『逆さま』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
逆さまの世界
何もかも違う関係
どんな場所、立場であっても
私は今のように
きっとあなたに恋をする。
「逆さま」
人々の話し声が、薫風と共に流れ、僅かに鼓膜を揺らす。しかし、それよりも鮮明に聞こえるのは、筆記音。低い焦茶の机を挟んで、足を折りたたみ、向き合う先、相手の目線は伏せられており、忙しなく、手が走っていて、そこに会話は無く、久方ぶりの逢瀬とは思えないけれども、不満なんてありませんでした。
貴方は無口で、何を考えているのか、とても、私には分からないけれど、その分貴方は、言葉が美しい。同じものを見ても、貴方の感じたこと、それを伝えるために紡がれた言葉、それらに心を奪われているのです。
貴方の言葉は宝石で、それを無闇矢鱈、手に入れようだなんて、傲慢がすぎてきっと罰が下るでしょう。だから、貴方の言葉がこの世に生まれる瞬間を、今この時、知るのは私だけという身に余る光栄だけで、十分なのです。
貴方の紡ぐ、逆さまの文字を追う。
今日は、どんな宝石になるのでしょうか。
なんでこんなに優しいの?
安心しすぎて
子どもに戻った気分になっちゃう
なんでこんなにあたたかいの?
心を許しすぎて
もっと近くにいたくなっちゃう
逆さまだよね
もっと もっと
大切にしたいのに
私ばっかり大切にしてもらってる
逆さまだよね…
【逆さま】#30
明るい、暗い。
丸い、四角い。
暖かい、寒い。
上がる、下がる。
どれも逆さまな言葉なのに、同じに見える。
『逆さま』No.8
#逆さま
「第一回許せない逆さま選手権ー」
「いえー。」
「洗濯物。」
「おい、挨拶無しにジャブ喰らわすな。」
「旦那氏、洗濯物は裏返してくだされ。」
「ふっ、めんどくさいでごわす。では嫁子殿。ケチャップは蓋を下にしてドアポケットに立てて仕舞って下さいませ。」
「却下。どうせ傾く。あとで振りたまえ。では夫君。食洗機の箸は先端を下にしておくれ。しかし、スプーンやフォークは今のまま先端が上向で宜しい。」
「鋭意努力致します。では妻よ...今、着てるパジャマ裏表じゃね?」
「うそっ、!?」
「嘘じゃねえって、首無いもんほら、見てみ?」
「ぐっ、ふ、タグ前に付いてるわ、ありがとっ」
「いや、ずっと気になってたんよ。最初の"選手権いイェーイ"からずっと。はぁあーすっきりした。」
「良かったやん、んで洗濯物は?」
「ううっ、忘れて無かったか。」
「裏表逆さまにすると早く乾くし、汚れが落ちるんですーっ。」
「わ、かったから。全部?」
「全部、じゃなくて良いけど厚手のものとか。汗かいたなとかはひっくり返しておいた方がいいんじゃ無い?」
「了解。」
「他には?」
「無い?」
「無いねぇ、」
「短い選手やったなぁー。」
「優勝は?」
「パジャマやろ。」
「パジャマっ、今日なんか首、チクチクするなって思ってたんだよね。全然気が付かなかった。」
「俺はすぐ分かった。首が何時にも増して無かったから。」
「おだまりっ!」
「おだまりwww」
脳天直下に逆さまに落ちる君の姿を見た。
君は目を見開いて、信じられないものを見るような、驚きと戸惑いとそして悲しみに満ちた瞳をしていた。
伸ばした手の指の先、それは君を掴むためのものではなく―――君の身体を押した僕自身の腕の影。
僕が、君を突き落とした…?
