『誇らしさ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
僕は誰かの一番になりたかった。
僕は一番なんだと誇りたかった。
勿論好意的なものであって欲しかったけれど、
誰も僕を一番にはしてくれなかった。
どんな理由でも、ね。
もう選り好みはしないって誓ったんだ。
一番になれるなら、どんな事だっていいよ。
一番不細工だとか、一番空気が読めないとか、
それでもいいんだ。誰かの唯一になれるなら。
やっぱり一番にはなれなかった。してくれなかった。
何をするにも中途半端な僕は、一番になれなかった。
もう誰かに期待をするのはやめた。
誰かじゃなくて、僕にしよう。
僕の一番に、僕がなればいい。
大切な物を壊して、大事な人を傷付けた。
一番になるために、僕は躊躇わなかった。
鏡を見る。僕の全てを壊した奴の顔が映っている。
今僕はとても誇らしいよ。
この瞬間、僕は一番になったんだ。
唯一無二で、僕だけの一番。
この世で一番、僕自身が大嫌いだ。
おかしいな。これが僕の誇らしさ?
全然嬉しくないや。
今まで生きてきた事に少しばかりの誇らしさを感じている。
決して簡単ではなかった道のり。
ちょっとこの辺りで一休みしてもいいかな。
疲れた足には湿布を貼って。
自分を労ってあげよう。
夜が明けたら、またあるきだすんだ。
私は、いつか、自分を誇らしく思えるようになりたい。
「あ!」
先生の大きな声に皆目線を向ける。
静かにはならない。
皆各々喋り続けたまま。
「ホームルームで言うの忘れてたけど、
自己紹介のプリント、明日までに仕上げてきてねー!」
「はーい!」
教室には30人いるのに、返事をするのは2、3人だった。
自己紹介、か。。。
正直、私に自己紹介できることはない。
語れるほど詳しい趣味もない、特技なんてもってのほか。
考えすぎだ、真面目すぎだ、もっと気楽に書けば良い。
そうは分かっているけれど、やっぱり考えてしまう。
私って、こんなに色のない人間だったっけ。
「あ。」
パンッとタンッが混ざったような音がした。
斜め後ろの席の子がボールペンを落としたようだ。
「はい。」
隣の子がそれを拾い、渡す。
「ありがとう。」
その一連の流れを見て思った。
よく他人のために無償で労働できるな、と。
こんなことを言うと私の性格が歪んでいることが
バレてしまうが、もう言ってしまおう。
厳密には、無償、ではないかもしれない。
他人から見た自分の評価を下げない、という対価と
引き換えに労働していると言っても良いだろう。
しかし面倒くさいことこの上ない。
拾う行為自体もそう。
人からの評価を気にして行動するのもそう。
コスパが悪い。
と、言いつつも私も目の前でペンが落ちたら拾うがな。
ただ内心面倒くさいな、どうしてこんなことをしなければならないのだろうと愚痴を吐きつつ拾っている。
極度の面倒くさがりで、自己中。
いつだって他人より自分優先で、家族思い、友達思いなんて概念は存在しない。
それでいて人のことを僻んでばかり。
変わりたいけど、変わる努力の過程で失敗するのが怖くて変われない、臆病者。
それが私の色。
汚い色。どす黒い色。私の色は、私が一番嫌いだ。
日に日に理想の自分から離れていく。
日に日に自分が嫌いになる。
毎日自分の嫌いな部分を見つけ続け、感じ続けている。
なかなか苦しい生き方だ。
毎日学校に来ると、いつだって他人と自分を比べて落ち込んでしまう。
そんな自分も大嫌い。
とにかく自分が嫌いで仕方がない。
いいところなんてあるわけがない。
こんなに出来損ないの子どもで、親に申し訳ない。
ある日突然言われた。
「ほんと研究熱心だね。
気になるところはとことん調べ尽くして、
試し尽くして、納得行くまでこだわる。
そこが特技と言うか、良いところだと思うよ。」
そんなわけがないと思った。
誰しも好きなことのためならいくらでも調べられるだろうと。
自然にこだわり続けてしまうものだと。
そう言ったけれど、
「それもそうだが、あなたは桁違いだ。」
と言われてしまった。
私にとっても皆にとっても当たり前だと思っていたし、なんなら今でも思っている。
けれど、そのこだわり、執着の強さは人並みより
ほんの少し上かもしれないと最近思ってきた。
