらいだが、豪雪地帯の人にとってはふざけんなという感じなのだろう。
待っても待っても来ない。雪なんて、滅多に降らないから。だから、数年前から待つことを諦めた。雪が振らないからといって支障は何もない。晩飯は美味しいし、勉強は捗るし、ゲームも楽しい。でもね。何か、寂しいんだ。物足りないような。やっぱり、冬にはサンタと雪がほしい。そのどちらもここ数年、見ていない。だから、冬が嫌い。他の季節に比べて暗いから。冬らしい事なんて、暫くしていない。
十年に一度レベルの寒気らしい。冬に受験を控えている人は風邪を引かないように。豪雪地帯の人は、無理しないように雪掻きを頑張ってください。
【雪を待つ】
YouTubeとかだとたくさんの雪が降って
遊んだりしてるのを見たことがあるけど、
田舎となると雪が降るのは、
年に一度、降るか降らないかなんだよな。
去年の冬は、雪が一度降った記憶があるな。
朝にカーテンを開けると、雪が降っていて
急いで外に行って雪を触ってたな。
今年の雪は、どんな雪か、または
どんくらい降るのか、何回降るのか。
そう思って雪を待つ。
雪を待つ、貴方には、怖くなっていく、古い記憶
溢れ出す、貴方は、また、期待をして待っている
何も叶わない事を知らぬまま、ただただ時間だけ
過ぎていく、忘れずに、過ぎていく、けれども、
貴方には、幸せを噛み締めたいあまりにも、醜い
醜態を晒してでも手に入れたいもの、雪の中から
見つけてみたい、貴方の、身体の一部に、欲しい
忘れずに、また、探し出す、知らぬ間の夕暮れに
"焦がれて焦がされ何も残らないのが、寂しいな"
それを言ったら終わりだか、
何も忘れられずにいられるよりかはまだマシかな
【雪を待つ】
思えば、あなたを想い続けてきた人生だった。
晴れの日も、雨の日も、曇りの日も。
悲しくても、寂しくても、楽しくても。
私にとってあなたは全てだった。
あなたの力になりたいと願い続けた。だから、この結果は本当に私のせい。
「ありがとう」
目の前で美しい花が咲く。それは、私が育てて、別の誰かに摘み取られた花。手間をかけただけ、その笑顔はかえがたいものとなってそれが酷く私の胸に突き刺さる。いっそ、見なかった振りをしたい。
けれど現実は残酷なまでに目を逸らさせてくれない。
「あなたのおかげ。大好きだよ」
「ずーっと」
「友達でいてね」
それは世界で1番可憐で、そして私のみを傷つける刃物だった。
初めは、ただの友達だった。
いつしか窓際で微笑む君を見て目が離せなくなり、恋だと気づくまでそう時間は要らなかった。けれども彼女は友達しか必要としていないみたいで、だからこそ唯一の男友達だった私を信頼してくれた。特別感に酔っていて、将来君のとなりにいるのは自分だと信じていた。
だからこそ、『自分だけ』で君を寂しくさせる時間があってはいけないと思って男友達の輪に入れたり、逆に女子の輪に友達を連れて一緒に遊びに行ったりした。独りよがりではなくて、君も嬉しそうに楽しそうに笑っていた。
独りよがりでは、本当になかった。だからこそ。
「好きな人が出来たの」
何を言っているか分からなかった。いや、君から1番聞きたくなかった言葉だからこそ最も理解していたが、耳に入れたくなかった。
「君の友達の𓏸𓏸くんなんだ。ね、親友、協力してくれる?」
私が見た事のない、ラズベリーの笑顔。
私以外に向けられているその笑顔を、それでも私は守らなければならない、とそう思った。まだ思っていたのかもしれない。必死に君のために頑張れば、私の良さに分かってもらえていつか告白してくれる、なんて。
皮肉にも私には仲人の才能が有り余るほどにあった。
