『透明な水』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
透明な水のような人
確かに存在はするけれど、誰の視界にもじゃまをしない。その人の奥の景色まで澄んで見えるような気がする
でも、日差しの強い陽には、その人はぴかぴかと綺麗に輝いていてとっても眩しい
たまにその眩しさに耐えられなくなって、ふと目を逸らしてしまう
そんなとき、そっと微笑んでくれる
だけどもう触れられない
#透明な水
清さを維持し続けるのは大変なことだ...。
いっそのことはじめから汚れていた方が
楽かもしれない。
しかし、何度汚れたとしても
また、きれいになって戻ってくる。
地球のろ過装置は優秀だ。
でもいつかその代償はやって来る。
そんなことを思いながら、
絵の具の筆を透明な水につける
『わたし』
透明な水って、何にでも染まれる気がするし
逆に何にも染まらない気もする。
そこに何かを足せば
きっと一瞬で透明な水ではなくなる。
なんだろうな、本質 みたいなものなのかな。
例えば何かを足して透明な水ではなくなっても
元は透明な水であることに変わりはないし
それによって別の何かに変わっても
本質が透明の水であることは変わることのない事実だと私は思う。
誰かや何かを一括りするには
少しばかりつまらないような気がする。
見る側と、見られる側
伝える側と、聞き入れる側
渡す側と、受け取る側
自分に良いように考える事は悪い事ばかりじゃない。
時にそれは自分を守る行為にもなる。
でもたまには、相手側の立場になってみて
そうすることで気付けることがきっとあって
考え方や見方が変わることもあると思うから。
まあわかっていても、
それが中々できない時もあるんだけどね。
話が脱線してしまったけど
透明な水は人間にも例えられると思う。
元はみんな透明な状態なのに
生まれ育った場所や環境、関わる人達によって
良くも悪くも透明ではなくなっていく。
誰が良いとか悪いとかではなくて
良いところも悪いところもみんなあるものだから。
もう少し深く考えてみようか。
透明な水が入ったコップが5つあったとしよう。
5つとも全く同じだと言える?
私はそうは思わない。
入っているものは同じでも
5つにわけられた時点でそれはもう別物だと捉える。
もしかしたら1つは誰かが飲む為に
もしかしたら1つは何かの作業で使う為に
あとの3つも各々の目的があるのかもしれない。
考え出すとキリがないから、もうやめておこう。
1つ以上存在する時点で
全く同じものではないと思うのだ。
それぞれの本質が必ずあって、
それに気付くことができれば
私達はもう少し平和に生きられるのかな なんて
こんな平日の夕方に考える事でもないのだろうけど。
歳を重ねるにつれて凝り固まっていきそうな思考を
柔軟に解していきたいと思う。
考え方や捉え方、見方なんて沢山ある。
それをずっと忘れないでいたい。
【 透明な水 】
お題 透明な水
ベッドから、腕だけを伸ばして、サイドテーブルに置いてある310mlのペットボトルを掴み取り、ゆっくり蓋をあける。
うつ伏せの状態のまま、上半身だけ起こした身体に、勢いよく水を口に流し込んでいくと、
身体の内側にあった熱が徐々に引いていき
口の中にあった諸々の不快も、喉を鳴らしながら飲み込まれていく。
ペットボトルの水が空に近くなると、
飲み切れなかった分の水が口から溢れ、ぼたぼたと数滴シーツに落ちる。
こういうとき、水で良かったな、とか
あの番組録画してあったっけ、とか
大概すごくどうでもいいことを考えている。
『あーあ、やっちゃったなって顔してる』
突然確信を突かれた気がして、ハッと我に変える。
『こぼれたこと?今日のこと?』
隣で寝ている彼の方へ身体を寄せると、わたしの額に手をおいて髪を撫で始めたので
この会話が続かないように、微睡んだふりをする。
水が無色透明で無味無臭でよかったと思う。
わたしの中にまだ僅かに残ってる味も匂いも、
完全に消し去ることなく、そのままの状態で潤してくれる。
透明な水
(宝石の国二次創作)
