『逆光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あの日、
差しのべられた手。
だけど、
逆光で
顔が見えない。
貴方は、誰?
お題
逆光
逆光
後ろから光を浴びて 更に輝いて見える事もあるし
影が強調され 暗くも見える
わずかな差で 明暗がはっきりする
逆光でアナタの顔が見えなくて
だからできた最期の告白
【逆光】
強い光と暗い影。
とても明るくていい写真が撮れそうなのにうまく行かない。
たとえきれいな桜木町のイルミネーションだとしても良い写真は出来上がらない。
これはどんなに良いものも方向次第ではうまくいかないという教訓なんだろうか。
光がいつも必ず明るく自分を照らしてくれるわけではないのだから。
逆光を浴びた。
己の虚しさに心が削れて、結晶となり貴方は再び私の元に。
光り輝く太陽は貴方の目に映り、醜さを隠した私は貴方の前に立つ。
パシャリ、という音と共に私のスマホは鳴り響きデータとして貴方が残される。貴方は嫌がったが、消せとは言わず私はそそくさとその中身を確認した。
逆光だ。
太陽の明るさに反射して、貴方は真っ黒だった。振り切られる貴方の顔は、逆光で何も見えやしない。
貴方は笑った。二度と写真を撮らせてはくれなかった。
逆光を知らぬまま。
私は貴方を黒い顔だと思い込む。
「君を大切にするよ」
そう言うあなたの顔 逆光で見えない
甘ったるい可視光線がつくる夢
それは終わりか始まりか
君で拡散する光の粒たち 二人分の白
名のない受動的なすがた
俗物のシルエット すべてが無機物に
もっと暗いほうへ行こうよ 狭い庇護は生温く
置いていかないで 痛みを共有させてはくれないの
その瞳に映るのはたしかにあどけない顔をした僕
遠く触れられない絵画の中
流され止まったままの秒針
差し出されるか細い手を取ったら
ふたりは変わってしまうかも
眩い赦しに 思惑をも溶かして
<朝焼け、夢の海岸にて>
題:逆光
この世はあんまり繊細だから、もう起こったことを消せはしない。故に人は空想を紡ぐ。もしもを願って夢を見る。誰もそれを罰せはしない。たとえそれが光に背を向ける行為でも。
逆光
とある写真を見つけた。
それは逆光の写真。
色がないのにストーリーがあるような写真だった。
撮影者は写真家らしい。
その人は逆光の写真しか撮ってない。
なぜかは分からないけど
逆光に照らされて
人や建物全てが黒く塗りつぶされているのが
いいなって思った。
その人は質問募集してるらしい。
「なんで逆光の写真しか撮らないんですか?」
疑問に思って送った。
「質問ありがとうございます。
なんで逆光の写真しか撮らないんですか?
色が沢山入ると下手になっちゃうんです。
苦手だから逆光の写真しか撮ってないです。
勉強中です。」
とても丁寧に質問返しをしてくれて
丁寧な人だと思った。
自分はいつの間にか
顔も声も知らないあなたに心を惹かれたみたい。
あなたが撮る写真。
あなたが丁寧に答える質問。が
私には魅力的に見えて
いつか逆光の写真じゃない写真も見れるといいな。
なんて思ってしまう。
逆光すらも綺麗に見せるあなたも
きっと同じくらい美しいんだろう
─────『逆光』
【逆光】
ふと目を開けた
目の前が白く光っている
一瞬、
ほんの一瞬だけ
いもしない神が現れたのかと錯覚した。
すべてのものを奪われ、
すべてのものから遠ざけられた自らの元へ、
神が現れてくれたのかと思った。
だけどそんな訳もなく、
それは、ただ逆光を浴びて出来た、
影であった。
陽の光に貴方は照らされているはずなのに、どこまでもそれは見ずらく、笑っているのか泣いているのか、こちらからは分からない。分かるのは、太陽に照らされた貴方の髪が美しいと言うことだけだった。
「逆光」で思い出すのは、何もかもに疲れ切っていたあの頃・・・
実家に帰る度に、まだ小さかった甥っ子を誘って、よく海岸へ行ったあの頃の、ある日の事。