何より周囲の人間は、憎い友達も含めて良い人間だった。だから恋心を知って身を引こうとしたそいつを説得し、全力で友達のために動いた。涙が零れていた。ああ、人のために動くのがとてもとても素晴らしい。
「君がいたから、僕はここまで来れたよ。人を好きになれるようになった。ありがとね」
イタズラげで、照れ隠しで、それでも感謝だけは痛いほど伝わってくる言葉を原動力に私は、止まれなかった。
その結果が。
彼女と別れた帰り道。冬が体にしのびよる夕方。
どう答えたか、なんて記憶に残っていない。
ただ、精一杯の愛想笑いと激励でその場をやり過ごした。きっと私の人生の決定的なハイライト、観客が涙するほどの名演だろう。その観客は開幕から終わりまで一人しかいないのだろうけれど。
そう考えると笑いが込み上げてくる。口を開けると堰を切ったように喉の奥から感情が込上がってきた。
灰色の空に独つ、その狂ったような声がいつまでもいつまでもひびき続ける。
私は、雪を待つ。
きっと降って私のか誰のか分からない足跡を消してくれるまで。
『雪を待つ』
雪を待つ。
冬の訪れを肌で感じ取って、その冷たくて柔らかい結晶を手のひらで溶かす。
息が白く凍りついて、去年の冬には隣にいた君を、やけに思い出させた。
寒い夜の日
君と眺めた雪を思い出す
隣にもう君はいないけど
またいつか出逢う誰かと
一緒に見れることをを
祈って雪を待つ
雪を待つ
私は暑い地方で生まれ育った。
雪を見た事がない。
雪を見たいと、ずっと願っていた。
大人になり、自由に旅ができるようになった。
そろそろ冬だ。
「雪を待つ」とかけまして
「パンダ」と解きます。
その心はどちらも「しんしん/シンシン」です。
孫 「ねーおばあちゃん雪はいつ降るのー?」
ばぁば「んーいつだろねぇ」
婆ちゃんは気づいていた地球温暖化がどんどん進んで雪が余り降らなくなってきた事を
【雪を待つ】*188*
雪はキレイなんだけど、寒いの苦手なんだよね笑
ちょっと雪景色を楽しめたらいいかな
子どもの頃は通勤のこと考えたりもしなくてよかったから
ただただ盛り上がってた気がする
あの頃が懐かしーーい
今年はWhite Christmasになるかな…
雪を待つ
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.12.16 藍
雪がとけちゃう。わたしは眠りからさめた。
わたしを包む、お母さんの大きな翼から、ズリズリ、わたしのちいさな翼をだすと、スーっと冷たい風が触れて、翼がかたく縮んじゃった。
でもいかなきゃ。
黒いわたしのちいさな頭を、黒い全身を、ほそい足を出して、お母さんの顔をみる。
わたしにそっくり。まだねてる。
さ、いよいよ外に出る。
目の前には、細長い四角形型に漏れ出す、白い光と白い地面!とってもきれいで、わたしの白い息すらわずらわしい。
そして四角形型からわたしは落ちた。
白い地面が目の前をおおう。寒さに怯えるわたしの翼!
地面から頭をそらせ、翼ではばたく!
「ジ、ジ、ジ……!」
わたしは鳴いた。
白い、冷たい地面からグングン離れる、ああ、さむい!
つめたい指先、長い爪先さえ凍りついたような、このかんじ!
わたしは飛んだ。
鳥のように、綺麗にまっすぐ飛ぶことはできないけれど、ずっとずっと、たのしそうに飛べる。わたしはこの飛び方がすき。
「ジジジ、ジジジ、ジジジ」
飛びながら、後ろ足を雪に触れさせてみる。
ふしぎなかんじ!新な芝に触れたときのような、ばらの花のくきを握っちゃったときのような……!
思わず高く鳴いちゃった、その時反響する音があることに気がついた。
目の前の、みどりに白に茶、と色とりどりな岩がある。そこにいる!
