『遠くの街へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
昔住んでいた町に足を運んだことがある。
あの頃から大分変わってしまって見えた。
時代相応に発展しているという良い面もあれば、
あの頃の情景はもうどこにもないのだという寂寥も
同時に胸の中を渦巻いていた。
そして、一番変わってしまったのは私自身だと気付いた。
その時ばかりは、時間がとても残酷に思えた。
無慈悲な時を私達は生きている。
私達の生活が時間に区切られているのではなく、
時間という巨大な龍の鱗の上で、
私達あくせく動いているだけと思えるほど、
時間そのものは全く揺るいでくれない。
その中でヒトが喜んだり憂いたりするから、
ひとつひとつの鱗が玉虫色の光彩を放って、
美しく見えるのかもしれない。
お題「遠くの街へ」
私からは遠くの、石川県に思いを馳せて。
目的地と現在地がないと
迷わずに進むことはできないし
ちょうど良い加減の準備も難しい
眼の前に遮るものが無くなったとき
どこに向かえばいいのだろうと
初めて気がつくのかもしれない
今どこに居るか検討もつかないなら
それはもう迷子といっていいだろう
けれどもし
空と地しか存在しないような
遠い先に影も見えないところから
一歩を踏み出せたなら
想像したこともない場所に
辿り着けるかもしれない
さて空を飛ぶ鳥たちは
どこへ向かっているのだろうか
「遠くの街へ」
遠くの街へ
最後に、日用品を仕舞った段ボールに封をする
これで後は引越し業者が荷物を取りに来れば
私達も発つことになる
誰も知っている人のいない、遠くの街へ
不安がないかと言えば、そんなことはない
住みやすい土地だろうか
近所の人たちは良くしてくれるだろうか
だけど、わくわくする気持ちもある
あなたと二人、手と手を取り合って
新しい暮らしを始めるのだから
もし、僕の背中に綺麗な羽が生えたら。
僕たちのすべてを捨てて、君を背に乗せ飛んでゆくんだ。
どこか、誰も僕たちのことを知らない遠くの街へ。
これはいつかのある街の、
醜くも幸せだった二人の少年の話。
-遠くの街へ
海を越えて、山を越えて
辛い世界から、抜け出す為に
何処か、見知らぬ土地へ
君と、二人で
---二作目---
電車に揺られて、のらりくらり。
どうしようもなく、あの場所から逃げ出したくて
乗り込んだ電車。
逃げたんだ、俺は。全てを投げ捨てたんだ。
なのに、どうして
「どうしておまえは...ここにいんだよ...」
「ん?私が居る旅はつまらないですか?」
「いや、そういう訳じゃなくて...なんで、こんな俺に着いてくんだよ...?」
「愚問ですね。私は君の傍に居たいのですよ。だから着いてきた、これ以上に理由がありますか?」
「...おかしな奴」
「ふふ、褒め言葉として受け取っておきますね☆♪」
楽しそうに、まるで無邪気な子供のように言うこいつ。
でも、俺への想いを言う時の表情は、まさに真剣そのもので。
嗚呼、こいつが居てくれて、嬉しいと思ってしまっている俺は
もう引き離してやれないからな。
#遠くの街へ
225作目
ここではないどこかを求めて、私は初めてパスポートを作った。有効期限は十年間。その間に見て回れる世界を歩こうと決めていた。そして、その終わりも。
まず初めに私は台湾へ行った。意外と日本語がわかる現地の人もいたりしてびっくりした。目がチカチカしそうなほど眩しい照明が並ぶ街の中でご飯を食べた。
次はマレーシア、シンガポール、フィリピンと東南アジアを回った。そこからユーラシア大陸に戻って、インド、ロシア、モンゴル。もちろん、ヨーロッパにも足を運んだ。アメリカやカナダ、そこから南下してブラジルやチリ。アフリカ大陸にも行った。
