『鐘の音』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『鐘の音』
時刻は10時より少し前。スーパーの一角にある隠れた名店である手作りパン売り場に買い物客がにわかに集い始めている。おつかいで食パンを買ってきて、と放り込まれた私は周りにいるマダムたちから歴戦の猛者のような気迫を感じていた。そんな中におもむろにパン屋の店員さんが現れ、そして手にしたハンドベルをガランガランと鳴らした。
「食パンただいま焼き上がりました。レジでのお渡しとなります。お求めの方は二列に分かれてどうぞ」
素早く反応したマダムたちは食パン専用にできたレジにいち早く整列し、遅れを取った私は慌てて最後尾を探し始める。パンの人気を正直侮っていた私は猛者たちで膨れ上がった行列に戦慄さえ覚えていた。
「では、誓いのキスを」
ようやくこの方と結婚できる。何年待ち望んだことか。好きだよ、小学校のときからずっと。
ありがとう。一緒に幸せになろう。
ずっと好きだった。でも、一回ふったから、いつ自分の心の入れ替わりを伝えたらいいか分からなくて、時間がかかってしまった。ごめん。そして、待っててくれてありがとう。
そして鐘の音がなる。
※イジメ表現あり 注意
『醜いオタクはチャイムが嫌い』
あぁやってしまった。落ち込んでいる私の耳に授業開始の鐘の音が重くのしかかる。私はいわゆる、オタクだ。地味でコミュ力がない私は陰キャとして高校生活を送っていた。しかし、ある時陽キャが私の好きなアニメについて話してた。やっぱアレは最高だよな~、特に〇〇くんはビジュといい、性格といい、あ~やばい。妄想が止まらない。ふと、陽キャの会話に耳を傾けると、「あ~あのキャラの名前なんだっけ? なんか、ウルフカットのゲーム好きな子。」「△△くん」気付いたときには口が動いていた。「そうそう。あの子かっこいいよね。」私の中で何かがONになった。「そーなんですよ!あの怠惰な性格!ひねくれ者な感じ!あとあれとかこれとか云々〜」5分後、しびれを切らしたように陽キャが「オタクマジ無理。同じアニメ好きだから少し聞いたけど、ガチオタじゃねーから。前から陰湿で苦手だったけど、もう話しかけてくんなよ。」…こうして冒頭に戻る。キモかったよな。なんてことをやってしまったんだ。もう消えたい。
次の日から、軽いイジメが始まった。仲間外れにされ、陰口を言われる。その日、学校のチャイムが耳に突き刺さる感じがした。聞きたくなかった。昨日の失態を思い出してしまうから。でも、家に帰ってしまえば、私は無敵だった。アニメを見て、原作の漫画読んで、二次創作の小説読んだり書いたり、それだけで嫌なことなんか忘れる。投稿した小説はなかなかに評判がいいし、コメントを見ると創作意欲が湧いてくる。そんな毎日を送っていた。なるべく毎日小説を書くようにしていた。というより、書いてしまっていた。
私 「というのが私の高校生活でした。学校のチャイムは今でも苦手です。」
記者 「イジメを受けていた過去があるんですね。でも、小説家になって数々の賞を取った今、過去の自分に伝えたいことは?」
私 「そうですね。もう本当にエライ!そんな感じですね。オタクを気持ち悪がられても、オタクをしたら忘れる、これは本当に凄いと思います。」
記者 「確かにそうですね。 では、最後に過去の自分と同じ境遇に居る子にメッセージをどうぞ。」
私 「醜いアヒルの子っていう童話を知っていますか? 周りと違うから、馬鹿にされたり仲間外れにされたりする白鳥のお話。でも最終的には綺麗な翼で大空を舞う。 だから、イジメられても落ち込まず、自分が白鳥になれる事や場所を探してみてほしい。きっとそこで翼を広げられるから。」
この音、アニメだとか空想とでしか
聞かないと思ってたのに…。
鐘の音に合わせて、
頬を染めて、
「…誓います」
自分にとって一体何が幸せなんだろう。
いつになったら、その答えが見つかるのだろう。
愛する人の出会い?
家族?
健康?
お金?
名誉?
悲しみに覆われている方を助け出すこと?
この疑問にの解答に苦しんでいる人を導くこと?
全てがフラットに近くなった瞬間、
いつも真実を求めて心が彷徨う。
もっと早く気付いて入れば済んだ筈の昔の出来事。失われた命と、傷つけた心
ああ、なんて俺は浅はかだったのだろう。
もう繰り返さないと誓ったはず。でも、
今君は、本当に誰も傷つけていないのかい?