それがいい方向へ働くこともあれば、悪い方向へ行くこともあるだろうし、むしろ悪い方向へ行くことのほうが圧倒的に多いとは感じるが。。。
けれど、自分にいいところなんて一つもないと今でもそう思ってきたなか、
邪魔になることが多すぎるが、人よりも少しだけ
優れていることがあるかもしれないと思うと、
少しだけ気分が明るくなった。
私は、いつか、自分を誇らしく思えるようになりたい。
小さい頃は少しのことでも出来たらたくさん褒めてくれるのに大人になる度、当たり前の事だとか、みんなはもっと頑張っているだとか、努力する度虚しくなることばかりでいつの間にか誇らしさなど忘れてしまいました。
頑張れば頑張るほど、頑張ることが増えていく、あの時の努力は無駄じゃなかったと泣く日まで私が私を誇らしいと笑う日は到底訪れないでしょう。
誇らしさ
毎朝鏡に向かう。
ライト付きの女優ミラーだ。
サイズは卓上式で小さいけれど。
うん。今日も肌の調子は悪くない。
眉間の2本の横ジワは相変わらず健在。
頬の高い位置にあるシミは最近少し濃くなっている。
以前はシャープさが自慢だった輪郭もたるみのせいでぼんやり気味。
思わず目を背けたくなる現実がそこにある。
でもそれはそれ。
今日の自分と真っ直ぐに向き合うと決めている。
野菜をたくさん食べる。
たんぱく質も適度に。
油物は極力控え、忘れがちな食物繊維やミネラルは時々思い出したようにまとめて食べることもあるけれど。
悪魔(娘)の甘いもののお誘いはほんのたまーに付き合う程度。
そのせいで娘はいつも不服顔。
お風呂はとても好き。
湯船にも毎日浸かる。
週1で毛穴クレンジングとボディスクラブ。
最近は韓国アカスリも新しくルーティンに加わった。
お陰で忙しい。
寝る前はストレッチを欠かさない。
時々は筋トレも取り入れて。
好きなYouTubeを見ながらの完全自己流ながら運動ではあるけれど。
だいたいはお笑い動画を見る。
爆笑に次ぐ爆笑。
そしてさらにシワが増える。
睡眠はたっぷり。
決して他人様には言えないくらい毎日しっかりと寝ている。
何なら昼寝だってする。
寝ることが好きなのは、昨年米寿で鬼籍に入った父親譲りだと自負している。
日焼け止めを塗る。
リキッドファンデとパウダーで肌を整える。
コンシーラーでさらにシミを消す。
マスカラと眉毛を描いた辺りでやっと一安心。
今大地震が来ても外に飛び出せる。
アイシャドウとアイライン、チークにリップ、でフィニッシュ。
自分でも驚くほどの美魔女になっている。
これだから女は怖い。
髪をアイロンで伸ばす。
クリームをクシュクシュ揉みこみオイルでツヤを出す。
仕上げにむせるほどケープを掛ける。
犬がクシャミをする。
クローゼットを開けてワンピースを選ぶ。
下着は上下お揃い。
最近すべてレースのものに買い替えた。
CHANELのスカーフを肩から羽織る。
靴とバッグはいつものお気に入りのものを。
人を嫌うことはあまりない。
どちらかと言えば、だますよりだまされる方だ。
でもそれでいいと思っている。
誇らしさとは、今日も私のままで生きていくということ。
お題
誇らしさ
誇らしさ
あなたが私を求め
私はあなたを受け入れ
愛し
愛される
ということ
男を感じ
女を感じる
ということ
男と女の生きる営みが神々しくあるということ
【誇らしさ】
自分に自信を持てと言われると、そんな無茶なと思う。
重ねてきた年数の割にしては、それなりにいい人生を送ってきた気がする。
テストは前日に勉強をしただけで二十位以内には入れたし、ずっと学級委員もしていた。まあまあ仲の良いクラスメイトに印象を聞くと、真面目やら何やらの単語が返ってくる。そしてそれに、大きく反論出来ない自分もいる。
どうやら自分は思っているよりも器用らしいというのは最近気が付いた。
細かいことが得意という技術的な器用さもあるが、対人が案外得意だった。人見知りなくせににこにこ笑顔で口数は絶やさない、なんていう変な器用さも見せていた。自分でから意見やアイデアを出すのも、どちらかと言えば得意な方だった。
自分の、世間一般的に言われる優秀な部分というものが他人に見られてしまった時、どうしようもなく狼狽してしまう自分がいる。
期待されると、それを超えないといけない。
