日記は嫌いだ。
日々の営みを無理に書き集めても、良いことはないから。
小学生の夏休みの宿題に毎日日記を書くものがあった。
毎日一行だけの日記だが、毎日川柳にした。
長く書けば冗長で、短すぎたら忘れてしまう。
これくらいがちょうどよいのかもしれない。
私の暮らしの中で見つけた、私の言葉で描く、
私の綺麗な単語帳。
お題「私の日記帳」
やりやすいことだけやるのは簡単だ。
いわゆる現実逃避と同じで、
最初は楽しくてもじきに息が詰まる。
やらない理由を並べるのは簡単だ。
既に出来上がっているものを壊す時点で、
大きな労力がかかる。自明だ。
やり遂げにくくてもやりたいことを選ぶのは難しい。
選んだ以上は一意専心に、最後まで成し遂げる覚悟を
持てる物事が、本当にやりたいことだ。
立ち上がれ、前を向け、自分に甘い自分に抗え。
これが生き延びるってことだ。
そして一日を生き延びれたら、少しだけ労わってやれ。
お題「やりたいこと」
If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.
使い古された質問だ。
この問いを初めて受けた日から、
いつ死んでも良い覚悟で歩いている。
お題「明日世界が終わるなら」
大抵のヒトは面倒事を持ち込んで来る。
言い変えれば、面倒事にまみれた私を見て
静かに離れていくとも言えるだろう。
自分が惨めなのはよく分かっている。
君等とは異なることも分かっている。
分かりきったことを何度も釘を刺されるのは、
文字通り心臓を刺されるような痛みを伴うんだ。
私以外の誰がこの傷を癒せようか。
これ以上面倒事と生傷を増やさないために、
私は一匹で居たい。
それでも、治らない傷跡を塞いでくれる
誰かを求めてしまう。
ニンゲンは社会的生物だからなのか、
叶わぬ夢を追っているだけなのか。
自ら面倒事に近付く愚か者だから、
私は私を嫌っている。
お題「君と出逢って」
現し世は情報の流れも目まぐるしい。
どうでもいいような噂や、ちょっとした変化すら、
ニュースというものに上げたがる。
とはいえ、全てが公開されている訳でもない。
ヒトひとりの心持ちや、政治宗教などのはなし、
カネの動き…価値のあると思われているものは、
大抵対面で、隠されて運用される。
これを秘密と呼ぶ。
普通秘密はひとりで持つに限る。
秘密が暴露されると十中八九損害が伴うからだ、
信頼の置けない奴にそんなものを任せてはならない。
また、もしもを考えるなら、暴露されてしまった時に
報復として打ち返せる秘密も握るべきだ。
互いに明かされたくない秘密があれば、
暴露する前に躊躇するだろう。
私はそんな秘密を買い叩き、他所で高値で売りつける者。
私の秘密は方方で質に入れて、
交換条件としてそれぞれの秘密を手に入れる。
仮に暴露されたって、公然の秘密には何の価値もない。
更に高値の秘密は、他者の秘密を用いて値を上げる。
私は詐欺師、女衒、出歯亀。好きなように呼べ。
そんな下衆にも、どの交換条件でも明かせぬ秘密がある。
もうこの世に居ないものの秘密、担保は私の信用だけ、
つまり私はこの秘密をタダで手に入れた。
暴露しても痛くもない。暴露しなければ気付かれない。
この世でひとりしか知り得ない秘密を独占しているのは、
優越感もあり、口が滑りそうでもある。
お題「二人だけの秘密」