『遠い日の記憶』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「遠い日の記憶」
あれはいつの頃で 誰だったか
私を通り過ぎていった人たち
遠い日の記憶は 私の心の中に
しまってあるよ
辛い時 ひきだしので中で
ひらけるように
昔 フルマラソンで初めての完走した事が遠い記憶の一番の思い出です。
遠い日の記憶を辿ると、
私の心には昔の景色が鮮やかに蘇る。
あの頃の空気は、
まるで別世界のように青く澄んでいた。
草木や花々は、愛らしく優雅な姿を見せていた。
私たちは、無邪気に笑い合い、楽しく過ごしていた。
しかし、時が経つにつれ、
風景は徐々に変わっていった。
都会の発展が進み、
私たちの暮らす場所も次第に変貌していった。
高層ビルや道路が建設され、
自然が失われていく様子は、心を傷つけた。
それでも、私たちは変わらずに、
友情や家族の絆を大切にしていた。
時には悲しみや苦難にも直面したが、
助け合い、支え合いながら、生きてきた。
過ぎ去った日々の思い出は、
今でも私たちの心に生き続けている。
遠い日の記憶を振り返ると、
懐かしい情景が浮かび上がってくる。
それらは、今でも私たちにとって、
大切な宝物となっている。
─────『遠い日の記憶』
遠い日の記憶。
あまりにも美化されすぎているが、あの時の私からしたら、とても残酷なものだった。
遠い日の記憶
その頃は絶対忘れないっておもってたことがどんどん忘れていく。
でも、思い出話として生まれ変わるからいいよね。
遠い日
その時々の積み重ねで
今がある
喜怒哀楽を知った
その時々の積み重ね
たくさんの記憶
どんなことも
私が生きてきた証
遠い日の記憶だけど
どれも新鮮に蘇る
あの頃を思い出そうとしても何故か頭に出てこない。
思い出したいのに思い出せない。
わからない。
何故、どうして。
私は本当に思い出したいのか。
思い出したくない。
思い出したくない。
嫌だ。
『輝きの墓標』
(二次創作|独自設定アリ|お題:遠い日の記憶)
小さな石碑の前に膝をつき、鎮魂の祈りを捧げる。あの時は雨が降っていたが、今は陽光が燦々と降り注ぐ晴天で、あの時に感じた物悲しさや陰鬱さは微塵も感じなかった。ただ、青々とした葉を茂らせる木々が風に揺すぶられるたび、その木の葉同士の擦れ合う音がまるで潮騒のように聞こえ、それが鼓膜にこびりついて離れないでいる。
「俺、お前さんにここの話なんてしたことあったか?」
安らかにあれと込めた祈りを済ませゆっくり立ち上がったこちらに、同行者であり自分が石碑へ祈りを捧げている間ずっと背後に佇んでいた男、バラッドはそんなひどく訝しむ言葉を投げてきた。
「いや、君の口から直接は聞いていないよ」
「だよなァ。なら、何でお前さんはここを知っているんだ?」
自分よりずっと背が高く体格もいい彼に見下ろされるだけでも威圧感を覚えるのだが、ことその表情が普段より険しいものならなお一層えも言われぬ圧を感じる。
じとりと見下してくるバラッドの目は返答次第では容赦しない、そう無言で訴えてきていた。
「話せば長くなるんだけど、かいつまんで説明するなら、『夢で見た』ってとこかな」
「は、何だそりゃ。俺のこと馬鹿にしてんのか?」
「まさか。至って真面目に話してるよ、僕は」
ぐっと眉根に皺を寄せあからさまに声のトーンを下げた彼に、自分はそう答えるしかない。実際あのときの自分は彼の遠い日の記憶、その一部を夢という形で半ば強制的に共有させられたのだから、他にどう言ってみようもないのだ。
勿論バラッドがこちらの返答に納得するはずがなく――自分が彼の立場なら到底納得出来るものでないのだから、いま彼の心中は推して知るべしなのだ――、シワというよりヒビといっても過言でないほどに眉間を寄せ顕著な不快感を示した彼に、こちらはただ肩を竦めてみせる。