最初はぴょんと頑張れば超えれていたものも、やがては高くなりすぎて届かなくなってしまう。脚力にはどうしても限界がある。努力しても、努力しても超えられない壁というものがある。
百点のテストを取ったことがある。
褒められた、次も頑張ろうと思った。次もやらないといけないというどこか脅迫じみた思いが自分の中に油性で書かれて、消えなくなってしまった。
委員会で先生に頼られた。
頑張ろうと思った、でも、期待という重りが頭にズシンと乗った気がした。それは、その時の自分には抱えきれないほど重かった。
そういったものの積み重ねだった。落胆が怖い。今まで積み重ねてきたものが一つの失敗で全て無しになってしまうのが怖い。
そうなったら、今までの大事に崩れないように気をつけて積み上げてきた人生のピースが欠けてしまうような気がした。
褒められて、認められて、嬉しく思っても、次の日には過去になっている。
崩されるかもしれない、ピースの一つになっているのだ。
誇らしさってなんだろう。
少なくとも私は、自分に誇らしさは持てない。
だって、持ってしまったら怖いから。
壊されるんじゃないかって、壊してしまうんじゃないかって。
誇らしさ。誇れるものなどとうの昔に置いてきてしまった。
それは小さな地域の中で取れた極めてマイナーな部門の賞で、私はその賞の常連だった。だがそれ以上にその先を夢見る私にとって通過点でしか無かった。リビングに飾られた盾たちが、今何者にもならなかった自分を責めてくるような感覚がある。得意だとわかっているのに、それが得意な分野の人の中に入ったらただ凡庸なのだ。まだ私はリビングに両親が飾ってくれた盾や賞状に助けられ、それと同時に傷つけられる。
君に見付けて貰って 君を見付けた瞬間に
今日までの日々と向き合えたよ
それだけで もう 誇らしく思えたんだ
ダメな娘だ、なぜそんなこともできないんだ、当たり前だ。父からそんな事ばかり言われた。
褒められるなど無縁に育った。完璧を求められ続けた。第三者には、成功したら誇りだと言われ、失敗すると愚女と蔑まれる。
私って一体何なのだろう。そう考えずにはいられなかった。
誇りってなんなのかな、貴方と会っている時思いがけず口からこぼれた。
慌てて取り消そうとしたけど、貴方の方が先に口を開いた。
「誇りか、、、。考えたこと無かったけど、僕にとっては両親と君かな」
贅沢な暮らしはできないけど両親は僕をここまで育ててくれた。愛情を持って接してくれた。そして君は、僕が辛い時、悲しい時傍にいてくれた。時には僕のために怒ってくれたり、泣いたりしてくれた。僕はそんな人達を誇りに思うよ。
そしていつも感謝してる。
傍にいてくれてありがとう。
目頭が熱くなった。
怒られてばかり、蔑まれてばかりいた。だからいっそ私なんていなければって思った。
けれど貴方はこんな私を誇りなんて言ってくれるのね。
「私も貴方が誇りよ。何よりも。そして貴方の誇りであり続けるために頑張るわ」
今までの不安を隠すように、貴方への感謝が伝わるように私は精一杯の笑顔を向けた。
今季は序盤から不振を極め、エラーをすればヤジられ、チャンスに凡退すれば罵声を浴びせられ、SNSでも叩かれ続け心苦しい毎日でしたが、それでも前を向いて試合に出続けている気高い姿を誇らしく思うし、またそれは、どんな時代になってもその姿を追いかけている私の自信でもあり誇りでもあります。
・・・
そら皆んな、頑張る推しは誇りだよね。
推しのことは誇らしいと思う、じゃあ自分はどうなの?と考えていたけど強いて言うなら、私が通っていた高校は成績表が1、2学期は5段階評価で3学期は10段階評価だったんですが、高3の3学期の美術はなんと「10」だったんですよ、私。
だからと言って、それが活かせる仕事をしている訳ではないのですが。
挫折と屈辱を繰り返して繰り返して今に至っていて、もう全然絵を描いたりはしないけど、でもこの頃になって、また絵を描きたいなぁと漠然と思うことがあります。
そういう仕事をしたいとか、自分の作品を世に出したいとかは全く思ってはいなくて、趣味の範囲でひっそりと、また始めたいだけなんです。
今のままでは何も残せない。
だからもうちょっと、足掻いてみようかと。
こんなにも諦めが悪い自分を、少しは誇ってもいいのかな?
