『閉ざされた日記』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「閉ざされた日記」
皆さんこんばんは。僕は歌歩ちゃんの人格の1人、無無(むむ)です。今日はお知らせ(?)と今回のお題の「閉ざされた日記」についてお話ししようと思います。
〜お知らせ〜
まずはお知らせからします。明日からこの日記を書ける日が少なくなるかもしれないです。理由としては、遅い時間に書いてしまうことが多く、親に怒られてしまい、朝起きる時間が遅くなりました。そのことにより、また親に怒られてしまい、もしまた遅い時間まで使っていたら没収されてしまうと言われてしまったからです。とても残念ですが、遅い時間になってしまった場合には書かないのでご了承ください。
〜本題〜
今日のお題は「閉ざされた日記」です。僕たちはこのアプリを入れる前に、色々な日記アプリを入れましたが、なかなか長続きできなくていつもアプリをアンインストールするという結果になってしまったのですがこの日記アプリはお題が出されて見てくれる人がいるということもあり、こんなにも継続もできて楽しめるアプリに出会えて本当に良かったなと思っています。今まで様々な日記アプリを体験してきて一番これがよかったなと思っているし、これからも他の人格の人たちやその他の人にもぜひやって欲しい日記アプリだと思っています。それから僕個人でやっているノートに鉛筆で書く方の日記も書いているのですが、これも長続きする日記だと思っていて、書くペースが自由に決められる日記帳なんですけど、少し書きたいと思えばそれでいいし、線や「ここまで!」と指定されている日記ではなく自由帳感覚で楽しめる日記帳なので、僕はとても気に入っています。
〜最後に〜
ここまで読んでくださりありがとうございます。お題の主旨とは少し違ったことを書いてしまいましたが、楽しく書けたのでいいことにしておきます(笑)それではおやすみなさい。
#閉ざされた日記
引っ越しの準備をするために
荷物整理をしていたある日のこと。
クローゼットの奥から
日記がでてきた。
『小学生の時から高校生まで書いてた日記、』
懐かしいな、
高校生の頃
この日記が無くなって
必死になって探したな、笑
『、』
20## 1 2#┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
今日も朝からしんどくて
でも親に言っても
『行ってきな』と言われるだけ
少しぐらい心配して欲しいな、。
教室につくと、目の前には
女の子と男の子が二人ずつ
私の目の前に立って
バケツにいれてある
水をかけてきた。
小学4年生の頃から
私に対する虐めがはじまった。
毎日行くのがしんどくて
親に言っても何も話を聞いてくれなくて
先生もあまり対処してくれなかった。
ペラッ
ページをめくる。
20## 4 1#┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
中学にあがった
虐めのせいで
私は学校に行けなくなった。
親にも先生にも迷惑かけたな、笑
虐めによるトラウマのせいで
美容院にもいけなくて
学校にも行けない
人間不信になって
すごくメンタルてきにもしんどかった、。
『今はもう、』
素敵な人と出会って
会社も就職できて
先輩たちもとても優しい。
昔の私に伝えれるなら
『しんどいことがあったらきっと』
いや
絶対
楽しいことが
訪れるよ
〝閉ざされた日記〟
私の部屋には、ずっと開いていない日記がある。
いわゆる、閉ざされた日記というやつだ。
もちろん、黒歴史ともいうけれど。
反抗期の真っ只中に書いたその日記には、
抑え切れない想いを綴っていた。
今思えばそれほどに恥ずかしいことはないけれど、
昔は必死だったものだ。
笑い飛ばせる今だからこそ、昔の私に向き合いたい。
今こそ、手を伸ばす時だ。
1月18日(木)
3年間つけてきたこの日記も、今日で終わりにしようと思う。
もし、この日記を見つけた時は、多分また悲しくなってしまう。だから、もう終わりにする。
今日、何があったのかだけ書いとくね。
