『遠くの街へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
──プルルルル
「ドアが閉まります、ご注意ください」
慣れないヒール、大きい鞄。
目の前の扉が閉まって仕舞えば見慣れた街とも、両親とも、仲のいい友達ともしばらくは会うことができない。
練習もなしにいきなり社会に放り出される私は都会への喜びよりも、明日への不安が小さくなっていく故郷と比例してどんどんどんどん大きくなる。
起こしてもらわなくても起きれるだろうか
迷わず会社へ行けるだろうか
きちんと挨拶はできるだろうか
寂しさに、負けてしまわないだろうか──
カタンカタンと揺れる窓に額を張り付けて、未だ寒さに冷える鏡面に息を吹きかける。
そう、まだ寒い、まだ故郷は寒いんだ……。
私を運ぶこの箱が私の生きていく街に着く頃には、窓が冷えていることも、息で曇ることもきっと無いのだろう。
願わくば、その頃には私を襲うこの不安も解けて消えていますように、そう願いながら揺れに任せて目を閉じた。
【遠くの街へ】
置き去りにされた2月のように
打ち明けられた進路のように
陽射しが緩やかに人波をわけて
坂の上から何も見えない
足元から立ち昇るごめんねを
自転車の前カゴに入れたまま
行けるとこまで行きたい欲求
家とビルと色々な建物で歪む
地平線に良く似ている
握っていたシャツから少しだけ手を離す
慣れていた曲がり角を舌が忘れていく
振り返りそうになる、
目眩
遠くの街へ
いつか海外の美術館、図書館、博物館。
見に行きたい。
1回でいいから。
非日常を感じて、新たな自分を見つけたい。
『遠くの街へ』
遠くの街へ進学や就職していく先輩たち。
来年は私が今いる街よりも遠くの街へ出かけるのかな。
どんな未来が待っているんだろう。
「遠くの街へ」 #02
「……嫌だなぁ…。」
積み上げられた段ボール箱を見て、もうそろそろここを出ていくと言う現実が私に押し掛けてくる。ここは一番の思い出がある場所で、絶対に離れたくないと思っていた家だった。でも、しょうがない。受け入れるしかない。受け入れたからこうやって荷物をまとめているんだ。
「よし。後は……」
今日は2/24日。私と彼の……結婚記念日。でも、午後11時を過ぎても、彼は帰ってくるきがない。分かってた。薄々。気づいてた。探偵さんに調べて貰った。結果は真っ黒。信じたくなかったよ。でもね、そうだよね。私になんて飽きちゃうよね。じゃあ、もう、いい。貴方が私を必要としてくれないなら。私も貴方を捨てたげる。だから今日、私の荷物を全部まとめてここから去る。
テーブルには私の欄は既に記入されている離婚届と、「さようなら。新しい奥さんとお幸せにね。」と書かれている手紙だけ置いて、私は彼が絶対に来ない遠くの街に引っ越す。
「私達どこから間違えたんだろうね。」
そう捨て台詞を言って私はもう二度と訪れることはない。彼との思い出のアパートを去っていった。
【遠くの街へ】 #24
今の生活に不満があるわけではない
それでも逃げ出したくなるときがある
全てのことをやめたくなるときがある
人間関係にこんなに疲れるなら
もう誰も私のことを知らない街へ
誰も私に興味を示さない街へ
どうか私を連れていって
どこか遠くの街へ行って 帰ってこなかったら
みんな心配してくれるんだろうな
探してくれるんだろうな
でも それは目に見える私のことで
見ることのできない 私の心ではないのでしょう?
私が弱音を溢れさせない限り
心は心配してくれないでしょう?
探してくれないでしょう?
そうでしょ。
どこか 遠くへ出掛けましょう。
用事が無くたって構わない。
それは、まだ見ぬ何かに出会うため。
たとえば
夕日を溶かす海のある まち
登れば空を掴める山のある まち
憧れのあの人が生まれ、育った まち
迷子の私を案内してくれる人のいる まち
私はそんな場所に行きたいのです。
私の探す、どこかに出会うため
どこか 遠くへ出掛けましょう。
―遠くの街へ
僕達が愛し合っているのがバレた
だからといって離れる訳ない
こんなにも愛しているのだから
初めてここまでの愛しさを抱いた相手だから
初めて恋をした相手だから
だから
2人で行こう
「遠くの街へ」
遠くの街へ
桜の季節過ぎたら
遠くの街へ行くのかい?
