【逆光】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
1/24 PM 0:08
学食に来ると、古結(こゆい)と真夜(よる)が
既に席に着いていた。
ここだよー、と手を振って呼ぶ古結の
隣に座る。
宵は少し遅れるらしい。
「天明(てんめい)くん、見て見て!
すごくエモい写真が撮れたの!」
「おー、綺麗に撮れてるな」
教室の窓辺にいる宵の長い黒髪に
光が当たって淡く輝いている。
姿勢の良いスラリとした立ち姿は、
モデルのポートレートだと言われても
きっと違和感がない。
「でしょ? 逆光の写真って、巧くいくと
こうやってすごくエモい感じになるから
好きなの。宵ちゃんの魅力が増し増しだよね」
古結がスマホを操作して、
逆光でエモく撮れたという
写真を次々に画面に表示する。
桜の下、夕暮れの海、銀杏並木、など
季節ごとに様々なシチュエーションで。
真夜(よる)と一緒に写っているものもあった。
(……本当に)
綺麗だと思う。
そして、おそらく古結にしか撮れない。
カメラの性能がどれだけ良くて、
撮影のスキルやテクニックがどれだけ
あったとしても。
宵と真夜、2人との絆がなければ、
こんな写真は撮れないだろう。
写っているのは被写体だけじゃなく、
2人を想う古結の気持ちだろうから。
「どれもいい写真だな」
「良かったら、天明くんのスマホにも送るよ?」
「いや、宵に断りなくもらうのは……。
いいのか?」
「天明なら問題ないと思うけど」
ひとまず真夜に聞いてみると、
あっさり了承されてしまった。
俺も宵にとって、気を許せる友人に
なれているということなんだろうか。
1/24/2023, 5:48:02 PM