「暑い...」
まだ8時前なのになんて暑さだろう。できるだけ暑くないうちにといつもより早めに家を出たが、たかが数十分変わらないと出た後に気づいた。まだこの通りは人が少ないからいいが学校までのルートで大通りに出なければならない。大通りは人が多くなり、より暑く、より窮屈で、より孤独感を感じてしまう。
「ああ、もっと遅く出れば良かったな」
そう思ったのは大通りが見えて大量の人固まりが見えてしまったからだ。どんどん大通りになってくると人の声も大きくなる。
「うるさいなぁ」
とつい口に出てしまったが、流石に聞こえてないはず。もうすぐ大通りに出るというところで、同じクラスの男子が目の前を通った。すると、突然こっちを見て手を振ってきた。
「おかしい。あいつとは話したことがないはず。けど振り返さないのは流石に失礼かな」
僕は精一杯の笑顔で小さく手を振り返した。
すると、手を振っていた男子が気まずそうにこっちからの視線をそらす。初めはなんて失礼なやつと思っていたが、よくよく見ると視線は僕の後ろの方を見ていた。
「まさか...」
「この通りを使って登校してる人...いるんだ。」
その日から僕は人一倍人の視線を気にするようになった
7/19/2023, 12:19:08 PM