『閉ざされた日記』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「片思い日記」
と、ピンクの文字で書かれたノート。
それはわたしがおさげとリボンを
丁寧に結ってた年頃。
ひょんなことから
クラスメイトに恋をし、
始まった日記だ。
毎日、毎日、彼のことを想って書いた日記。
今日は、おはようを言って貰えた!
さいこーについてる日!
なんて些細なことでも
大喜びをしていたわたし。
思い返せばとても幸せだったと思う。
しかし、ある日からその日記を
開くことはなくなった。
彼が遠くに引っ越すことになったから。
わたしは日記とともに気持ちを
閉じこめてしまったんだと思う。
だれにも見せることなく。
いつの日か、その日記が開けたなら…
と心のどこかで
ぼんやり日記のつづきの夢を見る。
__閉ざされた日記
閉ざされた日記
誰にも読めない日記帳が学校に隠されている。それは、字が下手すぎて読めないとか、象形文字のような暗号で書かれているとかではなく、罫線以外は真っ白で物理的に読めないらしい。いや、それただ単に新品の日記帳では?と思わず口に出せば目の前にいる宮内は首を緩く振った。彼曰くその日記帳が読めるのは日記帳に認められた人間だけだと言う。
「裸の王様かよ」
僕のツッコミに宮内は一拍、虚を突かれたように目を瞬かせた。
「え、何だよ。その顔」
表情が抜け落ちたと言って差し支えないほどの宮内の真顔具合に僕は思わず身体を引いた。え、何か変なこと言ったか。言ってないよな?
僕の心情を読んだように宮内は「ごめん、ごめん」と手を振っていつもの胡散臭い笑みに戻った。
「君はこういった不可思議な話を聞いてもあまり信じないよね」
「別に信じていないわけじゃないけど、無害なら別に良くない?」
僕は家族関係も成績も運動能力も特出したものは何もない平凡な学生だ。どこぞの勇者じゃあるまいし、日記帳なんぞに選ばれるはずないだろう。
「無害なら、ね」
そうやって意味心な顔しないでほしい。
【閉ざされた日記】
中学生の頃に日記を書いていた。
文句ばっかりの酷い内容しかないものだ。
しかし、人の日記を見るような人がいてすぐにやめてしまった。
今思えばあんなつまらないことしか書いていない日記はやめて正解だったなと思う。
他人の秘密を除くような奴は好きにはなれないが、結果的には悪習を断ち切ってくれたとも言える。
そいつが今どうしているかは知らない。
少なくとも感謝はしないかな。
この日記は、昔、姉が書いていた。
だが、どこのページもボロボロ。
達筆で、綺麗な文字。
喜怒哀楽の感情が綴られた内容。
そして、一番の最後のページ。
この日記の最後の言葉。
『私は、自分の記憶を一生手放さないようにするために、抱きかかえたまま、燃え盛る炎の中で人生を終えます』
火事が起きた日。
姉以外はみんな避難することが出来たが、姉はこの日記を書き切るために、逃げ遅れてしまった。
落ち着いた後、自分たちの家へ訪れた。
そこには姉が愛していた日記帳が変わり果てた姿で見つかった。
――姉は今、どうしているだろう。
あの日までの記憶が閉ざされた日記帳を、自分も抱きかかえた。
〜閉ざされた日記〜
“閉ざされた日記”
日記はその人の一日を書くもの
悲しかった事、嬉しかった事を書く
一日の思い出を振り返る
でも、他の人が見るのは厳禁
その日記を書いた人の心情を見ているから
他の人が書いた人の弱みを握るかもしれない
もしかしたら、笑われるかもしれない
バカにされるかもしれない
心を閉ざすかもしれない
日記は書いた人の心も書いている
だから、見てはいけない
🥀
記憶を失った母
鍵付きの日記帳
その鍵をあなたは
海に捨ててしまったのですね
永遠に閉ざされた日記
密かにたずさえて
あなたは旅立ってゆくのですね
『閉ざされた日記』
無人の部屋に唯ひとつの異物
埃だらけの机にあって
それだけはまっさらだった
これは僕だけの秘密なんだけどね
神様が猫を喰ったのを見たんだ。教会が静かになる黄昏時に。ぐちゃぐちゃぼきぼきって音を立てて喰っているのを見たんだ。僕、それがあまりに綺麗でずっと眺めていたんだ。そしたら神様が振り向いて僕にこう言ったんだ。