そうして互いにだんまりを決め込んでからどれくらい経ったか、先に根負けしたのはバラッドの方だった。はぁと小さく息をついてから、彼自身も石碑の前に膝をつくと、持ってきていた花束を供えてから祈りを捧げる。そんな彼に場所を譲るみたく、自分は彼の背後へと位置を入れ替えた。
あの日、夢で見た光景そのままの姿が今こうして目の前にある。ただ一つ違うのはその背中がしゃんと伸びている事だ。あの時は彼らしくないほどにその背は小さく丸くなっていたが、今は違う。
「……いつか、」
「うん?」
まっすぐ石碑を見据えたままの彼から不意に聞こえた言葉に、反射的に片言の返事をする。そんなこちらの言葉が届いていたか否かは定かでないが、一度言葉を区切ったバラッドは、しかしすぐに「いつかな、」と言葉を続けた。
「親父やシンシアも一緒に連れて来ようとは、考えてるんだ」
「それはいい考えだ」
「おふくろ、賑やかなのが好きだったからさ。商会のヤツらも見せてやりてェんだ」
「きっと驚くんじゃないかな、あの賑やかさは」
「……かもな」
そこまで言った彼はやおら立ち上がるとこちらの方へ振り返った。
「正直、お前さんがなんでここを知ってるんだとか、そもそもこの石碑がなんであるかもどうして知ってるのか、疑問は尽きねえ」
刹那、強く吹いた夏風にあおられた周囲の樹々が、一斉にザザザザと重苦しい音を立て葉を揺する。
「お前さん、ちっと前に部隊長へ願い出たんだってな。どうしても行かなきゃなんねぇ場所があるから、一旦俺とお前のふたりだけにしてくれって」
「そうだよ」
「ここに来る前、花屋に寄ると言い出したのもアンタだ」
「ああ、間違いない」
「……さっきのは、本気の言葉なんだな」
「言ったろ?説明すれば長くなるって。まぁいつか機会があれば話してあげるよ。正直にいうと僕だってここに来るまでは半信半疑だったからね」
こちらの一字一句、仕草をふくめた何一つ見逃しはしない、そう言った類の鋭い眼差しにこちらも真摯にそう答えれば、そうかと短く呟いたバラッドは続けて、じゃあその日を楽しみにしてるぜ、なんて皮肉を言いつつこちらにかけていた重圧感を解いた。
「その時はキミの母君の話もぜひ聞かせてもらいたいものだね」
「あ?それは……ま、気が向いたら、な」
「フフ、楽しみにしてるよ」
意趣返しと言わんばかりのこちらの言葉に、ホント喰えねえヤツ、とボヤいたバラッドはもう一度だけ石碑――正しくは彼の母親が眠る墓碑なのだが――そちらを振り返ると、あとはまっすぐ前を見て歩き出す。そんな彼の後を追いかけようとした自分も踵を返そうとした足を止め、墓碑に一礼をする。それから石碑に背を向けると、少しだけ先にいるバラッドへ追いつくため歩く速度を早めた。
さわさわと下生えが揺れ、生命がきらきらと輝く深緑の森の片隅に、とある貴族の家に嫁ぎ、年若くして鬼籍に入った女性の墓が、まるで人目から隠れるようにしてあるというのを知っているのは、ごく一部の人間だけだ――。
春、放課後、夕日が射し込む音楽室で、2人きりでピアノを弾いたよね
あまりにも眩しかった そんな思い出
06 遠い日の記憶
時々、夢で僕に後ろからハグしてくる人は、今の僕を作った人。
小学生、出逢ったあなたは、僕の一周先を走ってた。同じ人間のハズなのに疑問だった。
でもあなたがネットの前で何度も飛び跳ねボールを叩く姿を見たとき、すべての訳がわかった。
僕より速い訳、あなたに惹かれた訳。
あなたは高く飛んでいるから、僕には高嶺の鷹だった。
高校生、やっとあなたと飛んだ時、僕は小鳥にでもなれたんじゃないかって高揚。
そんな記憶。
避暑地での合宿4日目のこと。
前の月、足を酷く挫いてしまった自分は、この合宿でも初日からずっと、他の部員とは別のメニューをこなしていた。事前に、この合宿での内容も次のレギュラー決めの考慮に入れると言われていたこともあって、すっかり気落ちしてしまっていた。
