『踊るように』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
とある夜の踊り場(階段)で、とても狭いのに、華麗に踊っている女性を見つけた。俺はそれに、目を取られた。くるくる回っているだけなのに。多分、顔と服に目を取られた。服は、あの高級ブランドの〇〇だ。顔はもう、息を呑むほど美しい。気づくと、その女性に声をかけていた。
『踊るように』
パチパチと音を立て
踊るように舞う火の粉
子供の頃に
キャンプファイヤーで
見た炎の美しさ
暗い夜空に
赤い小さな火の粉が
バチバチと音を上げながら
ゆらゆらと
上へ上へと
空に向かって
登っていき
消えていく
ずっと見てても
飽きない美しさ
炎を囲んで
皆で
焼きおにぎりを食べた
とても
非日常的な光景だったのを
覚えている
「いいか、よく見とけよ」
父は真剣な顔つきでそう言った。次の瞬間、出来立てホヤホヤのたこ焼きに鰹節を掛けたのだ。
鰹節はたこ焼きから放たれる大量の湯気に煽られて前後左右に揺れた。大きく揺れる様はまるで踊っているようにも見えた。
「これはな、父さんじゃないと出来ないからな」
自慢げに笑った父の手が、その時だけは魔法の手に思えた。
「うーわ、変なこと思い出した」
焼きうどんに、仕上げとして鰹節を今まさに掛けようとした瞬間だった。冷蔵庫にあるものをテキトーに切ってうどんと炒めただけの手抜き焼きうどん。玉ねぎともやしの比重が大きくなり、もはや野菜炒めと変わりない仕上がりだ。
休日の今日、ダラダラ一日を過ごしているうちに外へ出かける気力がなくなったから家にあるものでご飯を済ませようと思い料理した。一人暮らしだとテキトーにご飯を作ったところで誰も咎めないから気楽でいい。
「あー、命日墓参り行けなかったからか。祟られたかな」
キッチンの後ろに飾っているカレンダーを見やる。先週の水曜日に印がついていた。
「来週行くか」
私は気を取り直して焼きうどんに鰹節を掛ける。焼きうどんの湯気に当てられて激しく揺れる鰹節をぼんやりと見つめた。今では私の手が魔法の手だ。
『踊るように』
躍るように
遠く躍るように近づいてきた。
誰だと思いながら、それをみていたが。
なんだ、君か。
躍るように来られたこわいよ笑
私は言葉を扱う。
これは私が作ったものではなく、先人たちが作り出したもの。
最近の人間が、珍しい言葉を話したとて、それは先人たちが既に用意していたものを見つけただけのこと。
だけど私達はなぜか、まるで新しいものを発見したかのように、彼等の発した言葉を賞賛する。
どこかで聞いた事のあるような言葉であっても、そのことは誰も口にはしない。
人々が素晴らしいと賞賛する言葉を、私は空虚な思いで聞いている。
それを、誰かは嫉妬と呼ぶだろう。負け惜しみだというだろう。
そうかもしれないけれど、私はその言葉を聞きたくないから、口を閉ざす。あたかも、どこかで聞いた言葉を紡いで、賞賛されるのを望んでいるようで吐き気がする。
せっかく先人たちが作ってきた美しい音をした言葉たち。
それらは改良の余地が無いほどに完成されている。
にも関わらず、それを超えるどころか、人間はそれらを上手く使えない。
拙い言葉を振り回し、あろうことか他人に嘘を教え、騙す。
しかも人は、その言葉を簡単に信じた。
結果、疑心暗鬼に陥り、心を病み、自分の本当の言葉を忘れる。
愚かで愛しい人たち。
他人の言葉は、聞かなくていい。
疑うのは、自分の言葉。
自分が他人に発する言葉こそ、それは自分に向けられた真実の言葉。
他人を賞賛するなら、それは自分にも返ってくる。
他人を罵倒するなら、それは自分にも返ってくる。
すべてはそのバランス。
賞賛しかない人生は空虚で、罵倒しかない人生は哀れだ。
