『視線の先には』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「暑い...」
まだ8時前なのになんて暑さだろう。できるだけ暑くないうちにといつもより早めに家を出たが、たかが数十分変わらないと出た後に気づいた。まだこの通りは人が少ないからいいが学校までのルートで大通りに出なければならない。大通りは人が多くなり、より暑く、より窮屈で、より孤独感を感じてしまう。
「ああ、もっと遅く出れば良かったな」
そう思ったのは大通りが見えて大量の人固まりが見えてしまったからだ。どんどん大通りになってくると人の声も大きくなる。
「うるさいなぁ」
とつい口に出てしまったが、流石に聞こえてないはず。もうすぐ大通りに出るというところで、同じクラスの男子が目の前を通った。すると、突然こっちを見て手を振ってきた。
「おかしい。あいつとは話したことがないはず。けど振り返さないのは流石に失礼かな」
僕は精一杯の笑顔で小さく手を振り返した。
すると、手を振っていた男子が気まずそうにこっちからの視線をそらす。初めはなんて失礼なやつと思っていたが、よくよく見ると視線は僕の後ろの方を見ていた。
「まさか...」
「この通りを使って登校してる人...いるんだ。」
その日から僕は人一倍人の視線を気にするようになった
視線の先には何がある?
家族、それとも友達?
一体何があるのか。
明るい未来、暗い足下。
いろんな物語が見えてくる。
さぁ、進もう。
いろんな道を。
逃げても良い、戻っても良い。
進んでみよう。
進まなくちゃ物語は終わらない。
『視線の先には』2023.07.19
久しぶりに共演するコイツは、惚れ惚れするほど、いい男だと思う。
同じ舞台に立つ高校からの友人は、観客の視線を一斉に集めている。
西洋人らしい整った顔は嫌でも目に入るし、長い手足から繰り出されるダンスはダイナミックだ。
今回の役は軍人を束ねる主人公の双璧役である。
友人は正義感に溢れる美丈夫、自分は一匹狼を気取っている隻眼の男。最初はバチバチしているが、最終的には志を同じくし、主人公を支えるという役柄だ。
ストリートプレイではあるが、ダンスもあり実に華やかだ。
友人が手を伸ばし、軽くステップを踏んでから、くるくるとまわる。それの見事なこと。
溌剌とした声量でセリフを吐けば、観客の視線が動く。
自分も客席にいれば、間違いなく友人を目で追うだろう。
簡単に言ってしまえば、ファンなのである。
ここにいる観客の誰よりも熱烈な自信がある。なんといったって、自分は彼を高校の時から見ていたから。
今も、自分の視線の先には、友人がいる。
視線の先には、明るく開けた輝く世界。
でも、視線を手もとに戻して。
私は木陰で、読書でも。
私の視線の先にはあなたがいて、
あなたの視線の先には私がいる。
見つめ合うのは照れるけれど、
お互いの視界に入っていることは嬉しい。
そういうこともあったなぁ。
「視線の先には」
透明な友達 【お題:視線の先には】
君はいつも何処かを見ている。視線の先にはなにもない。しかし君は楽しそうに笑っている。
「おーい、海」
「...!空くん!」
「何してたの?」
「え~、特になにもしてないよ~」
「じゃあなんでなにもないところ見て笑ってたんだ?」
「...やっぱり、空くんは覚えてないんだね」
君はぼそりとなにかを呟く
「なんか言った?」
「ううん、なにも言ってないよ。私が笑ってたのはね、ほら見てこれ」
「落書き?」
君は木に彫られているこれを見て笑ってたらしい。
「...それだけ?」
「うん!それだけ~。さっ、デート行こ!」
「あっちょっと待てよ」
「ほらぁ、おいてくよ?」
「うん。行こっか」
君はいつも何処かを見ている。視線の先にはなにもない。しかし君は楽しそうに笑っている。
...それは過去の話。もう空くんには幽霊が見えない。あんなに仲がよかったのに。友達だったのに。
大人になった彼にはもう見えなくなってしまった。私はまだ19歳。後少しで完全に大人になる。
去年18歳になった時、幽霊が透けて見え始めた。前ははっきり見えたのに。
「...このまま大人になったら何もかも忘れるのかな。」
最後。公園の方に振り替えってひとこと呟く。
「海?行かないの?」
「は~い、今行くよ」
...今日は私の誕生日。後1分で20歳になる。もう私の視線も彼のように幽霊の方向を向くことはなくなるのだろう。
下を向いて一言呟いた。
『透明な友達。さようなら』
いつも君は遠くを見ている
話をしていても
遊んでいる時も
ふと気がつけば
君は遠くを見ている
その眼はとても儚げで
しっかり掴んでいないと
泡沫のように消えていきそう
私はいつかきみがいなくなるんじゃないかと思い
怖い
ほら
今日も君は別のなにかを見ている
『視線の先には』より
いつもわたしは貴方の前にいた。出席番号が名字順だし、当然か。後ろにいるから、たまに授業中にいたずらとかされるけど。
