『鐘の音』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
〜鐘の音〜
鐘の音がなった
心が高ぶった
今までの私ありがとう
その鐘は止まっていた時間が動き出したように
幸せの音を響かせた
きっとこれは始まりの音
あちらの寺はコーン、こちらの寺はカーン。
向こうの寺はキーン、そして、この寺はケーン。
いやあ、鐘の音というものは全て同じと思っていたが、こうして聴き比べてみると、以外や以外、皆、音色が違うものなのだな。
若様の元服の折、鎌倉に鐘の音を聞いてこい、と仰せになられた時は、主様もお歳を召してとうとう可笑しなことになられてしまわれた、とも思ったが、それもどうやら杞憂だったか。
恐らく、元服なさった若様と鎌倉へ赴き其処で鐘の音を聴きたい、との思いなのだろう。
ならば、爺様の代からの家臣の矜持に懸けて、鎌倉一の鐘の音を探してみせようぞ。
三百程あるという鎌倉の寺一つ一つを廻り、その寺の鐘の音を聴いて、仕えている屋敷に戻る頃には半月が経っていた。
建長寺の鐘の音が、鎌倉一の鐘の音で御座います。
脇息に付いていた肘を滑らせた初老の主人は、頭を抱えて重い溜め息を一つ吐いて、ピシャリと吐き捨てた。
そのカネのネではない。
テーマ「鐘の音」
寒い。
どこに行くんだろう。まだ夜だよ。
23時26分。
お母さんが玄関のガラガラ扉を閉める音で、目を覚ました。外出するようだ。私の家庭は母子家庭である。お母さんが外に出たために家にひとりなってしまった。私はこのチャンスを逃すまいと、そそくさとテレビのリモコンを持つ。
『テレビの主導権はお母さんが持っている』
これは、私とお母さんとの暗黙のルールだ。私とお母さんの間には、暗黙のルールがたくさんある。説明するとキリがないくらい。こんなルールがいつ作られたのかなんて分からない。多分、私が産まれて、自我を確立する頃には、このルールは出来ていたのかも?そう。お母さんが家にいない今、私の観たい番組を思い切り観ることができる。ということなのだ。テレビを独り占めすることは、私の密かな夢のひとつだ。それが今、叶おうとしている。わくわくがとまらない。
この興奮を抑えるように、深呼吸をしてテレビをつけた。はーっと息をするとその吐息が白くなるのが分かった。よし、自分の観たい番組を悔いなく観よう。そう、決意し。自分の観たい番組を逃さないように、慎重にチャンネルを変えていく。
あれ?なんでだろう?自分の観たい番組がない、そうだ、もう12時になるころか。。。
この時間帯は、中々、私がおもしろいと思うような番組は放送されていないみたいだ。しかし、テレビは観たい。あるチャンネルで手を止めた。お寺?のような場所に人が集まっている??よく分からない。とりあえずこの変な中継を観ることにした。画面に映し出されている真っ暗な外は、しんしんと雪が降り積もっていた。
24時00分。
画面の右上に表示されている時刻が0:00になった途端、お坊さんのような人が何かを唱え。一本の太い木の棒を担いでいる数人の大男が大きな鐘を突く。ゴーンという重低音が脳を揺らした。
そして、変な中継のアナウンサーが喋りだす。
「明けましておめでとうございます。2006年になりました。皆さま良いお年をお迎えください。」
あ!あれお母さんだ!中継に写りこんでる!なるほど、これを見に行ったのか。なんで、これを見に行くのか私には理解が難しかった。面白さを微塵も感じられない。
アナウンサーの後ろにお母さんが、映り込んでいる。お母さんの彼氏がお母さんの身体を覆うように後ろから抱き、胸の前で互いの指を絡めていた。
そういえば。最後にお母さんが、私の手を触れてくれたのはいつなんだろう。忘れてしまった。考えると、悲しくなってきて、涙が頬をつたう。
