『閉ざされた日記』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
閉ざされている、という程でもないが最後に開いたのがいつかも分からない小さな日記帳が部屋にある。
視界に入ることがあっても、開くことは無い。存在を思い出しても、内容を思い返すことはない、そんな代物。
三日間の継続すらも苦である私だが、三日坊主という不名誉な称号には些かの不満を抱いている。
私は過去を振り返ることが好きでは無いのだ。過去よりも未来を見たいと思うし、昨日よりも明日、それも超えて明後日の方向を向いている方が性に合っている。
つまり私が言いたいのは、私は決して現実から目を逸らし、継続という重要な能力の欠如をそのままにしているような怠惰な人間なのではなく、常に今、そして未来という現実に対し世界中の誰よりも真剣に、過去にわき目を振ることなく向き合っている人間であるということである。
「閉ざされた日記」
不正の事実を証明する記録
改ざん前の資料
日本兵の日記
被害の実態
全部 権力者が隠したいもの
かの子
閉ざされた日記
そこには数ページしか書かれていない本音
捨ててしまった想いが綴られている
寂しさ、悲しさ、愛おしさを書き綴ったものが
忘れなければと鍵をかけた想いが
今では笑話になった想いが詰まっていた
【閉ざされた日記】
この世界には日記を書く人と書かない人がいる。
日記を書くのを習慣にしている人もたくさんいる。
日々の日常を書いたり、
誰にも言えない思いを書いたり。
いつかその日記も書かれなくなる。
そして長い眠りにつく。
閉ざされた日記が出来上がる。
誰も意図して作っているわけではない。
いつの間にか自然に出来てしまう。
しかし、日記は忘れ去られてしまう。
これは思い出が消えて行くのと一緒だ。
だからこそ、その時はこういうことがあったんだ。
懐かしいな。と思い出してみるためのものとして
大切に置いておくことで日記も悲しくない。
そしてまた、閉ざされた日記は新しく生まれ変わる。
閉ざされた日記 僕は今信じがたい物を見つけた手の震え動悸が止まない、一月前に過度な自傷行為の末に自殺で亡くなった彼女(友人)の遺品を整理しに来たところ彼女の日記を見つけたおそらく、彼女の死後にこの日記を手に取ったのは僕が初めてだろうなぜそう言い切れるのかと言うと。彼女が死ぬ前日に僕は彼女から″鍵″を貰った彼女に何の鍵か問いかけると悪戯な笑みで唇に指を当て″お楽しみ″と囁いた、彼女の曖昧な回答に引っ掛かりながらもその時は楽しみにしてるそう言って、受け入れたそれが彼女と僕の最後の会話だった。後日、彼女が死んだことショックにより葬式にも行けなかった俺は、こうして一ヶ月経ってから彼女の部屋に立ち入って鍵がはまった彼女の机の引き出しを開けた、僕が見たものは彼女の日記だった、たかが日記と思うかも知れないが彼女の日記は普通じゃなかった、彼女の日記には乾いた血がこびりついていた動揺しながらもページをめくったが生憎、血が滲んでいて文字が読めなかった諦めかけて最後のページを開いたところ奇跡的に血が少量しか滲んでおらず、僕はその日記を熱心に読み進めた_
_⚫︎月▲日、
~彼女が死んだ日?... _⚫︎月▲日 ?君へ、?君は悪くないよ私嬉しかったよ??君が?してくれて私すごく嬉しかった、ほんとにほんとだよ _
?
血のせいで読めない... _??君...誰かのの名前..?.
手が勝手にページ捲った、 _
_⚪︎⚪︎くん私のこと殺してくれてありがとう、愛しています。
僕の名前、__ あ あ 嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼
嗚呼嗚呼嗚呼
嗚呼嗚呼嗚呼
あゝ あゝ あゝ あゝ
あゝ嗚呼嗚呼..あゝ
思い出した. 思い出した思い出した思い出した
思い出した...思い....