夜は夜で、みんなが早々に寝付いても、自分1人だけなかなか寝付かれない日が続いた。体力をあまり消耗していないからなのか、こうやってアレコレ考えてしまうからなのか。我ながら情けない話だと更に気が滅入る。
今夜もまた同じ、暗闇の中1人目が冴えている。ただ4日目ともなると、諦めが付いてきた。何への諦めかは解らないが、とにかく諦めが付いてきたのだ。
みんなのイビキや寝息が聞こえる中、むくりと起き上がって靴を取り、窓からそっと外へ出る。1階だから余裕だ。部屋に設置されていた懐中電灯を拝借し、それを頼りにゆっくりと坂を下る。月もけっこう明るい。下りきった先には川が流れている。けっこう大きな川だ。目的地をそこに設定し、とろとろと歩いて行く。
川に着いた。人っ子一人いない河原へ降り、何個かあった大きめの石の1つに腰を下ろした。裸足になって足首のサポーターを取り、両足とも流れに浸してみる。水はけっこう冷たいが心地良い。夜空に山影と月と星。不思議といくらでも眺めていられた。
どれくらいの時間そうしていたのか、人が近付いてくる足音で我に返った。振り返ると、月明かりに照らされて、女の人が立っているのが見える。年齢は自分より少し上だろうか。白っぽいワンピースにサンダル。手には銀色のバケツ。現実味が無さ過ぎる。
「こんばんは。お隣、良いですか?」と声をかけられたので、腹を決めてどうぞと返事をする。隣の大きめの石に腰掛けた彼女は、自分と同じ様に両足を流れに浸した。「この辺りの方じゃないですね」と断定されたので、全員の顔を知っているのかと驚き尋ねたら、少し笑いながら「狭い田舎ですから」と言った。自分がここに合宿で来ていること、足を挫いてろくに練習できていないこと、眠れずに今ここでこうしていることを一気に話すと「そうなんですね」と彼女は言った。「ここで会ったのも何かのご縁なので、今から一緒に花火しませんか?」と続け、銀色のバケツの中を見せてくれた。たくさんの手持ち花火が入っていた。夏らしいですねと言うと、彼女は静かに頷いた。
石の上に花火を全て出して並べ、バケツには川の水を汲み入れた。火は?と聞くと、ポケットからマッチ箱を取り出し「この中にはマッチが3本しか入っていません」「ロウソクは無いので、最初の花火に火をつけたら後は次々と花火同士で火をもらう方式です」と言って少し笑った。もし火をもらうのに失敗したら?と聞くと「そこで終わりです」と言った。そこに笑顔はなかった。うっすらと緊張感が漂う。
最初の1本にうまく火がついた。そこからはまるで真剣勝負のよう。無言で次々と花火に火をつけていく。赤や黄色、緑の火花が暗闇に輝く。が、風情など微塵もない。とにかくこれを全てやりきるまで火を絶やしてはならないのだという妙な使命感に駆られ、必死で火を繋ぐ。バケツが見る見る内に、終わった花火でいっぱいになっていく。最後の1本が終わった。不思議な達成感で満ち溢れた。立ち込めた煙を、川を渡る風が吹き流してくれる。彼女に「ありがとう、無事に終わりました」と言われ、今度は自分が静かに頷いた。
「では最後はこれを」手渡されたのは線香花火だった。1箱5本入り。お互い1本ずつ手に取り、2本目のマッチで同時に火をつける。玉ができ、パチパチと音を立てながら火花が散る。サッと風が吹き、2人とも玉が落ちてしまった。「ではもう1回」最後のマッチで火をつける。玉ができ、パチパチと音を立てながら火花が散る。息を殺し、じっと見つめる。今度は2人とも最後まで玉を落とさずにいられた。
大きくひと呼吸して顔を上げたら、空が白み始めているのに気付いた。マズイ、合宿所へ帰らなければ。彼女の方へ向こうとしたその時、吹き流されていたはずの花火の煙に包まれた。目眩がする、地面が揺れる。「残りの1本はあなたに」近くで彼女がそう言ったのが聞こえた。