小さな港で、天気がいい日は釣り人達が糸を垂れている。
あんなふうにのんびり釣りをするのもいいな、と、最近釣りというものが気にかかる。
遠くの波の上に時折跳ね上がる黒っぽい生き物は、イルカだと聞いて驚いた。
ここの海でイルカが見られるなんて、昔は聞いた事が無かった。
子供の頃はよく遊んだ浜辺だが、少し入れば急に深くなっているここの海は遊泳禁止で、海遊びには適さないし、昔から色々事故も多い。
暖かくて風も無い穏やかな昼下がり、癒しを求めてボンヤリと、寄せては返す波を眺めつつ小さな港を見渡せば、釣り人達もマッタリと竿の前で寛ぎ、魚を狙っているのか、カモメもチョロチョロうろついている。
ふと振り返ると、逆行で真っ黒なシルエットの甥っ子が、私がいる波打ち際よりも少し高くなっている所から、こちらを向いて立っていた。
黒一色のそのシルエットの背後からは、後光のように太陽光が差していて、何だか神々しささえ感じるその姿に一瞬、目が醒めるような驚きを覚えた事を、今も覚えている。
あまりにもくっきりと黒一色で、表情などまるで分からない影絵のようなその姿に、敢えて逆光で何が撮ってみたい、そんな気にさせられた、数年前の「逆光」体験。
別に意味など無かったのだろうけど、何となくメッセージ性を感じ、今も色濃く記憶に残っている。
「逆光」
#逆光 2023.1.25
東の窓から光が入る
いつも通りの食卓で
当たり前のように
私の作った朝御飯をひたすらかきこんでる
そんな夫の顔を、今、まじまじみている。
昨日みた夢は
あなたが嬉しそうに、
こちらに向かって来てて。
私も嬉しくて仕方ないのだけれど
私は駆け寄らない。
なぜって
あなたがすごく嬉しそうに、
私の元に向かってきてるんだもの。
わたしは、そんなあなたが愛し過ぎて、
一秒でも長くみていたくて
跳びはねて駆け寄りたい、
そんな気持ちを押さえて、ただじっと
あなたを待っている。
そこで目が覚めた。
幸せな余韻が残っていた。
いい夢だったなぁ。
そんな、幸せな夢を思い返してたら
私に向かってくる
あなたの顔が、思い出せなくて、焦った。
ああそうだ、
私からは、見えてなかったんだ。
だって
あなたは、光の中から現れて
光を背負ってたから、
眩しすぎた。
それにしても
あなたのはずで、
あなただと思っていたけれど
わたしはいつの間にか
夫の顔が、
分からなくなってしまったようだ。
いったいあれは、誰だったんだろう。
朝カーテンを開けると太陽の光が眩しい
すずめの鳴き声とテレビにはアナウンサーが話してる映像が流れてる
[今日も変わらない日常が始まる]
パンとコーヒー毎朝決まった朝食をして食べて会社に行く
「私たち別れましょう」
夕暮れ時の公園で彼女はそう告げた。
彼女とは高校生の時から付き合って今年で5年目になる。
今までも、これからも、当然彼女が側にいるものだと思っていた。
それなのに別れを告げられても不思議と驚いていない自分がいる。何故だろう。
「あなたも私たちの関係がもう長くは続かないだろうって思っていたでしょう?」
そんなことはない。将来のことだって考えていたんだ。
「何で私がこの公園で別れ話をしたかわかる?」
何故...?確かに何故この公園なのだろう。別れ話をするならもっと落ち着いて話ができる場所の方がいいのではないだろうか?
「わからないって顔してるわね。」
「そうよね、あなたってそういう人よね」
そんなことを言われてもわからない。心当たりがない。
「そう.....」
彼女は悲しそうな顔を一瞬した。わからない、どうしてこの公園なのだ。教えてくれ。
「もう、今さら知ったって意味ないわよ。」
そう言い彼女は俺の横を通りすぎ歩いて行った。
俺はただ遠くなる彼女を見てることしか出来なかった。
一度彼女はこちらを振り向いたが逆行になっており、どんな表情をしていたかわからなかった。
けれど何故だか笑っているような気がした。
この光景に俺は既視感を覚えた。
.....前にも同じようなことがあったのか...?