出した、嗚呼、、そうだった そうだった、、...__ 僕だったんだ
僕がやったんだ。
1月7日
明日から新しい学校だ。変な時期に転校だからとけ込めるか、不安。緊張するし憂うつ。でも、がんばるぞ。
1月8日
クラスの人たちは静かな人たちばかりだった。私がよろしくお願いします、と言ったら静かにお辞儀された。なんか冗談とか言いづらい雰囲気だった。今日は1人で帰ったけど、明日は誰か声かけてくれないかな
1月9日
移動教室とか、2人ひと組になって受ける授業が好きじゃない。だって誰も私に声かけてくれないから。今日の体育はとりあえず数が半端な男子と組んだけど、あんまおもしろくなかった。
1月12日
なんか新しい学校楽しくない
でもまだ1週間も経ってないんだから、そこまで落ち込むことじゃないよ。きっと、大丈夫だよね
1月17日
私のことをヒソヒソ喋ってる女子グループがいた。どこの学校にもそういうやつはいるんだな。やなかんじ
1月22日
つまんない。居場所がない。毎日朝になるとお腹痛くなる。ママにはほんとのこと、言えない
ここから先は白紙だった。
そういえばそうだったな。あの頃、転校先が嫌で嫌で仕方なかった。学校なんか無くなっちゃえって思ってた。
あの頃はきっと物凄く辛かったに違いない。でも、20年経った今はあの時のことなんか半分忘れかけてる。当時のことをこんなふうに冷静に考えられる。大人になったんだなと思う。あんなこともあったんだなあ、って、思えるようになれた自分を褒めたくなる。
そして、私は白紙のページをもう1枚捲ってペンを滑らせた。
2024年1月18日
昨日は、人生の一大イベントdayでした。彼から、プロポーズを受けました。ずっと一緒にいたいって心から思える人に巡り会えたことすごく嬉しい。
せっかく見つけた日記がこんなにも白紙が残っていたので、また今日から記したいと思います。あの頃の私も驚くくらい、楽しい出来事で埋め尽くせるといいな。
まるで、閉ざされてたものが20年ぶりに動き出した、そんな不思議な感じ。
明日はどんなことが起こるんだろう。
気持ち穏やかに、日記を閉じて引出しの中へしまい、「また明日」と呟いた。
【閉ざされた日記】
俺が日記をつけ始めたのはいつ頃だっただろうか。
ただ思ったことを書いて、書いて、書いて。
何を書いたのかも覚えていない。
今日書いたことは、好きな人について。
大好きで、大好きで、仕方ないのに。
絶対に叶わない恋をしてしまった。
辛い。吐き出してしまいたい。
でも、そんなことをすれば、あいつにも迷惑がかかってしまう。
そんな思いを。
何も言わない、聞き上手の紙に吐露した。
この日記は俺の心に閉じ込めて。
閉ざされた日記を見られることの無いように。
るあ
閉ざされた日記
ざらざらとした紙の質感
誰にも見られたくないのに
誰かに見られたくて化粧をしていた
あの頃の私のようにごてごてとした表紙
思い出したくなくて
忘れたくない
とりどりの色が散りばめられた青い記憶の文字列
一生なくすことはないけれど
二度と読むことはないだろう
三度目の正直でもう開くことのない
この、閉ざされた日記
閉ざされた日記
誰にも見せることのできない私の秘密
その時々の想いを綴り、ときには後から振り返ったり…
きっと自分自身をニュートラルな状態に保つための大事なものなのだろう
もし私が日記を書いていたなら、きっとそんな感じかな?というあくまで妄想
私はホントに日記が苦手で書けなかった
そもそもアウトプットが苦手で筆不精
だから私には「閉ざされた日記」をというより「開かれなかった日記」がふさわしいかもしれない
文字に残すと見返すことができるのはとても素敵なことだけど、私の場合は誰にも見せられない私の秘密が万が一にもどこかに漏れたりするのが怖いというリスクのほうが好ましくなかったみたい
