『遠くの街へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「いらっしゃいませ。本日はどう言ったご要件で?」
1人の客が迷い込んできたのは思い出の店。
「探してるんです。遠い街という本を、、」
女性は少し俯き気味に探している本の名前を言った。
「そうですか。少しお待ちください」
「はい」
彼女が返事したのを聞きカウンターへ戻っていく。
そして1つのダンボールから古い1冊の本を取り出す。
「お待たせ致しました。こちらですかね?」
「はい、これです」
「ではどうぞ。もう手放さないでくださいね」
「はい、では」
そうして客は帰っていった。
大事そうに本を抱えて。
ここは「思い出の店」
誰かの思い出の品物を預かっておく場所。
「今度こそお幸せに、、」
そしてカウンターへと行き1つの写真を取り出した。
「母さん、父さん、いつ戻ってくるんです?」
1人の青年はそっと呟き涙を一筋零した。
ーカランコロン
また誰かが思い出の品を取りに来たようだ。
青年は笑顔で受け入れた。
「いらっしゃいませ。本日はどう言ったご要件で?」
彼は思い出の店のオーナー。
思い出を自ら消した小さな青年。
彼の思い出は、、どこへ行ったのか。
そして遠い街へと彼は彼の店は消えていったのだ。
「ありがとうございます。またのご来店を」
今日もまた思い出を求めて、、さまよって行く。
どうしようもない空虚さから逃げ出したくて、誰も自分を知らない場所へ行きたかった。
自分の嫌いな部分や醜い部分を内に込めて過ごすのが億劫になっていたから。
きっとしがらみもまだない場所でなら、解き放てるって思ったのかもしれない。
【遠くの街へ】
終点です、のアナウンスに沈んでいた意識が浮上する。
運よく座れた朝の通勤電車だったが、しっかり居眠りしてしまっていたようだ。
一瞬突き上げた焦燥感が、同じスピードで下降する。
……まあ、いいか。
適当な欠勤理由を会社のメーリングリストに連絡して、下車してみる。
駅名をスマホで検索してみると、どうやら隣県まで移動していたらしい。辺りを見回すだけでも、都内とは雰囲気がだいぶ違うとわかる。まず空気が違う。
観光案内所があるから、観光地として有名な場所らしい。正直旅行のたぐいをあまりしないのもあって、地理にはてんで弱い。
とりあえず、適当にぶらついてみる。なにも考えず、歩いてみたい気分だった。
……このまま、あてもなく旅をしてみたいかも。
ただの逃避なのはわかっている。それでも特に今は、あの会社で働き続ける気力はなかった。
必要のない媚を売って、必要のない泥をかぶって、無駄に矢面に立つことを求められる。
この時代になっても不必要な言動を続けなければならない会社など願い下げだ。
――そうあっさり切り捨てられたら、どんなに楽だろう。
ある公園にたどり着いた。どうやら展望台があるらしい。
いつもなら疲れる、という理由で階段をめったに使わないのに、その三文字に惹かれて足を進める。早い段階で息が切れ始め、太股も重くなってきても、登ることをやめない。
――気まぐれが、報われた。
雲ひとつない快晴も手伝って、かなり遠くまで景色が見通せた。森だらけかと思っていたが、車で移動しないと無理そうだが海辺にも行けるようだ。軽く深呼吸してみると、嗅ぎ慣れた埃臭さのような、澱んだ香りはしない。「空気がおいしい」の言葉にふさわしい。
木製のベンチがあったので、腰掛けて目を閉じてみる。
少し汗ばんだ身体に、そよ風が心地いい。都会なら必ずある喧噪もほぼないものの、ときどき聞こえてくるエンジン音や人の声などが確かな生活感を伝えてくれていた。
こんな時間、もう何年も味わっていなかった。味わえるとさえ思っていなかった。
