『通り雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
通り雨
人間、やめたくなります。でも嬉しいです。
やまないと思ってた雨が、通り雨だったとき
通り雨で、傘を持っておらず最悪と思っていた私の手を引いて「ほら、行こう山田、たまには雨ってのも悪くないだろう?」そう言って大雨の中一緒に飛び出した。
あーぁびしょ濡れになっちゃったじゃんと二人で大笑いをして意味のない雨宿りをした。
その時の彼の姿が何よりも輝いていた。
それから好きになった、彼と、雨が
通り雨
ぽつ、ぽつ、ぽつ
肌にあたる冷たい感触。少しづつ感覚が短くなり身体中を濡らしていく。雨から逃げるように走り去る人、傘をさし人を縫って歩く人。雨に濡れ体を冷やす小さな存在に誰も目を向けない。
少しづつ小さくなる歩幅、あるか足取りは重くなり大きな水たまりの真ん中でしゃがみこんで動けなくなってしまった。茶色い泥だらけの水たまりの中じっとしていると沈んでしまうのではないかと思ってしまう。
ザーザーと自分の肌を叩く雨の音。この雨の中ひとりぼっちで取り残されたみたいで少しさみしい。そんなことを考えていたら、先程まで冷たかった雨や水溜まりの水がぬるくなっていく。
「こんな所まで出とったんか」
見上げれば怖い顔がこちらを見ている。その後ろでは鈍色だった空が青く輝いていた。
「次は必ず声をかけぇ」
「うん」
道の水たまりには空が落ちていた。
早く通り過ぎてよ。雨雲さん。
ずっと私から離れないけれど
あなた私の事好きなの?
私は嫌いよ
通り雨は本当に気分屋
傘もってきたら降らないし
傘持ってない時に雨降るし
望んだ時に来ないなんて
まるで恋のよう
ー通り雨ー
「 愛しい人、さようなら。 」
去り行く彼の後ろ姿に、心はどんよりと。
「 どうしたんです、泣いているお嬢さん。 」
うつむいた顔を上げると、運命の人に心移り。
ざっと雨降らす雲が去るのは早く、残された青い空には
さんさんと輝く太陽が現れるものね。
疲れ切っていた。
もう眼球が潰れて溶けてしまいそうなくらい、
たくさん目を開けていた。
もう閉じきって目も耳も
そうしていたかったけど、
今、夜中の黒い道を濡れて歩いてる。
靴の水の音がどんどん運を侵していくみたいで。
私って一体どれだけ頑張らなきゃいけないんだろうって
考えてしまう。
共感とか同情とかしなくていいよ。
みんな辛いのを知ってるから。
みんなみんなそれぞれ大きさはともあれそれぞれの基準での悩みを持っていて、
それに、どれほどかは知らないけど悩まされている。
周りがもっと良かったらって思うけど、
周りがみんな疲れていくんだね。
私だけじゃない。
そう思ったあと、また自分を侵す苦しみに耐えて。
もうそんな我慢しなくていいんじゃない?
はっきり辛くなってもいいんじゃない?
って思う。
でも、いっつもそうだから。下ばっかり見て
顔を隠して、声を抑えて、意見も欲も抑えて。
説教ばかりうまく聞けるくせに、まったく行動にならない。
そんな私のことを気にもしない天気は、なんだか
不平等に思うけど。
みんな小さいことから色々考えて、同じ人間で。
同じ時に雨に濡れているんだなぁ。
そう思った。
家に帰って、やがて雨が止んで。
でもまだ曇った嫌な空で。
辛いんだなって。いつだって辛いんだなって。
楽しいことなんて一つもないかもしれない。
でも、頑張ってみようって思った。
どこにも拠り所なんて感じられなかったけど、それでも
自分の解釈の仕方ごときでどうにだって歩けるし、
笑うことができるんだって。
何したって自由なんだって思った。
変なタイミングで、ふとそう思った。
見よう見まねで人生生きてきた
上手く真似してなりきれてると思っていた
結局は真似にすぎず、
基礎の基礎を学べていなかった。
今となってはどれが基礎なのかもわからない。
だれも教えてくれない。
何が違うか気づいてもくれない
欠けたなにかがなんなのか、
具体的には表現できないまま、
ただ、真似してつくりあげたものが
少しずつ崩れているのは確かに感じた
空っぽな自分
正解が分からない自分
このまま先の長い旅をするということに
いつまでも消えない不安が根付いていた
「ごめん…俺、好きな人がいるんだ」
「気持ちは本当に嬉しかった。ありがとう」
『…そっか。伝えられてよかった』
「…じゃあな」
もう帰ろう。
そう思ったら、雨が降ってきた。
よかった。これで涙がバレなくて済む。
『あーあ。終わっちゃったな』
こんな事になるなら、告白なんてしなければよかった。
そもそも、出会いたくなんてなかった。
好きな人かぁ……。
