12月15日(金)
しんしんと雪の降る日、
「一晩留めていただけませんか」
そんな声が聞こえた。この館の扉が開くのは何時ぶりだろう。この言葉を聞き、私はとても喜んだ。階段を下り玄関へと急いだ。
玄関の扉を開けると、顔が青白くなっている女性が立っていた。ボロボロのフードを被って震えている。私は彼女を館に招き入れた。
彼女にココアを差し出したが、ぎょっとしたような顔をして、
「すみません。ココアは苦手でして…」
と断られてしまった。ならばと思い、マフラーを渡した。渋々彼女は受け取ってくれた。
12月16日(土)
朝になり、彼女はお礼を言うと帰っていった。朝ごはんに目玉焼きでもと思い差し出したが、またもや断られてしまった。貴重な人間だっただけに、食べ物を食べてもらえなかったことをとても悔いたが、きっと、次の雪の降る日に彼女はまた訪れるだろう。そのときにでも、何か食べ物を食べてもらおう。
12/16/2023, 10:07:18 AM