厳重に鍵がかかった本をみせてもらった。
明らかに大切なことが書き込まれているような雰囲気だ。
すごく真剣な顔だね、と笑われた。
そんな顔をしていた自分に全く気付かなかった。
逆に考えたら、読んでくださいって表紙に書いてあるようなもんじゃない?これ。と可笑しそうにクスクスと笑い出す。
本当に大切なものは形には残さないよ、他の誰かに知られたら大変だからね、と付け加えた彼は、さらりと本の表紙を指でなぞり、鍵穴に鍵を差し込む。
隠してあった引き出しに一緒に入っていたらしい。
鍵のかかった本はどうやら日記のようだ。
ねぇねぇ君は大切なことは紙に残しておくタイプ?と彼が聞いてくる。さあ、どうだろうか。エメラルドグリーンの瞳を見つめながら考える。
君のように物好きな人がいるかもしれないから、鍵のかかった日記は書かないよ、と答えたら、楽しそうに瞳を細めた。
それは賢明な判断だね。
1/18/2023, 3:01:42 PM