いや、別れ話は今までしたことはない。突然だった。
.......あ、思い出した。
「この公園、俺たちが付き合った場所だ」
告白をして、かわいく笑う彼女の表情を俺は思い出した。
【逆光】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
1/24 PM 0:08
学食に来ると、古結(こゆい)と真夜(よる)が
既に席に着いていた。
ここだよー、と手を振って呼ぶ古結の
隣に座る。
宵は少し遅れるらしい。
「天明(てんめい)くん、見て見て!
すごくエモい写真が撮れたの!」
「おー、綺麗に撮れてるな」
教室の窓辺にいる宵の長い黒髪に
光が当たって淡く輝いている。
姿勢の良いスラリとした立ち姿は、
モデルのポートレートだと言われても
きっと違和感がない。
「でしょ? 逆光の写真って、巧くいくと
こうやってすごくエモい感じになるから
好きなの。宵ちゃんの魅力が増し増しだよね」
古結がスマホを操作して、
逆光でエモく撮れたという
写真を次々に画面に表示する。
桜の下、夕暮れの海、銀杏並木、など
季節ごとに様々なシチュエーションで。
真夜(よる)と一緒に写っているものもあった。
(……本当に)
綺麗だと思う。
そして、おそらく古結にしか撮れない。
カメラの性能がどれだけ良くて、
撮影のスキルやテクニックがどれだけ
あったとしても。
宵と真夜、2人との絆がなければ、
こんな写真は撮れないだろう。
写っているのは被写体だけじゃなく、
2人を想う古結の気持ちだろうから。
「どれもいい写真だな」
「良かったら、天明くんのスマホにも送るよ?」
「いや、宵に断りなくもらうのは……。
いいのか?」
「天明なら問題ないと思うけど」
ひとまず真夜に聞いてみると、
あっさり了承されてしまった。
俺も宵にとって、気を許せる友人に
なれているということなんだろうか。
逆光。
それは記念写真の敵。
それは皆の顔を隠すから。
それは私達の表情を隠すから。
しかしそれは私の心の底の思いを隠してくれない。
だから、自分で隠すしかない。
誰かに頼るという選択肢は無い。
それがほとんど無意味なことを知っているから。
それはハイリスクなくせにリターンが少ないから。
だから、一人で隠す。
だから、一人で過ごす。
誰かに話して共感を得ることはできない。
それは私がここまでの人生を放棄することと同義だから。
放棄は批判の対象だから。
だから、自衛する。
_____いつまで続ければいいのだろう。
私の姿も声も記憶も痕跡も過去も未来も今も。
文字通り私の全てを影に隠して、あわよくばそのまま闇に溶かしてしまえたなら。
写真の中の私は、その思いを隠せていただろうか。
もし答えが否であるなら…きっとそれは逆光のせい。
そういうことにしておこう。
「逆光」
観光地を旅行中
通行人にポラロイド写真を撮ってもらった
現像した写真を見ると
逆光で僕の顔はよく見えなかった
でも
そんなことはどうでも良くて
何が言いたいかって
逆光って観ようによっては
後光だよなってこと
これは僕の徳なのかなぁ
なんちって
めんどくさいがピークにまできた
今まで楽しかったことが楽しくなくなって
楽しいを探すことも作ることもめんどくさくて
これから先の人生を考えたときに
働いて生活していくのはもちろん
それなりの人間関係を構築して
人並みに身なりにも気を遣って
水飲んで食事して
家事して
病気になれば病院に行って
寝て
そんなことすらめんどくさい
じゃあ辞めればいいじゃないか
別に辞めたって死にやしない
そうだけどさ
それもめんどくさいんだよね
惰性で生きてるだけ
死ねないから生きてるだけ
できることならば生まれてきたくなかった
存在することがめんどくさい
かと思えば一瞬楽しいなって感じるときもある
これをやりたい
これを頑張ろうって
この人と一緒にいたい
とか
この人と話してたい
とか
だからめんどくさい
正反対の考え方
どちらも自分ではある
日によってその割合が変わるだけ
どちらかが100パーセントになることはない
なんでかな
めんどくさ
かくのやーめた
「ばいばい」
そう言った君の顔は逆光でよく見えなかった。
季節は巡るばかり。
眩しい光は己すらも焼き尽くしてしまう。
『逆光』