「秘密だよ」
次の日も僕同じ時間にそこに行ったんだ。そしたら、神様大きな猫に喰われちゃってた。猫は僕に言ったんだ。
「内緒だよ」
神様が死んじゃったから僕だけの秘密になっちゃった。そういえば、僕今日食べられちゃうんだ。
この日記を早く隠して。ほら、はやく。
厳重に鍵がかかった本をみせてもらった。
明らかに大切なことが書き込まれているような雰囲気だ。
すごく真剣な顔だね、と笑われた。
そんな顔をしていた自分に全く気付かなかった。
逆に考えたら、読んでくださいって表紙に書いてあるようなもんじゃない?これ。と可笑しそうにクスクスと笑い出す。
本当に大切なものは形には残さないよ、他の誰かに知られたら大変だからね、と付け加えた彼は、さらりと本の表紙を指でなぞり、鍵穴に鍵を差し込む。
隠してあった引き出しに一緒に入っていたらしい。
鍵のかかった本はどうやら日記のようだ。
ねぇねぇ君は大切なことは紙に残しておくタイプ?と彼が聞いてくる。さあ、どうだろうか。エメラルドグリーンの瞳を見つめながら考える。
君のように物好きな人がいるかもしれないから、鍵のかかった日記は書かないよ、と答えたら、楽しそうに瞳を細めた。
それは賢明な判断だね。
「閉ざされた日記」
字がもっと綺麗だったら、手書きの日記もさぞ楽しいだろうと思う。
私は文房具が大好きだ。ペンやノートの類いは、使いもしないくせによく買っているし、ロフトの文具コーナーなら、余裕で半日過ごすことができる。
ただ日記帳は買ってもどうせ書かない、続かないとわかっているので、手をつけないようにしているのだ。
一度ほぼ日を買ったことがあるが、10日ほどで書かなくなってしまった。専用の皮カバーも買ったので、それなりの出費だったが、残念ながら続かなかった。高い買い物をしたらもったいなくて続けるだろうという思惑も、外れてしまったようだ。
毎日やるのが億劫なのもあるが、一番の原因はこの癖字だ。
大人になったら、大人らしい字が書けるようになると思っていたが、それは間違いだったことに、大人になってから気がついた。ていうか、気づいた時にはすでに大人だった。
相変わらずの悪筆で、我ながら見るのも嫌になる。この書く習慣アプリも、手書きだったらやらなかっただろう。
なので昔買ったほぼ日も、開くことはない。まさに閉ざされた日記だ。
ただ綺麗な字には憧れているので、日ペンの美子ちゃんに習うかどうか、私は今、真剣に悩んでいる。
字が綺麗になりたいなぁ。
閉ざされた日記
日記とは、自分の心の中を解放した文字で埋め尽くされている。
人には、言えない言葉が詰まっている
後で見れば、甘酸っぱい気持ちになったり
泣きたくなったり 笑顔にさせてくれたりして
自分の人生思い出したりする
それは、他の人が知っている自分の人生とは違う
誰も知らない 自分の人生を見られたくないから
日記の、中身は心を解放しているけど
日記は常に閉ざされている
言いたかった
言えなかった
苦しくなるたび
ページを開いて
本になるくらい
書き殴った想い
いつか貴方に
ぶちまけたい
きっと
その時
やっと本当に
貴方を
終われるはず
そしてそれが
この
閉ざされた日記の
エンディングになる
「閉ざされた日記」
閉ざされた日記
本棚の2段目の端っこ
表紙に何も書いてない
忘れ去られたノートは
今は開かれることなく
静かに存在を消してる
それは閉ざされた日記
あの日から捨てた記し
何もかもをなくした日
そこまでのことを残し
それからのことを白く
心の中にだけ残してく
忘れたように扱っては
心の中にだけは鮮明に
忘れたくないと抱いて
消せずにいる私がいる
何が正しかったのかは
今もわからないままで
中途半端な気持ちから
ノートを捨てられない
心の揺れと本当の思い
知りたいからまだ残す
あの時の大事な思い出
『 閉ざされた日記』
私は、日記アプリを使っている。
毎日記録するわけじゃない
感情が迷子になって整理したい時とか、
誰にも言えない、言ってはいけない秘密を抱えた時。
どうせ誰にもみられないのだから、