器に水を汲み、水鏡を作る。それを持って、シンシャを探しに行った。私はシンシャの顔が好きだ。脆い石に刻まれた、繊細な顔を美しいと思う。シンシャは夜に閉じ込められているから、きっと自分の顔など見たことがない。だから、私の大好きなその顔を、見てもらいたいと思った。
「物好きでお節介な奴だなお前は」
会って用を話すと、シンシャは顔を顰めてそう言った。それでも、私の差し出した水鏡を、しばらく見つめていた。
「……俺の顔が美しくても、俺は透明な水も濁らせてしまう」
シンシャは映った自分の顔に触れようとして、やめた。そうして、何も言わずに去ってしまう。傷つけただろうか。物好きでお節介だとしても、全てを汚してしまうのだとしても。君は美しいと、そう伝えたいだけ。
「あぁ喉乾いた、水ちょーだい」
「えーめんどくさい自分でしたら?」
仕方なく自分で水をコップに注ぎ、一気に飲み干した。
「知ってた?」
「何が?」
「この水ってずっっっと昔から地球にあるの。
だから恐竜もこの水一滴飲んだことがあるかもしれないんだよ。」
この世界の水は循環している。
急に水が無くなったり、増えたりはしない。
私も私らしさを変わらずに生きていきたい。
私は最初、透明な水だった。
私に1滴、赤い水が滴り落ちた。
私はまだまだ透明だった。
今度は1滴、青い水が滴り落ちた。
私はまだまだ透明だった。
1滴、また1滴。
透明だった私は少しずつ色付いた。
私は少し誇らしかった。
私はかつて透明な水だった。
1滴、また1滴。
私の中の色たちは次第に仲が悪くなった。
私は少し寂しかった。
私はかつて透明な水だった。
誰かが言った。
浄水すればまた透明になる。
私はその人が好きになった。
その人の優しさが好きだった。
私は再び透明な水になった。
だけど何かが変わっていた。
何が私を変えたのか。
色たちとのお別れか、
あの人の優しさか、
それとももっと他のものか、
私には分からない。
テーマ「透明な水」
ものすごく悩むと思う
まともに向き合ったことないから。
そう、だからほんの少しだけ進めよう
間違ってもいいし、全然駄目でもいい
駒を進めた先の未来で待っているよ
マコトくん。
それが私の知っている、彼の名前だった。
マコトくんは、私より11歳年上の、夜に出勤する仕事をしているお兄さんだ。
もっとも、それも本当かどうかは分からないけれど、少なくとも仕事については、今からいってくるよ、だとか、今は休憩中だから裏でタバコを吸っている、だとか、夜中に律儀に報告をしてくれていたから、多分本当だと思っている。
今日はお店のイベントでネコ耳のカチューシャをつけないといけないから嫌だ、と嘆いていたこともあった。
病気がちで入退院を繰り返していた母親が亡くなって、わたしの心にぽかんと空いた大きな穴を埋めるため、誰かと話がしたくて何となく始めた掲示板。
私たちは、その掲示板のマコトくんの立てていたスレッドで知り合った。
マコトくんのスレッドには、たくさんの女の人たちが話をしにやってきていた。
“みんなのマコトくん”を一時的に独占するために二人だけで話をする予約を入れていた人や、“みんなのマコトくん”では満足出来ない、と告白をしている人もたくさんいた。
マコトくんの全て包み込むような穏やかな雰囲気にみんな癒されていたし、何ものにも染まらない、どこか浮世離れしているマコトくんに私が惹かれていくのに、そう時間はかからなかった。
【透明な水】
水のように、透明になりたい。
私の心は黒く染まってしまっているから。
友人に対する嫉妬、憎しみ。
負の感情が全て込み上げてくる。
泥水のように、黒くなりたい。
僕は、透明すぎたがゆえにこれから染まっていってしまう気がするから。
それが恐ろしくてたまらない。
こんな二人は、ある日の席替えで、隣同士の席になった。
そして、私は彼を染め。
僕は彼女を透明にした。
別の感情が芽生えた。
彼女の笑顔を守りたいという、今まで知らなかった感情だ。
ポツンとある 赤い自販機
飲みものが鮮やかに並び立つ
冷た〜い
110円
山のうえから脈々と流れ
美しい空気を吸って 旅をして
ペットボトルにおさまってゆく
水流を透かし見る
なんで水って透明なんだろう
別にピンクとか青とかでもいいのにね
娘にそう言われた
水はねみんなにメッセージを届けてるんだよ
心を綺麗にしてねって
水が濁っていたら汚いでしょ?
