『視線の先には』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
妻がまた新しい鏡を買ってきた。すでに家には至るところに鏡があるというのに。妻は鏡を見て言う。
「この鏡、可愛いでしょう。ずっと見ていたいわ」
思えば妻とは交際当時からちゃんと正面から顔を見た記憶がない。結婚式のときでさえだ。妻が見ているのはいつも鏡だ。
あるとき僕は妻を問いただした。どうして鏡ばかり見て僕を見てくれないのか、と。妻は言った。
「見てるわよ。今だって」
「鏡の中の僕をね」
「違うわ。だって、大好きなあなたを直接見たら嬉しくって顔が赤くなっちゃうもの。恥ずかしいじゃない」
完
お題:視線の先には
視線の先には
喫茶店。予備校帰りにいつもは数人で来るが、今日はたまたまふたり。初めて。
本人はきちんと会話できてるつもりなんだろうけど、そんなことはないと私にはわかるわけで……。
彼が止まることなくスプーンで掻き回している。ブラックなのに何をかき混ぜることがあるのか。
落ち着きのない彼の視線の先をこっそりたどる。
掲示板だ。左隅はお店のお知らせ。従業員募集中。今月の定休日。その他のスペースは、町の情報だ。
なになに。
迷子のワンちゃん探してます。
熱中症予防法。
俳句教室始めます。
無料法律相談開催日。
何か気になるのかな。他は……。
新作映画、予約早割。
今年もやります、花火大会。
ふむ。なるほど。
ん?もしかして。
いや、まさかね。
んん、でもそうなのかな。そうだったらどうしよ。
そうだとしても、そもそもどっちかな。前に映画が好きって教えたことあるけど。その場合ならそんなに問題ない。はず。映画館に行くだけだから。
でも花火大会だったらどうしよ。浴衣着なきゃだよね。着なくてもいいんだろうけど。でもどっちかだけ浴衣って変な感じもするから、ふたりで合わせたほうがいいかな。っていうか、別にまだ付き合ってもないのにふたりで浴衣もおかしいか。
勝手に浴衣姿で並ぶのを想像した。頰が赤くなるのを隠すように急いでカップに口をつけた。
彼が咳払いをしてから口を開いた。
あ、あのさ。
な、なに。
俳句って興味ある?
えぇ~。そっちなの〜。
つい人の粗を探してしまう
例えば寝癖、服装の乱れ、貧乏ゆすりなど…
まるで人のふり見て我がふり直せみたく
でも実際は自分はそんな人よりしっかりしているっと思い込む
寝癖はないし服も乱れてないし貧乏ゆすりもしていない
そんな自分はあの人達より上なのだっと
けしてあの人のようにはならないっと自分をなおす
テレビでは差別を無くそう!っとデモや呼びかけなどが流れる
綺麗事だと思う
差別なんて無くなるはずないっと思うから
だってあの人は自分より劣ってる
あの人は自分よりはるか下だ
あの人みたく失敗せず私は完璧
あの人とは違い痩せてる自分
どこに差別がないなんて思うのだろう?
みんな、周りは自分より下だって思っているのに
差別が無くなることはない
日本で差別がないのは心で思ってるだけだから
表にだして「お前は自分より劣ってる」って言わないだけ
差別は無くならない
出来るのは表に出さないことだけ
今日も視線の先で人の粗を見つける
視線の先には
私の視線の先にはあなたがいる
あなたは誰を見ているの?