けれども、
そんな自分の発する言葉に誰かの言葉が返ってきた時
その時感じる喜びも、悲しみも、怒りも、全てが正しいものとなるだろう。
踊るように
自分が仕事で辛いときや子育てで大変だなと思う時に
好きな人とたわいのない会話をするだけで
ソワソワと心が踊るように元気を貰える
踊るように
この桜の木を見ていて思う。
別れの瞬間、最後まで美しくあり続ける桜はすごい、と。
終わりがあるから美しい、などという言葉を聞いたことがある。
けれど、自分は美しいモノが、最後まで美しくあろうとするから美しいのだと思う。
この踊るように散っていく桜を見てしみじみそう思うのだった。
【踊るように】
貴女と初めての待ち合わせ
待ち合わせ場所の
道順も
歴史も
『あるある』も
昨日の夜にネットで充分調べた
貴女に会えたら
最初は何を言おうか
「会えてうれしいよ」
それは言いたいけど
いきなり過ぎるかな
待ち合わせ場所の『あるある』で
少しでも貴女を笑わせてみようかな
貴女が待ってくれている場所へ
踊るように向かっているこの瞬間だけは
僕は世界一のダンサーに
なれているような気がしたんだ
恋愛詩人よしのぶ
#恋愛散文詩
#散文詩
#お題
#踊るように
#恋愛詩人
【踊るように】
ーー彼に手を引かれる
この日のために用意した綺麗な淡い青色のドレス。
シンデレラみたいで素敵ねと友人からも好評だった。
ーー彼にエスコートされる
彼はとてもハンサムだ。
周りの女が放っておかないだろう
ーー彼は愛している
私は知っている
ーー彼は、私の…私の父の地位を愛している。
中身はとても下品で、金と出世のことしか頭にない
ーーそんな彼と踊る
今日は私が自由でいられる最後の日だ。
ーーそんなこと彼は気づかない、気づくはずもない
私が私でいられる最後の時間、
淡い青色のドレスはふわりと広がり、ホールに大きな花を咲かせた。
「まず、ニンニクは踊るだろ。風も狐も踊るな。
踊る『ように』じゃなく、踊るよ『ウニ』にすれば、海洋生物のネタも書ける……のか?」
これ、去年と同じなら、来月のだいたい今頃にも一度「踊る」系のお題が来るんだよな。どうしよ。
某所在住物書きは過去の投稿分を辿ったり、「踊る」をネットで検索したり。
創作ダンスなる履修科目の存在しない世代なので、ことさら踊りには縁も接点も無い。
ところで創作「ダンス」である。
日本「舞踊」は履修対象に該当しないのだろうか。
「ネットによると、他人に操られて行動することを『踊る』と言うし、利息を二重に取ることをオドリブ、『踊り歩』と言うし、書いた字も踊る。
なお『踊』の他に『躍』の字が、あるらしい……」
踊る、おどる、オドル。物書きの視界にはゲシュタルト崩壊した𧾷と甬がいっぱい。
■っているように見えなくもない。あるいは意味なく佇んでいるとも。 以下略。
――――――
最近最近の都内某所、某アパートの一室、朝。
付烏月と書いてツウキと読む名前の男が暮らしており、その日は雪国出身者であるところの友人から提供されたお裾分けの夏野菜で、フレッシュサラダとベーコンエッグなど調理していた。
小さなフライパンにマヨネーズを薄く塗り、強火で熱して、パチパチパチ。
熱でクリーム色が踊るように泡を吹いたら、半額で手に入れた赤色卵を割り入れ、じゅーじゅー。
その後は気分的に弱火からの蒸し焼き。味付けは下地の焦がしマヨとカリカリベーコンに任せた。
ところでリビングに上記で紹介済みの「雪国出身者であるところの友人」が居る。名前を藤森という。
「ナンデ?」
「昨日、私の実家から届いた野菜を提供しただろう。今日も届いたんだ。同規模。違う種類」
「藤森ひとりじゃ、食べ切れなくない?」
「それで今日も、『救援要請』を」
「おけ把握」
くきゃきゃきゃっ、くぅくくっ、くわうぅ!