私は自分の手を広げてみた。自分の手が異常な程、震えていることに今気づいた。寒さで震えてるのか、悲しさで震えてるのか。本当のことなんて私には分からない。もう、眠たくなってきた、自然と視界がぼやけていき意識がどこかへ飛ばされそうだ。テレビを消さないとお母さんにテレビを観ていた事がバレてしまう。そんなことを考えながら、目を閉じた。
「昨夜未明、13歳の娘を凍死させたとして、殺人の容疑で、30代の████容疑者が逮捕されました。警察は日頃から家庭内で暴行が行われていたとみて捜査を進めています。」
毎朝5時ぴったりに鳴る、鐘の音。
あと何回聞いたら私は死ねるのだろう。
窓から鐘を見つめる。
その周りには祈りを捧げる信者たち。
不思議と空気は綺麗だった。
ひたすらに幸せを願う姿勢は、欲深い貴族のように汚いのに。
一分、二分…時間だけが過ぎていくのにその場所だけは静止画のよう。
私はその作者になりたい。
夕日が落ちてきた空。
鳴るはずのない鐘が私の中に響いた。
除夜の鐘が
鳴る。
子供の頃は
冬休み
大晦日
お正月
他に楽しみが
いっぱいで
儀式のようなもの
でしかなかった。
今は
今年も
1年
よく頑張ったなぁ。
って思うのは
大人になった
ってことなのかな。
#鐘の音
鐘の音は、人々の脳へ響き。
心を揺らがせ、
またこの地へ戻ってくる。
いつも音の発される場所は変わらず。
変わらない美しい音それは皮肉にも、変わらなくつまらない生活があった。
つまらない生活に人々は終止符を打つように
人々は鐘を壊した。
それから人々は、見たことのない新しい世界に恐れた。
人々は変化を求め、未知なるものを恐れた
そして。
いつも通りを求めた。
だが、鐘の音色は、戻ることなく
人々の脳内から響きを消した。‐
鐘の音
始業五分前を知らせるチャイムの音が聞こえる。聞こえる、というのはどこか遠くで聞いているのであって、こんな地点で予鈴がなっているということはもう到底一限には間に合わないということであって、すなわち僕は今遅刻しているのだ。チャイムがなった時点でどれだけ急いでも遅刻には変わらないのだから、労力の無駄でしかない、と走る愚かな民を横目に歩を緩める。
「?……あれは?、」
校門の向こう側、土煙を立てて走る下民共の真ん中を、ポニーテールにまとめた長い黒髪を靡かせながら悠々と歩む少女が見える。
「ハッ!!僕としたことが、意識を失っていた!!」
恋に落ちる福音は、始業を知らせる鐘の音が立派にその役目を果たした、
産まれて鳴る、病院の鐘。
私の鐘もなり始める。
貴方の鐘もその時鳴り始めたのだろう。
これからきっと、何十億回となり続ける。
その瞬間によって、はやさ、高さ、大きさ、全てが変わるのだろう。
次の瞬間が、楽しみだ。明日が、楽しみだ。
テーマ「鐘の音 」 / 題名「貴方と私の鐘の音」
鳴り響く0時の鐘
追いかける王子の姿は無く
ただ静けさと虚しさに音が響く。
何処まで繕っても所詮灰被り。
背伸びしたヒールが残すのは靴擦れだけ。
魔法は落として眠りましょう。
深く、深く眠りについて
今度は王子を寝て待ちましょうか。
鐘の音を聴きながら一年の終わりを惜しみつつ新年を迎える。反省や目標を立てて人は成長していくのだろうが、ついついのんびりしちゃうよねぇ〜2355の時間です。
『種族』
ゴーン…ゴーン…
この街の鐘は、いつも決まった時間に鳴る。
夜の12時と、明け方の4時。
変だと思うだろう。
皆が寝ている夜の12時と、まだ起きている人が少ない明け方の4時。
それも仕方がないのだ。
夜は、僕たち人間の時間じゃない。
夜は、僕たち以外のモンスターたちの夜だ。
夜の間はよっぽどのことがない限り外出禁止。
夜に外出て死んだとしても問題にはならない。
そうすることで、僕たちはモンスターたちと共存している。
お題:《鐘の音》
試験終了の鐘が鳴る。
筆記用具を机に置き、伸びを一つ。
必死に埋めた解答用紙は試験監督が回収していった。
やるべきことはやった。受けることに意味があった。
出来、不出来は些末な問題なのだ。
さて、何を食べて帰ろうかな。
/「鐘の音」
鐘の音
カーン!....