「私ね、遠くの街へ行くんだ」
いつもと同じに思えた帰り道。
あなたがふとこぼしたその言葉が
信じられなくて、信じたくなくて。
少しの間の後、僕は聞き返した。
ただの聞き間違い、もしくは
冗談であることを願って。
「明日、遠くの街へ行く」
幼子をなだめるような、優しい声。
さっきよりもゆっくりと、はっきりと。
向けられたあなたの笑顔は
痛いほどに優しくて、かなしかった。
「私ね、やりたいことがあるの」
知ってるよ。知らないわけない。
ずっと、あなたを見ていたんだ。
「いつか、会いに来るよ。お互いやりたいことやれたらさ」
無理だよ。
だってあなたがいなきゃ
僕はなんにもできないんだよ。
あなたがいないと、僕は
やりたいことなんか、なんにもない。
「私がいなくても、もう大丈夫だよ」
あなたにはわかんないよ。
大丈夫じゃないよ。
あなただけが、光なんだ。
「私はあんたの神様でも太陽でもない。そして、あんたは月じゃない。やりたいこと、やれるよ」
僕のやりたいことって、なんだよ。
「やりたいこと見つかったら、手紙出してよ」
その言葉に、僕は頷いた。
あの日から2年と数ヶ月。
僕は遠くの街へ手紙を出した。
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「遠くの街へ」2023. 2. 28
遠くの街へ
君が行ってから。
もう7年。
あの頃は僕ら仲良しの幼馴染だったよね。
物心ついたときには隣に君がいなくて。
どこへ行ったのだろう。
僕らかけがえないのない存在だったのだろうか。
遠くの街へ君が行ってから。
死というものをまだよく理解していない頃に亡くなった祖父のことは、いなくなって寂しい、というよりも知らない遠くの街へ行ったままいつまでも帰ってこないなあ、という認識のままでいる。なんだか薄情な孫でごめんなさい。でも、もし故人と誰か一人話せるとしたら、今のところは真っ先にあなたの名前を出すと思う。自室でたくさんの本とクラシック音楽のCDに囲まれていた姿は小さい私にとってはちょっと取っつきにくかったのだけど、今の私にはそんなあなたに聞いてみたいことがたくさんあるのです。
星の綺麗な夜でした
冷やされた硝子 指先から伝わる
澄んだ空気は 頬を撫ぜてゆきました
窓越しに 濁る街灯の灯り
此処を牢獄に思わせるには 充分な程
この文は いつか誰かに届きませうか
遠く遠くの街の誰かに
問いに答えず
夜明けの合図で 飛び立った
誰も知らない遠くの街へと
お題【遠くの街へ】
タイトル【小瓶】
どこまでもどこまでも遠くの街へ行って
まっさらな自分で自分らしく生きたいね
- 遠くの街へ -
「お元気ですか?」
聞こえるかしら
私の声
届いてるかしら
私の便り
遠くのお山のまた向こう
夜汽車に乗って行った兄
街はどんな所かしら
早く帰ってきてね
お話いっぱい聞かせてね
約束のドロップも忘れないでね
『遠い街』
遠い街へ行く その街でこれから暮らす 僕の背丈では世界はまだまだ見えにくい 未来って言葉がずるいって思う あのこはここで暮らすのに 僕はここで暮らせない 巣立ちはとても残酷だ 翼なんかなくても
いいって思う 春は何かと鼻をくすぐる その日が来たら僕は号泣の嵐 天気予報はまんまとはずれた
遠くの街へ行ったのは、修学旅行を除けば大学の時ぐらい。
電車を数本乗り継いで、初めて見知らぬ駅に立ったときの感慨は、もう薄れかけた記憶の中で定かじゃないけれど、私は確かに4年その街で暮らした。
そのことだけは、忘れない。
遠くの街へ
47都道府県あるけど
半分くらいしか
行ったことがない
時間とお金があったら
桜前線と共に車で
沖縄から北上してみたい
色んな遠くの街へ
行って楽しみたい
飛んでいくのか
乗っていくのか。
歩いていくのか。
気持ちだけ7日。
ただいく方法はたくさんある。
悩める時にたくさん悩み。
自分と話し合い。
洗濯をすることが
時々役にたつ自分の
いいところ。