藤森の腕に抱かれた子狐が、それは藤森のアパートの近所にある稲荷神社在住、もしくはその神社の近所の茶葉屋で看板子狐をしている個体なのだが、
テーブルに置かれた目玉焼きに食欲を突っつかれ、鼻を頭を懸命に伸ばし両足をばたばたばた。
食いたいのだ。
尻尾など「踊るように」どころではない。完全にブレイクダンスか扇風機のそれである。
「茶っ葉屋の店主さんには、お裾分け、もう?」
「もう行ってきた。店主から『ついでに子狐の散歩をしてきてほしい』と言われて、この子狐を。
それからあなたの部屋に来て、あとは私の後輩と、親友のところへ。」
「『食べきれないから送ってくる量減らして』って、メッセ送ればいーじゃん」
「どうなったと思う」
「送ったことあったんだ」
「聞き入れられなかったのか忘れられたのか分からないが結局今年の量は少し増えた」
「ふえた」
「そう。増えた」
食料支援は助かるし、ご実家さんも昨今の物価上昇で心配してるんだろうけど、
まぁまぁ、うん。お前の気持ちも分かるよ。
藤森から「実家からのお裾分け」を受け取り、藤森の腕の中の子狐にゆで卵ひとつ渡して、
付烏月は藤森に、穏やかな苦笑をみせる。
ぶっちゃけ菓子作りが趣味の付烏月にとって、季節の野菜の共有は完全に救世主である。
晩夏の野菜は晩夏の甘味になる。
藤森が付烏月に野菜を提供してくるとき、
付烏月もまた、藤森に菓子を提供するのだ。
「そういえば、昨日貰ったカボチャとトウモロコシでタルト2種類作ったけど、食ってく?」
「……それは、『タルトを作ったけれど一人では食い切れないから、私のお裾分け行脚のついでに高葉井や宇曽野に配ってくれ』というハナシか?」
「ぴんぽん。正解の景品にキューブケーキもどぞ」
「はぁ。そりゃどうも」
じゃ、お裾分け頑張ってね〜。
ぷらぷらぷら。付烏月の右手が踊るように、別れの挨拶として揺れる、揺れる。
荷物の増えた藤森はクーラーボックスに追加分を収容して、ため息ひとつ。
藤森の腕の中の子狐は付烏月から貰ったゆで卵を噛んで、舐めて、かじって、 スポン!
噛みどころが悪かったらしく、白身の中から完熟気味の黄身を勢いよく発射してしまったとさ。
絶対に、好きになったらいけない人だった。
アロマンティック、というやつなのだと思う。
彼は、他者に性的感情は抱いても、恋愛感情は抱かない人だった。
だから、好きになったらゲームオーバー。
「私、絶対に樹くんみたいな人は好きになりたくない」
「えぇ、ひどいなぁ、なんで?」
「報われない恋愛なんてしたくないでしょ」
「んー、樹くんを変えてやろう!とはならないの?」
「今までそうしてきた子達が無理だったのに、私なんかが変えられるわけないじゃん」
「卑屈だな〜」
卑屈じゃなくて事実だった。
樹くんは、話し方とか仕草とか、女の子が好きになる要素をたくさん持っている人だった。
そんな彼を好きになる子は多く、その度に彼はその子たちに恋愛感情を抱かないと言っていた。
そうして彼を変えようとした、私よりも可愛い女の子たちが見事に散っていくのを、私は近くで見ていた。
だから、芽生えたこの気持ちは隠し通さなければ、彼とはもう一緒に居られないと分かっていた。
「雪、好きな人欲しいの?」
「まあ、できたらいいなとは思うけど」
「そっか、じゃあ俺にもチャンスはあるんだ」
そう言って嬉しそうに笑う樹くんに溜息が溢れた。
「樹くん、そういう思わせぶり、みたいなの辞めた方が良いよ。女の子、勘違いしちゃうよ。」
「勘違いじゃないよ」
「勘違いしちゃうって、」
「だって、雪の好きになる人、俺がいい」
「いや、樹くん、恋愛感情とか抱かない人でしょ。」
「うん、そうだった。そうだったんだけど、雪が俺のこと変えたんだよ」
真っ直ぐに見つめてくる樹くんと目が合って、呼吸が止まるような感覚に陥る。
私は、こうやってこの人の手のひらで踊らされている。
「それ、冗談?そうなら笑えないんだけど」
「なんてこというの。一応、俺の初恋、なんですけど」
顔を赤く染める彼の表情を、私は初めて見た。
「それって、私のことすきってこと?」
「うん、雪がすきだよ。」
私は、確かに胸が高鳴る音を感じた。
《踊るように》
俺は踊るのは好きじゃない。
昔、祖母にお年玉を渡したとき、
踊るような仕草をしてくれた。
なんか、それは嬉しかった。
踊るように動く車を見て衝撃を受けた。
自分も運転したいと思い、バイトに明け暮れ、ついに車を手に入れた。
しかし、踊る車を維持するには、タイヤ代、サーキット代、ガソリン代、修理費、チューニング代など、次々と費用がかかることに気づいた。