はたしてそれは夢だったのか、現実だったのか。
ただいつもは隣で眠る君がいない。
それは紛れもない確かな事実で、空白のベッドの冷めた熱をまさぐる手には白い百合の花が握られる。
それがどんな意味を持つのかもわからずに、
僕は手のひらを握りしめてその白い花を散らした。
【逆さま】
あなたとわたしのせかい
ぜんぶ逆さま
あなたはいつも人だかり
わたしはいつもお一人様
あなたは真っ昼間
わたしは真っ暗闇
でもなぜかどうしてか
逆さまなはずなのに
交わったマーブル色の世界
ふたりだけのせかい
確かに俺はものを知らないよ? 君の方がずっとずっとずーーーぅと色んなことを知ってるし、優しく教えてくれるのもうれしーし…。
でも俺だって教えてあげられることいっぱいあるんだから、だから…困ってる時は俺にも頼って欲しいんだ。いつもと逆さまだなって笑って良いから…ねぇ。
「…なんでおまえが泣くんだよ」
君の背中に張り付いて、顔なんか見せてないのに君は俺が泣いてることすぐに気づいて、そういうところも好きだって思う。
好きだって…思う。
「逆さま…だなんて思わない。君の強さと優しさは、ものを知ってる知らないなんてそんなことを超越してんだよ。俺はいつだって、そんなおまえに救われてるんだ…」
そう優しく言って君は、肩に縋った俺の手をポンポンと叩いた。
君の言っていることは難しくてわからないところもあったけど、だけど君も俺のこと頼りにしてくれてるんだってことは
ちゃんとわかった。ううん、俺だってもちろん、ちゃんとわかってた。
俺たちはただそうやって、何も言わずに互いに体温を感じ続けたんだ……。
▼逆さま
【 逆さま 】
落ちる… 落ちる…
暗闇を、ただ堕ちていく――。
きっと、罰が当たったのだ。
数えることもできぬほど多くの人を傷つけ、
ある人は命を絶ち、ある人はまた他人を傷つけに走る。
もし自分が神の立場なら、許す要素を見出だせない。
今さら悔やんだとて、遅すぎる。
抗いたくとも、藻掻く手はすでに無い。
羽代わりにされては困るからと、もがれてしまっている。
一体どこまで行けば底が見えるのか。
上か下かも分からぬ形で、ひたすらに堕ちていく。
そして唐突に、体が弾ける瞬間を迎えるのだ。
逆さま
逆さま言葉は苦手だけど
子どものころ
自分のフルネームを逆さに言うのを
練習して
それだけはパッと言える
みんなもそうじゃない?
私は時々 自分はなんなんだろうって
自分自身に問う
自分が相手を想うように
相手も私を想う
それは奇跡だってこと
忘れかけてた
自分が相手にしてきたこと
それは
相手からすると逆に
不安にさせてしまうことだった
ということに気づく
男心なんてわからないけど
女心も複雑でわかんないけど
自分の心もわかんないけど
相手に自分の本当の気持ちを
伝えること
私が思ったこと感じたこと
自分の心をさらけ出すこと
これが一番
恋愛にとって大切で
いちばん私には難しかった
でも
相手が私を想ってくれる
そのことを心に
相手の心と私の心むき出しで
話すこと
分かち合いたいって言ってくれたこと
それを心に持って
私は信じることにした
「逆さま」
お題
『 逆さま 』
絵には無限大の見方がある
人の顔に見えるものがある人から見れば壺にだって見えるだろう
この絵はどうだろう?
2名の人が暗闇で夜空を見上げている?
逆さにしてみよう
それは湖に浮かぶ影と空の様子だ
逆さまにしただけでこんなにも世界が変わるなんて
子どもの頃、なぜか砂時計を見るのが好きだった。
砂が下にさらさら落ちると、真ん中に凹みが生まれる。その凹みがじょじょに広がってカルデラのようになるにつれ砂のかさが減っていく。下にはなだらかな円錐形の山ができている。
最後の砂がカーブをつたって流れ落ちるのを見届けると、逆さまにしてもう一回。飽きずに眺めていた。
三分間。
今ならそんな短い間でも集中して見ていられるだろうか。
それでも、久しぶりに砂が落ちる様子が見たい。歯磨きのときにひっくり返してみようか。
『逆さま』
目に見える
周りの物質
全てが
当たり前のように
上下がある。
それが
3次元映像として
目に
映し出されている?