喉の奥からこみ上げるものを、自然と受け入れた。一度はずれた枷は止まるどころか勢いを増して、無理やり押し込んでいたさまざまな感情たちを押し流していく。
――今日が平日でよかった。うっかり居眠りして、たどり着いたのがこの街でよかった。この公園に足を運べてよかった。
再び目を開けて立ち上がると、歪んだ視界でも景色の美しさは変わらなかった。
お題:遠くの街へ
#46【プロポーズ】
君の待つ 遠くの街へ
約束の指輪に愛の言葉を添えて
お題「遠くの街へ」
深い森の中で
赤く輝く毒りんご
誰も触れることなく
湖畔の小道を
遠くの街へと向かう勇者たち
湖面に映る空が
キラリと光った
深い森の中で
老婆の手がりんごに触れる
くるりと
赤いリボンの魔法使いの女の子が
遠くの街へと駆けていった
#遠くの街へ
現実逃避
お金の工面
↓
ミミのアリアにうっとり
↓
お金の工面
↓
じぶんの演奏にうっとり
↓
お金の工面
↓
小説の世界にうっとり
↓
お金の工面
****
遠くの街へ
行くことは
簡単さ
積んでる その本
開くのさ
たまにはこういうのも良いかなって思う。
計画なんて何もないまま電車に乗って、知らない駅でおりる。
自宅からだいぶ離れた場所。
いかにも田舎、というようなそこの景色は、人生への焦りを緩和させてくれた。
都会ではみんな下を向いてあるいていて、人に合わせてせかせかと足を動かす。
ここではそんなこと気にしなくても良い。
自分のペースでゆっくり歩いて、普段は気がつかないような野花に足を止める。
その度に隣で歩く君はクスクスと笑って、私の手を引く。
ああ、こんな何気ない日常が。
いつまでも続いてくれたらいいのに、と。
君と笑いあいながら願った。
遠くの街へ
遠くの街へ
行きたいわ
あなたとふたり
どこまでも
彼女は行ってしまった。
誰も彼女を知らない、遠くの街へ。
それは、悲しみを一人で背負う悲劇のヒロインだ。
「私、居なくなるんだ」
その言葉の意味が最初分からなかった。
例えば病気や寿命で死んでしまうとか、親の海外赴任がきっかけで転校を余儀なくされるとか。そういう訳じゃない。
「存在が無くなるの」
消えるんだ。
記憶からも、記録からも。文字通りの意味で。
一種の幻であったかのように。
不思議で、でも寂しくて。
信じる他無かった。
足の方が薄らと存在を否定するみたいに消えている。
「急にいなくなったら寂しいじゃない? だから、私を誰も知らない所まで行ってひっそりと消えて無くなる」
死ぬ直前の飼い猫のようだと思った。
一日、一日と時が過ぎていく。
寂しい事が、知覚できない寂しさ。
何もしてあげられない無力感。
そして───。
「あれ……ぼくは何を考えていたんだっけ」
書く事を忘れた。だからここで終わる。ただ心の一部が抜け落ちたような、喪失感だけが、ぼくの胸の中で蔓延り続けていた。
遠くの街へ
私はよく色々な街に行く
それは仕事でだ、だから車で行く
2時間走ると、結構な遠く迄行ける、
3時間走ると、まあまあ疲れるし、距離もいい感じ!
せっかく遠くまで来たのだから、ちょっと観光と思ったりもするが、
思い入れのない場所に行っても、なかなか何処かに寄る事はない
仕事が済んだらトンボ帰りだ、
そんな中でも、昔好きだった人が住んでいた場所とか、今ハマっている人の出身地、などに行った時は、住所がわからなくても、ちょっと嬉しくて、気持ちだけは豊かになる
その一つが、千葉の松戸!
松戸と言う大まかな場所だか、行くたびにウキウキする
そしてまた、松戸に仕事が出来たので、近々行けるかもしれない
何ともぼんやりな感情たが、ただ仕事として行くのではなく、楽しみでもある
片道2時間、混むと、3時間
長い道のりだが、好きな音楽を聴きながら、ドライブ気分だ
子供の頃は
隣の町がひどく遠くに感じた
この川の向こうは何があるんだろう?