学校に通いながら、峠に走りに行き、夜勤のバイトをこなす日々。
その結果、学校は中退し、借金も増え、ただ車に乗るだけの日々が続いた。
でも、その過程で人間関係も広がり、今の車の仕事にもつながっている。
こうして振り返ると、俺って車に踊らされているのかもしれないなー
『踊るように』
「踊るように人生を。」
これがあの人の口癖でした。。
お題《踊るように》
果てしない旅路もあなたを想えば、足は自然に踊りだす。
会えない日々も美しく輝きだす。
わたしの世界に花が咲く。
お題『踊るように』
弟が通っている高校では年に一回、クラスごとに演劇をやらなくてはいけない。
私はさすがに見に行くことはないし、弟も「見に来なくていいから」と言っているが、両親はこっそり見に行っては毎年弟の勇姿を撮影しているらしい。
だけど、映像を見た私からしたら弟が目立つ配役になったことなどない。一年の時は村人のうちの一人、二年の時はセリフがないバックダンサー。
文化祭本番の夜、偶然家にいた私は帰宅した親を迎えた。母は目を潤ませて「感動した」と言っている。父も腕を組みながら母に同意している。
弟のなにが両親にそんな衝撃を与えたのだろう。
「で、今年も録画したの?」
「もう、バッチリ」
そう言うと両親は、録画していたカメラをテレビにつなげてさっそく再生し始めた。どうやら、演目は人魚姫を題材にしているらしい。
しばらく見ていると、人魚姫に出てくる魔女が現れた。両側に四人の男――いや、緑色の全身タイツで頭部にワカメを模したかざりをつけた男たちがひかえている。
私は思わず吹き出した。そのなかの一人に弟がいた。しかもこちらから見て魔女の左側に。笑ってたら母に「一生懸命やってるんだから!」と一喝された。
スポットライトが魔女に当たったかと思うと、低めの声で歌い始める。歌は正直高校生にしてはものすごく上手い。だが、私は両側のワカメに扮した高校三年生の図体がそこそこ大きな男たちが両手のひらを重ねて上にまっすぐぴん、と伸びながら、一斉に体を揺らし始めた方に目が行く。というか、全身タイツに身を包んで体をくねくねゆらす弟にどうしても目が行く。せっかくのかっこいい女性の歌声がまったく耳に入ってこない。
口を両手でおさえながら必死になって笑いをこらえている私の横で、
「あぁ、高校生活で一番いい動きをしているわ!」
「いいぞ、その汗!」
など、どっかのCMで聞いたことがあるセリフを両親達が叫んでいる。私は大笑いしてしまいそうになりながら、ある意味帰ってきた時の弟の精神の身を案じた。
《踊るように》
僕は、広場横の通りを彼女と二人歩いている。
広場には銀杏の樹が植えられている。
季節により新緑から鮮やかな黄、葉が落ちた枝の慎ましくも逞しい様と、取り取りの趣を楽しませてくれる。
今は、色濃い緑が徐々に黄色に変わる支度を始める時期。
夏の高い青空に映える濃緑から、秋の優しい空に馴染む緑へ姿を変えつつある。
吹く風のリズムに合わせさやさやと揺れる銀杏達。
僕はふと立ち止まり、そよぐ緑に耳を澄まし目をやる。
彼女も僕の隣に佇み、同じように銀杏に目を向けた。
優しい風にも誘われて、僕達は広場に立ち寄る。
その空間は優しい風と銀杏の葉のささやきに満ち、心が安らぐ。
しばしほうっと佇んでいると、一陣の風が広場を吹き抜けた。
急速にグッと強くざわめく銀杏。
風の指揮を合図に、その演奏は始まった。
突然の風に驚き隣を見ると、彼女の白い髪が木漏れ日を浴び虹色に輝きながら舞っていた。
その白は、闇に魅入られた者が持つ色のはず。
しかし、風に煽られ踊るように光り輝きふわりと靡く髪を耳元で押さえる彼女の横顔は、とても清廉に見えた。
その髪が靡く横顔に、僕の胸の鼓動が鳴った。
…dansant…
隣の芝は青く見えるって言うけど、
みんなそれぞれ辛いこと沢山あって、今を頑張って生きてる。それをわかってくれる友達を大切にしていきたい。
君の無邪気な笑顔に
呼吸(いき)を忘れた。
ずっと みつめていたい…
優しい夜風と
穏やかな星空
薄明かりの街灯に
愛しい横顔…
一瞬を そっと閉じ込めて
まるで 時間をとめる魔法みたい。
君にも伝わるといいな…
僕はこんなにも
君への鼓動を早めてる。
1… 2… 3…
踊るように
同じ色のタイルを選んで歩く
静かな夜に響いた
無邪気な笑い声と
星空のダンス。
- 星空のダンス -
踊るように
踊ってた時期もあった
今はもうあの時のようにはできないけど
まだ見るのは好き