十年で全てを見て回れるとは思っていなかったが、それでも十分すぎる旅だった。最後に私は、フィリピンの海を選んだ。そこで、パスポートが切れるまでの間住み続けた。現地の言葉はわからなかったが、最後までみんな明るく受け入れてくれて、本当に嬉しかった。こんな自分でも生きていいのだと思わせてくれた。
そして、遠くの街へと逃げ続けた終わりの日がやってきた。
日本を出てからちょうど十年。帰りの航空チケットは取っていない。片道切符で出かけた私は、元より戻るつもりなんてなかった。
海底まで見える透き通った青が広がる海に私は飛び込んだ。どこまでも泳いでいける気がした。これでも、学生の頃は水泳の大会に出ることもあったぐらいだ。体力には自信があった。限界が来るまで、全身を動かし続ける。後ろから聞こえていた人々の声も聞こえなくなって、泳ぐのをやめる。深く、深く、深く潜っていく。これが一番苦しいやり方だとはわかっていた。だから、これを選んだ。息の限界がきて、思わず口を開けてしまった。一気に体内へ海水が入り込む。苦しい、逃げたい、まだ、死にたくない。それでも、海底から見上げる光が差し込み、ゆらゆらと揺れるその景色はとても美しかった。
『遠くの街へ』
ふと。
あー日頃の生活から抜け出したいなぁって。
行きたくなるよね。
何もしなくてもいい。
ただ綺麗な景色があるところでボーっとしたい。
その時はネットとか情報とか全てシャットダウンして。
ただぼーっと。
きっと実現できたら、ぼーっとしてる途中で泣きそうになるんだろうな。
そこで気付くんだろうな。
あぁ、毎日の生活の中で。
どれだけ疲れてるのかを。
どれだけ見たくないモノ、聞きたくないモノ、溢れかえってるとこで生きてるのかを。
でも毎日の日常だから麻痺しちゃう。
麻痺してそれが普通になってしまうから。
遠くに行くならそれが普通ではないんだと戻してもらえる静かなとこに。
日々ご苦労様です。
(遠くの街へ)
遠くの街へ、、
行けたなら。。
だけど、何処に行っても、
私は私だ。。
Theme.遠くの街へ
街じゃなくていい。
とにかく遠くに行きたい。。
そこに本当の幸せが待っているのかもしれないから
遠くの街へ行くためには、まずは宿を予約したりしなかったりすればいい。
そして、新幹線や飛行機を予約したりしなかったりして、期日が来れば行けばいい。
とにかく行けばいいのだ。
遠くの街へ
あなたの音楽や本のセンスが私にそっくりで、初めて会ったときは私の分身なんじゃないかと思った。
お互いが好きなものが同じだから、お互いがいいと思ったものはすぐにお互いに共有し合った。
たまに同じのもを共有しようとして、そこまで一緒なのかと驚いた。
なんでも話せるような人は今までで1人しか会ったことない
あなたがいないと先生の愚痴もまともに話せないよ。
帰ってこないかな
1年に何回か、ごくたまに、見慣れた景色を見たくなくなる時がある。住み慣れた町を離れて、知り合いのいないどこか遠くへ行ってしまいたくなる。画面の中のキラキラした都会に行けば、私も変われるんじゃないかって、そう思ってしまう。柵とか、世間の目なんて気にならない、私が私らしくいられる場所に。
『遠くの街へ』
今日も目が覚めて思う
あなたともう一度
あの幸せな日々を過ごせるなら
きっと、なんでもする。
苦しくても、ガマンする
全部全然ガマンする
だから
戻ってきて
わたしの所へ
お願い
戻ってきて
2人でどこか行こう
遠くの街へ
わたしたちの
未来へ
「ここでいいんじゃないー?」
『でも遠いんだけど』