私の好きな、大好きなあの人に、3年間、ずっと付き合ってきたあの人に、振られてしまった。
そう、それだけ。だから、付き合い始めた日に始めたこの日記も、終わり。つけるのは、もう一生ない。
だから、この日記に、あの人への思いを綴っとこうと思う。
大好きなあなた
まずは、大好きだったってこと。この世の誰よりも好きだったよ。そんな好きな人といられたから、私は生きてこられた。輝いている日々の中の、一人になれた。
あなたのおかげで私は変われました。本当にありがとう。
…言葉にしようとすると難しいね、でも、言葉では表せないくらい、幸せな日々だったってことね。
この文章、あなたは読む時が来るのかなぁ。あ、私がもしもテレビに出ても、責任なんて、感じなくていいから。まぁ、余計なお世話か。私はもう、赤の他人だもんね。
もう少しで、夜が明けるよ。その瞬間に、私は旅立ちます。
これを聞いたら、あなたはなんでいうのかな?なんて考えてます。未練たらたらで、ごめんなさいね。
まぁ、幸せな日々だったよ。ありがとう。私を生き延びさせてくれたのは、あなたでした。
じゃあ、この日記は、この辺かな。じゃあ、幸せに過ごしてください。家族にも、感謝をしています。喧嘩したり、怒ったりした時もあったけど、感謝しかありません。
あなたは、幸せに過ごしてね。他の人が好きなあなたも、私は大好きだよ。
じゃあ、ここで閉じます。ありがとう。
-今朝、東京都のあるアパートで、死体が発見されました。飛び降り自殺だと考えられており、ある部屋は鍵が空いていました。そこには、遺言と見られる日記帳と、一枚の写真が置かれていました。警察は…-
「閉ざされた日記」
私の心の中には
鍵の掛かった引き出しがある
その中にはノートが一冊
たくさんの涙と
たくさんの悲しみと
たくさんの怒りと
たくさんの憎しみと...
真っ黒な感情が書き殴られている
未だに読み返すことが出来ない
閉ざされた日記
亡くなった友達の部屋に入ると中から冬の冷たい風が吹いてきた。
彼女はいつもキラキラしててまるで別次元の人だと思っていた。
だけどある日突然自殺をした。
親友なのに、理由も言われずに行かれてしまったから、仕方なく彼女の部屋を片ずけるついでに、遺書的なものを探しに来た。
「さむ」
そう独り言のように呟くと1冊のノートが目に入る
ノートには私とのプリクラや落書きなどが貼ってあって今更だが涙が込み上げてきた。
パラパラとめくる
日記の初めにはこう書いてあった
『8月2日!
夏休みの中盤だけど、今更日記をつける!!
絶対毎日思ったこと書く!
今日は友達とプリ取りに行って、カラオケ行った!
喉ガラガラ泣
三日坊主はしない!』
彼女らしく、明るい文章と、ハッキリとした字体が目に映る。
懐かしそうに思い出をふりかえっていると、9月の初め頃、日記が途切れて1週間空いていた。ここまで毎日やってきてるし頑張った方かと、クスリと笑う
だが、そこから段々と文章の内容が暗くなる
『9月8日
お母さんに怒られた。
ひさびしに夫婦喧嘩してお父さんが出ていったらしい。すぐ仲直りするといいな』
『9月10日
お父さんが帰ってこない。
お母さんは私に怒鳴る。』
『9月18日
離婚届が届いた
それと殴られた。お前なんかあいつとの醜い子だって。痣、隠さないと』
『10月23日
消えたい』
『11月15日
誰か助けて』
『12月1日
誰も気づいてくれない。』
『12月18日
また殴られた。
もう、痛くないや。嬉しい』
『12月28日
私と関わってくれてありがとう』
そこでページは終わっていた。
この日は彼女の誕生日だ。
それで、
命日だ。
私は気づけなかった。
助けれなかった。
そんな罪悪感が胸を痛める。
涙が溢れてくる。
いや、
彼女は隠していたんだ
私たちに心配させないように。
「馬鹿、、、、」
床を見つめる。
冬の風は、まるで見ないでと言うように
日記を閉じた
-閉ざされた日記-
『閉ざされた日記』
私はお父様からの依頼でとある洋館へ来ております。
何でも古い友人に何度手紙を寄こしても返事がないので様子を見てきて欲しいとか。
それにしても誰も出迎えに来ないなんて失礼じゃありませんこと?ねえ、セバスチャン?