すべてを記憶に残すことはできない
今思えば何かしら私の変遷を残しておいても良かったのかな?なんて思うこともある
過去には戻れないけれど
今も記憶に残る愛おしい思い出をいつまで抱きしめていけるだろうか
貴女と二人だけで始めた秘密の日記。同じクラスで休み時間も一緒。いつの日かそれだけでは飽きたらなくなって、私たちはもっと、もっと、お互いの心の奥に入り込みたくなっていた。
そんな時に彼女が提案したのが交換日記だった。自分の秘密を、ここに書こう。絶対に他の誰かに知られてはいけない、禁断の秘密。私たち二人だけのものにしてしまおう。そう誓った。
十二点のテストを親に見せずにゴミ箱に捨てた、そんな他愛ないことから、両親が最近仲良くない、離婚という単語が会話に出てくる、そんな大事まで。他の人に言えない、でも自分一人で抱え込むには重い秘密をノートに連ねた。
私も彼女に弱音を吐いた。
彼女もまた、私に嘆いた。
私たちはそんな関係で、何とか精神の均衡を保ってきた。
しかし、ある日を境にその関係は終わりを迎えた。
「私が今までひた隠しにしてきた、あなたにも言えなかった秘密、それは、あなたを愛しているということです」
間違いなく彼女の筆跡。それは恋文だった。彼女から、私への……。
なぜ彼女がその秘密を記したのかは分からない。私なら認めてもらえる、そう心を許してくれていたのかもしれない。
私は直ぐに返事を書くことができなかった。そして偶然、そのノートの中身を他のクラスメートに見られてしまったのだ。私が運悪く落としてしまったノートを彼らは面白おかしく読んだ。勿論、彼女の告白の部分も。
彼女は男子に歩み寄ってノートを取り返すと同時に弾けるように振り返って教室を出て行った。
噂は瞬く間に広がった。数多の尾鰭背鰭をつけて。
彼女は次の日から学校に来なくなった。
そして、彼女は死んだ。
形見分けとして返されたノートをはぐると、告白の続きに走り書きが書き加えてあるのを見つけた。
「好きになって、ごめんなさい」
もう返してはくれないことは分かってるけど、最後に私も言葉を綴る。
「私も、好きだったよ」
静かに、日記を閉じた。私たちだけの秘密が、ここに眠っている。この秘密を一生かけて守ってゆこう。この罪を一生かけて償おう。そう心に決めて、私は日記を封印した。
あれからずっと、日記は閉ざされたままだ。
閉ざされた日記
「コイツ毎日なんか書いてると思ったら日記か…」
「こんな細かく記録しやがって…」
「グス、カナエ…」
「アーシャ仕事に空きができたから好きなように休んできなさい」
「はい」
ガチャ 自室
「ん?なんだこれ」
「日記?928年…俺が初めて人間界で仕事した時だ」
「7月7日今日は僕の誕生日!ロトはプレゼントくれたけどサーシャからは貰えなかったなぁ」
「誕生日…ロト…俺の愛称知ってる人間…」
「……」
「カナエ…!」
閉ざされた日記 2024/1/18
実家には閉ざされた日記がある。
一昔前によくあった(今もあるのかな?)
南京錠のかけられた、昔の私の日記帳だ。
何を書いていたかも思い出せないけど、
今も部屋の片隅にある。ずっとある。
鍵がどこにあるのか、そもそもあるかも分からないけど
錠を壊しもせず日記帳を捨てもせず持っているのは、
あのときの時間をそのまま持っていたいからなのかな。
『解かれた心』
私の手元には、封印の魔法によって封じられた日記がある。
これは、私に遺した彼の日記だ。
私に遺したというのに、私には開けない。
封印の魔法は解除の魔法をかけることにより解かれるが、その解除の魔法を知るのは、封印の魔法をかけた本人のみ。本人が記していない限り他の人は知ることが出来ず、永遠に閉ざされたままだ。
「……どうして見ることを許してくれないの」
よほど酷いことが?
いや、彼の性格上そんなことは書かない。
なら、なぜ?