私が鳴らした鐘の音が山の合間を通り抜けていく
気持ちが良さそうだ
高い所から見下ろす景色は綺麗で
清々しい
ここまで登ってくるのに随分苦労した
息を切らしながら
少し冷えた汗を肩に感じながら
目を見合わせる
手を大きく伸ばしても
なかなか全体像は入らない
結局ほとんどが2人の顔になって
おかしくて
また笑った
#鐘の音
私が居る所から遥か彼方。
鐘の音が聞こえる。
何を知らせる鐘だろうか。
今は深夜。普通なら鐘がなるような時間じゃ無い。
なにかあったのか。
確認したいところではあるが、それは出来ない。
ここは山の上のポツンと建てられた屋敷。
誰かに聞こうにも、この屋敷に居る人間は誰1人聞こえていないだろうし、何も知らないだろう。
あぁ、私に自由があれば、今頃ここから抜け出して、駆けて駆けて駆けて、山の麓まで行き、何の鐘の音なのか確認しに行くのに。
口惜しい。この足が自由なら、私の体が自由なら、出来ただろうに。
仕方ない。眠ろう。何も考えず、ただ瞳を閉じて、体を休ませる。
だって私は何があろうと山の麓まで行けないのだから。
――山の上の屋敷に閉じ込められた少女は独りごち、眠りについた。彼女が次に目を覚ますのはいつになることやら。それを知るものはどこにも居ない。
鐘の音
昔から、僕には鐘の音が聞こえる。
それは僕の頭の中だけに聞こえる音だ。
聞こえるタイミングはさまざまで、例えば普通に道を歩いているときとか、テレビで天気予報を見ているときとか、隣のクラスのよく知らない女の子に告白されたときなんかに突如として聞こえてくる。
鐘の音と言っても、お寺などで鳴らす鐘の音とは違って、カーンカーンというやや甲高い音だ。
ちなみにその音が聞こえたあと、僕は曲がり角で自転車と激突して大怪我を負ったし、天気予報を見た一週間後には強い台風が来て自宅が半壊したし、付き合った女の子は顔は可愛いのに発言の80%が他人の悪口だったので幻滅してしまった。
察するに、この鐘の音は文字通り僕に警鐘を鳴らしているのだ。
ある夜、僕は大きな鐘の音に驚いて目を覚ました。今まで聞いたことがない爆音で、いつまで経っても鳴り止まない。一体何が起こる? 地震か? 右往左往するも、特に何が起こる気配もない。それでも鐘の音はけたたましく鳴り続けている。
今でもずっと、鳴り続けている。
今日のお題みて思い出した
―柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺 正岡子規
まだ夏なのに柿が食べたくなる
京都にも行きたくなったけど盆地で暑いから写真みて観 光したことにしとく
暑すぎて出掛けたくない
冷したラムネ飲みたい
夏のフルーツは足が早いからはやく秋になってほしい
食欲の秋したい
なんの話しも思いつかなかった
どんなお題でも小説風のなにかを書けるようになりたい
この煩悩を年末の鐘で浄化しないといけない
欲が目標になったら最速で叶いそうなのに勿体ない
【題:鐘の音】
~つまらないことでも~
君に会いたくて
好きでもない飲み会に行った
君に会いたくて
興味のない研修にも行った
つまらないけど 君に会えるから
会えたら それだけで嬉しいから
~鐘の音~
飲み会の後、除夜の鐘を聞きに行ったね
貴方はとてもつまらなそうだった
研修終わりに立ち寄った観光地で、
恋人の鐘ってのも鳴らしたね
貴方はとても恥ずかしそうだった
今日は一緒に教会の鐘を聞いてる
貴方はとても幸せそう
私もとても幸せ
ぼぉ~ん
ぼぉ~ん
「ぼぉ~ん、ん、ぼぉー」
低すぎ、出ない。
ってなるのかな、
それとも結構高かったっけ?
今年の年明けに聞いたはずの鐘の音を思い出そうとして、年明けは車の中にいたから聞けていなかったことを思い出した。
あの頃私は久しぶりに会った兄との慣れない会話に疲れて、早く実家に着かないかと、兄との二人きりの空間から解放されることだけを待ち望んでいた。私がしゃべりたがらないのを察したのか、彼は音量を上げて音楽を聞き始めた。下手くそな口笛なんかかまして、これじゃ音楽鑑賞もろくにできない。ま、私が嫌いな運転をしてもらってるだけありがたいか。あと40分はこんな状態が続くなら気持ち穏やかにもしてたいし。
と、そんな年明けだったな。鐘の音も聞いてないのに聞いた気になってたのは、なんでだ
#鐘の音
「ね、今日このあと暇?」
「別に……特に何も無いけど」
「お!じゃあ、今から駅前のスイーツ屋さん行こ!!新作の桃パフェが出たんだって〜」
放課後。終わりのチャイムがなる。私は、高校から仲良くなったマキからそう声をかけられた。正直に言えば、苦手なタイプの子。いつも元気でテンションが高くて、色んな人から囲まれて、自身から積極的に話しかけていく感じで。だから、一年の頃、初めて会った日は「あ、この人無理だな」と、本能で悟っていた。