洋館の中は静寂に包まれており人っこ一人いないようです。
あら、何か落ちてますわ。
誰かの日記かしら?
ところどころふやけていたり赤黒いシミが付いていたりしてよく読めませんわね。どれどれ…。
『とあるメイドの日記
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皐竜の月 9
今日、旦那さまがを子どもを連れて戻られました。それは酷く薄汚れていて、こちらを警戒しているご様子でした。
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皐竜の月 10
その子供は食欲旺盛で、豚の丸焼きをまるまる一匹平らげていました。
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皐竜の月 12
家畜小屋で飼っていた馬1頭と豚2匹がいなくなりました。一体どこへ行ったのでしょう。
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皐竜の月 15
何だか酷く熱っぽい。風邪かしら。
同僚のアンジェラも体調が悪いらしくて長い休暇をもらっていました。
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皐竜の月 19
やと ねつ ひいた とても かゆい
おなか すいた ぶたの えさ たべ ます
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皐竜の月 21
かゆい かゆい だんなさ きた
ひどいかおなんで たべ
おいしかっ です。
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かゆい
うま
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(日記はここで終わっていた)』
………。
今、何か物音がしませんでしたか、セバスチャン。
ええ、その暗闇から…。
『閉ざされた日記』
昨日は眠ってしまい一日分の日記を書きそびれてしまった。せっかく木枯らしという題で書こうと思っていたのだが。過ぎてしまったことを嘆いても仕方がない。
さて、今日は最後の日記だからシンプルに終わらそう。
私は妻を愛していた。だから、何人も殺してきた。穢れを知らぬ妻を守るためだ。仕方がないと思っていたが、君は全て知っていたんだな。この日記を見つけた時はびっくりしたよ。まさか僕のやっていることを知っていたなんてな。負担に思ったろうに。本当に済まなかった。
長々書いていたがこれで終わりだ。
今度こそ誰にも見つからないよう金庫に閉まっておいた。何せ、僕と君だけの秘密の日記だからな。
さらばだ。もう開くことの無い日記よ。
𝑒𝑛𝑑
閉ざされた日記
あの日の日記
明日と昨日を繋ぐ日記
明日を想うための日記
【閉ざされた日記】
ずっとずっと昔
私が中学生だったころ
毎日書いていた日記が出てきた
三十歳の私は苦い顔をしながらそれを開く
あのころに良い思い出なんて無かったと
知っているからだ
中を見れば予想通り
自分の願望を押し付ける親と喧嘩したことや
友達と些細なことで揉めて
そこからいじめに発展していったことなどが書かれていた
もう消えてしまいたいと、何度も書いていた
どれも泣きながら書いたのだろう
書いた文字が滲んでいるページがいくつもあった
二度と開くことなどないと思っていた
あのころの記憶ごと存在を忘れてしまいたかった
そんな、長いこと閉ざされていた日記
開いたことを後悔しかけるほど、読んでいて辛かった
でもね
中学生のころの私に教えてあげたいよ
親とは最近ようやく縁を切れたし
私をいじめていた奴らはみんな、ロクな人生を歩んでいない