そうして私は、彼の遺した日記など頭の片隅に追いやったまますっかり忘れてしまっていた。
あれから、弟子にして欲しいと懇願してきた子供の面倒を見て過ごしている。
それほどまでに時間が経ち、彼の死も受け入れて乗り越えることが出来た。
弟子のために古い魔術の本を探そうと家中をひっくり返していると、かつての日記が出てきた。
「…………これ」
結局、どう解くのか分からない。そのまましまって、見ないようにした。そうして乗り越えた、彼の死。今なら、冷静に見れる。
くるくるとその日記を回していると、日記の端の部分に微かな汚れがあった。剥げそうで、剥いでみようと思った。
『ルルと僕が、出会った日から……10日後。』
私と彼が出会った日のことは良く覚えている。
街がお祭りでどんちゃん騒ぎ、毎年魔法使いは舞台で技をお披露目する。
若い魔法使いなら修行の成果。余裕があれば楽しく見せる、綺麗なものを魔法で作る。など。
そんなお祭りの日は、毎年12月25日。
つまり、この封印の魔法を解く日にちは
1月4日。解除の魔法を唱え、日にちを言う。
すると、張ってあったはずの魔法は溶けて、日記が開いた。
「………………こんなこと、わざわざ日記に書いて何年も保存しないでよ」
『死んじゃっても、ルルのことが大好きだよ。』
また、引きずってしまうじゃない。
お題:閉ざされた日記
僕は、日記を付けるのが趣味。
今日の出来事
一日の感想
良いことも
悪いことも
全部文字に書いてしまう人間
文字に書いたら。すっきりする。
一日の反省会をして、自分の中で良い奴を演じてた。
あとから日記を見返しても、反省なんてしない。
悪いことだけ頭の中に入ってきて、憂鬱になるだけ。
分かってる。
分かってるんだけど。
こんな自分だということを信じたくない。
確実に変なんだよ。
・○/〇 (雨) 今日も同じ
今日も私は話しかけた。反応がない。そんな理由はもうわかってる。
ほらね?
反応がないんだよ。
食べ物も食べないし
現実を受け止めたくない僕がいる。
もう日記は、書かない。
僕の頭の中で、この話は終わりにしておこう。
生きるんだ。
僕。
#閉ざされた日記
#6 閉ざされた日記
過去の恋愛について記していた。
苦い言葉で終幕を迎え、
あの日以来閉ざされた日記。
だけどふと思う。
今、大好きな彼と一緒にいられるのは
あの日々があったからなのだと。
あの恋も
終わり方は酷かったけれど
苦しい思い出ばかりが詰まっていた訳では無い。
そう考えたら少し
あの日々を愛せるのだろうか。
固く閉ざしたあの日々を
覗く覚悟はまだ私にはないけれど
いつかはきっと。
閉ざされた日記
私は、言葉で何かを書くことが好きだった。その日の内容、その時思ったこと、全部の時間を言葉にして、日記を毎日欠かさず書きまくった時がある。
時間のことを書くと、1日だけでこんなにも長く書けて、色々出来事があるんだ、と気付かされた。
恋愛のこと、親友のこと、誰にも話せない心の中のことを、日記は、言葉にして心の中にいるもうひとりの私に、話しかけてくれる。
今のなっては、思い出すと苦笑してしまう。そんな苦い思い出が積もりに積もって地味に黒歴史に塗り替えられてしまうのが、日記という時の思い出。
閉ざされた日記を、今でも開けないままだけど、この今この瞬間を苦笑い出来る未来を私は願って、その時に向かって頑張ろうと誓った。
「閉ざされた日記」
人に見られたくないものって色々あるけど、
日記はそのかなり上位にランクインする。
親しい人にすら見せたくない。
本当の心の中を書いた日記を
誰にでも公開できる人はいないと思う。
だから、私は自分の日記しか読んだことがない。
人に見せたくないから、人のも読まない。
でも、本当はちょっぴり気になるときがある。
閉ざされた日記には、きっと
その人自身の色が滲み出てると思うんだ。
ただ、見たことないからこそ
ワクワクしていられる気もするから
やっぱり今後もし、機会があっても見ないでおこうかな。