すぐ飛んで、岩に親指をひっかけてしがみついた。
てっぺんにいるカタツムリは、わたしを見下げて頭をふってくれた。私も耳をクイクイ動かして、返事を返す。
わたしのちいさな友人。また来年も、雪といっしょにわたしのちいさな友人はあいさつしてくれるだろうか。
窓枠に肘をついて、ヘンリエッタはずっと外を見つめている。その視線の先にあるのはどんよりと厚い雲に覆われた曇天だ。窓に当たる呼気で白く曇ってしまうほど、外の気温は低いらしい。
「おい、ヘンリエッタ。お前、何をしているんだ」
一心に外を眺める彼女を訝しげに見ながら、ローレンスが口を開いた。
「んーと……」彼女は振り返ることなく答えた。「雪が降らないかなって、ずっと見てるの」
彼の眉間の皺が濃くなった。苦虫を噛み潰したような渋面を作ると、大きな溜息をついた。
彼の溜息の音を聞いて、彼女は振り返った。渋い顔をする彼を見て、くすくすと笑い声を上げる。彼は寒いのが嫌いなのだというが、話をするのも嫌がるとは。彼女が笑うので、彼はますます眉間の皺を深くした。
ヘンリエッタは窓枠に面したベッドから飛び下りると、てくてくと暖炉の傍をで本を読む彼の元へと歩いていく。
「ねえ、ロロ」
すり寄りながら甘えた声を出すと、彼は嫌そうに顔をしかめながら、口を開いた。
「何だ」
「お外、行こっ」
「断る」
即答すると、ローレンスは彼女を氷のように冷たい眼差しで見やる。その眼差しの冷たさは、おそらく外の気温より冷たい。
「お前、私が寒いのが嫌いなのを知っているだろう」
だってぇ、と彼女は唇を尖らせた。
「ずっとお部屋の中にいるのつまんないんだもん」
そうだ、と何かを思いついたらしいヘンリエッタが顔を輝かせた。
「じゃあ、わたし一人でお外行ってくる!」
「馬鹿を言うな。私の目の届く範囲にいろ」
間髪容れずに却下されて、彼女は頬を膨らませた。けち、と彼をぽこぽこっと叩くと、しゅんとして窓辺に戻っていく。その様子を横目で見ていたローレンスは、彼女があんまりにもしょんぼりとしているので、深々と溜息をついた。
ヘンリエッタ、と声をかけると、近くのポールハンガーに掛けてあったコートを掴んで、彼女に向かって放り投げる。真正面からそれを受けた彼女は、小さな悲鳴を上げた。
「な、何?」
困惑したようにコートを握り締める彼女に、ローレンスは自分もコートに袖を通しながら言った。
「雪が降るまでなら付き合ってやる。さっさと用意しろ。全く……好き好んで、寒い中に出たがるとは酔狂な……」
見る見るうちに顔を輝かせて、ヘンリエッタは満面の笑みを浮かべた。いそいそとコートを着込んで、マフラーを巻く。あっという間に用意した彼女は、扉の前で早く早くと彼を急かした。その無邪気な笑顔を見て、彼は知らず知らずのうちに口許を緩めていた。
雪を待つ
雪を待つ。これを越えれば春だから、と、信じていられる冷たい光。
手の冷たさはポケットで誤魔化して、じりじりする耳に耐えて、コンビニに入る。
ほぅ、と息を吐く。いらっしゃいませの声。暖を取りにきただけではないと言い訳するように、まっすぐ、なんとなく、あたたかい飲み物の棚を見る。別に、飲みたいものは無い。ガラス張りの外を見ても、雪は一向に降ってこない。雲の少ない、薄い色の空。風に揺れる街路樹の枝。
…模試の結果が、ダメだった。
入りたい大学。友達や家族。自分のやってきたこと。あともう少ししか時間がないのに。何がいけなかったのか。
雪が降れば良いのに、いっそ。雪が降ればいいのに。白く埋もれて仕舞えば良いのに。私だけがそこから芽吹かない春。
ペットボトルのレモネードを買って、コンビニから出る。ありがとうございましたの声。冷たい風に怯んでなんかいないと見栄を張って、足を止めずに出ていく。
はぁ、とため息をつく。レモネードをひとくち、ふたくち、冷めないうちに。
…あったかいや。
こんなに悪かった模試、今まであったっけ。
本番じゃなくてよかったや。…うん。
これを超えた春に、花を咲かせたいと思う。
12月15日(金)
しんしんと雪の降る日、
「一晩留めていただけませんか」
そんな声が聞こえた。この館の扉が開くのは何時ぶりだろう。この言葉を聞き、私はとても喜んだ。階段を下り玄関へと急いだ。
玄関の扉を開けると、顔が青白くなっている女性が立っていた。ボロボロのフードを被って震えている。私は彼女を館に招き入れた。
彼女にココアを差し出したが、ぎょっとしたような顔をして、
「すみません。ココアは苦手でして…」
と断られてしまった。ならばと思い、マフラーを渡した。渋々彼女は受け取ってくれた。
12月16日(土)
朝になり、彼女はお礼を言うと帰っていった。朝ごはんに目玉焼きでもと思い差し出したが、またもや断られてしまった。貴重な人間だっただけに、食べ物を食べてもらえなかったことをとても悔いたが、きっと、次の雪の降る日に彼女はまた訪れるだろう。そのときにでも、何か食べ物を食べてもらおう。
雪を待つ。
雪を待って、雪は好きなだけ降ったら自分をここにおいていくんだ。
雪はいいよな。
どんなに嫌なことがあっても溶けるから。
僕は溶けないんだよ。
どんなに怖くても嫌なことがあっても悲しくても。
何で僕はこんなにとろいの?
