『閉ざされた日記』
私はお父様からの依頼でとある洋館へ来ております。
何でも古い友人に何度手紙を寄こしても返事がないので様子を見てきて欲しいとか。
それにしても誰も出迎えに来ないなんて失礼じゃありませんこと?ねえ、セバスチャン?
洋館の中は静寂に包まれており人っこ一人いないようです。
あら、何か落ちてますわ。
誰かの日記かしら?
ところどころふやけていたり赤黒いシミが付いていたりしてよく読めませんわね。どれどれ…。
『とあるメイドの日記
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皐竜の月 9
今日、旦那さまがを子どもを連れて戻られました。それは酷く薄汚れていて、こちらを警戒しているご様子でした。
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皐竜の月 10
その子供は食欲旺盛で、豚の丸焼きをまるまる一匹平らげていました。
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皐竜の月 12
家畜小屋で飼っていた馬1頭と豚2匹がいなくなりました。一体どこへ行ったのでしょう。
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皐竜の月 15
何だか酷く熱っぽい。風邪かしら。
同僚のアンジェラも体調が悪いらしくて長い休暇をもらっていました。
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皐竜の月 19
やと ねつ ひいた とても かゆい
おなか すいた ぶたの えさ たべ ます
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皐竜の月 21
かゆい かゆい だんなさ きた
ひどいかおなんで たべ
おいしかっ です。
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かゆい
うま
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(日記はここで終わっていた)』
………。
今、何か物音がしませんでしたか、セバスチャン。
ええ、その暗闇から…。
1/18/2024, 11:35:22 AM