だけど、そんなイメージは覆る。高校二年の夏。学校の帰り。私は見た。たくさんの子どもたちがいる公園で、彼女が羽を怪我をしている小鳥を拾い上げている姿を。
「……今、治してあげるからね」
どうやって、とツッコミたくなったけど、あえて何も言わず、ただ黙ってその様子を見ていた。すると彼女は突然立ち上がり、スゥと息を吸った。そして次の瞬間、私はハッと息を飲んだ。
――歌い出したのだ。
大勢の人がいる中で、彼女は美声を放った。何の歌かは知らない。だけど、心の底から何かが湧き上がってくるような心地になった。本当に、感動したかもしれない。歌いきった後の清々しい表情に、公園の利用者の拍手、そして、パタパタと羽を動かしていた小鳥の姿。この光景は今でも忘れられない。
「ん?おーい、どうしたの?ボーッとして」
「あ、いや別に何も……」
「そっか。じゃ行こ!しゅっぱーつ、しんこーう!!」
彼女は走り出す。私にキラキラとした笑顔を見せつけて。そんな私は、息をついてから笑った。そして、ゆっくりとその後をついていく。私たちの間に、終わりの鐘の音が鳴り響くことがなければいいのに、と心の中で願いながら。
〜鐘の音〜
『ある少女はお姫様』
今でも夢見てる。
夢見がちなお姫様と、迎えにきてくれる白馬の王子様。
今日もほぼブラックのような会社に努めて、
仕事が終わる頃にはぐったりすやすや…
酒さえも嗜める様子は微塵もなくて、
ただ胸の奥に、世界から剥離された感情が詰まっていく。
そんな毎日、ある日の帰り。
最近オープンしたという服のブランド『夢見がちなお姫様と白馬の王子様』がある通り。
やけに夢可愛い紫やピンク、水色の淡い光が店一帯を染めている。
その世界観は外からでも分かる程異端で、
可愛いながらもどこか危なっかしい雰囲気を窓の外までふんわりと映している。
あぁ、自分も夢見ていたなぁ。
昔、まだ夢と希望を持って生きていた頃。
「わぁ!これかわいい!」
「ねぇ、おかあさんこれかってよぉ」
「ダメよ。高いじゃない。第一こんな可愛らしい服貴方に似合わないわ」
「…そっかぁ」
自分は着せてもらえなかった。
周りの子達はフリフリで可愛い服を持っていて私は地味。
「貴方にはそっちの方が似合うわ」って言われて諦めて。
でも、心のどこかでは夢見てたんだよなぁ。
自分がお姫様になる物語を。
「では、こちらの服はいかがでしょうか?」
「へわっ!?」
少々女らしさを感じない叫びをしつつも、いつのまにか店内に入っていた自分に驚く。
「えっと、こ、こちらの服って……」
「えぇ、こちらの服です」
そういって店員さんが優しく差し出してきたものはまさにお姫様といったような、
水色と紫色のレースがふんだんに使われて丁寧にあしらわれたであろうドレス。
横に小さくついているふわふわのポシェットが乙女心をくすぐる。
「で、でも私が着るのは…」
「お客様、この服は私が選んだのではなく、貴方が選んだんです。選ばれたんです。」
と店員さんはゆっくり目を細め、私の心を見透かしたようにドレスと私を重ねて見せた。
「似合っている似合っていない関係なく、貴方は選ばれたんです。この服に。」
「「だから、来てください」」
店員さんの静かで優しくありながらもどこか強い意志を感じるその言葉に、
私は自然とドレスを手に取り、試着室へと足を進ませていた。
試着室では服の仕様に戸惑うところもあったがなんとか着ることができた。
可愛かった。
近くにあった写し鏡を上から順に爪先までしっかりと見て感じた。
「可愛い」
鏡の前で「ふふっ」と笑って見せたり、
少し歌ってみたり、紅茶を飲む素振りをしてみたり。
まるで本物のお姫様だった。
ふと、ピト、と手を鏡につけてみた。
見えないはずなのに、鏡の奥にはお姫様になれる世界が広がっているような。
そんな感じがして、見えないお城に手を伸ばした。
「はーい。今日はここまでね」
「えーなんでぇ~?もっと聞かせてよぉ~」
「こーら。本当のお姫様はもう寝てる時間よ?」
「んむぅ~じゃあねるー」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみなさぁーい」
夢見がちな少女の夢の中では、王子様とお姫様がキスをしていたんだとか。
リーンゴーンリーンゴーン
聞こえてくる鐘の声、舞踏会の始まりかしら。
お題『鐘の音』
遅れてしまい、申し訳ありません…🙏
捕捉
来てくださいは着てくださいと掛けています。この服を着てくださいとこちらの世界に来てくださいという掛けです。鐘の声も、音ではなく声と表したのは「こちらにおいでよ」と鐘が呼びかけている感じです。