「薫衣?言うことは?」
「ごめん最歌。眠たくなってきたからどうにかして起きれるようにと思ったらこれをやるしか……」
「別にやらなくてもいいでしょ……」
学校は好きじゃなかった。ただ学ぶ場所としか思ってなかったし。
「そうだ、今日家来る?」
「ええ?なんで急に」
「なんか、最歌ともうちょっといたいなーって思って」
「ふ、なにそれ」
結構楽しいところ、と知ったのはつい最近であった。
「僕ね〜最近カラダの調子いいんだ〜」
「いいことだね」
「ね。もうちょっと頑張ればさ、運動とかもできるらしいし」
「うん」
薫衣は体が弱いらしい。しかも結構深刻な病にかかっていて、治すことは現在の医療では不可能。調子が良いというのも、本当にその時ばかりのことが多いし、完治は夢のまた夢だろう。
わたしはどうにもそのことについての実感がなかった。なんとなく大丈夫だろうと思っていた。別れは突然訪れるものだと、わたしは、知ってしまった。
うん。まず、話ができるときに挨拶とか、感謝の言葉とかを言えて良かった。言えなくて後悔する人とか山ほどいるって聞くし。小説でもそんな描写があった気がする。一緒に遊びに行けたのもよかった。とても楽しくて、あんな話をしたとか、髪型とか服とかの容姿も鮮明に覚えてる。うん。写真は照れくさくてあまり好きじゃないけど、このときばかりは誘ってくれてありがとう。としか言葉が出ない。
一つだけ嫌だなと思ったこと、貴方がこの世から去ってしまったことだけだ。やっぱり話し足りない。もっと貴方の笑う顔が見たい。この一枚の写真だけなんて耐えられない。貴方の声を、忘れたくない。人間は残酷なことに、声を最初に忘れていくらしい。声なんて、今からどうやって思い出せばいいの。どうして先に行ってしまったの。
そんなことを最後に、いつもの感覚が来た。彼はまた繰り返すんだ。誰も死なないようにするために、という身勝手で、わたしにとって何よりも幸甚なループ。わたしの心は壊れてもいい。だから貴方はわたしよりも幸せに生きて、わたしよりもずっと後ろにいて欲しい。
この一回、わたしは忘れない。
視線の先には
今日も残業で夜遅く
いつもの帰り道
私は公園内を歩いてた
公園を抜けて帰る方が
近道なのである
一人てくてく歩いていると
向かいから複数の男性が歩いて来る
服装からして
私より少し若い人たちだ
笑い声が
時折聞こえる
そのうち一人の男性が
「うわー可愛い」
と言ってるのが聞こえた
「あ、ホントだ可愛いなー」
別の人がそう言う
辺りに女性はいない
「え?私?」
私は、うつむきながら通りすぎようとした
その時
「連れて帰っちゃおうかなー」
とまた別の男性の声がする
私はドキドキが止まらなかった
恐る恐る彼らの方へ視線を向ける
その視線の先には
男性に抱えられた
子猫がいた
おしまい
【視線の先には】2023/07/19
「ごめん、お待たせ!」
昇降口で立ち尽くす彼に手を振りながら近づいていく。
「本当にごめん!いきなり委員会入っちゃって。
大丈夫?なんともなかった?」
彼がこちらを向く。
「いや、ぜんぜん。お前のおかげで、女子たちも最近は
近寄ってこなくなったな。」
「そっかあ、良かったー。」
─── そう、私たちは、恋人じゃない。
彼はただの幼馴染。
モテる彼が最近後輩に付き纏われていて困っているのを
幼馴染の私が彼女のふりをしてサポートすることになっ
ただけだ。
本当に、こいつは昔っからものをはっきり言えないんだ
から。
本当に嫌だ。早く自立してほしい。
そんなことを1人で思っていると、彼の口が固く閉ざされ
ているのに気づいた。
何かと思えばどこか遠方に視線を向けている。
──── その視線の先には、クラスの女子がいた。
メガネをかけていて、本を片手に忙しなく走っていて危
なっかしい。でも、メイクも施されていないその顔は意
外と整っている。
─── そう、彼はあの子が好きなんだ。
きっと彼は、あの子に気持ちを伝える勇気がなくて、私
をずっとそばに置いて気を紛らわせている。
本当に、何をうじうじしてるのよ。
ほんとうに嫌だ。
─── 違う。
私を良いように使っちゃってさ。
─── 違うでしょ。
本当に嫌なのは、彼じゃない。
友人なら、彼のためになることをしてあげるべきなのに
彼の弱さにつけこんで、ずっと彼女のふりなんて続けち
ゃっている、誰かさんが嫌なんだ。
手を伸ばして
届かないとわかると絶望するから
じっとにらんで
夢を追い返す
きみの視線の先に誰がいるのか、まだ知らない。
知りたいけど、知るのが怖い。
知ってしまった時に、きっと後悔してしまう。
傷ついてしまう。
それを恐れているんだ。
『視線の先には』
いつだって
穏やかになる
寂しい時
嬉しい時
空があって
みんな
みんなが、いる。
~視線の先には~
猫がじっと見ている
視線の先には
何も無いのに
見るのをやめない
猫が気になる何かが
人にはわからない何かが
そこに
イル?