それと一緒
心が綺麗じゃないとみんなに好かれないからね
ほらっお部屋をお掃除しよ!
周りが汚いと心も汚くなっちゃうよ?
ほんと?わかった!お掃除する!
娘はそう言ってお掃除を始めた
〈透明な水〉
透明な水
それは君が流した涙
君にさよならを言われたとき、流せなかった僕の涙
涙は僕の胸の中に流れつづけ、今では深く澄んだ湖になったよ
湖の中には銀色の魚が一匹、今日も仲間を求めて泳ぎつづけている
私は魔女なので
自分のことは自分で愛して
溢れた分の愛を
あなたに注いであげるのです
私は魔女なので
溢れた分の愛ですら
あなたを満たすことができるのです
私は魔女なので
それでもあなたが満たされないと言うのなら
箒に乗って飛んでいってしまうのです
満月の夜空に高笑いだけを残して
私は魔女なので
私は魔女なので
あなたの瞳は闇に満ちた色なのに
どうして透明な水が流れているの
もう、前を向けない状態なのに
何者にもなれない状態なのに
どうして綺麗な涙が溢れているの
『透明な水』
毒を浴びてしまったので
透明なコップに
透明な水をなみなみついで
心をひたす
怒りをひたしてじゃぶじゃぶ洗う
あなたの敵は私ではないのにどうして向かってくるのだろう
私たちは小さな箱庭に住んでいて
運命共同体なのに
いつもだれかに毒をはく
水はいつもにごっている
ここから逃げ出せないなら
せめてきれいな水を汲んできて
せめて自分からにじみでる
淀みを洗い流してゆく
(透明な水)
君がくれたペットボトル
透明のくせにヨーグルトの味がする謎の飲料
また最近見かけるようになったから
思わず買ってみちゃったんだけど
これ微妙に改良したのかな?
あの頃のやつよりなんか美味しく感じたよ
#透明な水
沢山の雨が降る。
いつもの静かで綺麗な小川は、茶色い濁流となって下流の街を飲み込んだ。
羊や馬が目の前を流されていく。
助ける術はなく、ただ無事を祈るばかりだ。
天の神に、川の神に、水の神に。
沢山の雨が降る、天の怒りの如く。
夜になっても雨は止まず、宵闇に染まった濁流は更に水位を上げた。
足元の暖炉は水没し、祖父の作ったテーブルや椅子がプカりと浮き上がり、家の中をクルクルと回るように流れていく。
雨はまだ、降り止まない。
家の柱がギイギイと嫌な音を立てはじめた。
足の先が泥水に浸かる。
綺麗で冷たい川の水ではなく、かび臭くて生温いまとわりつくような泥水だった。
直後、祈りの声は濁流に沈んでいった。
雨は七日間、降り続いた。
テーマ「透明な水」
ところで、この蛇口から出てくる透明な水はどこからきているのだろうか。
金に輝く髪に透き通る白い肌、きらきらと光るような水色の瞳で少女、アリス・ケリーは首を傾げた。
アリスはこの国レギスタの出身ではない。もっと言えばこの世界ティルナノーグの人間でもなく、元は日本で兼業主婦をしていた織野彩花の魂がジェシカ・ケリーの体を借りてアリスを名乗っている。
(この世界の常識が未だに飲み込めないのよね)
アリスは首を傾げたまま台所のシンクの前で考えた。
「ねえ、今更なんだけどこの水って飲んでも大丈夫?」
なにもないところにアリスが話しかけるとキラキラと周囲がひかり風が吹く。シンクの中の桶の水が揺れてコンロの奥底が瞬いた。
「だいじょぶ!」
高い声で応えたのは水の精霊だった。桶の水が波立ち、波の間からキラキラと精霊が飛び立つ。
透き通った水をドレスのように纏った水の精霊はアリスの目の前でひらひらと踊る。
「そもそもこの水ってどこからきているの?」
「あっちの、かわ」
「あっちの川……」
(水道施設? 浄化施設的なものがある?)
