この日記は、昔、姉が書いていた。
だが、どこのページもボロボロ。
達筆で、綺麗な文字。
喜怒哀楽の感情が綴られた内容。
そして、一番の最後のページ。
この日記の最後の言葉。
『私は、自分の記憶を一生手放さないようにするために、抱きかかえたまま、燃え盛る炎の中で人生を終えます』
火事が起きた日。
姉以外はみんな避難することが出来たが、姉はこの日記を書き切るために、逃げ遅れてしまった。
落ち着いた後、自分たちの家へ訪れた。
そこには姉が愛していた日記帳が変わり果てた姿で見つかった。
――姉は今、どうしているだろう。
あの日までの記憶が閉ざされた日記帳を、自分も抱きかかえた。
〜閉ざされた日記〜
1/18/2023, 3:20:36 PM