お茶碗や、コップ、
全てに
上と下が
当たり前に
見えているけれど。
以前、
一目惚れした、
琉球ガラスで出来た
不思議な
オブジェ。
何の疑いもなく。
手に入れる時に
見たままに
飾っていた。
ある時、
ふと、
これって、
逆さま
にしたら
どう見えるだろ〜?
と
見つめていた。
逆さまに
してみると、
意外に
しっくりきたので。
寝かせてみたり、
違う物と並べてみたり。
ちょっと
楽しくて、
しばらく
そのオブジェで、
楽しんだ。
何事も、
そのままの
美しくさはあるけれど、
時に
見え方を変えてみるのも、
面白い。
偶然の
思いつきも、
いいものですね。
壁倒立中に腕立て。私の日課。というか努力目標。
慣れてしまえばきつくもないし、時間もかからない。
逆立ちって健康にいいらしいよって聞いてから続けるようにしてる。これがやってみると、結構良くてね。
なんかバランスよく筋肉がついてるような感じがしてる。
でもあくまで努力目標だからね、思い出したときにでもしようかな、って思ってます。
だから今日はやります。
【逆さま】
空中へ放たれた花束は
わたしの手に収まった。
帰り道にちらちらと揺れるかすみ草。
シャンプーの空きボトルに飾ってみた。
その後、物干しに引っ掛けてみた。
家に帰ってきたら、逆さまをみる日々。
#逆さま
昨日はまあ、ちょっと、かなり、いろいろあった。
叫びたいのか暴れたいのか泣きたいのかもよくわからない、ただただ重い。
お酒の力を借りて無理矢理朝までワープしたけれど、二日酔いのせいではない重みはまだまだ全然残っていた。
飲も。
スマホで2文字だけのメッセージを送る。
間をおかずにスマホが鳴って、表示された文字を見て私は笑ってしまう。
13時にガストね。
きっと私は昨日のあれやこれやをぐちぐちと語るだろう。それを聞いているうちに彼女はみるみる目に涙をためて、しまいに大粒の涙を流すだろう。私は彼女をなだめながら、こう言うのだ。
「なんで私がなぐさめてるのよ、これじゃ逆さまじゃんか〜!」
彼女は笑って、そして私たちはドリンクバーを何往復もしながら暗くなるまで喋り続ける。
役割を変えながら何度も繰り返されてきた、いとしい時間。
お互いのためなら、わたしたちはいくらでも泣ける。
『反転』
鉄棒で逆上り そしたら景色が反転してさ 物の見方が変わったよ あんまり得意じゃないあの人に声をかけたら 思いのほか楽しかったよ おやつを食べる背徳感 それもありだと言い聞かせ 擦りむいた膝小僧を撫でてやろう
あの子に会いたいから生きる。あっちへ逝っても一緒がいい。でも、きっとあの子は天国へ、私は天国へ逝けるのかそれとも地獄か。分からない。だけど生きる。永遠にあの子と死にたくない。
「本当は生と死が逆さま。」
お題『逆さま』
世界が真っ逆さまになってくれたら
私の願いはきっと叶うのに
明日もずっと清く正しく世界は回る
誰かの我儘と小さな声を犠牲にして
もしも世界が本当に逆さまになったら
苦しみの声は消えるかな
そんなことないんだろうな
だから私はそんな世界じゃ生きていけないわ
また別の人が苦しむだろうから
また私の願いは叶わないから
誰かを犠牲にして得る
平安とか幸福とか
無意味なのだとそろそろ誰か
分かって気付いて直してくれればいいのにとか
そんな人任せにぼんやり考える
力不足な私が何かをなせるようになりますように
誰かの人生に少しの意味と幸福を残せるように
そんな小さくて壮大な夢ばかり抱えて
何も成せない私が憎い