残された日々を心安らかに歩き出そうよ。そう、あの赤銅色の道を潜り抜け、
青く澄み切った無の世界に辿り着くまで。
大きく開くその入り口にある、高らかに鳴り響く鐘の音を聞くまで。
『鐘の音』
カーーン
で、しょんぼり
キーンコーン
でも、照れ笑い
キンコンカンコン キンコンカンコン キンコンカーン
で、大はしゃぎ
我が家の夏の昼食の定番の素麺を啜りながら、テレビの中の大人達ののど自慢をボッーと見ていた長閑な日曜日。
隣の家からも、のど自慢の鐘が聞こえる。
あの頃は、「あぁ、はやく大人になりたい」って思っていたけど、
今では、時間がのんびりゆっくり流れた少年時代に戻りたいなぁ。
鐘の音が辺りに響き渡る。
「あの大きな時計台から鳴ってるの」
ゴーン、ゴーン、と私の心に鳴り響く。
「とっても素敵」
ゴーン、ゴーン、
❦
福音、晩鐘、除夜。節目には鐘がなる。
生きて朽ちるまでに何度も鐘がなる。
わたしはあといくつの鐘の音を聞くのか。
ゴーン ゴーン ゴーン
鐘の音がなる
君はまだ来ない。
良かったと少し安心したけれど、君がいないとつまらないと言う事実は変わらないし、ここにいる以上君を待っている事になるのだから、本当は来てほしいのかもしれない。やはり僕は少し自分勝手らしい。
でも君は危なっかしいから、道を間違えてこっちに来ちゃった!なんて事があるかもしれないから安心できないし、見張っているだけと言う事にしておこうか。
ふと気を抜くと讃美歌が耳に入ってきてしまうから、イヤホンの音量を上げた。
この類の曲はどうも好きになれなかったけど、君が僕のために歌ってくれたあの曲は好きだよ。
なんだっけ、十字架にかかったイエスは〜みたいなやつ。僕、教会に行ってたけどあんまりイエス様に信仰心っていうものを持てなかったんだ。
そりゃイエス様は今も生きているっていうのは信じてるつもりだけど、心の中では
そんな超次元的な事ができるのか?
とか、
神様って本当にいるのか?
とか人間らしい疑問が次々に出てきて、何かわからないものを信仰することが怖いと思っちゃったからさ。
でも君は違ったよね真剣にお祈りを捧げて、集金だって毎週してたし。不意に笑った時の笑顔も向日葵みたいに輝いてたよ。そんな君を見て、仲良くなりたいと思ったのと同時に、僕のものにしたいと思っちゃったから
僕が死んだんだ。みんなからは想像通りってところ?
教会終わりに君をストーキングしてたらトラックに跳ねられて死んじゃったよ。即死だった、と思う。飛び出しってやつで100僕が悪いんだけどね。
僕が跳ねられた事に気づいた君は僕に駆け寄って必死にお祈りしてたよね。お葬式の時に歌ってくれた讃美歌も僕に届いてた。嬉しかったよ。
でも、君は最近教会に来るようになった女の子と楽しく遊んでるらしいじゃん。それを僕はどうも気に食わない。
もっと僕の死を引きずってくれると思ってたから、
だって君には僕しかいないと思ってたから、
すごい人見知りだと思ってたから、
そんな君しか僕は好きじゃなかったから。
最初は君も死んで僕と同じところに来ればいいと思った。幸運な事に僕がきた場所は天国らしいから。
でも今は君にはきてほしくない。
こんな薄汚れたやつが天国にいる現実を突きつけられた君はイエス様を信仰していたときの君じゃなくなるような気がするから。
でも知らないうちに僕は君を少し縛っていたという事に最近気づいた。
君、段々僕に似てきてるよね?
信仰心、薄れてきてるよね?
それはやめてほしい。
僕が死んだ意味がなくなってしまうじゃないか。
ゴーン ゴーン ゴーン
鐘の音が鳴る
君は来てしまった。
天国という名の支配がない無法地帯に。
絶対変になってる。物語描ける人尊敬します。
恐怖が私の焦燥感を掻き立てる
手放しでお茶を飲むこともできずに
なんとか平静を保つために埃の一つも見当たらない床を掃いて艶やかなテーブルを磨く
今日こそ鳴るだろうか
遠方の地は影だけが張り付いて残るような光と闇の交叉があったらしい
彼の人を見送ったあの日から永遠とも思えるながいながい時がたつ
絶対に帰ってくる。
私は今日も待ち続ける
彼の人の帰宅を知らせるであろう戸口の鐘の音を。
お祭り(番外編)⑮の続き
鐘の音(番外編)⑯
●ハッピーウェディング
カーン カーンと教会の鐘が鳴る
今日は、局長の知り合いの伝手で
ウェディング雑誌の取材で
カップル代表として、ミーナとナイトが
雑誌のモデルを頼まれた。
二人居れば、事足りるのに
何故か見学をスタッフに勧められ
俺とシズクは、二人の撮影を見学していた
シズクは、キラキラした瞳で、
ミーナとナイトの二人を見つめて居るが
俺は、何の感慨も湧かず
欠伸を一つした。
(何も雑誌の撮影で、本格的に模擬挙式を
挙げなくても良いような気がするが...)