そして私は
素敵な人に出会って
誰よりも幸せに生きている
消えなくて良かったと、何度も何度も思ったよ
消えなかったあのころのあなたに、何度も何度も感謝しているよ
閉ざされた日記
僕は今まで何事も継続出来たことがなかった。
というより、毎日をテキトーに生きていて、活力というものがない。暇さえあれば動画サイトを思考停止状態で何時間も見ていて、明日になれば何の動画を見ていたかもほとんど覚えていない。ギターを弾けるようになりたいと思い、いざ始めてみても3ヶ月程度でやめてしまう。とにかく僕は継続しているものがない。これが自分を、そして自分の自信をつくっているというものがない。何かを続けて、成功したことがなかったのだ。
これはダメだと思い、何か簡単なことから継続してみたいと思った。そこで僕は、努力をする必要もなく、1日を振り返ることができる日記を書いてみることにした。
初めて書く日記には今日食べた昼ご飯や、数時間前に頭の中で考えていたこと、数十分前に見ていた動画などを頑張って頭の中からほじくり出して書いていった。何とか3日坊主にはならずに1年と4ヶ月ほど日記を続けることが出来た。
日記を書くようになってから、自分の意識が少しずつ変わっていったような気がした。
日記を書いたり、書いた内容を見返したりすることで自分の自分の1日の過ごし方を反省できたり、考え方や好きな事が見えてきたりした。
しかし、ある日突然事件は起きた。今日もいつものように日記を書こうとすると、なぜかいつも使っているノートが開かないのだ。いくら頑張って開こうとしても開かない。いったい何が起きているのかわからなかった。
家にあるノートは1冊ではない。違うノートを手にとってそれに書こうとした。しかしそれはできなかった。何故なら、そのノートも開かなかったのだ。もう家にノートがなかったので、僕は近所の百均にノートを買いに行こうとした。
だが、それもできなかった。なぜなら、僕は意味がないと思っていたからだ。
たしかに、僕は何かを継続しようとして日記を書き連ねていた。しかし、それは逃げの継続だったのだ。最初から全てが逃げだったのだ。自分には続けられているものがあって、自分が意味があると思っていたら、それで良いと思っていた。
自分が日記というものを継続することで付けてきたとてつもなく小さい自信は本当に意味のないものだ。
日記に意味がないと言うのではなく、逃げの継続は何の意味もないのだ。自分に自信をつけたいと思ってやることに対して、逃げの考えを入れてはいけないのだ。日記で見えてきた反省や好きなことなど、少し考えれば浮かんでくるのだ。
日記を書くだけで満足しようとしていた自分に気づいたのだ。
とにかく、その時の僕には何かとてつもなく凄いことを成し遂げたい、成果を出したいという野心があった。
しかしそれを目指して努力を続けようとするたびに、頭の中の思いが爆発しそうになって今すぐになにかほしいと思うようになる。そんな僕が戦いの継続を続けることはできない。そう悟った僕は、今まで書いていた日記に、自信などという思いは捨てて、楽しみという思いを入れるようにした。
そして、気づいた。自分は頭がおかしかったことに。
自分の高かったプライドこそが、自分の人生の中身を空っぽにしていたことに。
病弱な彼女の趣味は、日記をつけるというものだった。
ごく在り来りなその趣味だったが、
彼女はその趣味に没頭していた。
何処へ行くにも、何をするにも日記と一緒。
食べたものの味から行ったところの景色まで、
全て文字だけで表す。写真や絵はひとつもなかった。
その日見た夢から考えていた事まで、
ひとつも零さずに書き記す。
記録と呼ぶには細すぎるものだった。
彼女はこの趣味を誰にも話さなかった。
常に持ち歩いているというのに、
絶対に人前では開かない。書く時も然り。