【矛盾】
矛らしさを求めることで導かれる盾らしさの数々
それは例えば核の保有である
ボクは完全に間違えたのではありません。
ボルボックスをコロボックルと書いたのです。
あともうちょっとです。
だからそんなボクにクンショウモの勲章をクダサイ。
「誇らしさ」
自分で自分を褒めてやろうではないか。
そうだ。これは決して間違いではないし、恥じる事でもない。むしろ、誇るべき事であろう。
己の仕事に直向きに、真摯に向き合った結果だ。
今日も仕事を頑張るぞ、という勤労精神の発露だ。素晴らしい事ではないか!
……休日であった事を忘れていて、ガッチリと施錠されている入り口を前に、心の中でそんな御託を並べ自分を慰めるのだった。
お題『誇らしさ』
この世はなんて生きづらいのだろう
やりたいことなんてない
楽しむ余裕もない
自分も他人もどうでもいい
毎日消えたいと思う日々
そんな私は
この世の世知辛さなんて知りもせず
自分の欲求に正直で
少しのことにも一喜一憂する
他人が産み落とした小さな命を
毎日必死に守ってる
我が子可愛さに
時には自分を失い
敵だと言わんばかりに勇んできては
どう育てたらいいか分からないと縋り泣く
そんな哀れな大人に寄り添い
嫌な顔ひとつせず
心を砕いて手を差し伸べる
そんなときがいくつあっただろう
怒りや涙を見せはしない
偉そうに子どもの前に座っては
"あれをしてはいけません"
"これをしてはいけません"
"ルールを守りなさい"
"友達に優しくしなさい"
そんな最もらしいことを
不出来な私が呪文のように唱えている
それでも
あの屈託のない笑顔と
成長を感じる小さくも頼もしい背中に
私は思わずにはいられない
無情なこの世界に
激しい社会の荒波に
幸多かれと願いながら送り出すことの
なんと残酷で誇らしいことか
[誇らしさ]#125
仕事が忙しくて家事もしっかり出来ず、
だめな私をいつも見守ってくれている夫。
そんな夫をいつも誇らしく思っています。
子供の時から辛い時も嬉しい時も見守ってくれている両親にもいつも感謝。
結婚するまではあまり親らしくない親と思っていて、友達みたいな感じでしたが、結婚して出産して、
2人から産まれてきて本当に良かったと思っています。誇らしく思っています。
ここまで生きてきた事に誇らしさを持とうではないか! 怖い…まだ、小学生なのに… 君は、絶対に大丈夫!!ここまで生きたんだから! そうやって考えないと持たないよ、
大丈夫。もっと生きよう。
『かつての栄光』などという錆びついた誇らしさは可燃ごみなのか、それとも不燃ごみなのか……?
分別出来ないことを言い訳に、今日も大事に抱えて生きよう。
実にくだらない、守り一辺倒のぬるま湯人生を。
特にこれといった事をしたことも無いし、凄い事が出来る訳でもない。
周りと比べてなにも秀でていないとしか思えない自分の外見も中身も、好きじゃない。
でもある時仕事が忙しくて中々会えなかった友人から電話がかかってきた時があった。
久々に話した友人は色々あり次第に電話越しに泣いた。
疲れている中ふと私と話したいなと思って電話をかけ、5コールして出なかったら切っていたと。
気が滅入っている時に気軽に電話ができる仲だと信じてくれていたのはとても嬉しかった。
誇れることは何も無いけれど、それでもふとした時に、大変な時に私の名前が出てくるのは嬉しいことだった。
誇らしさ
その背中はいつだって大きく見えた。
別に自分と同じ背丈に身幅だというのに憎らしくてしかたない。
でも知っている。
その背には沢山の物事が、想いが願いが時に輝かしく時に重々しく、その背に乗っていることを。そしてその背には笑顔だけでは語れない物語がいくつもあることも。
その背にある無数の傷は、勲章かはたまた自虐か。
それでも彼奴はずっと前を見続けたっている。自分だってもう、その背から預かる事だってできるのに結局彼はそれをしない。それが憎らしくて大嫌いだ。
同じはずなのに自分は結局、すぐ後ろにしか立てない。
伸ばせば触れれる距離。でも、隣じゃない距離。
憎くてうざったらしくて、誇らしい背中。