大人になり
車の免許も取れ
川に橋が出来、車で向こう側へも行けるようになった
向こう側は、普通に民家が並ぶ
何処にでもある風景がひろがっていた
お題
遠くの町
遠くの街へ
私は今日旅に出る。大好きな人と一緒にこれから遠くの街へ行く準備をして買い物をしに行くのあぁ
綺麗な青空だな。私は生きていて良かったなって思う。これから頑張らないと行ってきます。
今日は、姉さん、テイちゃん(兄)、オレ(末っ子)
の姉弟三人で、街に来ました♪︎
酒爺ちゃん家の洗濯機が壊れたので、テレビに出てた最新の洗濯機を買いに来たのです。
オレ達の住んでる山村は、見た目田舎だけど、
家電が壊れる度に最先端の物に買い替えるので、
何気にハイスペック村(?)なのだ。
テイちゃんが洗濯機の入った段ボール(大)を、
片手で持つモンスターギャグをかましている間に
オレが折り畳み式の台車を用意。
姉さんは手続きカウンターに置いてある、
ご自由にどうぞカゴの飴を食べ尽くしてから、
テイちゃんの隣に走って来た。
ずっと大人しいのが謎です。
目的達成感に浸りながら、久しぶりの街の景色を楽しんでいたその時、静かだった姉さんが
テイちゃんの手を掴んで路地に突入しようとしたが、テイちゃんがその手を引っ張って、姉さんは
アーチを描いてテイちゃんに抱き抱えられた。
190cmのテイちゃんに150cmの姉さんの、その
やり取りは、まるでヨーヨー技を見ている様。
「都けぃの…ラブフぉ!……」
テイちゃんが姉さんの口を体で塞いだ。
この姉は、倫理的にやや問題がある…。
「あ~ぶ~ほぉぉぉ~……」
テイちゃんが駄目言うたら駄目なのです。
大型を二つ抱えて帰ることになりました…。
#45 『遠くの街へ』
遠くの街へ明日から旅立つ
全く縁もゆかりも無い土地だ
近くの店で今日は飲み明かそう
明日からは遠くの街となるこの場所で
「私の故郷はね」
昼の休憩時間、美味い低糖質ケーキを見つけたから奢ると手を引かれて、外出した先のオープンカフェ。
「雪が酷くて、4月直前にならなければ、クロッカスも咲かなくて」
通行人の、その先の虚空に視線を置いて、田舎出身の先輩が、ぽつり、ぽつり。
「今頃はまだ、妖精さんも雪の中だ」
ミルクを落としたコーヒーを、スプーンでゆっくりかき回しながら、言った。
「妖精さん?」
「『春の妖精』。調べてみなよ。色々出てくるぞ」
「リスとか野ネズミとか?」
「私のところはキクザキイチゲが多かった」
「何それ?」
「キクザキイチゲはキクザキイチゲさ」
私の無知を、穏やかな温かさで笑って、コーヒーをひとくち。
「いつか、おいでよ」
先輩が、虚空を見たまま言った。
「遠い、何もない、花と山野草ばかりの街だけど」
遠くの街へ
タンポポの綿毛は、風まかせに飛んでいき
遠くアスファルトの街へ根を下ろす
排水溝で咲く、名も知らない小さな花も
空き家の雨樋で、根を張る植物も
場所にこだわらず、生きようとする
そんな姿に、ただただ励まされる
遠くの街へ
1人でいて、花がたくさん咲いて
動物がいるところで、一軒家のところで住みたいなぁ。
「君と一緒ならどこだって平気だよ」
そう笑う貴方の笑顔はどこか寂しさをにじませていた。
ずっと慣れ親しんできた場所だから、離れて遠い街に行くのは寂しいし、不安だよね。
「貴方だけこっちに残っても」
時間をとって会いに来るから、というとアナタは首を横に振る。
「ありがとう・・・でも君の側にいたいから」
────それに、と君は続けた。
「君と新しい街に行く新生活だって楽しみなんだぜ!」
そう言って笑う貴方の笑顔は、不安ではなく期待に満ち溢れていた。
俺宛に届いた家族の手紙。中を読めば末の弟の拙い文字で故郷の祭りの事が記されていた。
「あぁ、もうそんな季節なのか…」
故郷の春を迎え入れる祭りが始まったと。末の弟は妹や兄の助力ではじめて祭りに欠かせないクレープのような生地を焼いたのだとか。きれいなまん丸になるはずがうまくいかず、俺の見様見真似で薄く伸ばした箇所が破けて顔になったそうだ。それは便箋の隅に描かれていた。
「ははっ、本当だ。見て、俺の弟がはじめて料理をしたんだ」
君に弟の絵を見せる。顔を持って困り顔をした弟にそれを見てニコニコ笑う家族の絵。後ろから覗き込んだ君の髪の毛がかかって首をくすぐられる。次は耳も。
「かわいいね」
絵の下にお兄ちゃんが作ったのが食べたい!と書かれているのが、尚かわいい。
「俺もはじめて作った時は上手く焼けなかったよ」
「何でも器用にこなせそうなのに意外」
「諺にもなってるくらいだから、あれは通過儀礼だね」
「春のお祭りの料理が。」
「年々上手くなっていくんだ。…春が来たら大分過ごしやすくなるよ」
雪は相変わらず降るけど、寒さも和らいで長い間吹雪いたりしないし、帰り道を見失うこともない。
「君の好きな季節のうつろいがゆっくりと見られるんだ。寒がりな君をそろそろ故郷に招待したいんだけど」
肩に置かれた君の手に一回りも大きな手を重ねると弾んだ声が返ってきた。
俺の故郷。ここからは遥か『遠くの街へ』君を連れて行く日はそう遠くない。
心が痛すぎて泣き虫が毎日ついて歩いてる。
「生きる」って分かりづらい。