みたらし

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「私たち別れましょう」
夕暮れ時の公園で彼女はそう告げた。

彼女とは高校生の時から付き合って今年で5年目になる。
今までも、これからも、当然彼女が側にいるものだと思っていた。

それなのに別れを告げられても不思議と驚いていない自分がいる。何故だろう。

「あなたも私たちの関係がもう長くは続かないだろうって思っていたでしょう?」

そんなことはない。将来のことだって考えていたんだ。

「何で私がこの公園で別れ話をしたかわかる?」

何故...?確かに何故この公園なのだろう。別れ話をするならもっと落ち着いて話ができる場所の方がいいのではないだろうか?

「わからないって顔してるわね。」
「そうよね、あなたってそういう人よね」

そんなことを言われてもわからない。心当たりがない。

「そう.....」

彼女は悲しそうな顔を一瞬した。わからない、どうしてこの公園なのだ。教えてくれ。

「もう、今さら知ったって意味ないわよ。」

そう言い彼女は俺の横を通りすぎ歩いて行った。
俺はただ遠くなる彼女を見てることしか出来なかった。
一度彼女はこちらを振り向いたが逆行になっており、どんな表情をしていたかわからなかった。
けれど何故だか笑っているような気がした。
この光景に俺は既視感を覚えた。



.....前にも同じようなことがあったのか...?

いや、別れ話は今までしたことはない。突然だった。


.......あ、思い出した。

「この公園、俺たちが付き合った場所だ」

告白をして、かわいく笑う彼女の表情を俺は思い出した。



1/24/2023, 6:21:54 PM