私の中にいる誰かを見ているような気がしてとても不安だよ…
視線の先には、私はいない。
いつだってそうだ。
私はあなたを見つめる。
けれどいつだってあなたは私を見てくれない
視線の先にはいつも君が居る
…まぁこっちが勝手に見てるだけなんだけどね
彼女と隣の席になった僕は彼女のその美しい横顔に見とれていた
彼女の文武両道な所、綺麗な立ち振る舞い、長く綺麗な真っ黒な髪、見ているとわかる心の優しさ僕の心はすぐに奪われてしまった
せっかくなら喋りたいけれど彼女は高嶺の花
僕にはきっと届かない存在だ
弱虫な僕は君を見つめる事しか出来ないなぁ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
私の隣の席には私の好きなが居る
彼と話したいと思うが、口下手な私には上手く喋りかけることが出来ない
彼の誰にでも平等なところ、みんなを引っ張るリーダシップ、何事にも真剣なところ、私はいつの間にか彼を見ていると顔が熱くなって、心臓の鼓動が速くなり、食べ物が喉を上手く通らなくなった
友人に相談するとそれを恋と言うらしい
喋りかけてみたい、私の思うことしか出来ない
((明日は話しかけられたらいいな))
いつか続く
・4『視線の先には』
Kの目力に負けて今しがた起きたことを白状した。
Kは
んだそのクソガキありえねー
と言い忌々しい、という表情をした。
じゃあ私は一旦着替えに戻るからと、来た道を歩きだす。
Kも何処へ向かう途中なのかは知らないが隣を歩く。
自転車を押しながら歩くとKにごく自然に交替させられた。
この自転車今日借りていい?とKがおもむろに言う。
私も今日はもう乗るつもりがなかったのでいいよとOKした。
Kは私の顔を見て得意そうな顔をして(なんでだ)
笑った。視線の先には何か企みがある気がしたが
あえて触れないでおいた。
Kはあっという間に何処かへ行ってしまった。
【続く】
《視線の先には》
今の現実を作り出したのは
それは自分自身
夢見た幸せは…ない
どこで間違えた?
わかば
━━━
《視線の先には》
私の隣にいる、あなた
並んで同じ時を過ごす
そんな未来を夢見て
あおば
_視線の先には
あたたかい貴方にいて欲しくて
友達と話していても
運良く一目みれないかなって
遠くの廊下をふと眺めてしまうの。
彼女の視線の先には、僕の親友がいる。
親友と談笑する彼女の瞳はキラキラと輝いている。
彼女は親友に恋をしている。
親友は彼女の想いに気づいていながら、応える気はまるでない。応える気がないのを彼女は分かりながら必死にアプローチをしているものの、実はまるでつかない。
「親友の想い人を奪う気はないよ」
まっすぐに告げた親友の言葉が心臓に爪を立てる。
僕の想いを勝手に勘違いした挙げ句、それを盾にしてのらりくらり躱そうとする親友が嫌いだ。
僕の想い人はきみなのに。
私が好きなのはあの子
あの子の視線の先は私じゃない
いつか…私にその目を向けてくれるかな。
お題「視線の先には」
君の視線の先には美しく儚げなひと。
わたしには決して向けられることのない眼差し。
向日葵を見ていた。
麦わら帽子をかぶった白いワンピースの黒髪ロングの美少女が。
ここは、ラノベの世界だっただろうか…?そう思ってしまうほど絵になっていた。
サーッと風が吹いて彼女の麦わら帽子が宙に浮く。
おれは思わず手を伸ばしてしまった。
「……すみません。思わずキャッチしてしまいました」
そう謝りながら彼女に帽子を差し出す。
「いえいえ、むしろありがとうございます」
ニコリと笑った彼女は何故か俺の手元を見て固まった。
「………変なこと聞くのですがお兄さん毎年この季節に出会ったことありませんか」
俺は思わず目を見開く。
「俺を知ってるんですか」
「はい。毎年向日葵の絵を描いている姿を見かけて気になっていました」
そう言われ急に恥ずかしくなってきた。なぜ俺は気づかなかったのだろうか。
「でも絵に集中して周りに意識されてなかったようなので……実は毎年あなたの絵を少し楽しみにしてました」