鍵をかけられ、誰にも見られなかった彼女の記憶は、
彼女がこの世から旅立った後に見つかった。
症状が少しづつ確実に悪化していく生々しい表現。
何度も死を想像し、その度に固めたであろう覚悟。
彼女を知らない人でも容易に理解出来てしまうそれは、
まさに彼女の記憶であり、彼女の一日一日だった。
彼女の日記に死に様は書かれていない。
再び閉ざされた日記の中で、彼女は生き続けている。
閉ざされた日記には何が書いてあるのだろう。
誰にも言えなかった
誰にも見せなかった
誰にも見せれなかった
誰にも見せてはいけなかった
本当の自分自身。
外では偽りの
見せかけの
みんなのための
嘘の自分自身。
でもね。
それも全部含めて自分だよ。みんなそうだよ。僕もそうだよ。
そんなあなたが大好きだよ。愛おしいよ。大丈夫だよ。
心から愛してるよ。
閉ざされた日記
日々文を綴るのに日記というものは使う
良いことも悪いことも悲しいことも怒ることも
頭の容量を超えて消えても残るようにと
写真や模写などもつけられるとなおよい
偽りの記憶ではなかったと
確信をもって日々を振り返ることが
できるからだ
あとで思い出したくないことであれば
閉ざしてしまえばよいのも優れている
嫌な、苦い、痛い、辛い、苦しいと限界が
来たときに封印することができる
楽しい、幸せ、嬉しい、起こった奇跡
があれば開けば良い
人は日記というものの可能性に
まだあまり気がついていないのかもしれない
【閉ざされた日記】
私の場合。
人知れず言えないことは
ノートになんか残さない。
心の奥底に蓋をして閉まっておくの。
蓋って言っても間違った箇所を消すかのように
ぐしゃぐしゃーっと塗り潰してあるのだけれども。
誰かに言って否定されることが怖いし
こんな私を知って欲しくなかった。
でもやっぱり弱さを曝け出すことも強さであって。
とか思ったりもするけど言えないかな。性格上。
まぁでもいつか話せないことを
小説にしてみてもいいかもしれない。
私にとっては誰にも言えないことでも
端からみたらそれは単なる「物語」に過ぎないから。
「閉ざされた日記」
もし「閉ざされた日記」の
登場シーンを作成するなら
こんな感じかなぁ❢
“重厚なドアを開け
部屋に入ると 1箇所だけ
光が差す場所があり
その光の下には
鍵の掛かった古い書物があった
それはどうやら誰かの日記らしい”
勝手ながら
こんなイメージがあるので
神秘的ではあるが
怖さもあるので
好奇心が勝てば開けるかなぁ…
「あら、何書いてんのよ?」
「日記。」
「日記?飽き性のアンタが?」
「やかましーわ。続けるし、多分。」
「多分って。なんで急に日記なんて書こうと思ったの?」
「別に。何となく書きたくなっただけ。」
「ふーん、すぐ飽きるわね。」
「うるせ。」
そんな会話をしたのが、もう遠い昔のことに思える。
アイツが死んで一週間、忙しすぎて日記のことなんてすっかり忘れていた。
クローゼットから引っ張り出した、樟脳の匂いがする喪服のまま、安っぽいノートを開く。
五冊一組で売られているようなノートの一番初めには、お世辞にも綺麗とは言えない字が綴られていた。
『今日病院に行ったら、脳に腫瘍が見つかった。
もう手術でもどうにもならないくらいになっているらしい。
余命は一年半。入院するか聞かれたけど断った。家にはそんな金ないから。
いつ死ぬかわからんし、とりあえず今日から日記をつけよう。
俺の飽き性が発揮されないことを祈る。』
「……飽き性って自覚はあったんだ。」
日記は、一日か二日おきに書かれていた。
普通日記って毎日書くもんじゃないだろうかと思ったが、飽き性のアイツのことだ。
ぱらぱらと捲っていくと、その日あったことや食べたものが綴られている。
時々、病院へ行ったときの記録もあった。
『頭痛と吐き気が酷い。朝起きられないし、食欲もない。入院を勧められたけど、しない。