メモを取ろうと紙を探していた。ふと昔の手帳が出てきた。これでいいかとペラペラとページをめくると血痕がついていた。その瞬間私の脳裏にこの痕をつけた日の記憶が鮮明に浮かんだ。中一の時だった。私はおもむろに日記をつけ始め、目に涙をいっぱいにためながら、ペンを走らせていた。それでも気が落ち着かず、私はそのページを破いて投げた。いじめ、進路、成績。その時は何もかも上手く行かないように感じた。人は良かったことがあった時に、自分に視点が戻って元通りになったり、喜んだりしてすぐにその時の痛みや苦しみを簡単に忘れ去ってしまう。だがそれはまた1つ歪みが起こると、その時以上にもがいてしまう。私は何度もそれが続き、イライラが限界に達していた。私は持っていたペンで左手を突き刺そうとした。「出来ない...、出来ない、出来ない!!!」私は弱かった、自分がイライラし、人や物には簡単に当たれるのに、自分を傷つけることが怖かった。私は泣いた。そして弱い自分を嘲笑った。急に真面目な顔に戻る。私は近くにあった鉛筆の後ろを鼻に突き刺した。鮮血がボタボタと手帳の上に鮮やかな模様を描く。それはいずれ染み込んで、黒ずんだ色へと変わっていくのだ。だが私は満足ではなかった。それは私が鉛筆の芯ではなく、裏でさしたからだ。また自分が負けた気がした。私は意味もなく叫んだ。下から母の怒号がきこえる。私は髪をつかみひき抜こうとしたが、抜けなかった。また歯を食い縛り、だが今度もどうにも出来ず、繰り返しているうちに強い吐き気を感じ、転げ落ちるようにしてトイレにかけこんだ。母に気づかれないようにストーブを最大までつけ低いボイラー音を耳が痛くなるまでひびかせた。そうしてから私は十分程、便壺のなかに消化されきっていない、黄色くなった朝飯を勢い良く吐き続けた。トイレから出て、まだガンガンと響くはっきりしない頭で2階に戻り、よろめきながらやっとの事で椅子に座った。鼻に手をやる。いつの間にかほとんど血は止まっていたが、Tシャツと机にここで殺人事件がおきたかのような血痕がベッタリとついていた。私は血のついた手帳を閉じ、机と鼻をティッシュで拭いた。Tシャツは母にばれないように、たまった塵を捨てに降りるふりをして、塵袋の奥底にねじ込んだ。同じようなTシャツが部屋に沢山あったのでばれなかったが、血のついた鼻はばれてしまった。私は「鼻をほじっていて血を出した」と嘘をつき、上手くその場をごまかした。私はもう一度部屋に戻り、机に置いてある手帳を引き出しの奥底にしまいこんで二度と開けまいと誓った。その後はどっと疲れ混んでしまいベットに倒れるようにして、夕方まで眠った。
「そうか、そんなことがあったか」私は誰かに語りかけるようにそう呟いた。私は手帳を置き、机に寄りかかった。そのとき、不意に何かをメモに取ろうとしていたことを思い出した。「何書こうとしてたんだっけな...。」私は金田一のようにガサガサと頭をかきながら手帳を棚に戻した。
「手帳」
後書き
完全に創作です。ちょっと汚くてすみません汗。
お題 閉ざされた日記
閉ざされた日記
閉ざされた日記には
辛いこと
死にたいこと
自分との葛藤が書かれている
でも、今はそんなこと書かなくても
大丈夫
だから閉ざした
前に進むことができたから
私には、誰にも言えない秘密がある。
私は随分と順風満帆な人生を送ってきたと思う。名門の大学を卒業し、一流の企業に就職し、会社で一番美人だと言われていた女性と結婚し、一等地に家を建て、子宝にも恵まれた。今は、子供も名門の大学合格間違いなしと太鼓判を押され、私もまた、昇進した。
誰からも羨まれる、絵に描いたような人生。
同窓会でも、懇親会でも話題の的。家には50を迎えても劣らない美しい妻。優秀な子供達。
それでも、私はずっとずっと心に澱みを抱えたまま生きてきた。
この澱みから目を逸らして、澱みを抱えたまま死にゆくものだと思ってきた。
彼女が現れるまで。
我が子より少し年が上に見える、おっとりした雰囲気の女性。ややふくよかで、美人とは言い難いものの、どこか惹き付けられる魅力があった。
会社の受付で呼び出されたかと思ったら、古ぼけたノートを押し付けられたのだ。彼女は一言だけ
「私は、娘です。」
とだけ言うと、すぐに踵を返して去っていった。普通なら、失礼な事だと警備に連絡するなり、押し付けられたノートもすぐに捨てるのだろう。しかし私にはそれをされるだけの心当たりがあった。
心の澱みが浮かび上がっては、弾けそうだった。
夜、家族が寝静まった後に書斎で件のノートをそっと開いた。
「あぁ…」
溢れ出た呻き声が夜の空気を震わせる。
彼女はどれだけ私を待ちわびただろう。
一流になって迎えに行くと言った私を。
日々のなんてことない日常を羅列したノートの文字をゆっくりなぞる。
私は逃げたのだ。親を亡くし、この世でたったひとりの家族たる妹から。
妹は、親を亡くした悲しみや、不自由になった体の鬱憤を私への愛でなくそうとした。
そして、それが執着になった。
日記の最後には私への熱烈な愛で埋めつくされていた。