と 俺は、思ったが女子は、こう言うのが
好きなんだろうなぁ.... 俺は、隣で両手を
組んで二人を見つめてるシズクを見る。
(結婚....)と言う二文字を頭の中で浮かべてしまい俺は、慌てて首を横に振る。
(はぁ~早く帰りたい)と俺は、心の中で
ため息を吐き項垂れた。
しばらく立ち撮影が終わりやっと帰れると
思ったのだが....
気が抜けて呆けていたらスタッフの人に
手を取られ懇願された。
「お願いします代わりのモデルとして
撮影に参加してくれませんか?」
「は?」俺は、顎が外れそうな程
ポカンとしてしまった。
何でも 次の撮影の新郎役のモデルの人が
急に来られなくなり急遽代役が必要らしい
事情は、まぁ...分かったが....何で俺?
俺は、素人だし撮影と言う事は、それなりになりきらなきゃ行けないので
演技力も必要になると思う....
自分で言うのも何だが俺は、演技力なんて
皆無だ 写真撮影なので台詞は、無いと
言うが 新郎 新婦らしくポーズは
取らないと行けなくなる。
そんなの俺が出来る訳ない
断ろう俺なんかがでたら撮影が滅茶苦茶に
なる そう思ったのだが....
「お願いします 新婦と背丈が合う若い人が貴方しかいないんです」切羽詰まった
スタッフ突然のトラブルにどう対応して
良いかスタッフ側も分からないのだろう
俺は、何となく悟った これは、了承しないと帰れ無い奴だと....
俺は、ため息を吐いて渋々了承した。
俺のモデルが決定してミーナとナイトが
「ハイネ ドンマイ」「いつの間にそんな
事になってんのよ!」とそれぞれ労る様な
呆れる様な視線を送って来た。
シズクに至っては、「ハイネ....モデルに
選ばれるなんて....凄い....」と両手を胸の前で拳にして、俺に尊敬の眼差しを向けて来たが 正直 シズクの反応に俺は、
落ち込んでいた。
分かっていた事だがシズクは、別に
俺が模擬とはいえ他の異性と結婚式を
挙げても何も思わない.....
やきもち位焼いてくれないかなあと
期待していた分少しショックを受けていた
シズクは、ハイネの撮影にワクワクして
いた。
(皆....モデルに選ばれて凄い!)
シズクは、興奮してハイネの撮影を見守る
撮影も中盤に差し掛かりハイネが跪いて
新婦の手の甲に顔を近づける
ちなみに誓いのキスなど
キスシーンなどは、スタッフ側がハイネを
気遣い触れそうで触れない寸止めのキスをしたフリで乗り切る。
そのシーンに差し掛かると....
(あれ?....)シズクの瞳から涙が溢れた。
(何で....私....泣いてるんだろう...)
シズクが自分の涙に混乱していると....
「シズク テメェ何で泣いてんだよ!」
撮影を終えたハイネがシズクの顔を覗き込む。
「えっと~ぉ....多分....感動して....」
「はぁ!何だよ多分って.....
ったく しょうがねェなあテメェは!」
ハイネがシズクの目尻に溜まった涙を
指先で拭う。
「拭く物持ってねェんだよ!面倒臭ェから
早く泣きやめ!」ハイネが面倒臭そうに
シズクに文句を言う。
「は....はい....」シズクは、ハイネに
申し訳ないと思いながらも何だか胸が
暖かくなり笑いがこみ上げてきた。
「テメェ何笑ってやがる!」
ハイネがムカついてシズクのほっぺたを
両手で抓る。
「ご....ごめんなさい....」シズクは、ハイネに謝るが笑いが止まらない
そんな二人のやり取りに笑いが込み上げた
様に教会の鐘が カーン カーンと
高らかに響き渡った。
【鐘の音】
もう、行かなきゃいけない時間だと、それを知らせる鐘が鳴ったと、隣に座っていた彼女が立ち上がって言う。自分はそれを理解しながら、でも引き留めたくて、
「もう少しだけ、いられない?」
口に出していた。少し手を伸ばして、彼女の腕をつかもうとしていた。それを見た彼女は微笑んで、でも悲しそうに、
「駄目だよ、行かなきゃ」
呟くように言って、歩き出す。
自分は。
立ち上がることすら出来ず、ただ見送る。
頬に涙が流れているのを感じた。
「って夢を見た」
「会いたかったんだね、彼女に」
「うん、会いたかった」
「……昼ご飯、食べに行こうか。一緒に」
「ありがと。おごり?」
「元気になったのは良いけど、おごらないからな」
精一杯、元気に言って、そして元気に返され、笑って立ち上がる。
昼時を知らせる鐘が聞こえる。
鐘の音
ゴーン
ねえ。知っている?鐘の音を聞くと一生幸せになれるんだって。だから....
