昔住んでいた町に足を運んだことがある。
あの頃から大分変わってしまって見えた。
時代相応に発展しているという良い面もあれば、
あの頃の情景はもうどこにもないのだという寂寥も
同時に胸の中を渦巻いていた。
そして、一番変わってしまったのは私自身だと気付いた。
その時ばかりは、時間がとても残酷に思えた。
無慈悲な時を私達は生きている。
私達の生活が時間に区切られているのではなく、
時間という巨大な龍の鱗の上で、
私達あくせく動いているだけと思えるほど、
時間そのものは全く揺るいでくれない。
その中でヒトが喜んだり憂いたりするから、
ひとつひとつの鱗が玉虫色の光彩を放って、
美しく見えるのかもしれない。
お題「遠くの街へ」
私からは遠くの、石川県に思いを馳せて。
2/28/2024, 10:46:40 AM