書く意味は無いのかもしれないけれど文字にするとスッキリする。
目を背けたい事実に向き合える気がする。
気づいたら知らない場所にいた
知らない服を着て知らない人が周りにいて知らない声をして喋っている、
自分がいた。
周りはあまりにも自然に僕と喋っていて僕も自然と喋っている
自分が話す言葉は自分のものではなく他人のような、なんだか過去の言葉をなぞるようで。
不思議な状況のなか不思議と違和感なくこの状況に馴染んでいた。
今日も君が好きです
今日は君が私にいいねをしてくれました
あの子にはもっとあげてね
今日は君があの子と話していました
君がわらうだけで周りが少しあったかくなったみたいです
あの子と一緒にいてわらってるときが1番かわいい
今日は君が友達と遊びに行きました
可愛いものたべて、素敵なお洋服もかったみたいです
今度はあの子とも行ってね
日記でわざわざ自分の話なんてしない。
まだ小さい頃に学校の宿題で自分じゃない人たちの話をしたら怒られたけど、未だに何でなのかいまいちよくわかっていない。
誰も読まないし、書いたら閉ざしてしまい込むだけの紙切れになんの価値があるんだろう。
それだったら、君を解釈するために、君をもっと愛するために君の日記をつけた方が断然いいと思う。
たとえそれが、紙切れより使えないただの自己満足になったとしても。
ーーーーーーーーーーーーーーー
#閉ざされた日記 2023/01/18
〔おもい〕
私の記憶にあるのは悔しかったことだらけ。
思い出そうとすれば、楽しかったこともいっぱいあったはず、なのに…。
楽しかった練習の日々は何気ない日常で。
くだらない会話の数々をわざわざ覚えたりしない。
なんとなく決めてみた友だちとのあだ名も、今日あった面白い話も、1週間もすればもう過去の話だ。
けれど、
悔しい思い出は一つ一つが印象的で、
10年前のことでも鮮明に思い出すことができる。
記憶に残るのはそんなことばかり。
そっか。悔しさは“おもい”んだ。
頑張ったからこその重み。
想いが詰まりすぎちゃったんだ。
悔しさほど心の底に沈んでかたまってしまうけど、
楽しさがまわりを包み込んでくれるはず。
閉ざされた日記みたいに、
いつか存在を思い出せればいいかな。
#閉ざされた日記:7
閉ざされた日記
時に、日記は色んな理由があって、その続きを書くことをやめてしまう。たとえば、飽き性で続かないだとか、毎日書くことが一緒でつまらなくなっただとか、書く必要性を感じなくなっただとか。時には、やめざるを得ないような事情ができたとか。そうして、日記を書くことをやめて、いつしか棚の奥へと押しやられ、開くことすらなくなっていく。
そんな閉ざされた日記たちが集められたここは「Dear」と呼ばれる日記の博物館のような、図書館のような場所だ。
さまざまな日記が各地から集められて、無機質な本棚を色鮮やかにうめつくしていく。ずいぶんと古いものから、比較的新しめのものまで種類豊富に揃っていた。
中を読めば、そこにはその人の一日が、数ヵ月が記されていて、その人から見る世界を見れるような気がして好きだった。
何冊にもわたるような日記には、その人の半生が書かれていて、ノンフィクションの小説と何ら変わらない。
ただ、その人の一部がここに、閉じ込められて眠っていた。
また一冊日記を読み終えて、ふと窓の外を見る。夕暮れの空が切なくて、美しくて、今のこの感情を忘れないように、自分の日記に記す。
いつか、誰かがこれを読むかもしれないと思うとなんだか変な感じがするけれど、この気持ちごと残しておきたかった。
日記に今を閉じ込めて、次会うときまで、おやすみなさい。
鍵をかけたこの日記は敢えてここに置いていく。
好奇心旺盛なきみは見つけたらきっと我慢できずに鍵を探してしまう。それとも開けてほしいのだと気づくかな。
中身を見たきみはどんな反応をしてくれるだろう?
ふふ、想像するだけでたまらなくわくわくしちゃうね。
お題:閉ざされた日記
私は自分を明かさない
だれにも
知っているのは
この閉ざされた日記のみ
私には二つ顔があるから
話してしまえば
私は私でなくなる