『なんであの人の事好きだったんだろ』
通り雨で洗い流してくれないかな。
ー通り雨ー
通り雨は錆びたトタンをいじめる
メンテナンスの音をかき消してくれるから
雨は好きだ
特にたまにしか来れない僕に都合よく降ってわいた
にわか雨はさらに好きだ
廃工場ゆえの雨漏りに目をつむれば
ここ以上の環境も望めないし
今できることをするしかない
最後のナットを締め終わったので
培養液のガラスに手を当てる
僕の近づいた影に気づき彼女は目を開く
心がないビー玉のような瞳で僕を見つめている
ああ良かった、まだ好きだ
まだ彼女を救ってあげたいと思ってる
その事実をつねって刻み込んでいたら
いつのまにか通り雨が去っていたので
その日は帰った
3日後、漏電で電源が落ちていたらしい
彼女は腐った培養液の中で亡くなっていた
あっけなく
また雨が降る どうせ通り雨だ どうせそうなる
通り雨に襲われた。
普段の私は、特に雨が嫌いな方では無かった。寧ろ、好きな方だったと思う。けれど、今日はダメだった。許せなかった。好きになれなかった。
何故今日は許せないのか、と問われれば、上手く言い表せる言葉が無くて、口を閉ざしてしまうけれど、けれどダメなのだ。簡単な言葉で表せるようなものでは無いのだ。単純に私の中にある言葉が少なすぎるから、ピッタリとハマるパズルのピースの様な言葉が見つからないだけかもしれないが。拙い言葉で表す度に、これも違う、これも違う、と気持ちの悪い違和感に襲われる。だから口を閉ざすしか無かった。
ただ譫言の様に、ダメなんだ、とそれだけを発した口は、もう最早喋るという機能を失ったようにも思えた。
だけど、そんなこと私には関係無かった。今更、自分がどうなろうとも、どうでもいいと思えたから。興味すら無いのだ。自分の体に、心に。
私は、今日ここで秋を受け入れるつもりだった。
夏に別れを告げて、秋に挨拶をして握手をして、ハグをして。そして私も秋になろうと思っていたのに、通り雨が襲いかかってきた。私騒がせな奇襲だな、と思う私の目には雨が沢山の槍や弓の矢のように見えたから、少し恐ろしくなったのか、寒さも相まって、私の体はブルブルと子犬のように震えてしまった。
雨は、周囲の音を全て飲み込んでしまう。空気も匂いも全て何もかも、飲み込んで自分色に染め上げる、支配欲の強い男みたいだと思った。その押し付けが、今日はとても迷惑だった。いつもは好きだと思える男のようなその性質は、今日は好きにはなれそうにない。今日で無ければ、私が今日秋を受け入れるつもりじゃなければ、きっと喜んでその支配欲を身に受けていただろう。槍や、弓の矢のような雨も身一つで受け入れていただろう。
「全く、タイミングの悪い雨だ。」
そう呟く私に、心の中の悪い私が「本当はホッとしている癖に」と囁いてきた。それは、そうかもしれない。私、本当は秋を受け入れたくは無いのだ。けれど、生きているからには、生きていくからには受け入れなければいけない。人間として、四季を彩る性質を持つこの日の丸の元に生まれたからには、そうしなければいけないのだ。
誰かに決められた訳では無いけれど、きっと私達はそういう性質を持って生まれたのだ。育てられたのだ。その季節の食べ物を食べ、色を纏い、花を見て、それぞれの四季に染まる。だから、仕方がない事なのだと思う。
秋が嫌いという訳では無い。紅葉はとても綺麗だし栗は美味しいから、好きなのだ。秋はずっと、赤やオレンジ、黄色などの暖色を纏えている気がして、心地がいいのだ。
けれど、秋は春から1番離れているから、私は寂しく思ってしまう。たったそれだけの理由で、私は上手く秋を受け入れられなかった。
馬鹿だろう、間抜けだろう。そんな事で、と思うだろう、思えばいいさ。私がどれだけ上手く物事を話しても、相手の思った感想だけで、私の価値や本心というものを決めつけられてしまうのだ。人間とはそういうものだ。
第三者が何かを思うだけで、結局私はその何かになってしまう。私を可哀想にするのも、悪い奴にするのも、良い奴にするのも、全て私では無い誰かなのだ。相手がそう思うことによって、私はそれに成りうるのだ。
話が逸れてしまった。けれども、人間とはそういうものなのだ。きっと、大なり小なりはあるのかもしれないが、そういうものなのだ。
だから、私も私が秋を受け入れられないと言ったら、そういうものだと思って欲しい。貴方がそう思えば、そういう事になるのだから。
秋を受け入れる日が、何故、今日だったのか。
それは本当に何となく、ただただ夏が終わった匂いがしたから。夏の空が秋の空に変わった気がしたから。何となく、秋を受け入れなければ、きっと春さえも受け入れられないと思ったから。だから、本当に何となく今日だったのだ。