死ぬなら家で死にたい。』
「頑固な奴……」
日記は次第に飛び飛びに、内容も短くなっていった。
筆跡も乱れ、読めない字も増える。
何か水分が垂れ落ちて、滲んだ字もあった。
『怖い 痛くて眠れない こわい、いたい。
しにたくない』
「……そんなこと、一言も言ってなかったじゃない。」
死の直前まで、アイツはあの飄々とした腹の立つ態度を崩さなかった。
なのに、本当は死ぬのに怯えていた。
一言だって弱音は吐かなかったし、弱った姿すら見せなかったのに。
死の一週間前、日記は途切れた。
強い筆圧で文字を書いて、そのページを破りとった痕跡だけがある。
ぐしゃぐしゃになったページを流し見していく。
四分の一ほど残ったノートを閉じようとしたとき、一番最後のページに文章があるのに気がついた。
『多分お前はこの日記のこと覚えてるだろうから、お前宛に書いとく。
病気のこと隠しててすまん。でもホントに、もうどうしようもなかったんだよな。
何しても死ぬっぽかったし、お前に知らせてジメジメすんの嫌だったから。
お前多分、怒ってるよな。イライラしたまま喪主とかやってくれてんのかも(てかやってください)。
怒って周りにあたって、それで抜け殻みたいになってんだろ。俺にはわかる。
お前は不器用だから、俺がいなくなってどうすればいいかわかんねぇと思う。
なので、言いたいことが一つある。
俺のことはさっさと忘れること。それがお前の幸せのため。
わかったらこの日記は捨てて、俺の私物も全部捨てて、もう一回歩いていくこと。
そうすればお前は、一人で立ち直れるから。
最後に、これだけ。
一回も言わなかったけどお前のこと、めっちゃ好きだから。』
「…………馬っっっ鹿じゃないの!!!」
ノートを閉じて、投げ捨てようとして、やめる。
否、出来なかった。
だって、だって。
自分はアイツの異常に気が付かなかったのに、アイツは自分のことを、こんなにも。
「馬鹿じゃない……馬鹿よ、ほんと……忘れさせる気、ないじゃないの……」
視界が滲む。嗚咽が漏れる。
どうして、アイツが死んだ。
世界中に数多いる人間の中で、どうしてアイツが選ばれた。
どうして自分は、一人になった。
喪服がぐしゃぐしゃになるのも構わずに、その場に蹲った。
『まぁまぁ、そんなに泣かねぇで。』
自分の泣き声に紛れて、呆れたようなアイツの声が聞こえた、気がした。
[閉ざされた日記]
母の遺品で、側面を糸で縫い付けられている日記帳が見つかった。
あまりに気になり糸を切って中身を見てみると、懐かしい母の文字で日々のことが綴られていた。
だが、時が進むにつれ、どんどん日記の内容がおかしくなっていく。
私はあまりの衝撃で震えた。
「我が暗黒の魔手で、今日も者共の空腹を満たした」
「強者どもが集まる略奪の日、我は見事に純白の楕円を手に入れた」
「我が倅の連戦の跡を白魔法で消す」
母は遅い厨二病だったようだ。
『閉ざされた日記』ですと?
私のは日記ではない。愛の壺よ。
今日から日記を書くことにした。日付と曜日と今日の日記。まずはなにから書こうかな。いつかのために自己紹介からはじめようか。
僕の名前は何々。兄弟姉妹はいなくて、普段は何をしている。
自己紹介はこんなところか。彼女はいないから、私が僕の彼女よと言って近付いてくる女は嘘つきだ。
この日記は僕の記録。僕の毎日の体温と、僕の毎日を書いていく。いつかくるかもしれない日のために、この日記をみればすべて思い出せるように、僕の毎日の体温と、僕の毎日を書いていく。
こうして僕は日記を書き続けた。一日たりとも忘れることなく書き続けた。
これでもしも記憶喪失になっても安心だ。いつかくるかもしれないその日のために、僕は日記を書き続けた。
あれから十数年後。
その日記が役に立つ日はこないまま、僕は二度と日記を書けなくなった。
#44 閉ざされた日記