スランプななめくじ

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僕は誰かの一番になりたかった。
僕は一番なんだと誇りたかった。
勿論好意的なものであって欲しかったけれど、
誰も僕を一番にはしてくれなかった。
どんな理由でも、ね。

もう選り好みはしないって誓ったんだ。
一番になれるなら、どんな事だっていいよ。
一番不細工だとか、一番空気が読めないとか、
それでもいいんだ。誰かの唯一になれるなら。



やっぱり一番にはなれなかった。してくれなかった。
何をするにも中途半端な僕は、一番になれなかった。

もう誰かに期待をするのはやめた。
誰かじゃなくて、僕にしよう。
僕の一番に、僕がなればいい。

大切な物を壊して、大事な人を傷付けた。
一番になるために、僕は躊躇わなかった。



鏡を見る。僕の全てを壊した奴の顔が映っている。

今僕はとても誇らしいよ。
この瞬間、僕は一番になったんだ。

唯一無二で、僕だけの一番。
この世で一番、僕自身が大嫌いだ。



おかしいな。これが僕の誇らしさ?
全然嬉しくないや。

8/16/2024, 5:39:47 PM