おい、起きろ!そう言われて飛び起きると、そこは合宿所の布団の上だった。あれは一体何だったのか。夢か幻か。辺りを見回すと、懐中電灯と靴が元の位置にある。やはり夢を見ていたのか。そう思いながら、朝食へ向かうため着替えようとカバンを開けた。するとそこに線香花火が1本。俄に現実味を帯びる。「残り1本はあなたに」遠くで彼女がそう言ったのが聞こえた。
―――夏の夜の夢幻
#14【遠い日の記憶】
「遠い日の記憶」
遠い日の記憶がある。五歳の時、両親がピアノを買ってくれた。ピアノ教室に通う事になった。初めての先生は若くて美しい先生だったけれど、弾き間違えると容赦なく手を叩かれた。両手は真っ赤に腫れ上がった。ピアノのレッスンを嫌がって泣き叫んだ。父は小さな私を無理やり抱きかかえて車に押し込み通わせた。ほどなく別の先生に代わったけれど、家での練習を毎日強要され、私の小指の第二関節と第三関節は潰れてしまった。ピアノを好きになれるはずもない。いくら練習しても上手くならなかった。
あれは確か、小学五年生の時のこと。あまりにもピアノが下手なので、母が新しい先生を見つけた。N先生との初めてのレッスンの事をよく覚えている。その時弾いたのは、ちょうちょで、私が弾き終わると
「そのちょうちょは、飛んでいないね」と言われた。N先生が言いたかった事は、心をこめて弾くという事だった。心の中のちょうちょは、ピアノの音で羽ばたき始めた。その時、初めて音楽への愛に目覚めた。無理やり子どもに何かをさせても意味はない。子どもに音楽を習わせたいなら、親子で共に音楽を楽しむ事から始めないと、当然ながら愛は生まれない。
いまは音楽を習わせてくれた両親に感謝している。けれど、ただ「やりなさい」と強制しても上達しない。もちろん勉強も同じだろう。
ところが、私自身の育児は、いろいろ工夫したにも関わらず、子どもを極度の勉強嫌いにしてしまった。最後は、やりたくなければ、やらなくて良いを貫いた。
N先生は偉大であった。やる気のない小学生に音楽への愛を目覚めさせたのだから。どうすれば、そんな事が可能なのだろう?
正しい答えは、みつからない。確かな事は、愛さえあれば、どんな結果になっても後悔はない。そこに真実の愛があれば、どんな困難にも立ち向かう事ができる。
『遠い日の記憶』
あれは何年前だったか。よく晴れた春の日のことだった。いつものように庭の植木を整えていた俺に、貴女が話しかけてきたのが最初だった。
「あなたがいつも、ここのお庭を整えてくれているの?」
烟るような長い睫毛に縁取られた、宝石のような瞳。陶器のように滑らかな白い肌。ゆるやかなウェーブを描くやわらかそうな髪は、陽光にきらきらと輝くようで。本家のお姫様だということは、すぐにわかった。
別宅の庭師の若造にすぎない俺には、見惚れることも許されない。俺はすぐにひざまづいて頭を下げた。
「さようでございます。こちらの別宅のお庭は、私と師匠の二人で担当しております。」
「そんなに畏まらないで。頭をお上げなさい。」
視界の端に、白いレースの裾が揺れる。頭を下げたままの俺に、お姫様は焦れたようだった。影帽子が小さくなって、白いレースが地面に触れるのが見えた。俺は慌てて頭を上げる。
「お姫様。お召し物が汚れてしまいます。」
「あら、あなたが一向に頭を上げないのが悪いのよ。私の服を汚したくないのなら、あなたもお立ちなさいな。」
膝をつく俺と目線を合わせたお姫様は、いたずらっ子のように笑った。少し首を傾げた彼女があまりに綺麗で、俺はお姫様のお召し物を汚さないためだと言い訳しながら、目線を逸らすように立ち上がった。お姫様は立ち上がる様すら優雅で、髪を耳にかける仕草は俺の頭をくらくら揺すった。立ち姿そのものが、まるで絵画のようだった。
「あなた、年はいくつ?きっと私とほとんど変わらないでしょう?」
「今年で十九になります。」
「あら、私よりひとつ上ね。」
お姫様はくすくすと笑った。やわらかそうな髪が揺れる。遠目に何度か見かけただけのお人が、こんなに近くにいることが俺には信じられなかった。