何で僕は現実より夢を求めるの?
何で君は手を差し伸べて突き落とすの?
僕の疑問は積もっても解けることはない。
夕暮れ時になっても雪は降らない
雪が降ったらという約束はまたしても守られない
君がここに来てくれるまで私は雪を待ち続ける
かじかむ手を擦りながら、白い空を見上げる。
雪はまだ降らなようだ。
俺は雪が舞う町の写真を撮るため、ここでその機会を待っている。
この地域は雪が降っても一瞬で止んでしまうので、シャッターチャンスを逃さないよう、ここで待っている。
長丁場なのを覚悟して、かなり着込んできたのだが、予想以上の寒さだ。
刺すような寒さに身を震わせながら、雪を待つ。
心の中の弱い家に自分が帰ろうと言うが、その度に頬を叩いて気合を入れ直す。
ここで妥協なんて出来ない理由があるのだ。
その理由とは、俺と友人との勝負だ。
どっちがキレイな写真を撮るかの写真勝負。
友人とは幼馴染で、何かにつけて勝負して遊んでいた。
その時の気分で勝負内容を決めていた。
写真勝負だって今回が初めてだ。
そして最後の勝負でもある。
友人はもうすぐ引っ越すのだ。
海外に…
海外に行ってしまえば、二度と勝負は出来ない。
年内に引っ越すので、これがタイミング的に最後の勝負になる。
今までの勝負は、毎回真面目にやってきたわけじゃない。
フザケたり手を抜いたりした事もある。
その度に怒られたが、向こうもたまにサボるのでお互い様だ。
でも今回は手を抜いたりはしない。
アイツと俺の最後の勝負が、最後の思い出が、いいかげんなものなんて、絶対に嫌だ。
だからこそ、俺は妥協しない。
予報ではそろそろ降るはずなのだが、まだ降らない。
雪はまだかと空を見上げると、少し遠くの方に黒い雲が見える。
あれが雪を降らせる雲かもしれない。
俺はスマホを取り出して、カメラを起動する。
雪が降る瞬間を逃さないように、空の様子に集中する。
恐ろしく寒かった空気も、今では全く気にならない。
黒い雲が少しずつ近づくのに比例して、遠くの景色が白くなっていく。
もう少しで、ここにも雪が降る。
チャンスを逃さないよう、じっと雪を待つ。
冬の日
寒さに震え
来るはずのない貴方を待つ
叶うはずない恋
いつしか雪が舞い散る
"雪を待つ"
「先生!雪合戦しましょう!もしくは雪だるま!」
開口一番にそんなことを言った君は今日も元気に寒そうな脚を見せていた。
雪のように真っ白の脚が寒さで赤くなっているのが可哀想だと思った。
でも、貴方は寒さにひるむことなくむしろ寒い日の方が元気そうねなんて。
貴方がいるだけでこの場所も温まる気がする。
「えぇ…俺寒いの苦手だから嫌、」
「え〜そんなこと言わないでくださいよっ!きっと楽しいはずです、ね?」
「嫌なものは嫌、貴方の頼みでも無理よ、」
冬の凍てつくような寒さは20数年生きても慣れることはない。雪を触るなんてもってのほか。
何も考えずに雪玉を転がしていたあの頃ならこの誘いも嬉しいものだっただろう。
「もー先生の意地悪、冬が1番すきだから先生と思い出作ろうと思ったのに…わからず屋、…」
1番好きな季節に俺と思い出作りたいなんてやっぱり貴方は物好きだね。
でも、貴方となら…ちょっと楽しそうだなって考えてしまった。
作った雪だるまが溶けてしまうのを優しい貴方の事だから心底悲しがるんだろうなって想像まで安易に出来てしまう。
「…あーもう、分かったってば…、雪が降ったらね?」
「やったぁ!先生私にあまいですねっ、」
俺は大概貴方に甘いみたい。だって楽しそうなんだもの。
冬休みまであと一週間もない。
それまでに雪が降るといいなぁ、なんて寒がりの俺らしくないことをこっそりとお願いした。
寒がりなのに貴方との雪遊びを楽しみにする俺も相当物好きかも。
2023.12.15『雪を待つ』