桜が舞い散る大樹の下で、彼女はこう言った。
「またここで会いましょう」
とても穏やかな表情で、後ろに手を組みながら。
黒髪のボブヘアーが、春風に揺られる。
さんさんと日光に照らされて、光り輝いているように見えた。
途端に、強く風が吹く。
思わず目を閉じてしまった。
風がぴたりと止み、瞼を開けた時には、もうあの人の姿はどこにもなかった。
――なんてことが、前にあった。
あの時のワンシーンはずっと頭に残り続けている。
ただ、あの彼女と何をしたのか、そもそもどんな関係なのか、今でも自分は分からない……
〜遠い日の記憶〜
7/17/2023, 4:54:16 PM