その言葉の続きもなく、君はいなくなった。
まあ、とりあいず、鐘の音が聞こえる場所に行った。きっと君も聞いているのだろう。久しぶりに冒険したことや秘密基地を見つけて、夕日を見て、喧嘩をして、くだらないことで笑い合う日を思い出した。
どれもどれもくだらない思い出ばかりだ。でも、大事な思い出だ。
ありがとう。もし、来世で会えたら、もう一度、親友になってくれ。もう一度、心友に....
鐘の音
鐘の音で
場を整える
浄化する
調和させる
これは本当に
ありだと思う
鐘の音
鐘の音が
鳴るまでは
今は楽しい夢の中
このまま
あなたと笑っていたい
(江戸時代をイメージしています)
ゴーンゴーン
真夜中の3時の鐘がなった時
あの人が現れるの!
私の最愛の人!
話しかけたりしたことないけど……
わ、私が勇気のないやつだからじゃないわよ!
だっだって!
来てくれるだけで嬉しいもの!
………………なんでって?
だって あの人は……
亡くなってるはずだから……
いつも家の前にある柳の木の下に現れるの!
でもね、近ずいたらダメな気がするの
あそこは生と死の境界線だと思うの
だからね、
こうして来てくれるだけで嬉しいの
微笑みかけたら
微笑み返してくれるだけで嬉しいの
許嫁が決まってしまって、
今月結婚することになってしまったけど……
あなたの事はずっと好きよ!
だからね
もうしばらく待っててください、
必ずあなたのもとに行きますから……
鐘の音#71
まただ。
あの鐘の音が響いて、忘れていた記憶の蓋が再び開いてしまう。
また九尾に化かされていたのか。
いくら目を擦っても目の前の景色は変わらないけどきっと夢だろう。
だってもう姉さんはいないんだから。
ふと思い出した当たり前のことでじーんときてしまった。
こんなところで泣いていたらお稲荷様に笑われてしまうかな。
ジョバンニはストレーザの街を歩いていた。
するとどこか遠くからやわらかく心地よい響きが耳に届く。
まるで夢の中で聞こえてくるような幻想的な響きだ。
それは、太陽の鐘楼の鐘の音だった。
新しさと懐かしさが入り混じる不思議な音。
時には艶やかな幸せの福音として明るく響き渡り、
時には深い心に寄り添う慰めの声として柔らかに包み込む。
そしてまた、勇気を与える力強い応援としても聞こえてくる。
その音色は、どんな人々にとっても意味あるものであり、想いを寄せた者たちの心をつなぐ大切な鐘の声なのだ。
その時ジョバンニは目を閉じて親友のことを思い出すのだった。
「鐘の音」
鐘の音を ずっと 探している
チリン チリン チリ チリン
小走り しながら
明るい 空の 方を 見上げながら
歩幅を 変えてみながら
どこで なっているかを 探している
クリスマスに 買ってきた
ティンカーベルの 優しい 音色
どこか 小走りの 音が なっている ようで
どこかの 日陰に 薄っすらと
影を 浮かばせながら
それでいて 白い 雪の 季節に
きれいな 音色を 響かせている
チリン チリン チリ チリン
首輪の 代わりに つけた
ティンカーベルに 導かれ ながら
あたりを ずっと 探している
或いは 天使が ずっと
白い 犬を 呼んでいる 優しい 声の ように
陽の光の 向こうに 見つけた
どこかの 入口は きっと
そこから 光が 溢れて
そこから たくさんの 天使が 音を立て
舞い降りてきた
そして 鏡の 前で
ようやく 首に かかった ティンカーベルを
見つけると
両足で 背伸びを しながら 日の明かりに
手を伸ばして
鏡の 前の 白い 犬の 姿に
微笑みながら ティンカーベルの ありかを 見つける
毎年 この季節が 来ると
白い犬と ティンカーベルが 廊下で 鳴り響き
鏡の 奥に 広がる
光の ありかと ティンカーベルに 導かれた
白い 子犬が はしゃいで そこから 天使が たくさん
降りてくる あの廊下が 君を 忘れないでと
光を 放つ
真白い鳩が勢いよく飛んでゆく。
地面を震わす大きな鐘の音。
平和に祈りを捧げる数多の人。
そこはかつて全てを奪われた土地。
そこはかつて一瞬にして地獄を生み出した痕。
平和を形作るその礎には必ず誰かの命が踏みつけられている。
わたくしたちはそのことをこれからもゆめゆめわすれてはならないのです。