脳天直下に逆さまに落ちる君の姿を見た。
君は目を見開いて、信じられないものを見るような、驚きと戸惑いとそして悲しみに満ちた瞳をしていた。
伸ばした手の指の先、それは君を掴むためのものではなく―――君の身体を押した僕自身の腕の影。
僕が、君を突き落とした…?
はたしてそれは夢だったのか、現実だったのか。
ただいつもは隣で眠る君がいない。
それは紛れもない確かな事実で、空白のベッドの冷めた熱をまさぐる手には白い百合の花が握られる。
それがどんな意味を持つのかもわからずに、
僕は手のひらを握りしめてその白い花を散らした。
【逆さま】
12/6/2023, 12:58:37 PM