だけれど、その今日、通り雨に襲われてしまった。
何故、今日だったのか、明確な理由が無いから、言い表せる言葉が見つからないから、許せない理由さえも上手く見つけられなくて、ただずっと雨が通り過ぎるのを待つしか無かった。
けれども、雨が通り過ぎた後は、いつも雨がそこかしこを支配しているから、秋を感じることすら出来なくて、結局私は秋を受け入れられなかった。
明日や、明後日。もしくは1週間後、私はまた秋を受け入れようとするのだろうか。今の私には何も分からないから、ただただ、秋を受けいれて、春を待てる私でありますように。そうでないと、私は季節の概念を探し続けてしまうだろうから。と、願い、思うしか無かった。
──────────
何が書きたいのか途中から眠気で分からなくなりました。
四季がある国は、日本だけとよく言われますよね。
実際は、四季(二、三個の季節)がある所は他にも一応あるそうですが、四季を彩る行事や食べ物、植物等で、季節が変わったとはっきり分かるのは日本だけ、らしいです。
心の底から、慈しみ楽しませようとする日本人の心が現れているようで私は好きです。当たり前のようにしているけれど、案外古くから残る伝統は、近くにあるんですよね。形変われど、本質変わらず、でしょうか。
人の心はそう簡単には、変わらないんです。いい意味でも悪い意味でも。変わったように見えてもそれは、演技が上手くなっただけ、だとも思います。
私は秋を受け入れたいです。けれど、春から1番遠いから、少し躊躇してしまう。春夏秋冬(以下ループ)と、文字に起こしてみると分かりやすいのですが。夏と冬は春と隣同士なので、春の面影を探しやすいんですが、秋は、夏と冬を感じさせる。だから、受け入れられないのです。春を忘れてしまいそうだから、春を諦めてしまいそうだから。桜を、綺麗と思わなくなっていたら、彼を、忘れるかも知れない。だから、とても怖いのです。
ですが、きっと私も形変われど本質変わらず、なので今年も秋を受け入れられると思います🍁
勿論、春の桜もきっとずっと綺麗に映ると思います。季節は巡るからこそ、美しいのです。永遠とは、退屈そのもの。四季わ彩り続ける日本人からしたら、代わり映えのしない季節は、何時しか面白くも美しくもなくなると、そう思います。
なので、沢山、モンブランを食べます。
「傘、一本しかないな」
ちょっとコンビニ行こう。
そんなお気楽さで天気予報も見ないで外へ出てまさかの豪雨。かなりの大雨。びっくりだ。
雨宿りさせてもらってるコンビニの軒下から店を覗けば売り物の傘は一本しか残ってない。出遅れた。
君は深々と被った帽子の下、きっとしぶい表情を浮かべているだろう。
猫みたいに水が苦手な恋人は、雨に濡れるなんてありえないくらいに嫌いなのだ。
「…今日の運勢最悪」
「朝の番組でも見てた?」
「見てないよ。でもわかる」
ま、この状況じゃね。俺は肩をすくめて苦笑い。
「通り雨だと思うけどどうする?傘買う?」
「一本しか残ってないじゃん」
「もちろん相合傘…なんて言わねーよ。お前が使えよ」
「なんで」
「なんで?お前濡れるの嫌いだろ。俺は別に嫌いじゃない。お前が濡れて嫌がってる方が嫌だ」
俯いてた君が咄嗟に顔を上げる。潤んだ瞳が嬉しそうにも辛そうにも見えるのはなんで?
「おれ…」
と、君が何か言いかけた時、俺の視界に入ったのは、新しい傘を持ってコンビニから出てくる他のお客さん。
「最後の一本買われたわ…」
俺がそう呟くと、君は目をぱちくりしてからプッと吹き出して、それから俺と顔を見合わせて笑った。
通り雨、濡れていこうぞ、とはならないね。こうしてしばらく雨が止むまで隠れていよう。
▼通り雨
不安定な人の天気図に多いとされる短時間に降る雨。
傘さえ有れば濡れずに済むが、傘が無いと嵐も同然。
傘一本でその後のストーリーが180度回転する。
通り雨のような心の一時的なネガティブ感情や沈みは、脱そうとすればする程考えすぎてしまうものですよね。それでも自身の心に向き合おうとする私たちは、幸せを求める人間らしい素敵な姿です。だからこそ、あまり抱え込まないで、無理はしないでくださいね。
【通り雨】
雨が振っている
いいな
そっち側は晴れていて
雨と晴れの境界線が君と僕の間には引かれていた
だけど君は境界線を越えて僕に手を伸ばして無理やり所へ引っ張り込んだ
いつの間にか僕がいた場所の雨雲は遠くへ流れていっていた。
僕は通り雨の中にいたんだと初めて気づいた。
雨に濡れなくなったといえまだ体に残る雨粒が僕の体を冷やす・・・
まだ乾くには時間がかかりそうだ・・・
さっきまで晴れていたのに雨が降りだした。
通り雨か~デート中止にする?
