「いらっしゃいませ。本日はどう言ったご要件で?」
1人の客が迷い込んできたのは思い出の店。
「探してるんです。遠い街という本を、、」
女性は少し俯き気味に探している本の名前を言った。
「そうですか。少しお待ちください」
「はい」
彼女が返事したのを聞きカウンターへ戻っていく。
そして1つのダンボールから古い1冊の本を取り出す。
「お待たせ致しました。こちらですかね?」
「はい、これです」
「ではどうぞ。もう手放さないでくださいね」
「はい、では」
そうして客は帰っていった。
大事そうに本を抱えて。
ここは「思い出の店」
誰かの思い出の品物を預かっておく場所。
「今度こそお幸せに、、」
そしてカウンターへと行き1つの写真を取り出した。
「母さん、父さん、いつ戻ってくるんです?」
1人の青年はそっと呟き涙を一筋零した。
ーカランコロン
また誰かが思い出の品を取りに来たようだ。
青年は笑顔で受け入れた。
「いらっしゃいませ。本日はどう言ったご要件で?」
彼は思い出の店のオーナー。
思い出を自ら消した小さな青年。
彼の思い出は、、どこへ行ったのか。
そして遠い街へと彼は彼の店は消えていったのだ。
「ありがとうございます。またのご来店を」
今日もまた思い出を求めて、、さまよって行く。
3/1/2023, 5:02:26 AM