「私、しばらく別宅で過ごすことになったの。ここには年の近いひとがいないから、話し相手になってくれないかしら。」
お姫様はそれから、俺が庭の仕事をしていると、よく顔を出すようになった。その日にあった出来事や、本家のご家族からのお手紙について俺にお話になっては、鈴を転がすようにころころと笑う。天上のお人が、束の間地上に舞い降りてきたかのようだった。
お姫様との時間はあっという間に過ぎて行く。いつしか俺は、庭にお姫様がやってくるのを心待ちにするようになっていた。
お姫様は本家の一人娘だ。使用人にすぎない俺のこの想いは、到底許されるものではなかった。お姫様は、今でこそ静養のために別宅で過ごされているが、いつかは本家にお戻りになる。そうなればきっと、俺のことなど忘れてしまうだろう。それでいい。それが正しいのだ。
お姫様は俺のような使用人にも、まるで身分の差などないかのように素直に接してくださる。その美しい無邪気さを勘違いしないように、近づきすぎないように、俺は自分を律しなければならない。
裏庭の落ち葉を掃きながら、俺はお姫様のことを考えていた。
お姫様が別宅で過ごされるようになってから、今日でちょうど三年の月日が過ぎた。お姫様の体調は、長い時間をかけてゆっくりと回復し、昔と比べれば目に見えてよくなっている。本家にお戻りになる日は、そう遠くないだろう。
お会いすることがなくなれば、お姫様への想いも、きっと薄れていってくれるはずだ。もとより雲の上のお人なのだ、お話できること自体が、すでに夢のようなものだった。あの時間を一生の宝物にして、また日常に戻ればいい。少し前までの当たり前に戻るだけだ。それなのに、どうしてこんなにこの胸は痛むのだろう。
叶うはずもない、過ぎた想いだ。お姫様との想い出は、いつか遠い日の美しい記憶となって、俺の青春時代を彩ってくれる。きっとそうなる。それだけで、十分じゃないか。
庭の落ち葉は、まだ少しも片付かなかった。
「遠い日の思い出」
いつかの記憶、遠い遠い、いつかの記憶。
何の変哲もない景色が、窓から見えて、何度も見た過去の、いつかも解らない記憶を蘇らせる。
ぼんやりと夢心地で、不快さだけを感じる過去に溺れる。
本当に現から地縛から離れてしまいそうになる。
ぐぅっと目を覚まして、不快さと眠気を沈めながらまた窓を目に映してみる。
ぼんやりと木漏れ日が窓から絨毯を通って、私の座っているロッキングチェア、の木の色を美しく照らした。
【遠い日の記憶】
遠い日の記憶では海に行った。誰かの夢だった可能性もある。でも、とても綺麗な記憶だったことだけ。女性がいた。振り向いたらなびく髪を持った女性。振り向いてきてキスされる寸前で覚める夢。
桜が舞い散る大樹の下で、彼女はこう言った。
「またここで会いましょう」
とても穏やかな表情で、後ろに手を組みながら。
黒髪のボブヘアーが、春風に揺られる。
さんさんと日光に照らされて、光り輝いているように見えた。
途端に、強く風が吹く。
思わず目を閉じてしまった。
風がぴたりと止み、瞼を開けた時には、もうあの人の姿はどこにもなかった。
――なんてことが、前にあった。
あの時のワンシーンはずっと頭に残り続けている。
ただ、あの彼女と何をしたのか、そもそもどんな関係なのか、今でも自分は分からない……
〜遠い日の記憶〜
幼馴染がいた。私は彼のことが好きだった。だから中学校の卒業式の後恋が叶うってジンクスのある桜の樹の下で告白をした。でも、ジンクスなんて所詮は迷信。結局私の恋は叶うことはなく、彼は都内の高校へ進学、私は地元の高校に進学。中学を卒業してから一度も会うことはなく、現在高校三年生。就職活動真っ最中の私。都内の大手企業への内定を狙っている。そのためとても忙しくしているのだが、今なぜだか分からないけれどふと彼との楽しかった出来事を思いだしていた。
#遠い日の記憶
『絵画の少年(かいがのしょうねん)』