ってきみは言うけど
晴れるのを待つより
相合傘をしながらデートも楽しそうだよ
って言うと
君が笑顔になる。
正直その笑顔だけでもいいんだけどね。
通り雨のお陰でこの笑顔を見れたし
たまには雨もいいもんだな。
前作【秋】の続きです
『雨が降っている』
現実逃避のように脳内導き出された現在の状況は、
全く自分でも理解のできないものだった。
9月27日午後6時。噂の彼を尾行中
皆そうだと思う。古きとか、同胞とか、現代っ子は使わ
ない。だから、罰ゲームの定番が彼の相手を突き止める
になるのは、至極当然の流れだった。
しばらくしたら皆巻かれてしまうんだけど、今回はずっ
と追いかけていられた。だんだん気温が下がっていって
、白い息が見えはじめる。そうしてたどり着いた場所
は、白をかぶった針葉樹の森の中で、そこにひとつ置か
れたベットだった。
彼はそこに近づくと、何やらつぶやく。誰がいるのかは
ここからでは見えなかった。不意に、つむじ風が吹く。
視界が開けた時にはもう彼はいなくて、代わりにベット
の上に純白の青年が座っていた。その人が与える印象
を、なんと表現すればいいのだろう。限りなく静謐で、
広大で、美しかった。
数歩、近づく。体中を突風が包み、コートに雪が積もる
この人も、怒るんだろうか?静かに佇むその人に尋ねた
「まるで、貴方は冬みたいだ。」
白を纏った青年は、なんともいえない表情で笑っていた
【通り雨】
沖縄の通り雨は「カタブイ」というらしい
通り雨というと、なんともささやかな雨のような感覚でいたが、沖縄はちがう
エブリデイ☆ゲリラ豪雨
毎日のように豪雨予報が通知される
それが沖縄における「通り雨」というものだ
東の窓から見える景色は真っ青な青空で
お出かけ日和とばかりに意気揚々とドアを開け
西の空を見れば水墨画のような雲が広がっている、なんてことも日常茶飯事のこと
偏って降る=カタブイ、という意味なのだろう
そんな土地で生きる沖縄人はたくましいものだ
濡れたらもはや走ることもせず、悠々と談笑を続けながら歩く
沖縄人にとって、スマホで最も重視するのは防水性能ではないだろうか
それぐらい清々しいほどに歩き続ける
アパートの駐車場まで帰りついたが雨が止むまで車から降りれない
そんな私の目の前を
今日もずぶ濡れの沖縄人が平然と歩いていった
通り雨
雨を被り、雨宿り
一緒にいるのは猫と鳥。
少し寒いとおっもった時、
隣人が寄り添う、
分け合う熱、暖か…
雨が通り過ぎ、晴れ間がなる。
美しい虹と飛びだっていく隣人…
少し寂しくなったのは、秘密。
通り雨、表も裏も、表裏一体。
交わることのないものが交わる
ほんのひと時の、優しい時間。
【61,お題:通り雨】
急に降りだした雨に舌打ちをして、顔に傷のある少年は雨宿りできる場所を探し走った
少年、と言ったがこれは皆がそう呼ぶからであり。当の本人は正直気に入っていない
早く大人になりたい、呪文のように毎日思いながら暮らしているのである
「...チッ、もうここしかねぇな」
どしゃ降りの中を野良犬のように走り回り
あちこちに泥を付けて、ようやく見つけたのは公園の東屋
この場所は周りが住宅街で、人の目もあるのであまり選びたくはなかったが
このまま走り続け身体を冷やすよりはいいだろうと判断した
東屋に入ると、おやどうやら先客が居たようだ
キジトラ柄のやけに身体のデカいどら猫、彼はタヌキと見間違えそうなほど大きな身体を揺すり
徐にこちらを振り返った、その顔には他の猫にやられたであろう古傷がところ狭しと並んでいる
うぉーう...に”あ”ぁあぁ
低く唸り声をあげながらこっちを睨んでくる
「お前、1人か...」
シャアアアッ!
「...そうか」
東屋の端と端、お互いに言葉を交わすことはないが
自分以外の誰かが側に居る、という事がほんの少し心地よかった
「...雨止んだな」
...ぅなーお
濡れたアスファルトの不思議な匂い
曇天の隙間から覗く光の帯は、いつもよりずっと美しかった