「いく?」
「行ってみましょう」
とりあえずアリスはあっちの川とやらに行ってみることにした。
アリスが精霊と共に外へ出ると、外は明るく晴れていて太陽の光が眩しい。ひらひらと飛ぶ精霊の後を付いて行くとすぐに川に行き当たった。
「ここからわけて、みずをながしてるの」
精霊が指す方をアリスが覗くと川の先に水門が見えた。水門の周りにはたくさんの精霊が踊っていて、水の流れを動かしている。
「なるほど。浄化やゴミをふるいわけたりとかも、どこかでしている?」
「それはひかりのせいれいと、かぜとみずと……なんにんかでしてる」
(思ったよりちゃんとしてるのね)
アリスは安心して戻ることにする。日本で生まれ育つと清潔な水が手に入ることが当たり前のように感じるものの、それはたぶん世界的にも、異世界であるティルナノーグ的にも当たり前ではない。
「ねえ、あるじ」
「なあに」
「なんか、おもしろいはなしして」
「んー、じゃあ水つながりでグリム童話の命の水とかどうかしら」
いつの間にかアリスの周りには水以外にもたくさんの精霊が集まって、彼女の話を聞いていた。
家を出たのは、いつもの通り、朝8時だった。
今日は少しだけ早く起きたから洗濯機の予約ボタンを押して出たはずだった。けれども、仕事をする手が止まる。わたしの脳裡にただならぬ不安が去来したのだ。
頭の中に洗濯機のゴウンゴウンという独特の動作音が鳴り響く。どうやら、予約のつもりが普通の開始ボタンを押して来たような気がする。
それに、今日は幾らか残業しそうな気配だ。――まぁ、また洗濯し直せばいいか。わたしは、頭の中で不安の源となっていた蛇口を閉めると、仕事を再開した。
昼休みになると、他愛ない同僚たちの立ち話が耳に入ってくる。そう、いつもなら他愛ない筈なのだ。だが、どうだろう。今日に限って、わたしの不安を的確に刺激するような話題が供されているではないか。いわく、知人の話として洗濯機のホースが外れたかして部屋が水浸しになった、ついては修繕費用云々と。
わたしは、自宅の玄関から流れ出る白い泡の濁流を想像し、戦慄した。いや、まさか。今まで使ってきた洗濯機だ。信じないでどうするのだ。わたしは不安を紛らすように手元の珈琲を覗き込む。底の見えないカップの中に、わたしは言い知れぬ凶兆を読み込んだ。
結局、仕事が終わったのは終電間際だった。小走りに地下鉄に飛び乗ると、幸いにも車内の混み具合は疎らで、わたしはゆっくりと座席に腰を下ろした。
換気のために窓が開いているが、それでも走ったからか蒸し暑く感じる。わたしの粗にして雑な頭脳は、もう昼間の不安など忘れていた。
心地よい微睡みがわたしの瞼に舞い降りた頃だった。電車が止まった。もうすぐ最寄り駅というのに、特にアナウンスはなかった。どうせよくある時間調整とかいうやつだろう。わたしは腹を立てるのも馬鹿らしいと思いつつ、つい癖でスマートフォンを取り出した。
何か事あらばネットで検索というのが習いになっていたために、今も適当な単語で検索してみる。特にそれらしい書き込みは見当たらない。間もなく電車は動き出した。
わたしはそのままSNSを眺めていた。トレンドには「泡」「流出」とか「水道代」とかいった単語が並んでいた。昼間に検索したからかな――わたしはそれくらいのことで取り立てて何も感じなかった。
しかし、次の瞬間、忘れていた不安が一層大きくなって甦ることとなった。車内に洗剤のような匂いが吹き込んで来たかと思ったら――洗剤の泡だ!――わたしの顔は泡まみれになった。
先頭車両の方から順に悲鳴とどよめきが起こる。時あたかも電車は止まり、車内には駅に着いたことを報せるアナウンスが流れる。
半分開いた窓の向こうは一面の銀世界とでも言うべき、泡の王国と化していた。駅員たちは必死で泡を片付けようとしているが、天井まで埋め尽くす量の泡の前では一向に要領を得ない。
南無三!――わたしは勢いよく車両を飛び出すと、辺り構わずに自宅まで走った。地下鉄の駅を抜けてしまえば泡など流れていなかった。それでも、わたしは夜の住宅街を走り抜けた。
自宅の前に着いてみれば何の異変もない。洗濯機はと言えば、エラーを吐いて行程の途中で止まっていた。息を切らしたわたしが恐る恐る蓋を開けると、洗濯槽の中は、何のことはない、余りにも無垢な透明な水に満ちていた。
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透明な水