僕は、田舎に居ました。
田舎の夏ごろ、丁度入道雲が背景に差し掛かっている快晴の日
その頃の僕は背がまだ小さく、滑舌もよくありませんでした。
ある日、一緒に遊んだ友達からこんな噂を聞きました。
「あの森には自分とよく似たなにかがいるらしい」
友達には「近づいちゃダメだぞ」と忠告を受けましたが、
好奇心旺盛な僕はその言葉には逆らえませんでした。
母に友達と遊びに行くと嘘をつき、森の中へ入っていきました。
すると、まさに楽園と言えるような美しい景色が広がっていました。
鳥たちの美しい歌声、様々な植物、黄金の泉、
まるで夢の中のようでした。
僕はずんずんと行進していき、あるところへたどり着きました。
そこは、さっきの楽園とはまた違う、でもどこか懐かしく感じる
古民家のようなところでした。
台所で沸かしていたであろうヤカンのお茶はまだ温かく感じました。
人が居ないにも関わらず、そのお茶はまだ温かい。
僕の他にも誰かいるのだろうか。
ふと、そう気になり「誰かいるのですか」そう聞きました。
すると、ガタリと後ろの部屋から物音のようなものが聞こえてきたのです。
僕は驚いて、少し肩を震わせながらも、えいっとその部屋の扉を押し開けました。
その部屋は、少しばかり大きなステンドガラスから僅かに明かりが射していました。
明かりが射す方向を見ると、一枚の絵画が置いてありました。
少し埃が被っていたので、はらってみました。
驚きました。そこに映っていたのは僕でした。
僕は、ちょっぴり困惑状態のまま、その絵にそっと触れました。
どうしましょう。その絵がこっちを見てきました。
それから表情を変え、首を動かし足を動かし、手を額縁にかけ、
絵から出てきてしまいました。
僕は恐怖から動けず、ただ冷や汗を掻くばかりでした。
そんな僕に絵は、
「君の体をちょうだい」
と、僕の耳元でねっとりと囁きました。
僕は怖くて恐くて堪らずその絵のことをひっぱたき、家をバタンッと飛び出しました。
それから走って走って走って走って、ようやく家にたどり着きました。
お母さんは汗だくの僕を見て困惑の色を顔に浮かべ、僕を必死に揺さぶりました。
その後のことは覚えていません。
母から聞くと、
「「体が欲しい。目が欲しい。手が欲しい。」」
といったことをずっと呟いていたそうな。
今思っても不思議です。結局あの絵はドッペルゲンガーかなにかだったのでしょうか。
それともパラレルワールドの僕?
どちらにせよ、身震いのする話しです。
そういえば僕、最近新しい絵画を買ったのです。
僕に似ていて、酷く疲労困憊した少年の絵でしたよ。
お題『遠い日の記憶』
私にしては珍しく少し長いお話しになりましたね。月曜の祝日、皆様はどうお過ごしになられたのでしょうか。私は「君たちはどう生きるか」を見に行きました。賛否両論かなりありますけれど、私的には面白かったです。というか酷評、低評価をされている方々には、失礼なことを言ってしまうのですが、幼稚な感想というか、主観的すぎる感想というか…いや、それぞれ感じ方はもちろん違うのですけれど、あまりにも視野が狭すぎるお方達だな…と。もちろん中にはこうこうこういう理由があって酷評している。と、納得できるお方もいるのですが…まぁ、是非皆様も映画館で見てみては如何でしょうか?万人受けはしない作品であるとは思いましたが、人によっては人生を変えてくれる作品かもしれません。
長々と私事をすみません。もし不快に思われたお方がいましたら、心からお詫び申し上げます。
では皆様、今日もよい夢を。
弟が生まれた
祖母に連れられて病院へ行った
あれは廊下だったと思う
母親に抱っこされた、幼い女の子に出会った
初対面のその子が、黄色い紙飛行機をくれた
オーロラ加工のキラキラとした
心ときめく黄色だった
それが、人生で一番古い記憶かもしれない
弟の誕生についての印象は
正直なところ何も覚えていない