少しはにかみながら話す彼女に胸を射抜かれた。 これは、なんだ。
やたらドキドキ心臓がうるさい。顔が熱い。
なんだこれは
「…っ見られていたなんて…お恥ずかしいものを。でも何故か嬉しいです。ありがとうございます」
日本語がバラバラだ。あぁ、さっきまでは普通に話せていたのに。目の前の彼女から目が離せない。
「今年は…描かないのですか?」
少し上目がちに聞いてくる彼女に僕は苦笑いをこぼす。
「絵ばかり描いていたら親から怒られてしまいまして…昔から言われてはいたのですが。無視ばっかしていたらいよいよあっちも本気を出してきまして。唯一の娯楽まで取り上げようとしてくるんですよね」
ハハハと遠い目をして笑うと次の瞬間彼女の手が俺の手に重なっていた。
え?ナニコレ
「私は何も知らないですけど……でもやめちゃだめです。貴方の大切な存在で、多分曲げちゃだめなのが絵です。自分からは決して手放してはいけないと思います。あんなきれいなものを描ける人が」
真剣な目をして言われ俺は柄にもなく涙がこぼれるかと思った。
あぁ、そういえばだれかに昔も言われたな。
『あなたの絵、すっごくきれいねっ
私お金があったらいっぱい買っていたわ』
って。当日10歳だった俺と同じ年くらいの女の子にキラキラとした瞳で褒められたら、単純な少年は辞めようとしていたものだって続けてしまう。
そして、当時の少女と前の彼女は同じ瞳をしていた。あぁ…7年前の少女は彼女だったのかと気づいた。
彼女のあのキラキラとした視線の先には、おれの絵とおれがいた。
数年後
「ねぇ、ぱぱぁーママの絵をまいとしかいてるわよね。なんでここでかくの?」
「んーパパとママの大事な思い出の場所だからね」
「むぅーわたしもかいてよ!!いっつも絵はママばっか」
拗ねたように言う娘の愛らしさに胸がきゅっとなる。
向日葵畑のその中で、おれら家族は笑い合った。
向日葵だけだったその絵に彼女が、その中に娘が、息子が、娘が、孫が増えていくのだった。
#視線の先には
僕は君を見た。
君の視線の先にはどんな僕が写っているのだろうか、
そんなことわかるわけない。
だけど、今なら分かるんだ。君の目には美しい僕が写っているんだろう。
君を守る為だけにある僕の美しい手に、
移動して君に危害を加える人に近づく便利な足、
____あぁきっと君は僕に恋してくれているんだろう?
視線の先の景色は変わり映えのないものばかり
当たり前のものがうつっている
初めて見る景色、久しぶりに会う友達
目にも変化は必要だ
遠い未来のことに視線を向けていると
当たり前の景色に目を向けることはできない
変化を恐れず、当たり前を大切に
右を見ると高温で熱した
鉈のようなグレーの雲が迫ってくる
何?あの雲…初めて見た
数km走って右折した途端
大粒のぼたぼた雨
水煙で前が見えない
慌てて速度を落とす…怖い
無意識に息を止めていたので
軽く深呼吸
ようやく雨が小雨になってきた
視線の先には
天使が飛び交っているような晴れ間
ハァ…ホッとした
✴️93✴️視線の先には
あとがき
無事に屋外プールに到着
まだ彼女じゃなかった頃の彼女に、、
紫陽花のにおいの前の女の子
視線の先にはSNS
月に一度しか会えないあなたとの唯一の連絡手段
「視線の先には」
予備動作としてふみふみと動く前足、激しく振られる尻尾。まん丸に開いた瞳孔。茶トラの野良猫の視線の先には、羽繕いしている1羽のスズメ。
狙いを定めた野良猫は、身体を伏せる。音を立てず素早く近づき、一呼吸置いて、一気にスズメへ躍りかかる。だが、スズメとて易々と狩られる程、鈍くはない。華麗に野良猫の奇襲をかわし、追撃を与えんと高く跳躍した野良猫の両前足から、見事に青空へと逃げ切った。
着地した野良猫は、スズメが飛んで行った方向を見上げ悔しげに尻尾を振り回していた。やがて、何事もなかったかのように、野良猫はその場で横たわる。そして、いつもの平穏が訪れたのであった。
視線の先にあるものが
必ずしも僕と同じでない事に気づいた
僕にもそれが視れるかな?