「そんなこと言ってたら運命の人に出会えなくなっちゃうよ~」
『運命の人、そんなの...』
「静かにー!言い訳無用!」
『お前に決まってんじゃん』
「...そっか、じゃあ見えてないふり要らないや」
『で、どこ行く?』
「話切り替えるの早っ...」
こことは違う街に行きたい。
新しいものを見たいし、知りたい、感じたい。
大切な人と、最高の親友と、新しく出会う人々と。
何かになる前の感情とワクワクを探しに。
静かな山道。
荒れ放題で、申し訳程度の道を降っていく。
背負っている子供はすやすやと寝息を立てていた。
初めてのことで流石に疲れたのだろう。
その小さな音と、温かな体温にふっと頬が緩む。
この子の、これからの人生。
幸せだと。俺と暮らせて良かったと。
そう思ってもらえるように頑張らないとな。
そう改めて決意をし、一歩を踏み出す。
行こう。新しい生活へ。
こんな山は降りて、あんな村とは訣別を。
遠くの街へ。俺と行こう。
2024/02/28_遠くの街へ
【遠くの街へ】
「あ、なんとか動きそう!ありがとうございます!」
ぷすんぷすん……と微かに聞こえるエンジン音に、心から嬉しそうな顔をして君は言った。
「よかった、気をつけてね。」
10日ほど前に、小さなレシプロ機に乗って真っ暗な夜の窓から白一色みたいなこの部屋へ飛び込んできた手のひらほどの青い少年。
堕ちたところがふわふわな布団の上で、脚が折れてしまったのだ。
ここにベッドを置いたのは別に僕じゃないけど、なんだか悪いし、その飛行機を直してあげたのだ。
「このあと、どこに行くの?」
「うーん、ずっと、ずうっと遠くの街です。」
「友達にでも会いに行く途中だったのかい?」
「いいえ。僕はあなたにも会いに来たんですよ。
あなたみたいな人を幸せにするために。」
「…そっか。」
びっくりした。言われてみれば確かに、この子が来てから話し相手ができて楽しかったな……。
不意に寂しくなってしまうが、どこかへ行くと言うのならその道中の無事を祈るべきだろう。
「…気をつけてね。」
はい、と返事をすると彼は来たときと同じように、今度は三日月の浮かぶ朝焼けの、青と白の混ざり合うようなところへ飛び立って行った。
その日、丘の上にある天文台では流星群に置いていかれたような、大きな尾を引く青い流れ星が発見されたという。
イベント事があると、遠くの街へ行きたくなる。
路線と運賃を調べてイベントの会場への行き方まで調べたりして。
でも、行かない。
諸経費高くついちゃうし、迷子になったら困るから。
遠くの街へ…
そうだ!君と遠くの街へ行こう!私達なんて誰も知らない街へ!そうすれば、私達を知る者さえいないんだから何したって自由でしょ?もし、そんな街へ行けたなら貴方と自分達の思うがままに生きてみたい!自分達がやりたい事全部して、叶えたい事や、叶えたかった事とかも全て叶えて…何も、誰からも縛られない街へ二人で行きたい!自由になりたい!
ぱっと伸ばされた手は、漂っていた花弁を取っていた。
「藍色だ、珍しいね」
「違うよ、ここら辺じゃそれが普通の色」
「そっかぁ」
くるり陽に透かして遊ぶ指先、その繊細によく似合う。
空気に満ちる透き通るような甘い香り。
ふわふわと栗色の髪をかき混ぜた風は、僅か刺激の有る個性の強い甘さを引いた。
周囲の視線が何処に有るか、よくよく理解しきって口を開く。
「気に入ったなら、ソレに替える?」
「好きだね、その質問」
蒼の花、翠の花、黄の花、橙の花、辿った軌跡全て。
そして膨らんだ頬までがお決まりの。
「君がくれたからコレが良いの」
爛々と咲き誇る、紅の花弁を飾って。
どの花よりも華やかに、美しい光が笑っていた。
<遠くの街へ>