たぶんだけど
人に聞こえないレベルの音に反応してるんじゃないかな
視線だけでなく耳も前を向いていたし
それじゃあ
それって何のオト?
[視線の先には]
人と顔を合わせるのが嫌いで
下を向いてて、よく躓いて
何気なく、窓から外を見てた時に
君の走ってる姿が見えて
その瞬間[ドキッと]何かがはしった
視線の先には、何にもない。
真っ暗な暗闇が広がっている。
そんな気がする。
足を踏み出す事すらも、恐れてしまうくらいに、
暗くて怖くて苦しくて、息が詰まる様な暗闇が、
視界を塞いでいる様で。
明日を生きるのが怖くて、
朝が嫌で。
夜に逃げたいけれど、
夜はこんな私を味方してはくれない。
気が付けば日が昇っている。
朝日が目に入ると、消えてしまいたくなる。
あまりにも綺麗で、綺麗すぎて、
死にたい訳じゃない。
消えてしまいたいのだ。
すぅっと、誰にも気付かれず、
誰にも迷惑をかける事なく、
氷が溶ける様に忘れられたい。
私の視線の先は、
いつまでも夜空を求めている。
視線の先には
「好み」を言葉で表すことは意外と難くて、「どんな人が好み?」と聞かれてもとっさに出てこない。
その場の流れに合わせるなら、当たり障りのないキーワードを並べるか、思い当たる芸能人を挙げる。
でも、実はどれもしっくりきたことなんてない。
言葉に表さない「好み」は分かりやすい。
なんとなく、ただ「見てしまっている」から。
視界の中に、意図的に収めようとしているから。
それを好きか嫌いかの2択に分けるのであれば、好きになり、もう少し正しい言葉に近づけると「好ましい」だろうか。
どうやって人を好きになったらいいのか、どうすれば好きな人ができるのか。
そんな問いを持っているはずなのに、「好ましい」は存在している。
ほんの少し、大きすぎない集団の中に所属したときにそれは見つけやすい気がする。
人を好きになる方法を探しているはずなのに、言葉にしなければそれはいとも容易いのかもしれない。
最初から気づいていた。
視線の先にいる「好ましい人」
「あ
ねこや
かわええな」
彼女の視線の先には、黒い黒い、もはや黒曜石のような色をした真っ黒なねこがいました。
「どれ?
ほんとだ
かわいいな
きみみたいだ」
「ちょいまち
…はずかし」
その時の彼女の顔はかわいいもので、顔が真…おっと、これ以上は僕が彼女に殴られるのでやめておきましょう。
真っ黒なねこが引き起こした小さな小さな出来事でした。
_2023.7.19「視線の先には」
視線の先には
水平線がきれいな海で私と君は恋に落ちた。
そう恋の海に。一緒に沈んでいこうね。
お前ほんと重すぎる。え、なんであーあもうやだ。
死のうかな笑 次は、本当の海にね。
彼の視線の先には、死んだ彼女の遺体があった。
『視線の先には』
うつむいて 歩く
帰り道
顔を上げ
視線の先
灯りのついた 我が家が見える
はずなのに
なぜか 足が動かなくなった
やっぱり まだ
終わりたくない
僕は
冒険の続きを 始める
スキップして
鼻歌 唄って
我が家を背にして
歩いて行く