お題「桜散る」
「先輩、卒業おめでとうございます」
大好きだった先輩。入学式の時に一目惚れした先輩。
それでも私は弱虫で先輩を目で追うことしか出来なかった。今日は先輩の卒業式。友達と少し寂しそうに嬉しそうにしながら話している先輩を見つめているとなんだかもう会えないきがして。勇気を振り絞って私は声をかける。もう、あの頃の弱虫な自分を卒業して少しでも先輩に気持ちを伝えれたらそれで良い。
「佐藤先輩、少しいいですか?」
「えっと、確か永田さんだよね?うん、いいよ」
先輩の二つ返事をきき、裏庭へと向かった。先輩はただ何も言わず後ろを歩く。ようやくたどり着いた頃には私の気持ちは溢れ出ていた。
「ずっと、先輩の事が好きでした!今日は先輩と会える最後のチャンスだと思って、、」
「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、、ごめんね」
「いえ、これでいいんです。本当にありがとうございました」
先輩に背を向けて駆け出す。言葉では大丈夫だと、これで良かったと言っても心は追いつかないままだった。気持ちを伝えれただけでも良かったじゃないか。欲張りになっていく自分に嫌気がさす。それでも、少しは振り向いて欲しかった。今まで何も行動を起こせていない私だったが、先輩に少しでも見て欲しかった。一度溢れ出したものは留まることを知らず頬を濡らしていく。大好きだった先輩とのお別れ。散りゆく桜と一緒に私の気持ちはこぼれ落ちていった。
お題「さようならは言わないで」
繋いだ手と手。
離さないように離れないようにキツく繋ぐ。
このまま時を止めてあの頃のように巻き戻して。
どうして、壊れたのか。
あの頃の笑顔に会えることはもう無いのか。
などと考えたって戻ってくるわけでもなくて。
分かっている。
君がもう居ないと言う現実は受け止めなければならない。
それでも涙は止まらないもので。
最後まで何ひとつ言えなくてこまらせてばかり。
それでも、それでもどうか。
「さようならは言わないでくれ、、」
お題「終わらせないで」
どうかもう少しこのままで。
幸せな空間のまま、幸せな時間のままで。
どうか、どうか貴方との日常を終わらせないで。
お題「落ちていく」
落ちていく。
真っ逆さまに落ちていく。
必死に手を伸ばしても間に合わない。
あぁ、ここで死ぬのか。
風が冷たい。
落ちていく瞬間がスローに見えた。
しかし、落ちていく速度は早まる一方。
死が怖い。
なんて、死ぬ間際で思っても、もう遅い。
そして私は、地面に叩きつけられる。
息が詰まり、身体は生暖かい。
頭が真っ白になる。
人の叫び声、安否を確かめる声。
その声らと共に私は息絶えた。
あぁ、くだらない人生だったな。
空模様
曇のち雨。
私の心も雨模様。
人を傷つけ、全てを手からこぼす。
「さようなら」
その一言が、頭から離れない。
いっそ消えてしまえれば楽なのだろうか。
キズが増えてピアスも増える。
色んな人を不快にさせる疫病神。
あぁ、海月に、なりたいな。